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「COVID-19関連の入国規制及び証券市場の構造と上場基準の概要」 TNY Group Newsletter No.35

第1.各国のCOVID-19関連の入国規制

1.日本

(1) 外国人の入国制限について

2022年10月11日以降、全ての外国人の新規入国について、日本国内に所在する受入責任者による入国者健康確認システム(ERFS)における申請は求められなくなり、68の国・地域に対する査証免除措が再開されました。以下の国・地域に対するAPEC・ビジネス・トラベル・カード取り決めに基づく査証免除も再開されました。

地域 国・地域
アジア インドネシア、韓国、シンガポール、タイ、中国、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、香港、マレーシア、台湾
大洋州 オーストラリア、パプアニューギニア、ニュージーランド
中南米 チリ、ペルー、メキシコ
欧州 ロシア

外務省HP新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について|外務省 (mofa.go.jp)

(2) 日本入国時の検疫措置について

 2022年10月11日から、日本入国時の検疫措置は原則として実施せず、入国後の待機等を求めないこととなりました。ただし、全ての帰国者・入国者について、世界保健機関(WHO)の緊急使用リストに掲載されているワクチンの接種証明書または出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書のいずれかの提出が必要とされています。

なお、2023 年 3月 1 日以降、中国(香港・マカオを除く)からの直行便での入国者については、ワク チン接種証明書の有無にかかわらず、出国前検査証明書が必要とされますが、入国時の検査はサンプル検査となり、空港では検体接種のみの実施に緩和されます。

有効なワクチン接種証明 陰性証明書
(出国前検査)
質問票 入国時検査 入国後の待機期間
あり 不要
必要
なし
なし
なし 必要

厚生労働省HP 水際対策

 

2.タイ

タイでは、2022年10月1日から入国規制等が以下のとおり緩和されています。

(1)タイ入国時の規制緩和

(2) タイ国内における感染対策緩和

 

3.マレーシア

 2022年8月1日以降、ワクチン接種完了の有無に関係なく渡航前の陰性証明書の取得、入国後検査、及び隔離が不要となっています。もっとも、ワクチン接種の有無に関わらず、マレーシア政府開発のMySejahteraアプリをダウンロードの上、同アプリへの氏名・パスポート番号等の必要事項の入力しアクティベートさせておくことが要請されています。

 

4.ミャンマー

2022年12月1日より、ミャンマー入国の条件となっている「到着 14 日以上前に接種した承認済み ワクチンの(2 回)接種証明書」又は「到着前 48 時間以内に発行された RT-PCR 陰性証明書」を所持している方は、5 月 1 日より求められていた、 ミャンマー到着後の空港における RDT 検査の受検が不要となりました。(ただ し、入国時のスクリーニング(検温)で新型コロナウイルス感染症の症状 がある場合は、引き続き、RDT 検査が実施されます。)

e-visa申請も4月1日から再開されています。取得に当たり、ミャンマー国営保険会社の保険の購入が必須となっています。もっとも、申請から取得までに数週間を要する場合もあり、早めの申請が望ましいと解されます。2023年2月18日より、これまで加入が求められていた国営保険会社Myanma Insuranceの保険について、商用ビザで入国する場合は、Myanma Insuranceの保険に代えて、日本等の保険会社の保険(新型コロナウイルスを補償対象に含むもの)に加入した証明(英語又はミャンマー語)を提示することで差し支えないこととなりました。もっとも、在京ミャンマー大使館に直接申請する場合のみ当該条件が適用されますが、Eビザを申請する場合は引き続きMyanma Insuranceへの加入が必要とされています。

 

5.メキシコ

メキシコへの入国について、政府による入国制限等は行われていません。

 

6.バングラデシュ

 WHOが承認したCOVID-19ワクチン接種を完了した者は、公式なワクチン接種証明書を持参することでバングラデシュ入国が認められ、PCR検査の陰性証明書は必要とされません。3回目のブースター接種まで完了している必要はないとされています。ワクチン接種を完了していない者は、出発72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を持参していれば、入国が認められます。

 

7.フィリピン

フィリピン検疫局は、改定されたフィリピン入国ガイドラインを発表しました。

(1) 完全にワクチンを接種した者(Fully vaccinated)

以下の条件を両方満たす場合は、完全にワクチンを接種した者と見なされ、出発国出発前の検査を免除されます。

  1. 出発国からの出発日時から遡って14日以上前に、ファイザーなど2回接種する種類のワクチンを2回接種済み、またはヤンセンなど1回接種する種類のワクチンを接種済みのこと。
  2. 以下のいずれかで発行したワクチン接種の証明書を携帯/所持していること。

 ア 世界保健機関(WHO)が発行した国際ワクチン接種証明書(ICV)

 イ VaxCertPH

 ウ 外国政府の国または州の紙面/デジタルの接種証明書

 エ その他のワクチン接種証明書

(2) ワクチン未接種、一部ワクチン未接種、ワクチン接種状況を検証できない者

  1. 15歳以上の者および同伴者のいない15歳未満の未成年者

 ア フィリピン到着時に、出発国の出発日時から遡って24時間以内(経由便利用者は乗り継ぎ空港の敷地外ないし乗り継ぎ国に入域・入国していないことが条件)の陰性の抗原検査結果を提示することが必要です。

 イ 上記アの抗原検査で陰性の証明を提示できない者は、空港到着時に医療施設、研究所、診療所、薬局、又はその他の同様の施設で医療専門家によって実施および認定された検査室の抗原検査を受ける必要があります。

 ウ 上記イの抗原検査で陽性となった場合には、フィリピン保健省(DOH)の検疫、隔離規則に従うことになります。

      2. 同伴者のいる15歳未満の未成年者

同伴する成人又は保護者の検疫規則に従うとされています。

 

8.ベトナム

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために実施されていた外国からの入国制限はすべて撤廃され、コロナ前の入国手続に戻っています。日本国籍者の入国については、入国の目的にかかわらず(観光目的、ビジネス目的いずれであっても)、

という要件を満たせば、ビザなしでベトナムへの入国が認められます。また、以前は必要とされていた陰性証明書の取得、ワクチン接種証明書の提示、入国前のオンライン医療申告も不要で、入国後の隔離もありません。 なお、従前、ビザなし入国については「前回のベトナム出国時から30日以上経過していること」という条件が付されていましたが、この条件は撤廃されています。

 また、APECビジネストラベルカード(ABTC)の所持者についてはビザ免除で最大90日目まで滞在できる措置についても復活しています。

第2.各国の証券市場の構造と上場基準の概要

1. 日本

 日本の証券市場は、市場第一部、市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダードとグロース)の各市場に分かれていましたが、2022年4月4日から、プライム市場、スタンダード市場、グロース市場の3つに再編されました。この再編は、各市場のコンセプトが曖昧で、投資家にとっての利便性が低く、上場廃止基準が緩く上場会社の企業価値向上が十分に図られていないことを理由としています。

  1. 各市場のコンセプト
  2. プライム市場:多くの機関投資家の投資対象になりうる規模の時価総額(流動性)を持ち、より高いガバナンス水準を備え、投資家との建設的な対話を中心に据えて持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。
  3. スタンダード市場:公開された市場における投資対象として一定の時価総額(流動性)を持ち、上場企業としての基本的なガバナンス水準を備えつつ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上にコミットする企業向けの市場。
  4. グロース市場:高い成長可能性を実現するための事業計画及びその進捗の適時・適切な開示が行われ一定の市場評価が得られる一方、事業実績の観点から相対的にリスクが高い企業向けの市場。
  5. 新規上場基準

  上場審査にかかる主な形式的要件は、以下の通りです。

  プライム市場 スタンダード市場 グロース市場
株主数 800人以上 400人以上 150人以上
流通株式数 20,000単位以上 2,000単位以上 1,000単位以上
流通株式時価総額 100億円以上 10億円以上 5億円以上
流通株式比率 35%以上 25%以上 25%以上
株式売買代金等 時価総額250億円以上(※1) ×
(※2)
×
(※2)(※3)
純資産の額 連結純資産50億円以上(※4)
単体純資産が負でない
連結純資産額が正 ×
利益又は売上高 最近2年間の利益の総額が25億円以上
又は
最近1年間の売上高100億円以上かつ時価総額が1,000億円以上になるみこみ
最近1年間の利益が1億円以上 ×
事業継続年数 3か年以上前から取締役会設置して継続的に事業活動 1か年以上前から取締役会設置して継続的に事業活動
上場会社監査事務所による監査等 最近2年間の財務諸表等について
上場会社監査事務所の監査等を受けていること
新規上場申請のための有価証券報告書の財務諸表等について
単元株式数 100株となる見込み

(上場維持基準として、※1:平均売買代金2,000万円以上、※2:売買高月平均10単位以上、※3:上場10年後の時価総額40億円以上、※4:純資産額が正)

  グロース市場上場のためには、形式的要件に加えて、高い成長可能性を実現する事業計画が合理的に策定されていること、高い成長可能性を有しているとの判断根拠に関する主幹事証券会社の見解が提出されていること、 事業計画及び成長可能性に関する事項(ビジネスモデル、市場規模、競争力の源泉、事業上のリスク等)が適切に開示され、上場後も継続的に進捗状況が開示される見込みがあること、が要件とされています。

     6. 経過措置の終了

 市場再編にあたっての経過措置として、再編前の上場会社には緩和された基準による市場選択が認められていましたが、2023年1月に、経過措置が2025年3月1日以降に順次終了することが決定されました。

 これに伴い、経過措置の適用を受けている会社については、2025年3月1日以降に到来する上場維持基準の判定に関する基準日に本来の上場基準に適合していない場合には、原則として1年間(売買高基準は6か月間)の改善期間に入り、その間に上場基準に適合しないときは、改善期間終了後に監理銘柄に指定され、基準日の翌日から起算して6か月を経過した日(基準日から起算して1年6月後)に上場廃止となります(ただし、経過措置に関する適合計画の終了が2026年3月1日以降最初に到来する基準日以降とされている場合には、監理銘柄の指定期間は同計画終了まで継続し、指定期間中に上場基準に適合しないときは、指定期間終了後1か月の整理銘柄指定を経て、上場廃止となります)。

 なお、経過措置を用いたプライム市場上場会社については、2023年4月1日から9月29日までの間に限り、スタンダード市場への上場を選択でき、2023年10月20日にスタンダード市場に移行することが可能となっています。

 

2.タイ

(1) 上場市場の概要

  タイ証券取引所(The Stock Exchange of Thailand : SET)には、SET市場(メイン市場)、mai(Market for Alternative Investment)市場(代替投資市場)、LiVEx(LiVE Exchange)市場という3つの市場が存在しており、それぞれメインターゲットとしている企業が異なります。

(2) SET市場について

SET市場は大企業をメインターゲットとしており、払込資本金額が3億THB以上であることが条件として定められています。SET市場への上場には、安定した経営基盤を有していることを示す必要があり、主に以下の条件が定められています。

  1. 払込資本金額が3億THB以上で上場申請前の払込資本金額が0以上であること
  2. 過去3年間の営業純利益の合計が5000万THB以上であること
  3. 時価総額が75億THB以上であり、収益の多くが投資委員会の推進する産業に依ること
  4. 上場申請以前に3年以上の事業実績があること(少なくとも1年間同一経営陣下での事業活動実績があること)
  5. 公募後の株式について、1000名以上の少数株主がいること
  6. 浮動株比率が全株式数の25%以上(払込資本金が30億THB以上の場合は20%以上)であること
  7. 販売株式数が払込資本金の15%以上であること(払込資本金が5億バーツ以上、または普通株式の価値が7,500万THB以上の場合は払込資本金の10%以上)
  8. 取締役等が資本市場監督委員会やSET規則の禁止する特性を有していないこと
  9. 監査委員会がSETの定める基準を満たすこと
  10. 資本市場監督委員会の定義する利益相反関係がないこと
  11. 資本市場監督委員会の定めに従った財務諸表があること
  12. プロビデントファンドが登録済であること
  13. 上場後1年以内に、SETのガイドラインに従って事業および業績に関する情報を提示すること

(3) mai市場について

mai市場の上場条件はSET市場のものより緩和されており、払込資本金額は5000万THB以上であることが条件として定められています。mai市場では、主に以下の条件が定められています。

  1. 払込資本金額が5000万THB以上であること
  2. 直近1年間の営業純利益の合計が1000万THB以上であること
  3. 上場申請以前に2年以上の事業実績があること(少なくとも1年間同一経営陣下での事業活動実績があること)
  4. 公募後の株式について、300名以上の少数株主がいること
  5. 浮動株比率が全株式数の25%以上(払込資本金が30億THB以上の場合は20%以上)であること
  6. 販売株式数が払込資本金の15%以上であること

その他、SET市場と同様に上記⑧~⑬の条件等が必要となります。

(4) LiVEx市場について

LiVEx市場は、上記の2つの市場とは異なり、最低払込資本金額の制限や、直近年の事業実績基準は定められておりません。LiVEx市場では、主に以下の条件が定められています。

  1. 中小企業振興庁(the Office of Small and Medium Enterprises Promotion:OSMEP)の定義に基づく中規模企業以上であること
  2. スタートアップ企業の場合はVC(Venture Capital)またはPE(Private Equity)が共同出資をしていること
  3. 資金調達額は1~5億THBで、設定した資金調達額の80%以上でなければならないこと
  4. LiVExの戦略的株主は、全株式の55%分の株式の売却が3年間禁止され、その他の株式について、1年経過及びその後半年毎に20%ずつ売却が可能となる
 

3.マレーシア

(1) 証券市場の概要

マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia)には、メインマーケット(Main Market)、ACEマーケット(ACE Market)、LEAPマーケット(LEAP Market)の3つの証券市場があります。3つの証券市場には、それぞれ異なる上場基準が定められています。

(2) メインマーケットの上場基準

証券市場によってそれぞれ上場基準が異なるため、以下では、主にメインマーケットの基本的な上場形態であるプライマリー上場の基準に絞って解説します。上場基準としては、定量的及び定性的基準の2種類の基準があります。また、外国企業及び鉱物石油ガス(MOG)会社は、追加の基準を満たす必要があります。

なお、セカンダリー上場を希望する外国企業は、特定の定性的基準を満たすだけでよく、定量的基準を満たす必要はありません。セカンダリー上場とは、マレーシア証券委員会によって指定された外国証券取引所の主要市場に既にプライマリー上場している外国企業に認められたプライマリー上場以外の方法により上場する形態をいいます。

(3) 定量的基準(Quantitative criteria)

コア事業がインフラ事業に関係しない会社は、利益又は時価総額基準のいずれかを満たす必要があります。インフラ事業を行う会社は、インフラ事業会社基準を満たさなければなりません。

プライマリー上場を希望する企業は、公開スプレッド要件を満たす必要があります。公開スプレッド要件は、流通株式数が当該会社の総株式数の25%以上及び100株以上を保有する1,000人以上の一般株主を要するとされています。

2021年3月1日以降、マレーシア証券取引所は、以下の定量的及び定性的基準を満たしている場合は、メインマーケットの公開スプレッド要件を緩和することを検討する場合があります。

定量的基準
時価総額 公開スプレッド要件
10億リンギット以上30億リンギット未満 20%
30億リンギット以上 15%
定性的基準 a. 十分に流動性のある市場
b. 秩序ある公正な取引
c. 十分なコーポレートガバナンスの実施とコンプライアンス
d. 公開スプレッド要件緩和に対する合理性

また、公開スプレッド要件の株式の50%は、ブミプトラの投資家へ割り当てられる必要があります。もっとも、MSCステータス、BioNexusステータスを持つ会社及び主に外国を拠点とする事業を行う会社は、この要件が免除されます。

(4) 定性的基準(Qualitative Criteria)

プライマリー上場を求める国内外の会社は、スポンサーシップ、コア事業、経営の継続性と能力、株式のモラトリアム、関連当事者との取引及び財務状況と流動性に関する定性的基準を遵守する必要があります。

(5) 外国企業のプライマリー上場の追加基準

上場を希望する外国企業は、特にコーポレートガバナンス、株主の保護、買収及び合併の規制に関して、会社法及びその他の法律がマレーシアの法律と同等の法域に設立されなければなりません。当該法域が同等の基準を有していない場合、会社の定款を変更することによって基準を満たすことは可能です。また、目論見書を発行する前に、必要に応じて、コア事業を行う法域のすべての関連規制当局の事前承認が必要です。その他にも、2016年会社法に基づいて外国企業として登録されている必要がある等の基準があります。

 

 

4.ミャンマー

(1) 証券取引所の概要

ミャンマーでは2013年7月31日に証券取引法が公布され、2015年7月27日に証券取引法施行細則が施行されました。

これに従い、日本取引所、大和総研及びミャンマー経済銀行が共に、ミャンマー初の証券取引所であるヤンゴン証券取引所を2016年12月に設立し、2016年3月に取引を開始しました。現時点(2023年2月27日時点)において、7社の株式が上場されています。現時点では市場は1つのみであり、上場準備市場の設立が承認されたものの、まだ運用はされていない状況です。

(2) 上場基準

ヤンゴン証券取引所は上場規則(Securities Listing Business Regulations)を設けており、上場基準は以下の通りです。

定量基準(Formal Criteria)

  1. 上場日時点において浮動株が5000株以上、または浮動株時価総額が5億チャット以上となることが見込まれること
  2. 上場日時点において株主数が100名以上となること
  3. 直近2期間の利益合計がプラスであること
  4. 上場申請時点における払込資本が5億チャット以上であること
  5. 事業開始から上場申請日までの期間が2年以上経過していること
  6. 公開会社(Public Company)であること
  7. ミャンマー会計基準(MFRS)に準拠した決算書を作成していること
  8. 上場申請時点において株式の譲渡制限が撤廃されていること
  9. ヤンゴン証券取引所に対して株主管理業務を委託することにつき同意すること
  10. ヤンゴン証券取引所が株式振替業務を行うことにつき同意すること
  11. 事業の継続性と収益性が保たれていること
  12. 企業経営の健全性・公平性が保たれていること
  13. コーポレートガバナンス及び内部統制が有効に機能していること
  14. 企業情報が適正に開示されていること
  15. その他ヤンゴン証券取引所が公益及び投資家保護の観点から必要と判断する事項
 

5.メキシコ

(1) 証券市場の構造

メキシコには、メキシコ証券取引所(Bolsa Mexicana de Valores)と、証券機関取引所(Bolsa Institucional de Valores)の2つの証券市場が存在します。

メキシコ証券取引所は、ラテンアメリカで2番目に大きな証券市場であり、時価総額は2021年末日時点で9407兆 ペソです。メキシコ証券取引所においては、ボルサ指数(メキシコ証券取引所に上場する代表的な35銘柄で構成される時価総額加重平均型の株価指数、Indice de Precios y Cotizaciones (IPC))という指標が用いられています。

証券機関取引所においては、FTSEという指標が用いられています。

(2) 上場基準

上場のためには、株式を国家証券登録所(Registro Nacional de Valores)へ登録する必要があります。この登録のための一定の基準が、有価証券の発行者及びその他の証券市場参加者に適用される一般規定(Disposiciones de Carácter General Aplicables a las Emisoras de Valores y a Otros Participantes del Mercado de Valores)において設けられています。

同規定は、以下のような基準を設けています。

・ 上場にあたっては、1,200万投資単位(2023年2月22日現在1投資単位当たり7.73092ペソ)以上の株式発行。

・ 一般投資家に提供される株式の割合が発行者の株式の15%以上であること、又は9億5000万投資単位以上であること。

・ 募集が行われた時点で、大口一般投資家とみなされる株主等の最低人数は、100人を下回ってはならないこと。

・ コーポレートガバナンス・コードへの準拠度合いについて報告すること。

また、上場する法人はその形態に合わせて、適用を受ける法の規準を満たさなければなりません。

例えば、証券市場法(Ley del Mercado de Valores)に規定される投資促進会社(Sociedades Anónimas Promotoras de Inversión)が上場する場合、次の規準を満たす必要があります。

・ 証券の登録に先立ち、以下について株主総会の承認決議を得ていること。

ⅰ) 既存の商号に 「Bursátil」という表現又はその略称「B」を加える商号の変更。

ⅱ) 国家証券登録所への登録が効力を生じた日から起算して10年を超えない範囲内で、事業年度の末日における当該投資促進公開会社の資本金が、各年、監査済み又は意見書付財務諸表に基づきの2億5,000万投資単位のペソ換算額を超える場合には、公開株式会社の形態を採用すること。

ⅲ) 前ⅱ)の期間内に公開株式会社に適用される制度を段階的に導入することを規定するプログラム。

ⅳ) 資本構成を公開株式会社に適用される制度に適合させるため、及び国家証券登録所への登録の取消の事由及び効果を規定するために必要な定款変更。

これらの事項に関する承認決議に加え、株主総会は、会社を支配している個人又はグループを特定し、その個人又はグループは株主総会議事録に署名して同意を表明すること。

・ 取締役会は、国家証券登録所への登録時に、独立取締役(Consejero Independiente)を1名以上置くこと。

・ 会社は、公開株式会社に設置されているものに準じて、企業実務に関し取締役会を補佐するための委員会を設置すること。当該委員会は、取締役のみで構成され、独立取締役が委員長を務めること。

・ 取締役会の秘書役は、各株主の保有株式数を認証すること。

その他、公開株式会社(Sociedad Anonima Bursátil:SAB)の場合は、経営を担うのは、取締役会(Consejo de Administración)及び社長(Director General)となり、取締役会は、21名以内の取締役で構成し、そのうち25%以上が独立取締役でなければならないと規定されています。

補助的信用機関の組織と活動に関する一般法(Ley General de Organizaciones y Actividades Auxiliares del Crédito)に定める金融機関等も国家証券登録所に株式を登録することにより上場が可能となりますが、証券市場法に基づく株式の登録のほか、国家銀行証券委員会(Comisión Nacional Bancaria y de Valores)の規定や同法の規定を遵守しなければなりません。

 

 

6.バングラデシュ

(1) 証券取引所の概要

 バングラデシュでは、ダッカとチッタゴンに証券取引所が存在します。バングラデシュ証券取引委員会法1993年(Bangladesh Securities and Exchange Commission Act, 1993)に基づき、同年6月に、バングラデシュ証券取引委員会が設立されました。同委員会の目的は、証券における投資家の利益の保護、証券市場の発展、それに関連する事項またはそれに付随する事項について規則を制定することです。委員会は、政府によって任命された常任委員長と4人の委員で構成されます。委員会は、財務省の付属機関です。

(2) 上場基準

(a) ダッカ証券取引所

 主な要件は以下の通りです。

(b) チッタゴン証券取引所

 最低払込資本金が 1 億タカの公開有限会社は、以下の条件を満たせば上場することができます。

 

7.フィリピン

  1. フィリピンにおける証券取引所の概要

フィリピンには、フィリピン証券取引所(The Philippine Stock Exchangeと呼ばれる証券取引所で、以下「PSE」といいます。)が存在します。PSEは、1927年に設立されたマニラ証券取引所と1963年に設立されたマカティ証券取引所が合併してできた証券市場であり、現時点でフィリピン唯一の証券取引所となります。

 なお、2023年2月時点では、PSEに288の上場企業が存在するとされています。

     2. PSEにおける2つの分類市場

PSEには、2種類の市場が存在します。1つ目は、Main Boardと呼ばれる市場で、2つ目は、SME Boardと呼ばれる市場です。後者のSME Boardは、「Small, Medium, Emerging」の略であり、Main Boardの方がSME Boardよりも上場のための基準が高く設定されています。

     3. PSEにおける上場基準

PSEにおいては、Main Boardに上場するための条件が定められています。主な基準は、以下のとおりです。

一方、SME Boardへ上場するためには、同一の事業を2年間継続していることや2,500万フィリピンペソの資本が必要であること等、Main Boardにおいて要求される基準よりも、緩やかな基準が設定されている場合があります。

また、上場のためには開示手続が必要となり、開示に関する基準はPSEが定める「CONSOLIDATED LISTING AND DISCLOSURE RULES」に記載されています。

      4. 審査機関について

 上場審査については、フィリピンにおける証券取引委員会の監督下にあるPSEが行います。

 

8.ベトナム

(1) ベトナムの証券市場

 ベトナムには、ホーチミン証券取引所(HOSE)とハノイ証券取引所(HNX)の2つの証券取引所があり、異なる上場基準(ホーチミン証券取引所の方が上場基準が厳しく、大企業中心)で運営されてきましたが、現在、2つの証券取引所の統合が進められており、ハノイ証券取引所は2023年7月1日から新規上場の受付けを停止し、2025年6月30日に両者が統合される予定となっています。

 また、これらの上場基準を満たさない、または公開会社であるものの上場していない会社を対象とする未上場公開株取引市場(UPCoM)もあります。

(2) ホーチミン証券取引所(HOSE)の上場基準

(3) ハノイ証券取引所(HNX)の上場基準

(4) 未上場公開株取引市場(UPCoM)の上場基準

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Newsletterの記載内容は2023年2月27日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。