「 COVID-19関連の規制状況及び入国規制並びに進出方法(外資規制を含む)」 TNY Group Newsletter No.4
第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制 |
1.日本
(1) 入国規制
7月22日、日本において「水際対策強化に係る新たな措置」が決定され、入国拒否対象地域に新たに17か国・地域が追加されました(日本国籍者は対象外)。また、検疫強化措置の地域が追加されました(日本国籍者も対象)。7月末日までの間実施することとしていた、これまで査証制限措置がとられていた国・地域に対する査証制限、外国との間の航空旅客便の減便等による到着旅客数の抑制要請の措置は、8月末日まで延長されています。
・日本における新型コロナウイルスに関する水際対策強化(新たな措置)(外務省海外安全ホームページ)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2020C062.html
・第41回新型コロナウイルス感染症対策本部配布資料(内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/sidai_r020722.pdf
(2) 感染の拡大
日本のCOVID-19の感染者数は1242名です。これまで感染者が出ていなかった岩手でも初めて感染が確認され、首都圏だけでなく、感染は地方に広がっています。報道によると、東京都が新型コロナウイルスの感染防止策として都内全域の飲食店とカラオケ店に再び営業時間短縮を要請しました。
2.タイ
タイのCOVID-19の累計感染者数は3,304名です。この内、3,111名が回復し、現在医療機関で治療中の者は135名となっています。帰国者を除いた、タイ国内での新規感染者は66日間連続で0人となっています。
- COVID-19関連の規制状況
7月22日、タイ政府は7月31日までとしていた非常事態宣言を、8月31日までさらに1か月延長することを承認しています。
- 入国規制
タイ民間航空公社(CATT)は、7月1日より、航空機のタイ出入国に対して許可を与える際の条件を緩和しています。入国許可の対象となる外国人について、有効な労働許可を保持している本人だけでなく、その配偶者や子供についてもその対象が拡大されました。また新たに、以下の者についても対象として追加されています。
・タイ人の配偶者、親、子供を持つ外国人
・有効なタイでの居住証明書を持つ外国人、またはタイに居住する許可を得ている外国人
・タイ当局から認定されているタイ国内の教育機関に通学する、外国人の学生、その両親または保護者
- 日本からタイへの特別航空便
現在、不定期で日本からタイ入国のための特別便が準備されています。8月7日の特別便については既に満席となっていますが、次回の特別便については、在東京タイ王国大使館のHP等に案内が出される予定です。
この特別便により渡航を希望する者は、入国許可書(COE)をタイ王国大使館に申請する必要があります。また、出入国の際には、以下の書類を提示しなければなりません。
・入国許可証(COE)
・記入、署名済みの申告書(Declaration Form)
・英文の搭乗可能健康証明書(Fit to Fly or Fit to Travel Health Certificate)
・渡航前72時間以内に発行された英文のRT-PCR検査による新型コロナウイルス非感染証明書
・新型コロナウイルス感染症及び関連疾患の治療費を含む10.万米ドル以上もしくはそれに相当する治療補償額の英文医療保険証
これに加え、タイ入国時には、以下が求められます。
・T.8 formの記入(タイ空港公社(AOT)の携帯アプリにてオンライン登録可能)
・タイ当局に指定された医療従事者から医療検査を受け、隔離施設にて14日間以上の検疫隔離
3.マレーシア
(1) 禁止行為等
同年6月30日及び7月14日に回復のための活動制限令(Recovery Movement Control Order)(以下「RMCO」)(同年8月31日まで有効)が改正され、禁止行為に該当する行為の範囲が大幅に縮小されました。現在の禁止行為は以下のとおりです。
- マレーシア国民による観光目的での海外渡航及び外国人による観光目的でのマレーシアへの入国(大臣が指定した国からの外国人旅行者を除く)
- パブ及びナイトクラブでの活動(パブ及びナイトクラブ内のレストラン営業を除く)
- その他一か所に多くの人が集まりソーシャルディスタンスの実現及び公衆衛生局長の指示の遵守を困難にする活動
(2) 入国前後の手続等
7月24日、マレーシア外務省より外国から到着し監視下に置かれる者の入国及び隔離手続についてのガイドライン(GUIDELINES ENTRY AND QUARANTINE PROCESS PERSON UNDER SURVEILLANCE (PUS)ARRIVING FROM ABROAD) が公布されました。
ア 出発前の手続
(ア) 到着後の強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書(Letter of Undertaking and Indemnity)の提出
提出は出発日の3日前までに、マレーシア外務省のHP等から書式を入手のうえ 必要事項を記入し、旅券や航空便旅程表等の他の必要書類とともにPDF等の形式で電子メールにより提出します。日本から渡航する場合、提出先は駐日マレーシア大使館となります。
(イ) マレーシアへの(入国許可の)承認状(Letter of Approval)/渡航通知書(Travel Notice)の受領
マレーシアへの渡航が許可されると、提出先の大使館等から(入国許可の)承認状/渡航通知書が電子メールで送付されます。
(ウ) アプリ(MySejahtera)への登録
マレーシアへの入国前に、アプリ(MySejahtera)(https://mysejahtera.malaysia.gov.my )をダウンロードし、出発日の前日までに渡航情報(日時、フライト情報、入国地点)、健康状態等の登録を行います。
(エ) 出発前のCOVID-19検査
同ガイドラインは、マレーシア政府は入国者に対し出発のCOVID-19検査を求めないものとしています。もっとも、航空会社が搭乗条件として出発前の検査を要求していることがあるため、各航空会社に対して確認をする必要があります。
イ 到着時の手続
(ア) 到着時のCOVID-19検査等
マレーシアへの到着時に、COVID-19検査を受ける必要があります。検査費用は、自身で負担をすることとなります。検査の結果、COVID-19の症状がみられる場合は病院に搬送されます。
(イ) 入国審査等
検査の結果COVID-19の症状がみられなかった場合、強制隔離の宿泊費用の支払いに関する約定書を係員に提示した後、入国審査及び税関検査を受け入国します。
(ウ) 到着後の手続
到着後、14日間又はマレーシア保健省が別途定めた期間の強制隔離に付されます。
強制隔離先は、マレーシア政府が指定したホテル等の施設で、強制隔離の対象者が隔離先の施設を選ぶことはできません。原則として1人1部屋ですが、保険証の検疫官の許可があれば配偶者や家族等との同室が可能とされています。
隔離施設のチェックイン時に約定書の原本を提出し、隔離費用を支払います(クレジットカードの使用可)。外国人の場合、隔離費用の額は1日あたり最大RM150とされています。
部屋からの外出、喫煙、集会、フードデリバリーサービスの利用及び訪問者との面会は禁止されています。食事及び飲み物は1日3回(朝食、昼食、夕食)提供されます。有償でランドリーサービスを利用することもできます。
(エ) パス区分ごとの手続
なお、本ガイドラインに定められた上記手続とは別に、パスの区分や出国時期に応じて必用となる手続があります。以下、EP及びPVPについて抜粋しますが、詳細及びパス区分についてはマレーシア入国管理局等をご確認ください。
新規入国 | 7月11日よりも前に出国し、 有効な在留資格を保有している者 の再入国 |
在留資格が失効しているが、 駐在員委員会の承認残余期間 がある者の再入国 |
再入国を前提とする出国 (7月18日以降) |
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EP1 | 入国許可は不要。 但し、雇用主から、承認機関を 通じて駐在員委員会に役職申請 をして承認状を取得することが 必要。 |
入国許可は不要。 | 入国許可が必要。 入国管理局長に対して入国 承認状の申請をする。 |
出国・再入国許可状の取得
が必要。 入国管理局長に対して申請 する。 |
EP2 |
入国許可が必要。駐在員会からの承認状、承認機関又は規制機関
からのサポートレターを添付して、雇用主から入国管理局長に 対して入国承認状の申請をする。 |
入国許可が必要。
手続は、新規入国の場合に 準じる。 |
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EP3 | ||||
PVP |
*EP2、EP3、PVPについては承認機関又は規制機関から重要な役職(key posts)又は技術職(technical posts)と評価されなければ入国許可を受けることができません。
4.ミャンマー
ミャンマーのCOVID-19の感染者数は353名です。新規の市中感染者はほとんど存在せず、海外から戻ってきた人の感染がほとんどです。ミャンマー国内においては、経済活動はCOVID-19以前に戻りつつあり、自宅待機措置についても全てのエリアで終了しました。もっとも、一定の集会禁止措置などは8月15日まで延長されています。
海外からの入国については、8月31日まで国際旅客機の着陸禁止やビザ発給停止が延長されています。また、唯一の直行便のANAも8月末まで運休する旨発表済みです。
もっとも、6月26日に臨時の救援便が飛ばされ、ODA関連の20名の日本人(他はミャンマー人)がミャンマーへ入国しました。次期救援便の調整も進められており、在京ミャンマー大使館とANAが調整した結果、8月1日、6日、27日の三便を飛ばす方向です。8月1日及び8月6日のフライトは緊急性の高いODA関係者を中心に搭乗予定です。8月27日のフライトにはJCCM会員企業も搭乗予定です。
ファーストトラック入国については中国が先行していますが、これを各国に適用するべく検討が進められています。対象は「緊急性を伴うビジネスマン」に限定され、現在の外国人入国要件と異なり、プロセスは以下の通りになる予定です。
1.出国前36時間以内のPCR陰性証明書(一週間の自宅待機なし)
2.到着後、政府施設隔離となり、翌日、PCR検査実施・陰性確認
3.隔離5日目にPCR検査を実施し、陰性であれば7日目に施設隔離終了。(自宅待機なし)
以上より、現時点では海外からミャンマーへ入国する手段としては臨時便のみとなり、かつ、希望すれば必ず臨時便に乗れるわけではない状況です。
5.メキシコ
2020年6月30日以降、連邦政府によるCOVID-19 に関しての規制等は新たに発表されていません。連邦政府が定める社会活動再開の信号は、7月27日の週は赤が18州、橙が14州と赤の割合が多くなっています。一方、各州(メキシコシティを含む)政府が定める規制等もあり、適宜、導入、更新されている状態です。例えば、メキシコシティでは、7月14日より、高感染リスクの地区を特定し、少なくとも15日間は公道での露店等小売業の制限などを行う赤信号地区プログラムの実施や,同じ住居で生活する人の中に感染者が1名以上確定した場合は、その住居に居住する全員の15日間自宅待機を要請することなどの措置が追加されました。
また、メキシコ政府による国境閉鎖や外国人の入国制限等は行われていませんが、3月21日より米国政府による米墨国境における不要不急の渡航制限が行われており、7月16日にメキシコ政府合意のもと8月20日までの延長が決定されました。なお、本制限は、空路や海路での移動については適用しないとされていますが、在メキシコ米国大使館の発表では、米墨間の航空便の運航状況は、今年1月と比較し66%減少していることから、渡航にあたっては十分な計画が必要とされています。なお、空路によるメキシコの出入国においては、体調や渡航履歴に関するアンケートの記入・提出や検温によるスクリーニングが実施されています。
グアテマラ、ベリーズ国境においては、各政府による国境閉鎖が継続されていますが、ベリーズ政府は8月15日に国際空港の運営を再開することを発表しています。
6.バングラデシュ
バングラデシュのCOVID-19の感染者数は23万2194名です。新規の感染者はやや減少傾向にあるものの、依然として1日2,500~3,000人の感染者が報告されています。バングラデシュ政府は、7月1日から8月3日の期間における新型コロナウイルス感染拡大予防措置について以下の通り、発表しました。
- 午後10.時から翌日午前5時までの時間帯は、真に必要な場合(必要不可欠な売買,職場との往来等)を除き外出禁止。外出の際は,マスクの着用等感染防止措置を講じなければならない。違反した場合には法的措置を受けなければならない。
- 商店とショッピングモールは午後7時までに閉店しなければならない。
- いかなる教育機関も開校することができない。ただし,オンライン講座等は実施できる。
- いかなる集会,大規模行事も実施できない。ただし,宗教省の指導に従い,感染防止措置を講じた上であれば,モスクなどで集団礼拝を行うことはできる。
- レッドゾーンに指定された地域のうち,感染拡大が深刻な地域でのみロックダウンが実施される。ロックダウンが実施された地域では,保健サービス総局の許可と命令の下,自治体の調整によって日用品等の供給が確保されなければならない。
また、以下の対象国及び地域からの、バングラデシュへの定期国際便の乗入停止措置が継続されています。
(対象国及び地域)バーレーン,ブータン,香港,インド,クウェート,モルディブ,ネパール,オマーン,サウジアラビア,シンガポール,タイ
バングラデシュ入国の際,有効な査証を持つ外国人については,渡航前72時間以内に取得した新型コロナウイルス陰性であることが記載された英訳付きの診断書を提出する必要があります。
第2.各国の進出方法 |
1.日本
2.タイ
(1) 進出形態
企業がタイに進出する場合、大きく分けて、1.タイ国内法人を設立する方法と、2.外国法人のまま駐在員事務所・支店等を設立する方法、3.既存企業への資本参加の3通りの進出形態が考えられます。
- タイ国内法人の設立
タイにおいて新規に法人を設立する進出形態です。法人の種類については以下のような分類となります。
・株式会社(公開会社・非公開会社)
公開会社、非公開会社ともに、間接有限責任を伴う株主のみから構成される会社となります。公開会社は、公開会社法に基づき設立される会社で、株式の公募を目的とし、原則として株式に譲渡制限は付すことができず、株主数は15 人以上必要である点などが特徴として挙げられます。一方、非公開会社は、民商法典に基づき設立される会社であり、株式に譲渡制限を付すことが可能な点、株式の第三者割当が認められない点、株主数が3人以上必要である点などが公開会社と異なります。
一般的に、タイに進出する日系企業は、非公開会社を選択しているケースが多数です。
・パートナーシップ
パートナーシップは、民商法典に規定されている形態で、3種類の形態が存在し、パートナーの責任および登記の有無に違いがあります。タイにおいては比較的多く見られる形態ですが、一部のパートナーが無限責任社員になる必要があるため、タイに進出する日系企業がパートナーシップを選択することは少ないです。
2. 駐在員事務所・支店等の設置
・駐在員事務所(Representative Office)
本社への情報提供等を行うために設置する形態で、活動範囲が一定の調査・品質管理・宣伝等に限定されています。また、原則として収益事業を行うことはできません。
・支店(Branch Office)
外国法人(本社)のタイ国内の支店として設置する形態です。外国人事業法の規制を受けることから、事業活動は、当該事業に関連するライセンス等を取得した範囲に制限されます。
3. 既存企業への資本参加
外国人または外国法人が資本の50%以上を保有する場合、外国人事業法上の「外国人」に該当し、同法の規制対象となります。その場合、一定の規制事業について行うことが原則的に禁止されるため注意が必要です。規制事業の一部については、外国人事業ライセンス(Foreign Business License :FBL)を取得することで行うことが可能となります。
3.マレーシア
(1)進出形態
マレーシアに進出するための形態としては、直接的な進出形態である1.現地法人の設立、2.M&Aによる現地法人の買収、3.外国法人の支店の設立、4.駐在員事務所・地域事務所の設立及び間接的な進出形態である5.契約による進出(販売代理店契約、フランチャイズ契約等)が考えられます。
(2)現地法人の設立
マレーシア会社法(Companies Act 2016)に基づき会社を設立する方法です。流通取引業等の支店形態ではライセンスの取得が困難な業種については、現地法人の形態をとる必要があります。
マレーシア新会社法に従って設立される会社には、大きく分けて、
- 有限責任株式会社(公開会社、非公開会社)
- 有限責任保証会社(公開会社)
- 無限責任会社(公開会社、非公開会社)
の三つの形態があります。有限責任株式会社は、社員の責任が出資した株式の金額に限定される会社で、日本における「株式会社」に相当します。現行の会社法において外国人又は外国企業が設立できる会社の形態についての制限は設けられていませんが、設立や運用が容易であることから、外国人又は外国企業が会社を設立する場合そのほとんどが非公開の有限責任株式会社となっています。
現行の会社法の下では、非公開の有限責任株式会社の場合、株主の最低人数は1名とされ、取締役の最低人数も1名とされていますが、マレーシアに基本住居を置く取締役が1名以上必要となります。
会社の設立はネームサーチ(希望する会社名の使用の可否の調査)を経たうえで、マレーシア会社委員会(CCM)に設立申請をする形で行います。
(3)M&Aによる進出
現地法人の形態で進出する方法としては、現地法人を自ら設立するほかに、既存の現地法人の株式を取得し支配権を得る方法があります。この方法には、その現地法人が積み上げてきた事業価値を引き継ぐことができる等のメリットもある一方で、(潜在的な)負の財産を承継してしまう等のデメリットがあります。
また、外資規制との関係で株主の変更がライセンスに与える影響の有無や居住取締役の確保についても考える必要があります。
(4)支店(外国企業登録)
支店を設置することにより、支店を通じて現地での営業活動を含めた活動が可能になります。もっとも、流通取引業等の支店形態ではライセンスの取得ができない業種については、この形態により活動をすることは困難です。
支店の設立はネームサーチ(希望する支店名の使用の可否の調査)を経たうえで、マレーシア会社委員会(CCM)登録申請をする形で行います。登録申請に際しては国内居住者を代理人として選任する必要があり、この代理人は会社法の下で外国企業に義務付けられている行為について責任を負うこととなります。
(5)駐在員事務所(Representative Office)・地域事務所(Regional Office)
駐在員事務所は、特に製造業とサービス業について、マレーシア国内への投資・事業機会の可能性に関する情報の収集、二国間貿易関係の強化、マレーシアの商品とサービスの輸出促進及び研究開発の実施を承認された外国法人・組織の事務所をいうものとされています。また、駐在員事務所に隣接する制度として、地域事務所(東南アジア及びアジア太平洋地域内の関連会社や子会社、代理店との調整センターとして機能する事務所)制度が存在します。
駐在員事務所・地域事務所については、営業活動を行うことができない、駐在員事務所・地域事務所の運営資金が海外の資金源によって賄われていなければならず支出予定額は年間RM300,000以上でなければならない等の制約があります。
駐在員事務所・地域事務所は会社法に基づく設立手続は必要ありませんが、マレーシア政府の承認が必要となります。
(6)フランチャイズ契約
現地に法人や支店等の拠点を設けず、現地のフランチャイジーを介して間接的に商品やサービスを提供することも可能です。
外国企業がマレーシア国内で又はマレーシア国民に対してフランチャイズの販売を行う場合には、フランチャイズ登録局から承認を受け、また、同局への登録をしなければなりません。また、フランチャイズ契約の内容は、フランチャイズ法(Franchise Act 1998)に沿ったものとする必要があります。
4.ミャンマー
(1) 外資規制
ミャンマーに進出するに当たり、まずは外資規制を確認する必要があります。ミャンマーで実施予定の事業を外資10.0%で行うことができるか、合弁が必要か、ミャンマー内資会社のみが実施できるかにより進出スキームの選択肢が大きく異なります。
外資規制については、投資法に基づき発布された2017年4月10.日 投資規制業種通知(MIC Notification No.15/2017, List of Restricted Investment Activities)において、1.「連邦政府のみが実施するものとされている投資活動」9業種、2.「外国投資家による実施が許されない投資活動」12業種、3.「ミャンマー国民又はミャンマー国民が有する事業体との間の合弁投資の形でのみ外国投資が認められる投資活動」22業種、4.「関連省庁からの承認を受けることにより許される投資活動」126業種の合計169業種が規定されており、当該規定に基づく制限を受けます。
したがって、事前に上記のいずれかの業種に該当するか否かの確認が必要となります。記載が曖昧な業種もありますが、その場合にはミャンマー投資委員会(MIC)に対して事前確認申請を行うことにより、いずれの業種に該当するかの回答を得ることができます。もっとも、当該回答はMICが法的な保証を付与するものではないため、その後にMICの対応が変更される可能性があることに留意が必要です。
(2)法人設立の選択肢
上記の外資規制をクリアした上で、ミャンマーに法人を設立する方法は主に以下の4つの方法が挙げられます。
(a)会社法に基づく現地法人又は海外法人
(b) (a)+投資法に基づくエンドースメントの取得
(c) (a)+投資法に基づくMIC許可の取得
(d) (a)+経済特区法に基づく投資許可の取得
多くの日系企業は、(a)の方法に基づき進出しています。(b)乃至(d)の方法は、製造業や不動産開発業など、土地を長期で使用する必要性の高い業種が主です。
上記の(a)又は(b)のいずれを選択するかを検討する際の考慮要素としては、主に1. 投資法の恩恵を受ける必要性、2. 手続きに要する時間及び手続的負担、3. 初期投資額を挙げることができます。
1. 投資法の恩恵を受ける必要性に関して、投資法では、優遇措置として、法人税の一定期間の免税などの租税減免措置の恩典や土地の長期の賃借権(最大50年、さらに、10.年の延長を2回行うことができる。)等が存在します。そのため、製造業等においては長期の土地賃借が必要であるため、投資法の恩恵を受ける必要性が高いと言えます。ただし、租税減免措置については、所得税の免税は、2017年4月1日に発布された投資促進分野通知(MIC Notification No.13/2017, Classification of Promoted Sector)で定める投資促進分野に該当する投資に対してのみ付与され、複数の基準がありますが、そのうちの1つの基準として300,000ドルを超える額の追加資金の支出が必要となります。
2. 手続きに要する時間に関して、(b)の場合には、(a)の場合と異なり、会社法に基づく営業許可に加え、投資法に基づくエンドースメントを取得する必要がある。そのため、(b)の場合には、必要書類が増加し、かつ、一般に投資法に基づくエンドースメントは会社法に基づく営業許可以上に取得までに時間を要します。
3. 初期投資額に関して、投資法上は、最低資本金が規定されていません。しかし、租税優遇措置を享受するためには、300,000ドルを超える額が必要となります。他方、会社法に基づく会社の最低資本金額は存在せず、1チャットの資本金でも設立可能です。そのため、(b)の場合には、(a)の場合よりも多額の初期投資が必要となります。
(c)については、以下のいずれかの場合のみMIC許可を取得する必要があります。
(i)国家の戦略上重要な事業 (a)通信、技術、運輸インフラ、エネルギーインフラ、都市開発インフラ、採掘又は天然資源、農業、市街地、メディアの各セクターかつUSD2,000万以上の投資 (b)当局からのコンセッション等による案件かつUSD2,000万以上の投資 (c)国境紛争・紛争影響地帯かつUSD100万以上の投資 (d)国境をまたぐ投資かつUSD100万以上の投資 (e)1,000エーカー超の土地を占有又は利用する農業関連投資 (f)100エーカー超の土地を占有又は利用する非農業関連投資 (ii)一定の資本金額を超える事業 (a)予想される投資額がUSD1億を超える投資 (iii)環境及び地域社会に深刻な影響を与える可能性のある事業 (a)環境影響評価が必要となる事業 (b)環境保護法により保護地域又は生態系保全地域に指定されている地域への投資 (iv)国有地又は建物を利用する事業 (v)別途政府により投資許可が必要とされる事業 |
(d)の場合、手厚い租税減免措置や土地の長期の賃借権(最大50年、さらに25年の延長を行うことができる。)が認められます。しかし、経済特区法は経済特区に指定されたエリアでの会社設立のみに適用され、現時点においては、ティラワ、ダウェイ、チャオピューの3つのエリアが経済特区として指定されているものの、ティラワのみが整備済みの現実的な進出候補地であり、ダウェイ及びチャオピューはいずれも整備は完了しておらず、実際に選択肢となり得るには時間を要します。ティラワには約50社の日系企業が進出しています。
5.メキシコ
(1)外資規制
外国投資法(Ley de Inversión Extranjera)による規制が存在するものの、ほとんどすべての業種において外資に開放されています。たとえば、石油および炭化水素の探索と採掘等は国家のみが行うことができる業種、旅客・観光・貨物国内陸上輸送(宅配便サービスを除く)等のメキシコ人または会社定款に外国人排除条項を定めるメキシコ企業のみが行うことができる規制業種、国内航空輸送等については25%までと外資参加率に上限が定められている業種などといった具合に限定されていますが、それ以外は規制なく外資参入が可能です。ただし、規制業種に限らず、既存企業の資本に外資が49%を超えて参加し、かつ、その会社の資産総額が201億8467万1346.26メキシコペソを上回る場合は外資委員会の承認が必要とされます。
(2)事業形態・現地法人設立
1. 事業形態
メキシコに進出して事業を行う場合、個人事業として行う場合、会社を設立する場合、支店や駐在員事務所を設立する場合、合弁事業として行う場合が考えられます。
2. 会社形態
この中で、会社設立については、主に商事会社一般法(Ley General de Sociedades Mercantiles)が規定しています。同法1条においては、合名会社(Sociedad en Nombre Colectivo)、合資会社(Sociedad en Comandita Simple)、合同会社(S. de R.L.: Sociedad de Responsabilidad Limitada)、株式会社(S.A.: Sociedad Anónima)、株式合資会社(Sociedad en Comandita por Acciones)、協同組合(Sociedad Cooperativa)など、多くの法人形態が規定されていますが、社員の無限責任を避けるため、メキシコ進出にあたっては、株式会社(Sociedad Anónima)や合同会社(Sociedad de Respossabilidad Limitada)の形態が採られることが一般的です。
また、定款変更せずに資本金を増減できる可変資本(Capital Variable)制度も多く利用されています。法人の形態や可変資本制度を採用しているかについては、会社名に反映させなければならず、社名の後に 「S.A. DE C.V.」などと付け加えられます。
3. 会社の設立手続
会社設立については、概ね、(a)経済省社名使用許可、(b)委任状の作成、(c)定款・創立総会決議事項の準備、(d)会社設立公正証書の作成、(e)会社設立登記、(f)連邦納税者登録、(g)外資登録、(h)各種帳簿類や社屋関係、労務・業務上の手続きその他の手続を行う必要があります。
(a)社名使用許可については、社名候補を3つ以上、優先順位を付して提出する必要があります。
(b)委任状について、(d)会社設立公正証書の作成をメキシコ居住者に委任する必要があるため作成します。
(c)商号や会社の目的、資本金額等の記載事項を含めた定款を準備します。
(d)メキシコにおいては、会社設立行為は契約行為と解されており、会社設立公正証書への署名によって法的には会社が設立されることになります。
(e)会社設立の商業登記(RPC:Registro Público de Comercio)が、商業登記所で行われることにより、会社の設立を第三者に対抗できるようになります。ただし、手続地によるがこの手続きには2,3か月を要することもあります。
(f)連邦納税者登録は行政手続きや銀行口座の開設、正規インボイスの発行等に必要となります。
(g)外資登録は、会社設立の日から40日以内に登録が必要となり、当該報告年について、総資産額、負債総額、国内外の合計収益、国内外の合計支出のいずれかが1億10.00万ペソを超過した企業は、年次更新手続きが必要となります。
6.バングラデシュ
(1) 外資規制・外資奨励
バングラデシュに進出するに当たり、禁止・規制業種や出資比率などの外資規制を確認する必要があります。
工業省「国家産業政策令2016」において、1.禁止業種(4業種)、2.規制業種(22業種)が規定されており、金融業などの規制業種については主に政府の認可等が必要です。また、業種によっては、外資出資比率の制限があります。具体的には、保険業の外資出資比率は60%まで(2013年4月9日付 SRO No.53.005.022.05.00.076.2011-96)、運搬・運送(C&F)エージェントの外資出資比率は49%まで(2017年7月26日付 SRO No.247/AIN/2017/62/Customs)、海外への労働者派遣業の外資出資比率は40%まで認められています(2013年海外就労・移民法)。
一方、バングラデシュでは、外資奨励の取組みとして、1.外資奨励産業に対する優遇措置、2.特区の整備、が進められています。1.外資奨励産業として、輸出志向産業、ハイテク産業、国産天然資源を活用する産業、国産原料に依存する産業が挙げられており、法人税減免措置等優遇措置を受けることができます。2.特区の整備として、輸出加工区(EPZ)や経済特区(BEZA)、ハイテクパークの整備が進められており、進出企業への優遇措置が設定されています。このうち、特に輸出加工区(EPZ)の整備が進んでおり、法人税の免除、建設資材、機械、設備、部品等の輸入関税免除、原材料の輸入関税および完成品の輸出関税免除等の優遇措置を享受することができます。バングラデシュ国内に8のEPZがあり、日本企業が約20社進出しています。EPZへの投資が可能な業種は以下の通りです。
1.電子機器、電気部品、電子製品、ソフトウェア光学製品、2.編み物、ニット、繊維、3.エンジニアリング製品、4.皮革製品、5.靴、⑥玩具、7.医療器具、
8.医薬品、9.プラスチック金型製品、10.ジュートの新利用法を採用している産業、11.貴石、反貴石の裁断、研磨家庭用備品、装置、12.特別仕様の衣類、 13.ヘッドウェア宝石、14.時計、15.科学測定装置、16.航空機部品、17.実験装置、18.印刷、出版、19.印刷、複写装置、周辺機器、 20.日曜大工道具、装置、21.楽器、22.レーザー技術製品 |
(2) 法人設立の形態
外国人投資家がバングラデシュに事業拠点を設立する場合、以下の5種類の形態のいずれかとなります。
1.現地法人は、バングラデシュ会社法に基づき設立され、バングラデシュ投資開発庁(Bangladesh Investment Development Authority, BIDA)への登録が必要です。2.支店、3.駐在員事務所、4.連絡事務所は、BIDAの承認を得て設立されます。5.公共部門との合弁会社は、民間部門の出資額が50%を超える場合は、BIDAへの登録が必要です。2.支店、3.駐在員事務所、4.連絡事務所は、海外送金が制限又は認められておりません。また、外国会社とみなされますので、外国投資家の出資割合が一定の比率に制限されている事業活動は認められないなど、外資規制を受けます。
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