「COVID-19 関連の規制状況及び入国規制並びに株主総会に関する法規制の概要」 TNY Group Newsletter No.8
第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制 |
1.日本
11月から感染者数が増加しており、1日あたりの新規感染者数が過去最多を更新するなど、感染が拡大しています。政府によるGo Toトラベルは一部地域での一時停止など運用が見直され、東京、北海道、大阪、愛知で飲食店やカラオケ店の時短営業が要請されるなど、規制が厳しくなりつつあります。
(2) 入国規制
1 上陸拒否措置等
(a) 上陸申請日前14日以内に上陸拒否の対象である国・地域に滞在歴のある外国人については、「特段の事情」がない限り、上陸が拒否されます。なお、10月30日に、以下の国・地域について、上陸拒否対象指定の解除及び追加指定が決定されました。
上陸拒否対象指定の解除: |
オーストラリア、シンガポール、タイ、韓国、中国(香港及びマカオを含む)、ニュージーランド、ブルネイ、ベトナム、台湾 |
上陸拒否対象への追加指定: |
ミャンマー、ヨルダン |
(b) 上陸拒否の非対象地域からの入国は、在外公館において査証の発給を受ける際、防疫措置に関し、受け入れ企業・団体による誓約書を提出する必要があります(日本人・永住者の配偶者又は子等、人道上の配慮の必要性がある場合は誓約書不要)。また、「短期滞在」は商用に限られます。
(新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否等について(法務省))
2 検疫の強化(日本国籍者も対象)
14日以内に、上記1の上陸拒否対象国に滞在歴のある入国者は、PCR検査の実施対象となります。また、全ての地域からの入国者に対し、検疫所長の指定する場所で14日待機し、国内において公共交通機関を使用しないよう要請されます。
(水際対策の抜本的強化について(新型コロナウイルス感染症)(厚生労働省))
3 査証に関する制限(既に発給された査証の効力停止、査証免除措置の停止)
(新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について(外務省))
4 航空機の到着空港の限定等
(3) 国際的な人の往来の再開 (外務省の関連サイト)
政府は、ビジネス上必要な人材等の出入国について、対象国・地域(タイ、ベトナム、豪州、ニュージーランド、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、シンガポール、ブルネイ、韓国、中国、香港、マカオ、モンゴル)との協議を開始し、以下の国・地域で、1 ビジネストラック、2 レジデンストラックのスキームの利用が開始されています。これらのスキームの利用対象者は以下の通りです。
(a) 短期滞在以外の全ての在留資格又は短期商用査証により本邦に入国する者を対象とし、詳細につい
ては対象国・地域ごとに調整。
(b) 日本又は当該対象国・地域に居住する者(当該対象国・地域の国籍保有者だけではなく、第三国国籍
の方を含む)であって、日本と当該対象国・地域の間の航空便(直行便の他、経由する国・地域に入国・
入域許可を受けて入国・入域しないことを条件に経由便も可。)を利用する者。
1 ビジネストラック: シンガポール、韓国、ベトナム
2 レジデンストラック: タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、シンガポール、
ブルネイ、韓国
2.タイ
タイのCOVID-19の累計感染者数は3,998名です。この内、3,803名が回復し、現在医療機関で治療中の者は108名となっています。
(1) COVID-19関連の規制状況
11月23日、タイ政府は11月30日までとしていた非常事態宣言を、2021年1月15日まで延長することを閣議決定しました。
(2) 日本からタイへの特別航空便
現在、日本からタイ入国のための特別便が準備されています。在東京タイ王国大使館のHPにおいて、随時情報が発表されています。12月の特別便(羽田、成田発)については、12便が運航を予定しています。
また、関西国際空港発特別便として、12月は4便が運航を予定しています。こちらについては、タイ王国大阪総領事館のHPにおいて情報が発表されています。
これら特別便により渡航を希望する者は、入国許可書(COE)をタイ王国大使館に申請する必要があります。
(3) 特別観光ビザ(STV)によるタイ入国
特別観光ビザ(STV)は、タイ保健省が定めるCOVID-19感染拡大国リストの「低度感染危険国」から入国する者のみ申請可能です。11月1日現在、日本は、「中度感染危険国」に指定されており、当該ビザ所持者によるタイ入国はできません。感染リスクレベルが変更された場合には、在東京タイ王国大使館のHPにおいて発表される予定です。
3.マレーシア
(1) COVID-19関連の規制状況
11月9日に期限を迎える予定であったサバ州及びスランゴール州、クアラルンプール及びプトラジャヤの全域を対象とする条件付き活動制限令(CMCO)が12月6日まで延長され、さらに7つの州が同CMCOの適用対象に加えられました(本稿執筆時点においていくつかの州においては適用が解除され、回復のための活動制限令(RMCO)へと移行しています。)。
(マレー半島における)CMCOの適用対象地域における現在の活動基準(SOP)は以下のとおりとされています。
1 移動への制限
(a) CMCO対象地域の地区(district)又は州をまたぐ移動は禁止されます。
*1 通勤又は業務のために地区又は州をまたぐことは、被用者が雇用者からのワークパス又は許可書を所持していれば許容されるものとされています。また、警察の許可を取得している場合も例外とされています。
*2 クアラルンプール及プトラジャヤは、それぞれ1つの地区として扱われています。
(b) レストランでの飲食及び生活必需品の購入のための外出は、1世帯につき3名までとされます。
2 店舗等の営業時間への制限
店の種類ごとに、営業時間の制限が定められています。
3 経済活動への制限
経済産業部門は、活動基準(SOP)に準拠して活動を継続することが可能とされています。ただし、業務継続計画(Business Continuity Plan)で示されたカテゴリーを除き、従業員を在宅勤務させる必要があります。
4 その他活動への制限
(a) 全ての観光、レジャー、レクリエーション、文化活動は原則として禁止されます。
- 連邦直轄区(クアラルンプール、プトラジャヤ)内の公園の使用は可
- CMCO対象地域内でもグリーンゾーン間での観光は可
なお、スランゴール州においては、活動への参加は5名までとされています。
(b) 水泳、身体的接触、格闘技、スポーツ/トーナメント(観客の前でのスポーツイベントや競技会、海外
からの参加者が参加するスポーツイベントや競技会)は原則として禁止されます。ただし、以下の活動は可能とされています。
- 個人のスポーツ活動、eスポーツ、非接触スポーツ、10人以下のアウトドアスポーツ
- トレーニング目的での、10人以内での商用スポーツ施設、サッカー場・フットサル場の使用
なお、スランゴール州においては、スポーツ活動への参加は5名までとされています。
(c) 学校、幼稚園・保育園、私営・公営の高等教育機関は原則として閉鎖されます。
(d) 塾、音楽教室、ダンス教室、語学教室等は許可されません。ただし、1対1の個人レッスンは可能とされています。
(e) 展示会等に関連するセミナー、ワークショップ等や式典、誕生会、同窓会、懇親会は禁止されます。
(f) 政府及び民間組織による、部外者が参加する対面式の会議は原則として禁止されます。
(2) 入国規制
2020年11月10日付で公表された、国際入国地点における「要観察者(PUS;Person Under Surveillance)」の取り扱いは以下の通りです。
- マレーシア入国時、入国者はPUSのステータスとなり、COVID-19検査の受検が必須となります。
- 受検費用は、PCR検査がRM250、迅速抗原検査キットがRM120となります(外国人の場合)。
- 検査結果陽性の場合は、速やかに病院へ搬送されることとなります。
- 検査結果陰性の場合、外国人PUSは、2020年11月15日より、最初の検査、13日目の検査及び隔離に係る費用を、「MySafeTravel」又は「MyQRアプリ」を通して支払う必要があります。
- 各費用は以下のとおりで、各人はRM4,880又はRM5,010を支払うこととなります(この金額については、変動がありえます。)。
- 上記支払いを怠った者は入国管理局に引き渡され、国外退去の対象となります。
- 全てのPUSは、入国管理局のLOU審査プロセスを経る必要があります。
- 追加的な費用負担のもと、強制隔離をホテルにて行うことも可能とされています。
4.ミャンマー
(1) COVID-19関連の規制状況
11月8日に5年ぶりの総選挙が実施され、与党のNLDが過半数を維持しました。そのため、大きな政策の変更はないと思われ、COVID-19関連の規制も含め、多くの規制は維持される見通しです。現時点のCOVID-19関連の規制としては、30名以上の集会禁止措置(通勤等は除外されます)及びヤンゴン地域における深夜0時から午前4時までの夜間外出禁止措置が維持されています。法令上、工場、店舗、飲食店等においてはガイドラインを順守し、グレードAを取得した場合にのみ操業を再開できるとされているものの、事実上多くの店舗がグレードAを取得しないまま操業を再開するなど、規制の一部は有名無実化しています。
(2) 入国規制
海外からの入国については、12月31日まで国際旅客機の着陸禁止が延長されており、ビザ発給停止については12月15日まで延長されています。また、唯一の直行便のANAが12月から年末年始を除き水曜日、金曜日、土曜日に運航されます。しかし、ほとんどは貨物便であり、救援便は3便であり、日本人枠は3便合計60が見込まれています。
5.メキシコ
メキシコ国内のCOVID-19感染者は増加傾向に転じており、保健省は、アグアスカリエンテス州、コアウイラ州、メキシコシティ、ヌエボレオン州、ケレタロ州、サカテカス州の6州は赤に限りなく近い状況と注意喚起を促しています。11月23日の週には、チワワ州に加え、ドゥランゴ州が感染リスクを示す連邦政府の信号システムにおいて最大の警戒対象となる赤となりました。一方、チアパス州はこれまでの黄色から緑に転じるなど、メキシコ南東部では落ち着きを見せています。
連邦政府による新たな規制は見られませんが、アグアスカリエンテス州では、11月17~30日の期間、医療や治安関連業、生活必需品を扱う商店などを除き、原則、同時に5人を超える顧客に対しサービスを提供する商業、サービス業の操業が禁止されました。また、ケレタロ州においては、11月26日以降、これまでの信号システムとは異なる新たな基準を設け、活動ステージをA,B,C(Aが最も活動できるステージ)の3つに分け、経済活動の範囲を規制しています。11月30日現在のステージはBとなり、飲食店や商業施設の収容人数の縮小や営業時間の短縮、アルコール飲料の販売規制などが実施されています。メキシコシティでも必要不可欠でない商業施設等の営業時間が短縮、アルコール飲料の販売規制がなされるなど、州レベルにおいて新たな事業活動の制限などがみられます。
(2) 入国規制
メキシコへの入国については、政府による国境閉鎖や外国人の入国制限等は行われていませんが、3月21日より米国政府による米墨国境における不要不急の渡航制限が行われており、11月19日にメキシコ政府合意のもと12月21日までの延長が決定されました。なお、本制限は、空路や海路での移動については適用しないとされています。空路によるメキシコの出入国においては、体調や渡航履歴に関するアンケートの記入・提出や検温によるスクリーニングが実施されています。
6.バングラデシュ
新規感染者・死亡者ともに、前月と比較すると増加傾向にあり、新規感染者数が1日あたり2000人を超える日が続いています。バングラデシュ内務省が発表した9月1日以降の人々の移動及び活動に関してのCOVID-19拡大予防措置が継続されており、外出時のマスク着用や、人と人との距離を保つ等の感染予防措置を講じることが求められており、違反した場合は法的措置を受けることがあります。
(2) 入国規制
バングラデシュへの乗り入れが許可されている国際便は以下の通りです。
(対象国及び地域)バーレーン、中国、サウジアラビア、マレーシア、モルディブ、オマーン、カタール、スリランカ、シンガポール、トルコ、アラブ首長国連邦、英国
バングラデシュ入国の際,有効な査証を持つ外国人については、渡航前72時間以内に取得したCOVID-19陰性であることが記載された英訳付きの診断書を提出する必要があり、入国後の14日間の自主隔離も引き続き要請されています。
第2.各国の株主総会に関する法規制の概要 |
1.日本
(1) 株主総会の権限
1 取締役会を置いていない場合
株主総会は、「株式会社に関する一切の事項について決議をすることができる」と定められています(会社法295条)。
2 取締役会を置いている場合
株主総会は、法定事項(取締役や監査役の選任や解任など重要な人事、定款の変更や会社合併など組織の形態、剰余金の配当や役員報酬など株主の利益等)及び定款で定めた事項について決議をすることができます(会社法295条2項)。
(2) 株主総会の種類
1 定時株主総会
毎事業年度の終了後一定の時期に招集することが定められています(会社法296条)。定款に定めがあれば原則その時期内に開催することになりますが、法務省が公表した2020年2月28日付「定時株主総会の開催について」によれば、新型コロナウイルス感染症に関連し、定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるとされています。
2 臨時株主総会
会社の合併や分割、株式交換など株主総会で決議されるべき重大なことが発生した際に臨時に行われるもので、時期や回数などに制限はありません。
(3) 株主総会の招集
1 招集の決定及び招集権者
株主総会を招集するためには、日時・場所や目的、欠席株主の議決権の行使等について決定し(会社法298条)、取締役が招集します(会社法296条3項)。なお、総株主の議決権の100分の3以上の議決権を6ヶ月以上前から保有している株主(公開会社でない株式会社の場合は、議決権保有期間の要件なし)は、株主総会の目的と招集の理由を示した上で、株主総会の招集を請求することができます。また、請求したにも関わらず招集手続きが取られない場合には、裁判所の許可を得たうえで株主総会を招集することができます(会社法297条)。
2 招集の通知
株主総会の招集は、書面又は(株主の承諾がある場合)電磁的方法により、株主総会の日の2週間前まで(公開会社でない場合は1週間前まで)に、通知しなければなりません。公開会社でない株式会社で、取締役会設置会社でない場合は、定款で1週間以下の期間を定めることもできます(会社法299条)。なお、経済産業省及び法務省による令和2年4月2日付「株主総会運営に係るQ&A」において、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の一環として、出席を控えるよう呼びかけることは、株主の健康に配慮した措置であるとされ、その際には、併せて書面や電磁的方法による事前の議決権行使の方法を案内することが望ましいとされています。
(4) 株主総会の決議
1 普通決議
役員の報酬や取締役・監査役の選任など、法律や定款に特別な定めがない事項について決議します。議決を行うためには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数が出席することが必要で、出席者の議決権の過半数により決議されます(会社法309条)。
2 特別決議
会社法で定められた、より重要とみなされる事項を決議するためのものです。定款の変更、事業の譲渡、解散、組織変更、合併、会社分割、株式交換、株式移転、資本金の減少などが挙げられます。特別決議を議決するためには、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数が出席することが必要で、出席者の議決権の賛成が3分の2以上で決議されます(会社法309条2項)。
3 特殊決議
(a) 会社法309条3項による特殊決議
全株式を「譲渡制限株式」とする定款の変更、吸収合併契約の承認、新設合併契約の承認については特殊決議が行われ、議決を行うためには、議決権を行使することができる株主のうち過半数の出席が必要で、議決権の3分の2以上の賛成をもって決議されます。
(b) 会社法309条4項による特殊決議
「配当、分配、議決権につき株主ごとに異なる取り扱い」を定款で定める場合で、議決を行うためには総株主の半数以上の出席が必要で、議決権の4分の3以上の賛成をもって決議されます。
(5) 議事録の作成と保存
株主総会の議事録の作成が義務付けられています(会社法318条1項、会社法施行規則72条)。
2.タイ
(1) 株主総会の種類
株主総会には、1定時株主総会(会社登記日から6か月以内に開催し、その後は少なくとも12か月以内に1回開催するもの)と、それ以外の2臨時株主総会が存在します。
(2) 決議事項
株主総会においては、会社に関する様々な事項について決議を行うことができます。タイ民商法典においては、法定の決議事項として、普通決議事項と、特別決議事項が定められています。
普通決議事項としては、財務諸表の承認、取締役の選任・解任・報酬決定、会計監査人の選任・報酬決定、配当決定等が定められています。
特別決議事項としては、基本定款・付属定款の変更、新株発行による増資、減資、解散、合併等が定められています。
(3) 招集の方法
議題が普通決議事項のみの株主総会の場合、株主総会招集通知を、総会開催日の7日前までに、地元新聞へ公告を1回掲載し、株主名簿に記載されている株主全員へ配達記録付郵便で送付する必要があります。
議題が特別決議事項を含む株主総会の場合、株主総会招集通知を、総会開催日の14日前までに、地元新聞へ公告を1回掲載し、株主名簿に記載されている株主全員へ配達記録付郵便で送付する必要があります。
招集通知には、株主総会の開催場所、日時、議題の内容を記載する必要があります。
(4) 定足数
会社の資本の4分の1以上の株式を有する株主の出席が必要となります。
(5) 議決権行使の方法
付属定款に別段の定めがない限り、原則として、1株主1議決権の挙手による議決権行使となります。しかし、別途付属定款において、議決権について秘密投票によるとの定めをしている場合、1株1議決権の投票による議決権行使とすることが可能です。また、2人以上の株主が秘密投票を要求した場合も、秘密投票による議決権行使とすることが可能です。
また、代理人による議決権行使も認められおり、その場合は、当該委任について書面により代理権の授与を行う必要があります。そして、当該書面は株主総会の開始時までに、議長に提出する必要があります。
なお、株式についての払込みが完了していない株主は、株主総会における議決権を有しません。また、議題について利害関係を有する株主については、当該議題について議決権を有しません。
(6) 決議
普通決議事項については、出席株主の過半数の賛成により可決されます。賛否が同数の場合は、株主総会の議長が決定票を投じることになります。
特別決議事項については、出席株主の4分の3以上の賛成により可決されます。
(7) 議事録の作成と保管
取締役は、株主総会の議事録を作成し、その議事録を会社事務所に保管しなければなりません。
3.マレーシア
マレーシアにおける会社の運用は2016年会社法(Companies Act 2016)によって規律されています。同法は、株主総会の運用について、以下のような規定を置いています。
(1) 株主総会の招集
株主総会の招集権者は、取締役会又は株主とされています。株主については、発行済み株式の10%以上を有する株主が招集権を有しますが、定款で10%未満の株主に招集権を付与することも可能です。また、10%以上の議決権を保有する株主は、取締役に対し株主総会の招集を請求することができます。
(2) 招集通知
招集通知は、ハードコピー又は電子的方式若しくはそれらを併用する形で文書により行う旨が規定されています。
(3) 議長
定款に議長に関する規定を置いていない場合、取締役会長(the chairman of the Board)が株主総会の議長を務めることとされています。
取締役会長が存在しない場合、株主総会開催のために指定された日時から15分以内に議長となるべき人物が現れない場合又は当該人物が議長を務める意思を有さない場合、株主総会の出席者が出席者の中から議長を選任することができます。
(4) 定足数
株主総会を進めるために必要な定足数は、以下のとおりです。
1 株主が1名のみの場合、当該株主の出席により定足数を充足する
2 1以外の場合、2名の株主又はその代理人の出席により定足数を充足するが、定款でより多い人数を定めた場合はその人数
出席者が、総会開始の時点で定足数に満たない場合、株主総会を進めることはできません。また、定款で別途規定する場合を除き、指定された開始時刻から30分以内に定足数が充足されない場合、翌週の同一曜日の、同一の時刻、場所(又は取締役が別途決定した場合は当該決定された日時、場所)に延期されるのが原則ですが、株主の請求により開催された株主総会については取消しとなります。
(5) 普通決議と特別決議
1 普通決議(Ordinary resolution)
普通決議は、議決権を有する株主の過半数の賛成により可決されます。決議が挙手により行われる場合、株主総会に出席した議決権を有する株主(株主の代理人も含む)の単純過半数の賛成により、決議が投票により行われる場合、投票された議決権総数(委任状による投票を含みます)の半数を超える票の賛成により、普通決議は可決されます。
2 特別決議(Special resolution)
特別決議は、議決権を有する株主の75%が賛成することにより可決されます。決議が挙手により行われる場合、株主総会に出席した議決権を有する株主(株主の代理人も含む)の75%以上の賛成により、決議が投票により行われる場合、投票された議決権総数(委任状による投票を含みます)の75%を超える票の賛成により、特別決議は可決されます。定款の変更や減資等については、特別決議により決議されることが要求されます。
3 定款による規定
決議の種類が条文上定められていない場合、当該事項についての決議は普通決議で足ります。もっとも、定款に定めを置くことにより一定の事項を特別決議事項とすることができるため、自身が少数株主の場合には一定の重要な事項について特別決議を要求する旨の定款の定めを置くよう要求することが考えられます。
(6) 採決
採決が挙手により行われる場合には、1人が1票を有するものとして扱われ、採決が投票により行われる場合には、保有株式1株につき1票を有するものとして扱われます。
2016年会社法上、採決は原則として挙手による旨規定しています。但し、以下の者が採決の結果を宣言する前に、投票による採決を請求した場合は投票による採決を行う必要があります。
1 議長
2 出席した株主又は代理人のうち3名以上の者
3 出席した株主又は代理人のうち議決権割合が総議決権の10%以上となる者
4 総議決権数の10%以上を有する株主
また、BMLR(Bursa Malaysia Listing Requirements)は、上場会社は全ての採決を投票により行わなければならないとしています。
(7) 定期総会
1 非公開会社の場合
2016年会社法の下では、非公開会社は定期総会を開催する義務を負わないとされています。
2 公開会社の場合
公開会社は、定期的に株主総会を開催する必要があります。新しく設立された公開会社については、設立後18か月以内に株主総会を開催する必要があります。その後は、1年に1回、定期総会を開催しなければなりません。開催時期は、会計年度終了時から6ヶ月以内であり、かつ2最後に開催された定期総会から15カ月以内である必要があります。但し、会社はSSM(会社委員会)に開催時期の延期を申請することができます。
(8) 書面による決議
同法は、株主の決議を書面で行うことを認めていますが、書面による決議は非公開会社(private company)のみが利用することができ、また、取締役の解任及び監査役の解任に用いることはできないものとされています。
書面による決議は、株主への回付の開始後28日以内に議決される必要があり、同期限を経過してなされた署名は効力を有しません。但し、上記期限は定款で変更することができます。
(9) 決議の記録
1 議事録等の保管
会社は、株主総会に関して以下の記録を保管する必要があります。
(a) 株主総会以外で行われた、株主による全ての決議(書面による決議を含む)
(b) 株主総会の議事録
(c) 同法344条に従い会社に提供された事項
上記の記録は、決議がなされた日又は株主総会の開催日から起算して7年間保管されなければなりません。マレーシアでは、株主総会に関する記録は会社秘書役が保管することが実務上通常となっています。
2 記録の閲覧
株主は、保管されている議事録等について、会社のRegistered Office又は会社から通知された特定の場所において、無償で閲覧する権限を有します。また、株主は、会社に請求したときから14日以内に、議事録等の写しを取得することができます。
4.ミャンマー
(1) 株主総会の種類
株主総会には 1年次株主総会 2法定株主総会(公開会社及び株式資本を持つ有限責任保証会社の場合)3特別株主総会(12以外に定められたその他の総会)の3種類が存在します。しかし、日系企業はほぼ全て非公開有限責任株式会社であり、かつ、特別総会の開催は少ないことから、以下では1年次株主総会についてのみ解説します。
(2) 開催時期
設立から18カ月以内、その後の後少なくとも毎暦年1回、前回の開催から15ヶ月以内に総会開催する必要があります。ただし、同条は小規模会社(公開会社及びその子会社以外の会社であって、その会社及びその子会社の従業員数が30名以下であり、かつその会社及びその子会社の、前会計年度の年間売上が総額50,000,000チャット未満である会社)には同規定は適用されません。
(3) 招集方法
1 通知
株主総会は、書面による21日以上前の通知(又は会社の定款により長い期間が定められている場合はそれ以上前の通知)もしくは公開会社の場合は書面による28日前以上前の通知によって招集することができます。ただし、特定の総会につき通知の受領権限がある株主全員の同意を得れば、株主が適切と考えるより短い期間で、株主が適切と考える方法によって総会を開催することもできます。書面による通知は、議決権を有する全ての株主、取締役及び監査人に宛ててなされる必要があります。
2 招集権者
(a) 取締役による招集
随時、取締役会の議長が召集することができます。または、定款の規定に従い、定款に規定されているその他の取締役又はその他の人(一名又は複数)が招集することができます。
(b) 株主による招集
定款の規定にかかわらず、株式資本を有する会社の取締役は、株主総会で議決可能な総議決権の1/10以上を保有する株主の請求又は少なくとも100名の総会において議決権を有する株主の請求があった場合は、実施を提案された議事が、総会で適切に検討することができる種類のものであれば、直ちに株主総会の招集手続きを進める必要があります。なお、裁判所命令による招集も存在します。
3 通知の記載事項
(a) 総会の場所、日時
(b) 総会の議事の一般的性質(the general nature of the meeting’s business)
(c) 総会が年次総会、法定総会又は特別総会のいずれであるか
(d) 総会で提案される決議案(株主が提案した特別の決議又は普通決議を含む)。必要な説明資料を添付した上で記載する必要があります。
(e) 代理人又は企業代表者の任命に関する情報及び指示(そのような任命の通知を受け取ることができる期間及びその通知の送付方法を含む)
(f) 定款又は本法規定その他の必要情報
4 通知方法
総会の書面による通知は、総会で議決することができるすべての株主、すべての取締役及び監査人に行う必要があります。通知は以下の方法で行うことも可能です。
(a) 手交
(b) 株主登録簿に記録された株主の住所又はこの目的のために株主から通知されたその他の住所への郵便その他の直接送付
(c) この目的のために株主から通知されたファックス番号又は電子アドレスに電子的に連絡
(d) 定款に明記された方法
(4) 決議
各株主は一名につき1つの議決権を持つ挙手決議と、一株につき株式に1つの議決権を持つ投票決議の二種類の議決が存在します。株主総会で票決に付された決議は、投票決議が要求されない限り、挙手決議によって決定されます。
株主総会決議には、普通決議(Ordinary Resolution)と特別決議(Special Resolution)の2つが存在します。普通決議は、総会出席者の単純過半数を決議要件としています。特別決議は、出席株主の4分の3以上の賛成です。いずれも委任状による議決権行使を含みます。特別決議については日本よりもハードルが高いことに留意が必要です。
(5) 書面決議
決議に投票することができるすべての株主が、その文書に記載された決議を支持する旨の陳述を含む文書に署名する場合、非公開会社は総会を開催することなく総会決議を成立させることができます。同じ形式の書類の別個の写しに署名することができ、その場合最後の株主が署名するときに決議が成立します。
(6) 議長
会社の定款に従い、取締役らによって選出された者が議長を務めます。但し、その者が会議に出席しない場合は、出席株主が議長を選任します。
(7) 議事録
会社法上、株主総会及び書面決議の全ての手続きについての議事録を準備する必要があります。当該議事録又は書面決議は株主総会の開催又は書面決議による決議から21日以内に記録する必要があり、議長又はその他の権限のある取締役により署名する必要があります。
株主総会及び書面決議の手続きについて、議事録を含む記録は、会社の登記事務所又は会社法に基づき会社の登記簿が保管されているその他の場所において保管する必要があり、営業時間中株主に対して無償で閲覧に供する必要があります。
また、株主は株主総会から7日経過後はいつでも会社に対し、議事録又は決議の写しを要求してから7日以内に取締役会で定めた合理的な金額でこれらを提供するよう求めることができます。
5.メキシコ
(1) 株主総会の種類
メキシコの株式会社における株主総会には、1通常総会と2特別総会が存在します。決議事項によって、必要な株主総会が振り分けられます。
1 通常総会(La Asamblea Ordinaria)
決議事項: 特別総会決議事項を除き、広く通常総会の決議事項とされています。そのほか、取締役の事業報告、取締役・取締役会及び監査役の選任、取締役および監査役の報酬なども決議事項に含まれます。
開催時期: 通常総会は、会計年度終了後4ヶ月以内に1年に1回以上開催されます。メキシコの事業年度は暦年のため、毎年4月末日までに開催が必要となります。
定足数・多数決要件: 資本金の2分の1以上の株式が定足数とされ、多数決要件は出席した議決権の過半数になります。
2 特別総会(La Asamblea Extraordinaria)
決議事項: 会社の存続期間の延長、期限前の解散、資本金の増減、会社の事業目的の変更、会社の国籍変更、会社の組織変更、合併、優先株式の発行、自己株式の償還と享受株式の発行、社債発行、会社設立契約の修正、法律または会社契約で特別定足数を必要とするすべての事項
開催時期: 時期の限定はありません。
定足数・多数決要件: 会社契約で別の定めがない限り、資本金の4分の3以上の株式が定足数とされ、多数決要件は資本金の2分の1以上の株式となります。
(2) 開催場所
株式会社の所在地で開催しなければなりません。
(3) 招集
1 招集権者
原則として、取締役もしくは取締役会、または監査役が招集することになります。
2 株主による招集請求権
(a) 少数株主権
資本金の33%以上を有する株主は、書面により、株主総会の招集を取締役、取締役会または監査役に請求することができます。
取締役、取締役会または監査役が招集を拒んだ場合、あるいは、請求を受けた日から15日以内に召集しない場合、資本金の33%を有する株主が請求することにより、招集は会社の所在地を管轄する裁判所により行われます。
(b) 単独株主権
2年連続で総会が開催されていない場合等は、1株の株主でも招集を請求できます。
取締役、取締役会または監査役が招集を拒み、または請求を受けてから15日以内に招集しないときは、取締役、取締役会および監査役に請求書を送付した後、裁判官が招集の手続きをとることとなります。
(4) 招集の方法
総会は、定款に定められた事前通知とともに、経済省の定める電子システムに公告することによって招集されます。定款に記載がない場合には総会の15日前までに通知することにより招集されます。この間、事業報告書は、会社の事務所において株主に閲覧させなければならないとされています。
総会の招集状には、議題及び作成者の署名がなければなりません。
上述の招集方法に違反して採決された総会の決議は、決議時に全員出席でなければ無効とされています。
(5) 審議および決議
1 議事運営
株主総会の議長は、定款に別段の定めがある場合を除き、取締役または取締役会がこれを行い、これに欠けるときは出席した株主が指名した者がこれを行うこととされています。
2 議事録
株主総会の議事録は、記録され、議長、秘書役および出席した監査役が署名しなければなりません。適法な招集が行われたことを証する文書が議事録に追加されます。
(6) 議決権の代理行使
株主は、代理人(株主であるかを問わない。)をもって議決権を行使することができます。代理権は、定款に定められた方法で、また、定めがない場合には書面で与えられなければなりません。
会社の取締役および監査役は、いずれも代理人になることはできません。
6.バングラデシュ
会社法(1994)にて、株主総会について定められています。
(1) 株主総会の種類
1 定時株主総会
全ての会社は暦年に一度、かつ前回の定時株主総会から15か月以内に定時株主総会を開催することが義務付けられています。なお、最初の株主総会の開催は会社の設立日から18か月以内まで猶予されます(会社法81条1項)。取締役の任命(91条)、決算報告(183条)や事業報告(184条)、監査人の選任の決議(210条)などが行われます。
2 臨時株主総会
必要に応じて不定期に開催されます。株式資本を有する会社は、発行済株式総数の10分の1以上の株式を有する株主の請求があった場合、株式資本を有しない会社は、議決権の10分の1以上を有する株主の請求があった場合に、取締役は臨時株主総会を招集しなければなりません(84条1項)。取締役が請求日から21日以内に臨時株主総会を開催しない場合、請求日から45日以内に、株主は会議を召集することができますが、請求日から3か月以内に開催しなければなりません(84条3項)。
(2) 株主総会の招集
定時株主総会は、株主総会の日の14日前までに書面にて招集され、定時株主総会以外の株主総会又は特殊決議のための株主総会は、書面にて21日前までに招集されます(85条)。
(3) 株主総会の決議内容と要件
1 普通決議
決議内容:取締役の選任、取締役の報酬、配当、会計監査人の選任、決算書の承認等
決議要件:出席した株主の過半数
2 特別決議
決議内容:株主である取締役の解任、会社清算に伴う債権者と会社間の合意事項の決定等
決議要件:出席した株主の4分の3以上
3 特殊決議
決議内容:定款変更、商号の変更、減資、検査役の選任、監査役の解任、会社の解散等
決議要件:21日以上前に通知して開催した株主総会にて、出席した株主の4分の3以上
特別決議および特殊決議事項を決議した場合には、決議の日から15日以内に、登記局に対して通知義務があり、通知を怠った場合には、会社および役員に罰金が科されます(88条)。
会社は、株主総会および取締役会の議事録を作成し、登記上の事務所に備え付け、株主が無償で閲覧できるようにしておかなければなりません(89条(1)(4))。
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