「COVID-19 関連の規制状況及び入国規制並びに食品輸入手続きに関する法規制の概要」 TNY Group Newsletter No.9
第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制 |
1.日本
11月からの感染者数の増加傾向が続いており、感染が拡大しています。政府によるGo Toトラベルの運用が全国で停止され、東京、北海道、大阪、愛知で飲食店やカラオケ店の時短営業が要請されるなど、経済活動に対する規制が厳しくなりつつあります。また、英国で感染力が高い新型コロナウイルスの変異種が流行していることを受けて、12月23日に、英国からの新規入国の一時停止(日本国籍者は対象外)、英国への短期出張からの帰国・再入国時における特例措置の一時停止(日本国籍者も対象)等、同国に対する新たな水際対策措置が決定されました。
(新型コロナウイルス感染症に関する英国に対する新たな水際対策措置(外務省))
(2) 入国規制
1 上陸拒否措置等
(a) 上陸申請日前14日以内に上陸拒否の対象である152の国・地域に滞在歴のある外国人については、「特段の事情」がない限り、上陸が拒否されます。
(b) 上陸拒否の非対象地域からの入国は、在外公館において査証の発給を受ける際、防疫措置に関し、受け入れ企業・団体による誓約書を提出する必要があります(日本人・永住者の配偶者又は子等、人道上の配慮の必要性がある場合は誓約書不要)。また、「短期滞在」は商用に限られます。
(新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否等について(法務省))
2 検疫の強化(日本国籍者も対象)
14日以内に、上記①の上陸拒否対象国に滞在歴のある入国者は、PCR検査の実施対象となります。また、全ての地域からの入国者に対し、検疫所長の指定する場所で14日待機し、国内において公共交通機関を使用しないよう要請されます。
(水際対策の抜本的強化について(新型コロナウイルス感染症)(厚生労働省))
3 査証に関する制限(既に発給された査証の効力停止、査証免除措置の停止)
(新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について(外務省))
4 航空機の到着空港の限定等
(3) 国際的な人の往来の再開 (外務省の関連サイト)
政府は、ビジネス上必要な人材等の出入国について、対象国・地域(タイ、ベトナム、豪州、ニュージーランド、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、シンガポール、ブルネイ、韓国、中国、香港、マカオ、モンゴル)との協議を開始し、以下の国・地域で、① ビジネストラック、② レジデンストラックのスキームの利用が開始されています。これらのスキームの利用対象者は以下の通りです。
(a) 短期滞在以外の全ての在留資格又は短期商用査証により本邦に入国する者を対象とし、詳細につい
ては対象国・地域ごとに調整。
(b) 日本又は当該対象国・地域に居住する者(当該対象国・地域の国籍保有者だけではなく、第三国国籍
の方を含む)であって、日本と当該対象国・地域の間の航空便(直行便の他、経由する国・地域に入国・
入域許可を受けて入国・入域しないことを条件に経由便も可。)を利用する者。
1 ビジネストラック: シンガポール、韓国、ベトナム、中国
2 レジデンストラック: タイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、シンガポール、
ブルネイ、韓国、中国
2.タイ
(1) COVID-19関連の規制状況
タイのCOVID-19の累計感染者数は5,829名です。この内、4,116名が回復し、現在医療機関で治療中の者は1,653名となっています。また、非常事態宣言は、2021年1月15日まで延長されています。
12月19日、タイ保健省は、バンコクに隣接するサムットサコーン県の水産市場にて大規模なCOVID-19のクラスターが発生し、548名の新規感染者が確認されたと発表しました。これにより、サムットサコーン県では12月19日から1月3日まで、以下の制限措置がとられています。
・中央エビ市場、娯楽施設、教育機関、運動場、ムエタイ場、その他の多くの人が集まる施設の閉鎖
・食堂について、テイクアウトのみ営業を許可
・午後10時から翌朝5時までの外出制限への協力要請
・外国人のサムットサコーン県への出入りを禁止
また、12月20日には、バンコク都感染症対策委員会による緊急会見がなされ、以下の対策が実施されています。
・参加者が密となるイベントや娯楽施設、ムエタイジム、各種市場等の当面の自粛要請
・公園での密となる活動や、寺院での宗教行事の自粛要請
・年末年始の各種イベントの自粛要請(都主催の行事は全て中止が発表されています)
・都内の官庁、民間企業に対する、14日間のWork From Homeの要請
・都営の教育機関で、サムットサコーン県に近い区内の学校については、14日間の休校措置
(2) 入国許可証(COE)の新登録システム
2021年1月以降のタイ入国に関するCOEの申請について、新しいCOE申請システムが運用されています。手続きの流れは以下のとおりとなります。
- ビザ申請(再入国許可をすでに所持している場合は不要)
- COE新システムよりCOE申請
- COE登録の承認後、医療保険、航空券及びASQホテル予約確認書をオンラインシステムにて登録
- COE発行後、オンラインシステムよりCOEをダウンロード
- Fit to Fly(英文)及び渡航72時間以内発行のPCR検査結果(英文)を用意
(3) 日本からの観光目的でのタイ入国
タイへの入国が観光目的の場合に限り、一回の入国につき30日以内の滞在であればビザが不要となる、観光ビザ免除の制度が開始されています(2021年9月30日までの間は、45日間滞在が許可されます)。この場合でも、タイ入国後の14日間隔離及び、入国前のCOEの取得が必須となっております。
3.マレーシア
(1) COVID-19関連の規制状況
執筆時点(2020年12月24日時点)で、マレーシアは回復のための活動制限令(RMCO)の対象地域、条件付活動制限令(CMCO)の対象地域、強化された活動制限令(EMCO)の対象地域が混在した状態にあります。同日時点で、クアラルンプールは全域がCMCOの対象とされています(その他の対象地域については大使館のウェブサイト等でご確認ください)。現在のCMCOは2020年12月31日までの施行が予定されていますが、更に延長される可能性があります。
(マレー半島における)CMCOの適用対象地域における現在の規制は以下のとおりです(抜粋)。
1 移動への制限
地区(district)間の移動制限が解除され、CMCO地域内及びRMCO地域への移動は可能です。
2 店舗等の営業時間への制限
引続き店の種類ごとに、営業時間の制限が定められています。
3 経済活動への制限
経済産業部門は、活動基準(SOP)に準拠して活動を継続することが可能とされています。
4 その他活動への制限
・非接触スポーツは可能とされています。ただし、散歩・ジョギング・サイクリング・エアロビクス・ハイキン
グ・釣り等のスポーツ活動は身体的距離を確保して10人以内に制限されています。
・スポーツ施設の運営及び利用は、身体的接触を伴わないトレーニング目的で、収容能力の50%以内の
範囲であれば、SOPの遵守を条件に可能とされています。
・CMCO地域における観光・文化活動についても、SOPの遵守を条件に、2020年12月19日から活動可
能とされています。
(2) 入国規制
マレーシア入国時の隔離期間を従前の14日間から10日ないし7日に短縮する旨が発表されています。具体的には、マレーシアへの出発3日前にスワブ検査を受けた場合にはマレーシア入国後に7日間の隔離に、出発前にスワブ検査を受けられない者はマレーシア入国時にスワブ検査を受けその結果が陰性であれば10日間の隔離に服するものとされています(7日間への短縮を希望する場合には「唾液検体による検査」ではなく「スワブ検査」が必要となることに注意が必要です)。もっとも、執筆時点(2020年12月24日時点)では、短縮された隔離期間がいつから適用されるかについては明らかにされていません。
4.ミャンマー
(1) COVID-19関連の規制状況
現時点のCOVID-19関連の規制としては、30名以上の集会禁止措置(通勤等は除外されます)及びヤンゴン地域における深夜0時から午前4時までの夜間外出禁止措置が維持されています。法令上、工場、店舗、飲食店等においてはガイドラインを順守し、グレードAを取得した場合にのみ操業を再開できるとされているものの、事実上多くの店舗がグレードAを取得しないまま操業を再開するなど、規制の一部は有名無実化しています。国内線については12月16日より禁止措置が解除され、徐々に便が復活しています。
(2) 入国規制
国際旅客機の着陸禁止措置がついに解除され、1月1日から再開する旨の文章が公開されました。しかし、具体的にどのような形になるか不明であり、陰性証明書の持参や隔離措置の要求はすぐには解除されないと思われ、具体的にどのような運用になるのか留意が必要です。1月の救援便は7日・14日・21日・28日の4便が運航予定となっています。
5.メキシコ
メキシコ国内のCOVID-19感染者は、引き続き増加傾向にあり、12月7日の週は感染リスクを示す連邦政府の信号(赤、橙、黄、緑の4段階があり、赤が最も深刻)では、橙の州が14州から24州と増加し、12月21日の週には、メキシコシティ、メキシコ州の首都圏を含む3州が赤、橙24州、黄3州、緑2州となり、橙のうち、ソノラ州、サカテカス州、グアナファト州、ケレタロ州、イダルゴ州、アグアスカリエンテス州は赤に転じうると発表されました。連邦政府による新たな規制は見られませんが、感染が拡大傾向にある州では、マスクの着用や不要不急の外出の自粛、商業施設等の営業時間の短縮などの要請、規制が行われています。また、赤に転じたメキシコシティでは、12月19日より1月10日まで必要不可欠な活動以外の経済活動は認めず、飲食店もデリバリーもしくは持ち帰りサービスのみと制限されています。
(2) 入国規制
メキシコへの入国については、政府による国境閉鎖や外国人の入国制限等は行われていませんが、3月21日より米国政府による米墨国境における不要不急の渡航制限が行われており、12月11日にメキシコ政府合意のもと2021年1月21日までの延長が決定されました。本制限は、空路や海路での移動については適用しないとされています。なお、米国疾病予防センター(CDC)は12月2日、メキシコのCOVID-19リスクレベルをこれまでのレベル3からレベル4に引き上げ、メキシコから米国への入国に際し、入国の1~3日前にウイルス検査を受けること、目的地や航空会社の要請や推奨事項に従うことを呼び掛けています。空路によるメキシコの出入国においては、体調や渡航履歴に関するアンケートの記入・提出や検温によるスクリーニングが実施されています。
6.バングラデシュ
(1) COVID-19関連の規制状況
バングラデシュ内務省が発表した9月1日以降の人々の移動及び活動に関してのCOVID-19拡大予防措置が継続されており、外出時のマスク着用や、人と人との距離を保つ等の感染予防措置を講じることが求められており、違反した場合は法的措置を受けることがあります。
(2) 入国規制
バングラデシュへの乗り入れが許可されている国際便は以下の通りです。
(対象国及び地域)バーレーン、中国、サウジアラビア、マレーシア、モルディブ、オマーン、カタール、スリランカ、シンガポール、トルコ、アラブ首長国連邦、英国
バングラデシュ入国の際,有効な査証を持つ外国人については、渡航前72時間以内に取得したCOVID-19陰性であることが記載された英訳付きの診断書を提出する必要があり、入国後の14日間の自主隔離も引き続き要請されています。
第2.各国の食品輸入手続きに関する法規制の概要 |
1.日本
(1) 食品の輸入に関する法律
食品の輸入に関する主な法律として、① 食品衛生法、② 植物検疫法、③ 家畜伝染予防法、④ 酒税法、⑤ 食糧法、塩事業法等、が挙げられます。
1 食品衛生法
販売等の目的で食品を日本に輸入する場合、食品衛生法により、輸入者は検疫所に輸入届出を行わなければなりません。輸入届出が行われていない食品を販売したり、飲食店で調理に使用するなど、営業上で使用することはできません。輸入食品の安全性については、輸入者が製造者と同等の責任を負うため、法令を確認し、違反食品を輸入しないための事前調査が重要です。食品の欠陥により消費者に健康被害が出た場合、債務不履行責任や不法行為責任のほか、製造物責任法に基づく無過失責任まで負う可能性があります。確認すべき主なポイントとして、(a) 食品の成分規格、製造基準等、(b) 添加物、(c) 医薬品成分の含有の有無、が挙げられます。
2 植物検疫法
有用な植物に損害を与えるおそれがある病害虫が日本に侵入することを防止するため、輸入される植物に対し、植物防疫法に基づく検疫が義務づけられています。輸送形態や、量の多少、商用・個人消費用等の用途に関係なく全て検疫の対象となりますので、注意が必要です。植物防疫法では、植物を、(a) 輸入禁止品、(b) 検査不用品、(c) 輸入検査品の区分に分けており、輸入する植物の区分を確認のうえ、定められた検査の申請、手続きを行う必要があります。
3 家畜伝染予防法
牛肉、豚肉などの食肉や、ハム、ソーセージなどの食肉製品を介して、家畜の伝染病が国内に侵入するのを防止しています。乳製品も検疫の対象です。貨物や携帯品などの輸送形態を問わず、また輸入する量の多少や商用・個人消費用等の用途に関わらず、動物検疫の対象となります。(a) 輸入検査必要、(b) 輸入検査不要、(c) 輸入禁止、(d) 輸入停止、の区分があり、輸入品の種類や生産国によって区分が異なりますので、事前の確認が必要です。
4 酒税法
酒類(アルコール分1度以上の飲料)を販売目的で輸入する場合、輸入前に酒類販売業免許を取得しておく必要があります。輸入通関時には食品衛生法に基づく輸入届出が必要です。飲食店営業者が、自己の営業場で顧客に飲用させるために酒類を輸入し、他店や顧客に未開封の種類を販売しない場合、酒類販売業免許は不要ですが、営業上使用目的の輸入に該当するため、食品衛生法に基づく輸入届出は必要です。
5 その他(食糧法、塩事業法等)
国民への安定的な供給の確保、価格の安定、国内生産者の経営の安定等を目的とし、規制の対象となる品目が個別の法令に定められています。主な法律と品目は以下の通りです。
食糧法 塩事業法 砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律 畜産経営の安定に関する法律 |
:米穀、麦、メスリン、ライ小麦 :塩 :砂糖、でんぷん :乳製品 |
その他、外国為替及び外国貿易法は、外国貿易などの対外取引の正常な発展、日本や国際社会の平和・安全の維持などを目的に、必要最小限の管理又は調整を行うための法律で、特定の貨物の輸入、特定の国・地域を原産地・船籍地とする貨物の輸入などを行う場合には、経済産業大臣の許可や承認が必要です。
食品の輸入から販売までの流れにおける関連法令
(出典:一般財団法人対日貿易投資交流促進協会「食品輸入の手引き」をもとに筆者が作成)
2.タイ
(1) 食品輸入に関する一般規制
食品の輸入に関しては、Food Act B.E.2522(以下、「法」)により規制されています。保健省から許可を得ていない限り、販売のための食品輸入をすることはできません(法第15条第1項)。省令により、許可申請の詳細、手続及び条件が定められています(同条第2項)。
食品輸入許可、食品登録許可、また食品によっては表示許可の取得が、食品輸入の際、輸入者が行うべき基本的な手続きとなります。
(2) 食品輸入許可申請
以下のとおりの分類が行われています。
グループ1:特定管理食品 (例)牛乳、アイスクリーム、乳製品等
グループ2:品質規格管理食品 (例)ミネラルウォーター、チョコレート、油脂、茶、コーヒー、バター等
グループ3:表示管理食品 (例)パン、ガム、あめ、調理済み食品等
グループ4:一般食品 グループ1から3以外の全ての食品
上記分類により、食品輸入申請の際の必要書類や、食品登録の有無や表示許可の有無などが異なります。この分類の定義は、あいまいな点もあるため、どの分類に該当するかは、申請前にFood and Drug Administration:FDA(食品医薬品局)に確認すべきでしょう。食品を保管する場所を確認するため、食品保管施設の設置場所を示す地図、食品保管施設内部図面、食品の品質を維持するための設備を示す書類、半径100 メートル以内の食品保管施設近隣建物の地図などが必要となります。
必要書類をFDAに提出し、審査を経て問題がなければ許可証が発行されます。その後、手数料を支払い、食品輸入許可証を受領する流れとなります。
(3) 食品登録許可申請
上記分類のうち、グループ1から3については輸入に際しFDAのワンストップサービスにおいて食品の登録を行う必要があります。申請後、審査を経て食品登録番号が発行されます。
(4) 表示許可申請
法第31 条において、上記分類グループ1の特定管理食品については、事前に食品の成分表を登録しなければならない旨、規定されています。特定管理食品以外でも、グループ2および3、サプリメントや食品に含まれる成分によっては、この成分表の登録が必要となる場合があります。
申告に際しては、(1)食品の名称(2)食品を構成する材料の名称、分量(3)容器の容量(4)表示(5)製造者の名称及び場所(6)政府機関または委員会が認める機関の分析結果(7)商品の成分表登録に関するその他事項を通知する必要があります(法第35 条)。
3.マレーシア
(1) はじめに
食品の輸入を一般的に規制する法律としては、関税法(Customs ACT 1967)及び1983年食品法(Food Act 1983)があります。
(2) 1967年関税法(Customs ACT 1967)
1 輸入品目規制
1967年関税法の下位規則である2017年関税(輸入禁止)令(Custom (Prohibition of Imports) Order 2017)は一定の品目について規制を課しており、規制対象となる品目は、(a) 輸入が完全に禁止される品目(第一表)、(b) 輸入ライセンスを要する品目(第二表)、(c) 一定の手続を要する品目(第三表)、(d) 一定の規格及び手続を要する品目(第四表)という4分野に分かれます。
2 (a) 輸入が完全に禁止される品目(第一表)
輸入が完全に禁止される品目のうち、食品と関係しうるものとして蜂の巣(蜂蜜が含まれているか否かを問わない)があります。
3 (b) 輸入ライセンスを要する品目(第二表)
輸入ライセンスを要する品目に含まれる食品の例として、米や砂糖があります。
4 (c) 一定の手続を要する品目(第三表)
このカテゴリに含まれる食品の例として、肉類、魚介類があります。これらの食品の輸入については、品目に応じて、マレーシア検疫検査サービス局(MAQIS)による輸入許可の取得等の手続が要求されます。
5 (d) 一定の規格への適合及び手続を要する品目(第四表)
このカテゴリに含まれる食品の例として、小麦粉、一部の野菜(じゃがいも、トマト、玉ねぎ、キャベツ、にんじん等)(5kgを超過する場合)、ココナッツ(3kgを超過する場合)、一部の果物(バナナ、アボカド、ガバ、マンゴー、オレンジ等)(3kgを超過する場合)があります。
(3) 1993年食品法(Food Act 1993)
輸入される食品は、1983年食品法及びその下位規則である1985年食品規則(Food Regulation 1985)が定める安全性や表示に関する要件を満たすものでなければなりません。同法及び同規則によって規制されている食品の輸入に際しては、事前に輸出局の所管官庁により発行された衛生証明書(Health Certificate)、獣医局衛生証明書(Veterinary Health Certificate)、分析証明(Certificate of Analysis)等を取得する必要があります。
(4) 輸入時の手続
食品の輸入手続の基本的な流れは以下のとおりです。これらの手続に加えて、品目に応じて上記規制に基づく手続が要求されることとなります。
1 食品の輸入者等はFood Safety Information System of Malaysia(FoSIM)に登録をします。
2 食品の輸入者等は個々の輸入に際しCustoms Information System(CIS)輸入の申告をし、FoSIMを通じて輸入の詳細(目的、食品の詳細等)に関する情報を提出します。
3 到着した食品に対し保健省(Ministry of Health)の職員による検査が実施されます。この検査の内容はFoSIMを通じて提供された情報に基づくリスク評価によって決められます。
4 課税対象となる場合、輸入者等は関税を支払います。
5 関税の支払及びその他の要件が満たされていると判断した場合、税関は輸入を承認します。
4.ミャンマー
(1) 食品輸入手続きに関する法規制
ミャンマーには食品を含めた物品の輸出入について広範に規制する輸出入法が存在し、同法及び関連通知に従い食品輸入を行う必要があります。
(2) 手続きの流れ
まず企業は、2020年10月22日に発布された通知第68号で規定されているH.S Codeに基づき、輸入ライセンスを申請する必要があるか否かを確認する必要があります。ライセンスが必要である場合、申請のためにまずは①輸出入業者登録証明書及び②保健スポーツ省下の食品医薬品局(FDA)から輸入推薦状及び衛生証明書を取得する必要があります。その後輸入ライセンスの取得となります。
(3) 輸出入業者登録証明書
①の輸出入業者登録証明書の取得にあたり、まず企業はTrade Netのメンバーになる必要があります。その後、以下の必要書類を揃えることでウェブサイト(http://myanmartradenet.com/)を通して申請することができます。Trade Netのメンバー登録も同ウェブサイトより申請可能です。証明書の有効期限は5年間で、料金は200,000チャットになります。
- カバーレター
- 会社登記簿及びCompany Extract(双方ともにMyanmar Companies Online (MyCO)より取得)
- 取締役リスト(氏名、役職、住所、顔写真及び各取締役の署名の情報を含めること)
- 取締役のパスポート又はNRCの写し
- もしあれば、各許可証(MIC許可証、SEZ許可証、卸売又は小売事業ライセンス)
(4) 輸入推薦状及び衛生証明書
2の輸入推薦状及び衛生証明書について、双方とも食品医薬品管理局(FDA)に以下の必要書類を揃え申請する必要があります。
-輸入推薦状-
(a) 輸入推薦状の申請書(Form No.1)
(b) 誓約書(Form-D)
(c) 輸入食品の仕様書
(d) 食品の成分リスト
(e) 輸入国の組織からの証明書(GMP認証証明書/製品登録書/自由販売証明書等)
(f) 食品のサンプル
(g) パッキングの種類及びサイズのリスト
(h) 料金(商品ごとに50,000チャット)
-衛生証明書-
(a) 衛生証明書の申請書(Form B)
(b) パッキングリスト
(c) 輸入推薦状
(d) 船荷証券(Bill of Landing)
(e) 請求書
(f) ミャンマーで流通する食品サンプル
(g) 輸入申告/荷渡し指図書
(h) 研究室からの分析証明書
(i) 輸入国からの衛生証明書(もしあれば)
FDAが審査を行い、審査に合格した食品は輸入ライセンスを取得することでミャンマーへの輸入が可能となります。
(5) 輸入ライセンス
輸入ライセンスは商業省の貿易局(Department of Trade)に以下の必要書類を添えて申請する必要があります。
- 申請書(会社のレターヘッド付きのもの)
- 輸入オンライン申請書(600チャットの収入印紙のあるもの)
- プロフォーマ・インボイス(仕様の詳細、包装の形態、引き渡し期日などが記載されたもの)または売買契約書
- 輸入推薦状及び衛生証明書
- 輸出入者登録証
ライセンスの有効期限は3か月で、請求書の価格に応じて最低50,000チャットから最高70,000チャットとなります。
5.メキシコ
メキシコへの食品の輸入に関して参照すべき法令等は、関税法(Ley Aduanera)、関税法規則(Reglamento de la Ley Aduanera)、貿易法(Ley de Comercio Exterior)、貿易法規則(Reglas Generales de Comercio Exterior)、保健一般法(Ley General de Salud)、輸出入一般税法(Ley de los Impuestos Generales de Importación y de Exportación)、その他各種税法、食品の安全衛生基準や包装、表示に係る基準等を定めるNOM(Norma Oficial Mexicana/公式メキシコ規格)などが挙げられます。また、関連する行政機関も、国税庁(Sservicio de Administración Tributaria: SAT)、経済省(Secretaría de Economía)、農業・農村開発省(Secretaría de Agricultura y Desarrollo Rural)、環境資源省(Secretaría de Medio Ambiente y Recursos Naturales)、保健省(Secretaría de Salud)などがあります。通関手続きについては、貿易デジタル窓口(Ventanilla Única de Comercio Exterior Mexicano/VUCEM)が設けられ、ペーパーレス化が図られており、当該窓口を通じて行わなければなりません。一口に食品と言っても、多岐にわたることから、本稿では清酒(最終消費者向けにパッケージングされた商品でアルコール度数20%未満)を輸入する場合を例に紹介します。なお、アルコール飲料の名称、理化学的特性、商業情報及び試験方法を定める基準(NOM-199-SCFI-2017)によると、清酒(SAKE)は、米の発酵によって得られるアルコール飲料でアルコール度数2%~20%のもととされており、また、製品・サービスの衛生管理規則によると、その多くがアルコール含有量中度(6.1%~20%)のアルコール飲料(contenido alcohólico medio)に分類されると考えられます。
まず、メキシコ国内で流通する食品等はメキシコが定める衛生、包装、表示等の基準を満たす必要があり、表示にはスペイン語を使用しなければなりません。例えば、表示については、アルコール飲料の衛生基準及び衛生的・商業的表示基準(NOM-142-SSA1/SCFI-2014)に従い、商品に、商品の名称、輸入事業者名とその住所、内容量、原産国(“Producto de ____”, “Hecho en ______”, “Manufacturado en _____”, “Fabricado en _____”など)、ロット番号(”LOTE”, “Lot”, “L”, “Lote”, “lote”, “lot”, “l”, “lt”, “LT”, “LOT”などを付す)、消費期限及び保存に必要な条件(例:「開封したら冷蔵してください」)、アルコール度数(20℃での含有量、”% Alc. Vol.”, “% Alc Vol”,”% alc. vol.”, “% alc vol.”のいずれかを用いる)、成分(アレルゲンを含み、定量順に記す)、警告文(”EL ABUSO EN EL CONSUMO DE ESTE PRODUCTO ES NOCIVO PARA LA SALUD”(本商品の飲み過ぎは健康に害を及ぼす)の表示、容器の大きさに応じた文字の大きさの指定あり)、低カロリーである旨の表示(オリジナルのカロリーと比較して24%以上カロリーが低い場合に可)、エネルギー含有量、18歳未満の飲酒の禁止、妊娠中の飲酒の禁止、飲酒後の運転の禁止を示す規定のマークを必ず表示しなければなりません。その他、消費者に誤解、誤認を与えない範囲において、商品の歴史や商品を用いたレシピ、キャッチコピーなどを表示でき、そのような情報はスペイン語である必要はありません。表示等については、指定認証機関にあらかじめそのサンプルを送付して適合証明書を発行してもらい、その証明書を輸入申告書に添付する方法や指定認証機関として認定されている保税倉庫との契約によって、当該倉庫業者が貼付する方法などにより基準に準拠することを示さなければなりません。
輸入にあたっては、輸入者は、商品の発送に先立ち輸入事業者として国税庁への登録を行わなければなりません。この登録には、輸入事業者の納税者番号(RFC)や電子署名(e.firma)、税務住所が必要となり、税の滞納がないことが条件となります。また、アルコール飲料の輸入には、特別税(Impuesto Especial sobre Producción y Servicios:IEPS)も課されますので、同時に酒類納税者登録も必要となります。この登録を行うことにより、IEPS法により求められるアルコール飲料の容器に貼付しなければならないシールの発行を申請することが可能となります。なお、このシールは、商品がメキシコ国内に入る前、つまり保税倉庫等において、貼付しなければなりません。また、VUCEMへの利用者登録も必要となります。
輸入に際しては、通関時に提示が必要となる輸入商品の価格を証明する書類(インボイス等)、船荷証券(B/L)や航空貨物運送状(AWB)、非関税輸入規制を遵守していることを証明する書類(製造者から提供される衛生登録や分析に関する証明書、前述の適合証明書など)、原産地証明書(必要な場合)といった書類を事前にVUCEMを通じて送信しなければなりません。商品到着後、通関手続き、関税の支払いを経て商品はメキシコ国内に搬入されることとなります。
6.バングラデシュ
(1) 輸入政策令による輸入禁止・規制品目
輸入禁止品目に含まれる食品として「生きている豚、及び豚から作られたもの全て」、輸入規制品目に、「エビ、けしの種およびポスタダナ香辛料」が含まれています。
(2) 輸入通関時に検査の対象となる検疫、食品、安全などに関連する規制
1 放射能レベル検査
他国で生産された食品を輸入する場合は、品目の放射能レベルの検査が義務付けられており、当該食品が人間の摂取に適していることを示す証明書の提出が求められます。
2 消費期限
食品及び飲料を輸入する場合は、製造年月日及び消費期限を各包装又は容器に直接印刷しなければなりません。
3 法定検査
バングラデシュに輸入する食品は全て、バングラデシュ基準検査機関及びバングラデシュ科学工業研究評議会による法定検査を受けなければなりません。
(3) 輸入業者の登録制度
輸入業者は営業許可証を取得し、さらにバングラデシュの認可された商工会議所又は貿易強化に会員登録の上、両機関のいずれかが発行する「輸入登録証明書」を取得しなければなりません。
バングラデシュに登録された外国企業は、商業省の事前許可なしに商業輸入登録証明書が交付され、商業品目の輸入が認められます。
発行 TNY Group |
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