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「COVID-19関連の規制状況及び入国規制並びにセクシャル・ハラスメントに関する法制度の概要」 TNY Group Newsletter No.27

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

 基本的な感染拡大防止対策(「三つの密」の回避、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い等の手指衛生」、「換気」等)が求められ、ワクチンのブースター接種が推奨されています(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP))。

1.2 入国規制

(1) 外国人の入国制限について

外国人の入国について、下記(a)(b)又は(c)の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めています。

(a) 商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国

(b) 長期間の滞在の新規入国

(c) 観光目的の短期間の滞在の新規入国(旅行代理店等を受入責任者とする場合に限る)

厚生労働省HP 外国人の新規入国制限の見直しについて

(2) 日本入国時の検疫措置について

 厚生労働省は、滞在していた国・地域を3区分(青・黄・赤)に分け、入国時の検疫措置を定めています。なお、出国前72時間以内の陰性証明書は、滞在していた国・地域にかかわらず全員が提出必要です。

滞在していた国・地域の区分
有効なワクチン
接種証明
入国時の検疫措置
出国前検査
(全員必須)
到着時検査 待機

(タイ、バングラデシュ、フィリピン、
マレーシア、ミャンマー、メキシコほか)
問わない × ×

(ベトナム、インドほか)
あり × ×
なし 自宅3日間 ※1

(パキスタンほか)
あり 自宅3日間 ※1
なし 施設3日間 ※2

厚生労働省HP 水際対策

※1 待機3日目に検査を受検し陰性を確認した場合。検査を受検しない場合は7日間。

※2 施設待機3日目に検査を受検し陰性であれば、待機解除。

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

 タイのCOVID-19の累計感染者数は4,515,890名です。この内、4,462,388名が回復し、累計死亡者数は30,610名となっています。現在、1日の感染者数の週平均は2,000人程度で推移しており、減少傾向にあります。

2.2 入国規制

 6月1日より以下のとおり入国規制が緩和されました。

  1. ワクチン規定回数接種済の者

下記について準備した上で、Thailand Passにて事前申請が必要。

  • 規定回数のワクチン接種を証明するワクチン接種証明書
  • COVID-19の治療費等を含む1万USドル以上を補償する医療保険

タイ渡航前および入国後のPCR検査については免除。隔離措置も免除。

      2. ワクチン規定回数未了、ワクチン未接種者

下記について準備した上で、Thailand Passにて事前申請が必要。

  • 渡航前72時間以内に実施したRT-PCR検査または専門機関による抗原検査 (Professional-ATK)による陰性証明書
  • COVID-19の治療費等を含む1万USドル以上を補償する医療保険

タイ入国後のPCR検査については免除。隔離措置も免除。

7月1日より、さらに入国規制が緩和されます。Thailand Passが撤廃され、COVID-19の治療費等を含む医療保険が不要となります。ただし、入国時に、ワクチン接種証明書または渡航前72時間以内に受検した陰性証明書の提示は引き続き必要です。

2.3 日本入国規制

 5月26日に、日本政府は、6月1日以降の日本入国時の水際措置の変更を発表いたしました。

 タイは「赤」、「黄」、「青」の区分の内、一番リスクの低い「青」区分に指定されています。日本への入国時に必要とされていた、入国時検査およびワクチン3回未接種者の入国後原則7日間の自宅等待機期間は廃止されております。

 ただ、日本入国時の渡航前72時間以内の有効な検査証明書の提示は引き続き必要とされますので、ご注意下さい。

詳細については以下をご参照下さい。

外務省海外安全ホームページ

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 6月26日の新規感染者数は、2,003人でした。直近7日間(20日~26日)の平均も2,293人であり先月に比べれば微増しており、保健省はさらなる増加に警戒を強めています。

 もっとも、現在はエンデミックの段階にあるとして、以前のMCO(新型コロナウイルス流行に伴い設けられた活動制限令)下で導入されていた厳格な活動制限等の規制は撤廃されています。現在は、屋内や公共交通機関等でのマスクの着用義務や店舗入店時のMySejahteraアプリ(マレーシア政府開発の新型コロナウイルス対策アプリ)の提示、ソーシャルディスタンスの要請などに留まります。

3.2 入国規制

 3月までは、労働ビザを持つ者や永住者等一部の外国人に入国を認めていましたが、4月1日からは観光目的の入国が可能となっています。

 渡航前には、英文での陰性証明書の取得、及びMySejahteraアプリをダウンロードし、健康情報やワクチン接種状況等の必要事項を入力しておくことが必要となります。ワクチン接種完了者には、同アプリ上でデジタルトラベラーズカード(青)が発行され、ワクチン接種未完了者には、デジタルトラベラーズカード(赤)が発行されます。デジタルトラベラーズカード(青)が発行された場合(ワクチン接種完了者)は、渡航前の陰性証明の取得及び入国後の隔離が不要となりますが、デジタルトラベラーズカード(赤)が発行された場合は、渡航前の陰性証明書の取得及び入国後検査及び隔離が必要となります。なお、ワクチン接種完了者に加えて、17歳以下の者、COVID-19に感染し回復から6~60日以内の者は、渡航前の陰性証明書の取得及び渡航後の入国時検査が不要となります。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19 及びクーデターの規制状況

 COVID-19 の陽性率は低くなり、感染状況は落ち着いております。また、夜間外出禁止令について、22時以降が禁止されていた規制が24時以降の外出禁止となり、緩和されました。

4.2 入国規制

国際旅客便の着陸禁止措置が4月17日で解除され、タイやマレーシア等の周辺国からのフライトの運航が再開されています。日本からの直行便のANA便は直行便が廃止になり、6月よりタイ経由便が再開されました。

e-visa申請も4月1日から再開されています。取得に当たり、ミャンマー国営保険会社の保険の購入が必須となっています。入国後の隔離措置について、6月17日より空港到着時の迅速抗原検査(RDT 検査)が不要となり、指定の施設等での隔離は不要なりました。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

6月に入りCOVID-19新規感染者数は増加の傾向を見せ、第5波の到来と注意が呼びかけられていますが、新たな規制はありません。

5.2 入国規制

メキシコへの入国について、政府による外国人への入国制限等は行われていません。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

 バングラデシュでは、感染者が増加しており、6月21日に20日ぶりにCOVID-19による死亡が報告されました。6月27日、24時間以内に報告されたCOVID-19による死亡は2名、陽性者は2,101名で、陽性率は15.20%となりました。

6.2 入国規制

 WHOが承認したCOVID-19ワクチン接種を完了した者は、公式なワクチン接種証明書を持参することでバングラデシュ入国が認められ、PCR検査の陰性証明書は必要とされません。3回目のブースター接種まで完了している必要はないとされています。ワクチン接種を完了していない者は、出発72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を持参していれば、入国が認められます。

 また、バングラデシュに入国するすべての者は、渡航出発前3日以内にオンライン上(https://healthdeclaration.dghs.gov.bd/)で必要事項を入力し、QRコード付きの健康申告書(Health Declaration Form)の画像データ又は印刷したコピーを、入国後にイミグレーションで提示する必要があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い停止していた到着時ビザ(オンアライバルビザ)が、5月17日から全面再開されています。

 

7.フィリピン

7.1 COVID-19関連の規制状況

 フィリピンの COVID-19 感染者は累計370万1743人で、死者数は累計60,518人です(2022年6月27日現在)。新規感染者は2021年の年末以降急激に増加し、2022年1月中旬をピークとしてその後減少傾向にあります。現在は1日約500~1000人程度の新規感染者が報告されています。

 また、5月31日まで、マニラ首都圏は、警戒レベル「レベル1」とされています。

7.2 入国規制

 ワクチン接種等の要件を満たす外国人の、商用・観光目的の査証免除による入国及び既存の有効な査証による入国が認められています(日本は査証免除対象国です)。出発国出発日時から14日間以上前に、2回接種するワクチンを2回接種済みであること、あるいは1回接種するワクチンを接種済みであることが必要です。また、フィリピン到着時、出発国出発前48時間以内の陰性のポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査結果、または検査室における24時間以内に陰性の抗原検査を提示することが必要です。

さらに、4月1日00時01分以降、海外から入国する外国人は入国免除文書(EED)を必要とせずにフィリピンに入国することができます。

7.3 フィリピンから日本への入国者及び帰国者に対する規制

 日本においては、6月1日以降、以下のとおり新たな水際対策措置が実施されます。水際対策措置の見直しにより、「赤」・「黄」・「青」の区分が決定され、フィリピンは「青」に指定されることとなりました。したがいまして、フィリピン出国前72時間以内に受けた検査結果証明書を提出することにより、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機を求めないこととなります。ワクチン接種の有無は問いません。

 

8.ベトナム

8.1 COVID-19関連の規制状況

 ベトナムにおける2022年6月27日時点での累計感染者数は1074万3448人で、1か月前の5月27日の時点より2万8201人増加しました。3月末から4月末の1か月間では100万人以上増加していたことに比べると、ベトナムにおける新規感染者数は大幅に減少しており、6月に入ってからは、ほとんどの日で1000人を下回っています。

 ベトナムでは、4月頃から社会・経済活動や市民生活における新型コロナに関連する規制はほぼ撤廃されています。日常生活におけるマスクの着用は一応推奨されており、多くの市民は、商業施設や商店などではマスクを着用していますが、着用していない者も少しずつですが増えているように思われます。

8.2 入国規制

 新型コロナウイルス感染拡大防止のために実施されていた外国からの入国制限はすべて撤廃され、コロナ前の入国手続に戻っています。日本国籍者の入国については、入国の目的にかかわらず(すなわち観光目的であっても)、

・ ベトナム滞在期間が15日以内であること

 ・ ベトナム入国の時点でパスポートの有効期間が6か月以上あること

 ・ ベトナムの法令の規定により入国禁止措置の対象となっていないこと

という要件を満たせば、ビザなしでベトナムへの入国が認められます。また、以前は必要とされていた陰性証明書の取得、ワクチン接種証明書の提示、入国前のオンライン医療申告も不要で、入国後の隔離もありません。

 なお、従前、ビザなし入国については「前回のベトナム出国時から30日以上経過していること」という条件が付されていましたが、この条件は2020年7月1日から撤廃されています。

 また、APECビジネストラベルカード(ABTC)の所持者についてはビザ免除で最大90日目まで滞在できる措置についても復活しています。

8.3 ベトナムから日本への帰国者・入国者に対する規制

 日本では、6月28日現在、国籍を問わず外国からの入国者に対する水際対策措置が実施されており、ベトナムは「黄」区分に指定されています。したがって、ワクチン3回目接種者については、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機も不要となっています。ワクチン3回目接種者でない場合は、入国時検査を実施した上で、原則、7日間の自宅等待機を求めることとし、入国後3日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であれば、その後の自宅等待機の継続を求めないこととされていいます。

第2.各国のセクシュアル・ハラスメントに関する法規制の概要

1.日本

 「職場におけるセクシャルハラスメント」とは、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け(例:事務所内において事業主が労働者に対して性的な関係を要求したが、拒否されたため、その労働者を解雇すること)、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されること(例:事務所内にヌードポスターを掲示しているため、その労働者が苦痛に感じて業務に専念できないこと)とされています(事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針1条)。

(1) 事業主の講ずべき措置等(男女雇用機会均等法)

 男女雇用機会均等法11条では、職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等として、事業主は、i) 職場におけるセクシャルハラスメントに関し、労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない(1項)、ii) 労働者がセクシャルハラスメントの相談を行ったこと等を理由として、当該労働者に対して不利益な取扱いをしてはならない(2項)、iii) 他の事業主から当該事業主の講ずる措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない(3項)と規定しています。また、男女雇用機会均等法第11条の2では、職場におけるセクシャルハラスメントに関する事業主の責務として、i) 性的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる措置に協力するように努めなければならない(2項)、ii) 事業主(その者が法人である場合にあっては、その役員)は、自らも、性的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない(3項)と規定しています。

(2) 事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)

 本指針では、男女雇用機会均等法11条に規定されている事業主が講ずべき措置について、具体的に示しています。

(a) 事業主の方針の明確化及びその周知・啓発(同指針4条1項)

  1. 職場におけるセクシャルハラスメントの内容・セクシャルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
  2. セクシャルハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針・対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること

(b) 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備(同指針4条2項)

  1. 相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること
  2. 相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に、広く相談に対応すること

(c) 職場におけるセクシャルハラスメントにかかる事後の迅速かつ適切な対応(同指針4条3項)

  1. 事実関係を迅速かつ正確に確認すること
  2. 事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行うこと
  3. 事実確認ができた場合には、行為者に対する措置を適正に行うこと
  4. 再発防止に向けた措置を講ずること(事実確認ができなかった場合も同様)

(d) (a)から(c)までの措置を併せて講ずべき措置(同指針4条4項)

  1. 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知すること
  2. 相談したこと、事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること 

(3) セクシャルハラスメント被害の相談を受けたときの対処法

 上記(2)(c)にある通り、まず、事実関係の確認が必要です。被害者からだけではなく、行為者(加害者)や職場の同僚などから話を聞き、事実関係を正確に把握することが重要です。その際に、被害者や行為者のプライバシーが守られるようにしなければなりません。また、被害者の精神的ダメージが大きい場合などは、本人の希望を踏まえて、専門医への相談も考えられます。また、被害者が、相談したことを理由として不利益な扱いをされないようフォローすることも必要です。行為者に対する措置については、事実確認の結果に基づき、席の移動などの対応から、配置転換、重大なケースの場合は懲戒処分も考えられます。更に、再発防止に向けた措置の見直しや強化が求められます。

 

2.タイ

(1) 労働保護法による罰則

 タイでは、会社に対してセクシュアル・ハラスメントへの対策を講じる義務を定めた法律やガイドラインなどはありません。ただし、労働保護法(The Labour Protection Act)において、職場におけるセクシュアル・ハラスメントに関する規定があります。

タイでは、一定の地位を有する者に罰則を科す形で、職場におけるセクシュアル・ハラスメントを規制しています。同法第16条は、「雇用主、上司、管理者、または監督者は、従業員に対して性的虐待、ハラスメント、または迷惑行為を行うことを禁じる。」と規定しています。また、同法 第147条は、「第16条に違反した者は、2万バーツ以下の罰金に処する。」と規定しています。

(2) 刑法による罰則

セクシュアル・ハラスメントは、刑法上の処罰の対象となる場合もあります。刑法第397条により、セクシュアル・ハラスメントの可能性を示す態様で、他人に迷惑をかけたり、いじめたり、脅迫したり、恥辱、トラブルおよび迷惑により苦しませたりする行為をした者は、1年以下の懲役もしくは1万バーツ以下の罰金、またはその両方が科されます。また、司令官、雇用主その他優位な権限を有する者が、その権限を利用して前記行為を行った場合には、1年以下の懲役および1万バーツ以下の罰金の両方が科されます。

さらに、より重い態様であるわいせつ行為については、同法第278から279条に規定されています。15歳以上の者に対して暴行、脅迫等の手段を用いてわいせつな行為をした者は、10年以下の懲役もしくは20万バーツ以下の罰金またはその両方が科されます。その上、被害者の年齢、行為態様によって刑罰が加重されます。

 

3.マレーシア

 マレーシアにおけるセクシュアル・ハラスメントに関する法規制は、雇用法(Employment Act 1955)によって規律されます。

(1) 定義

 雇用法は、「セクシュアル・ハラスメント」(以下「セクハラ」という)を、「言葉的か否か、視覚的か否か、身振り又は物理的接触のいずれかを問わず、勤務の過程にある 人物に向けられた、攻撃的若しくは屈辱的若しくはその人物の幸福を脅かす、その人物の望まない性的なふるまいをいう。」と定義しています(雇用法2条)。そして、セクハラの申立てには、①労働者から他の労働者に対して、②労働者から使用者に対して、③使用者から労働者に対するものの3類型が含まれます(雇用法81A条)。

(2) 使用者の義務等

 セクハラの申立てがあった場合、使用者又はこれに準ずる者は、大臣が定める方法によって当該申立てについて調査しなければならない(雇用法81B条)。

 調査の結果、セクハラの存在が証明されたと考えるときは、使用者は①セクハラを行なった者が労働者であるときは、予告期間を設けない解雇、降格又は解雇・降格よりも軽い処分(無給の自宅待機処分の場合にはその期間は2週間を超えてはならない。)のいずれかの懲戒処分を、②セクハラを行なった者が労働者以外の者である場合にはその人物が所属する適切な懲戒主体に処分を委ねるものとされています(雇用法81C条)。

(3) 被害者への救済

 使用者が調査を拒否した場合、申立てを行なった者は労働局長に対して申立てをすることができ、労働局長に対して申立てがなされた場合、労働局長は使用者に対し調査を命じることができます(雇用法81D条)。また、セクハラを行なった者が個人事業主たる使用者であった場合、労働局長は人的資源大臣が定める方法により自ら調査を行います(同条)。

 また、連邦裁判所は2016年にセクハラを理由とする損害賠償請求を肯定しているため、被害を受けた労働者は加害者に対し直接損害賠償を求める訴訟を起こすことにより救済を受けられる可能性があります。

(4) セクハラに関する掲示

 2022年改正雇用法(Employment (Amendment)Act 2022)により、使用者は、常時、セクハラ防止に関する啓発のための掲示物を就業場所の見やすい場所に掲示しなければなりません。

 

4.ミャンマー

(1) 法規制の有無

 ミャンマーにおいてはセクシュアル・ハラスメントに関して法令は存在しません。

(2) 一般法との関係

 セクシュアル・ハラスメントに関する規定はないものの、当該行為が不法行為に該当する場合には、コモンローに基づく損害賠償請求の対象となり得ます。また、使用者は労働者に対して健康で安全な職場環境を維持する義務を負うため、セクシュアル・ハラスメントを予防する環境整備が求められます。

 

5.メキシコ

(1) セクシュアル・ハラスメントの概念

メキシコの法令において、いわゆるセクシュアル・ハラスメントと呼ばれるものについて、hostigamiento sexual とacoso sexual という2つの概念が使用されています。

暴力のない生活に対する女性の権利に関する基本法(Ley General de Acceso de las Mujeres a una Vida Libre de Violencia)においては、hostigamiento sexualとは、職場や学校において、被害者が加害者に実質的に従属する関係のもと、権力が行使されることであり、淫らな意味合いを持つ性的な行為に関連する口頭や身体的な行為、またはその両方で表現されるものを指すとされています。他方、acoso sexualとは、被害者と加害者の間に従属関係はないものの、行使の回数を問わず、被害者が無防備で危険な状態に陥るような乱暴な権力行使が行われる暴力の一形態であるとされています。

連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)では、hostigamiento sexualの定義はないものの、ハラスメント(hostigamiento)が、仕事上の従属関係下における権力の行使であって、口頭や身体的な行為、またはその両方で表現されると定義されていることから、上記暴力のない生活に対する女性の権利に関する基本法とほぼ同義で使用されていると考えられます。ただし、行為の場所は職場に限定されます。acoso sexualについては、上記暴力のない生活に対する女性の権利に関する基本法と同様の定義がなされています。

以上から、hostigamiento sexualは加害者と被害者の間に上司と部下などの従属関係が求められる一方、acoso sexualにはそのような従属関係が求められません。なお、本稿では、hostigamiento sexual、acoso sexual、あるいは、その両方を指して「セクシュアル・ハラスメント」と記します。

(2) セクシュアル・ハラスメントに関する労働法上の権利義務関係

連邦労働法は、使用者らが、職場において、セクシュアル・ハラスメントを行うこと、セクシュアル・ハラスメントを許容することを禁止しています。また、労働者も、職場において、セクシュアル・ハラスメントを行うことが禁止されています。

労働者が職場において、セクシュアル・ハラスメントを行った場合、使用者は、当該労働者を、責任を負わずに解雇することができます。また、使用者らが、労働者らに対してセクシュアル・ハラスメントを行った場合、当該労働者は責任を負うことなく雇用関係を終了させることができます。

さらに、使用者は、性別に基づく差別を防止し、暴力やセクシュアル・ハラスメントの事例に対処するためのプロトコルを労働者との合意のもと策定し、実施することが求められています。これに関連し、労働社会福祉省(Secretaría del Trabajo y Previsión Social)は、「職場での暴力を防止、対応、根絶するためのモデルプロトコル(Modelo de Protocolo para prevenir, attender y erradicar la violencia laboral en los centros de trabajo)」を発行*しており、この中には、ハラスメント事例の対応手順やハラスメント発見のためのモデル質問票なども用意されています。企業は、このモデルプロトコルを参考にプロトコルを作成することが推奨されます。

* https://www.gob.mx/stps/documentos/modelo-de-protocolo-para-prevenir-atender-y-erradicar-la-violencia-laboral-en-los-centros-de-trabajo

(3) セクシュアル・ハラスメントと刑法上の犯罪

連邦刑法(Código Penal Federal)は、仕事、教育、家庭、その他従属を示す上下関係に乗じて、性別を問わず人に対して、淫らな目的で嫌がらせを繰り返した者は、UMA日額(2022年度は96.22ペソ)の800倍以下の罰金に処すると規定するものの、セクシュアル・ハラスメント(hostigamiento sexual)については、損失や損害が生じた場合にのみ処罰の対象とすると限定されています。

また、メキシコ市刑法(Código Penal para el Distrito Federal)は、自己若しくは第三者のために性的な好意を要求し、または性的な性質を有する行為で、受ける者にとって望まない性的な行為を行い、その者の尊厳を傷つける精神的・感情的な苦痛を与えた者は、1年以上3年以下の懲役に処すると規定しています。加害者と被害者の間に、仕事、教育、家庭、その他の従属関係から生じる上下関係がある場合には、この刑の3分の1が加重されます。

 

 

6.バングラデシュ

(1) セクシャルハラスメントの関連法令

 バングラデシュでは、セクシャルハラスメントについて規定する法令はありませんが、関連するものとして、以下が挙げられます。

法 令 規 定
刑法1860年第509条 「女性の謙虚さを侵害する」ことを目的とした行為、
言葉、態度を犯罪とし、1年以下の懲役及び罰金が科せられます
Nari-O-Shishu Nirjatan Daman Ain 2000
(女性及び子供の抑圧防止法)第10条
「Jounopiron」(一般に「性的抑圧」と訳される)
と呼ばれる行為を犯罪とし、女性又は子供(身体の一部又は対象物)
に触れる行為又は性的欲求を不法に満たすために女性の謙虚さを
侵害する行為を犯罪としています
バングラデシュ労働法2006年第332条 いかなる事業場のいかなる者も、雇用されている女性に対して、
下品又は無礼に見える可能性のある行為、その女性の謙虚さ又
は名誉を害する行為をしてはならないと規定しています。
しかし、この規定は、女性が職場で直面する嫌がらせや暴力に
ついて具体的に言及しておらず、罰則も25,000タカの罰金と限定的です

 その他、2009年に、高等裁判所は、大学のキャンパスや職場において女性に対するセクシャルハラスメントが蔓延していることに異議を唱えるバングラデシュ全国女性弁護士協会(BNWLA)による請願書を受け、職場及び教育機関におけるセクシャルハラスメントの禁止、防止及び是正に関する11ポイントの指令(以下「ガイドライン」)を発行しました(29 BLD HCD 415)。

(2) ガイドラインの概要

 セクシャルハラスメントに関する啓発を目的とし、バングラデシュ国内の全ての職場及び教育機関を対象として発行されました。憲法は男女平等を保障しており、使用者の義務として、性的虐待及びハラスメントの犯罪を防止又は阻止するために有効なメカニズムを維持し、セクシャルハラスメントの犯罪の訴追のための効果的な措置を提供しなければならないとしています。

 セクシャルハラスメントの定義には、性的な理由に基づく身体的接触、性的な意味合いをもつ言葉などによる表現、権限の濫用により性的な性質を伴う身体的関係を持つことを試みること、ストーカー行為、愛のプロポーズの拒否を理由として脅迫すること、脅迫によって性的関係をもつこと等、幅広い行為が含まれています。

 全ての使用者、職場の責任者、教育機関は、セクシャルハラスメントを防止するための効果的な対策を講じなければならないとされ、i) セクシャルハラスメント禁止の効果的な周知、ii) ジェンダー差別及びセクシャルハラスメントに対する憲法の規定及び罰則規定についての周知、iii) 職場や教育機関が女性に対して敵対的な環境でないことを保証し、女性の労働者や学生が男性の同僚や学生と比較して不利な立場に置かれていないという自信と信頼を生み出すこと、が定められています。

 また、セクシャルハラスメントに関する調査及び提言を行う5名以上で構成される苦情処理委員会を設置することとされています。同委員会の委員の過半数は女性で、適任者がいれば女性を委員長とするとしています。セクシャルハラスメントの被害者は、その事実が生じた日から30日以内に同委員会に訴えることができ、委員会は、苦情を受けてから原則として30日以内に、各組織の担当部署に調査報告書を提出しなければなりません。 

 

7.フィリピン

 職場におけるセクシャルハラスメントは、主に1995年反セクシャルハラスメント法によって規制されます。

反セクシャルハラスメント法では、被害者の行為への同意は重要ではなく、重要なのは、その行為が上司等権限や影響力のある立場の者によって行われたことである点には注意が必要です。被害者の同意があったからといって直ちに免責されません。

同法においてセクシャルハラスメントとされる行為には、以下のようなものがあります。

    1. 雇用の条件、または利益や特権の付与の前提条件となり得る性的要求、あるいは要求を拒否することで従業員や学生に悪影響を及ぼすような性的要求をすること
    2. 従業員に対して不快感、敵意または脅迫を感じる職場環境を作り出すような性的な行為

 加害者を教唆、誘導、幇助した者は、その行為を行った者と同等の責任を負い、被害者からハラスメントについて知らされていたにもかかわらず、直ちに改善等の対応をしなかった場合、雇用主も責任を負う点には注意が必要です。

 同法に基づくすべての行為は、1ヶ月から6ヶ月の禁固刑、または1万ペソから2万ペソの罰金、もしくはその両方で処罰されます。また、被害者は独自に損害賠償請求訴訟を起こすことができます。

なお、2019年Safe Spaces法が、より広く公共の場での性別に基づくセクシャルハラスメントを、加害者の意図に関係なく、「いかなる人に対しても望まれない性的な行為や発言」と定義し規制しています。これらは、職場においてなされる場合を含みます。

 Safe Spaces法のよる罰則は反セクシャルハラスメント法に基づくものと比較して一般に軽いものとされていますが、Safe Spaces法に規定されるセクシャルハラスメントは、加害者が、権限や影響力がある者である必要がなく、より広範で一般的な定義となっていることには注意が必要です。Safe Spaces法ではオンラインでのセクシャルハラスメントも明記されています。

 Safe Spaces法においても、雇用主は、性別を理由とするセクシャルハラスメント行為を行った場合の責任に加え、報告されたセクシャルハラスメントに対処しないことによる責任を負う可能性があります。

 

8.ベトナム

(1) 職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止等の措置

 使用者は、職場におけるセクシュアル・ハラスメントの予防策及び対応策を策定しなければならないとされています(労働法6条2.d)。また、10人以上の従業員を使用する場合、就業規則を書面で作成し、かつ、各地方の労働局に登録しなければならないとされていますが(労働法118条1.、119条1.)、その就業規則の中で、「職場におけるセクシュアル・ハラスメントの予防・対応、職場におけるセクシュアル・ハラスメント行為の処分の手順、手続」について定めなければならないとされています(労働法118条2.d)。そして、使用者は、就業規則に違反してセクシュアル・ハラスメントを行った従業員を解雇することができます(労働法125条2.)。

 一方、セクシュアル・ハラスメントの被害を受けた従業員は、事前に通知することなく雇用契約を一方的に解除することが可能です(労働法35条2.d)。

(2) 職場におけるセクシュアル・ハラスメント行為に対する制裁

 職場でセクシュアル・ハラスメントを行った者については、政府より1500万〜3000万ベトナムドンの罰金が科されます。一方、家事代行業者(メイドサービス)や、家事代行業者を通すことなく直接メイドと契約して家事代行を依託している者がメイドに対してセクシュアル・ハラスメントを行った場合の罰金額は、5000万〜7500万ベトナムドンとなっています。

 なお、これらの制裁が科されるのは、セクシュアル・ハラスメント行為が刑事訴追の対象とはならなかった場合です。刑事訴追の対象となった場合、最高で5年間の懲役刑が科される可能性があります。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループ及びTNYグループ各社】

・TNY Group

 URL: http://www.tnygroup.biz/

・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所)

 URL: http://progress.tny-legal.com/

・佐賀(TNY国際法律事務所)
URL: https://tny-saga.com/

・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

 URL: http://www.tny-legal.com/

・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

 URL: http://www.tny-malaysia.com/

・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.)

URL: http://tny-myanmar.com

・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

 URL: http://tny-mexico.com

・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

 URL: http://www.tny-israel.com/

・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

URL: http://estonia.tny-legal.com/

・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

 URL: https://www.tny-bangladesh.com/

・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.)

 URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html

・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.)

 URL: https://www.kt-vietnam.com/

Newsletterの記載内容は2022年6月28日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

 基本的な感染拡大防止対策(「三つの密」の回避、「人と人との距離の確保」、「マスクの着用」、「手洗い等の手指衛生」、「換気」等)が求められ、ワクチンのブースター接種が推奨されています(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP))。

1.2 入国規制

(1) 外国人の新規入国制限の見直しについて

外国人の新規入国について、これまで下記(a)又は(b)の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めていましたが、5月26日付で(c)が追加され、6月10日より開始されます。

(a) 商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国

(b) 長期間の滞在の新規入国

(c) 観光目的の短期間の滞在の新規入国(旅行代理店等を受入責任者とする場合に限る)

厚生労働省HP 外国人の新規入国制限の見直しについて

(2) 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(a) 入国後の自宅等待機期間の変更

  1. 検疫所の宿泊施設での待機対象となっている国・地域(以下「指定国・地域」)から帰国・入国する方で、COVID-19のワクチンを3回接種していない方は、指定の宿泊施設での3日間待機が求められます。宿泊施設で受けた検査の結果が陰性であれば、退所後の自宅等待機は求められません。
  2. 指定国・地域から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  3. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していない方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  4. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、入国後の自宅等待機を求められません。

厚生労働省HP 検疫所が確保する宿泊施設で待機を求める指定国・地域

     (2)入国後の公共交通機関の使用について

 上記(a) ii)及びiii)に該当する方は、入国後の待機のため自宅等まで移動する際は、公共交通機関の使用が可能となります。

厚生労働省 HP 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(参考サイト)

外務省HP 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について

厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症について

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

タイのCOVID-19の累計感染者数は4,434,515名です。この内、4,358,396名が回復し、累計死亡者数は29,913名となっています。現在、1日の感染者数の平均は5,000人程度で推移しており、減少傾向にあります。

2.2 タイ入国規制

 5月1日より、タイ入国規制が緩和されております。ただ、Thailand Passによる事前申請は継続となっています。内容は以下のとおりです。

・ワクチン規定回数接種済の者

下記について準備した上で、Thailand Passにて事前申請が必要。

規定回数のワクチン接種を証明するワクチン接種証明書

COVID-19の治療費等を含む1万USドル以上を補償する医療保険

タイ渡航前および入国後のPCR検査については免除。隔離措置も免除。

・ワクチン規定回数未了、未接種者で、渡航前72時間以内のRT-PCR検査結果陰性の者

下記について準備した上で、Thailand Passにて事前申請が必要。

渡航前72時間以内に実施したRT-PCR検査陰性証明書

COVID-19の治療費等を含む1万USドル以上を補償する医療保険

タイ入国後のPCR検査については免除。隔離措置も免除。

・ワクチン規定回数未了、未接種者

下記について準備した上で、Thailand Passにて事前申請が必要。

隔離施設予約書類(5日間以上)

タイ入国後のRT-PCR検査1回分の費用支払書類

COVID-19の治療費等を含む1万USドル以上を補償する医療保険

2.3 日本入国規制

5月26日に、日本政府は、6月1日以降の日本入国時の水際措置の変更を発表いたしました。

タイは「赤」、「黄」、「青」の区分の内、一番リスクの低い「青」区分に指定されています。日本への入国時に必要とされていた、入国時検査およびワクチン3回未接種者の入国後原則7日間の自宅等待機期間は廃止されております。

ただ、日本入国時の渡航前72時間以内の有効な検査証明書の提示は引き続き必要とされますので、ご注意下さい。

詳細については以下をご参照下さい。

外務省海外安全ホームページ

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 5月26日の新規感染者数は、1,845人でした。直近7日間(20日~26日)の平均も1,948人であり現在は落ち着いている印象です。新規感染者数やワクチン接種率等を基準に段階的に規制を設定した移動・活動制限令であるNRP(National Recovery Plan(以前はFMCOと呼ばれていました))では、ケランタンとサラワクは第三段階の規制下にあり、この2つの州以外の全ての州は一番規制の緩和された第4段階の規制下にあります。

3.2 入国規制

 3月までは、労働ビザを持つ者や永住者等一部の外国人に入国を認めていましたが、4月1日からは観光目的の入国が可能となっています。

 渡航前には、英文での陰性証明書の取得、及びMySejahteraアプリをダウンロードし、健康情報等の必要事項を入力しておくことが必要となります。5月1日からは、18歳以上のワクチン接種完了者(2回以上)、17歳以下の者、COVID-19に感染し回復から6~60日以内の者は、渡航前の陰性証明書の取得及び渡航後の入国時検査が不要となりました。18歳以上のワクチン接種未完了者(健康上の理由で接種できない者を除く)は、陰性証明書の取得が必要となります。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19 及びクーデターの規制状況

 COVID-19 の陽性率は低くなり、感染状況は落ち着いております。また、夜間外出禁止令について、22時以降が禁止されていた規制が24時以降の外出禁止となり、緩和されました。

4.2 入国規制

国際旅客便の着陸禁止措置が4月17日で解除され、タイやマレーシア等の周辺国からのフライトの運航が再開されています。日本からの直行便のANA便は直行便が廃止になり、6月よりタイ経由便が再開される予定です。

e-visa申請も4月1日から再開されています。取得に当たり、ミャンマー国営保険会社の保険の購入が必須となっています。入国後の隔離措置について、5月1日より空港到着時に迅速抗原検査(RDT 検査)を行い、検査結果が出るまで 1 時間ほど空港内で待機し、陰性であれば即時入国が可能となり、指定の施設等での隔離は不要なりました。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

 4月26日にエンデミックが宣言され、多くの州でマスク着用などの要請が緩和されています。

5.2 入国規制

 メキシコへの入国について、政府による外国人への入国制限等は行われていません。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

 バングラデシュでは、感染者が減少し、5月26日は、24時間以内の死者は0名で、陽性率は0.65%です。

6.2 入国規制

 WHOが承認したCOVID-19ワクチン接種を完了した者は、公式なワクチン接種証明書を持参することでバングラデシュ入国が認められ、PCR検査の陰性証明書は必要とされません。3回目のブースター接種まで完了している必要はないとされています。ワクチン接種を完了していない者は、出発72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を持参していれば、入国が認められます。

 また、バングラデシュに入国するすべての者は、渡航出発前3日以内にオンライン上(https://healthdeclaration.dghs.gov.bd/)で必要事項を入力し、QRコード付きの健康申告書(Health Declaration Form)の画像データ又は印刷したコピーを、入国後にイミグレーションで提示する必要があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の流行に伴い停止していた到着時ビザ(オンアライバルビザ)が、5月17日から全面再開されています。

 

7.フィリピン

7.1 COVID-19関連の規制状況

 フィリピンの COVID-19 感染者は累計368万9865人で、死者数は累計60,455人です(2022年5月27日現在)。新規感染者は2021年の年末以降急激に増加し、2022年1月中旬をピークとしてその後減少傾向にあります。現在は1日約100~200人程度の新規感染者が報告されています。

 また、5月31日まで、マニラ首都圏は、警戒レベル「レベル1」とされています。

7.2 入国規制

 ワクチン接種等の要件を満たす外国人の、商用・観光目的の査証免除による入国及び既存の有効な査証による入国が認められています(日本は査証免除対象国です)。出発国出発日時から14日間以上前に、2回接種するワクチンを2回接種済みであること、あるいは1回接種するワクチンを接種済みであることが必要です。また、フィリピン到着時、出発国出発前48時間以内の陰性のポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査結果、または検査室における24時間以内に陰性の抗原検査を提示することが必要です。

さらに、4月1日00時01分以降、海外から入国する外国人は入国免除文書(EED)を必要とせずにフィリピンに入国することができます。

7.3 フィリピンから日本への入国者及び帰国者に対する規制

 日本においては、6月1日以降、以下のとおり新たな水際対策措置が実施されます。水際対策措置の見直しにより、「赤」・「黄」・「青」の区分が決定され、フィリピンは「青」に指定されることとなりました。したがいまして、フィリピン出国前72時間以内に受けた検査結果証明書を提出することにより、入国時検査を実施せず、入国後の自宅等待機を求めないこととなります。ワクチン接種の有無は問いません。

 

8.ベトナム

8.1 COVID-19関連の規制状況

 ベトナムにおける2022年5月28日時点での累計感染者数は1071万6361人で、1か月前の時点(4月28日)より7万7729人増加しました。3月末から4月末の1か月間では100万人以上増加していたことに比べると、ベトナムにおける新規感染者数は大幅に減少しており、5月に入ってからは、多い日で3000人程度、少ない日では1000人程度となっています。

 以前より死者数や重傷者数の増加が抑えられていたことに加え、新規感染者数も大幅に減少したことから、社会・経済活動、市民生活において新型コロナに関連する規制の多くが撤廃されています。最大都市ホーチミン市でも、少し前までは大規模なビルや商業施設の入口で検温や健康申告アプリの確認、 QRコードのスキャン などが実施されていましたが、現在ではそのような光景はほとんど見られません。

8.2 入国規制

 ベトナム政府は、2022年3月15日より、新型コロナウイルス感染拡大防止のために実施されていた外国からの入国制限を撤廃し、コロナ前の入国手続に戻しました。日本国籍者の入国については、入国の目的にかかわらず(すなわち観光目的であっても)、

    ・ ベトナム滞在期間が15日以内であること

 ・ ベトナム入国の時点でパスポートの有効期間が6か月以上あること

 ・ ベトナムの法令の規定により入国禁止措置の対象となっていないこと

という要件を満たせば、ビザなしでベトナムへの入国が認められます。また、以前は必要とされていた陰性証明書の取得、ワクチン接種証明書の提示、入国前のオンライン医療申告も不要で、入国後の隔離もありません。

 なお、従前、ビザなし入国については「前回のベトナム出国時から30日以上経過していること」という条件が付されていましたが、この条件は2020年7月1日から撤廃されています。

第2.各国における取締役に関する法規制の概要

1.日本

(1) 取締役の要件

(a) 人数

 株式会社は、1名又は2名以上の取締役を置かなければならないと規定されていますが(会社法326条1項(以下、本項において会社法については条文番号のみを記すものとします))、取締役会設置会社において、取締役は3名以上とする必要があります(331条5項)。さらに、取締役会において特別取締役による決議の定めを設ける場合は、6名以上(うち1名以上が社外取締役であること)とする必要があります(373条1号2号)。株式譲渡制限会社である非公開会社は、取締役会設置の義務がなく、取締役会不設置の場合、取締役の人数は1名以上となります。

(b) 国籍

 取締役の国籍について特に規定はありませんので、外国籍の方も代表取締役を含む取締役になることは可能です。

(c) 常駐等の規制

 代表取締役のうち少なくとも1名は日本に住所を有していなければならないという取扱いは廃止され、代表取締役を含む取締役の常駐の規制はありません。

(d) 資格の規制

 取締役の欠格事由として、以下の者が定められています(331条1項)。

  1. 法人
  2. 会社法、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定に違反し、又は金融商品取引法、民事再生法、外国倒産処理手続の承認援助に関する法律、会社更生法、破産法に規定されている一定の罪を犯し、刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
  3. 上記iii)以外の法令の規定に違反し、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者は除かれます)

 その他、未成年であることは欠格事由とされていませんので、未成年者でも取締役になることができますが、会社との間で委任関係を結ぶことになりますので(330条)、法定代理人の同意が必要です(民法5条1項)。また、破産者も、取締役になることができますが、同じく、会社と取締役の関係は委任関係であるため(330条)、取締役が破産手続開始の決定を受けると当然に委任が終了し(民法653条2号)、すなわち取締役の地位にある者が破産手続開始の決定を受けると、取締役を自動的に退任することになります。破産した後も取締役に就くためには、再度、株主総会決議で選任されなければなりません。

 また、社外取締役については、平成26年の改正会社法において、より社外性が求められる要件が加わっておりますので、社外取締役の選任を検討される場合は、法令にて求められる要件の確認が必要です。

(2) 取締役の主な権限と義務

(a) 取締役の権限

 取締役は、取締役会を構成する一員としての役割を担います。取締役会は、取締役会設置会社の業務執行の決定、取締役の職務の執行の監督、代表取締役の選定及び解職に関する職務を行うと定められており(362条2項)、取締役会の構成員である取締役は、取締役会に出席し、議論に参加することによって、これらの職務を担う役割があると言えます。取締役会において意思決定しなければならない項目として、会社法は、i) 重要な財産の処分及び譲り受け、ii) 多額の借財、iii) 支配人その他の重要な使用人の選任及び解任、iv) 支店その他の重要な組織の設置、変更及び廃止等を定めています(362条4項)。

 取締役は単独で、取締役会を招集し(366条)、また、株主総会等の決議の取消しの訴え(831条)、会社の組織に関する行為の無効の訴え(828条1項)をする権限を有します。

(b) 会社との関係

 前述の通り、取締役は、株式会社とは委任の関係に立ち(330条)、会社に対し善良なる管理者の注意義務をもって委任事務を処理する義務を負い(民法644条)、法令及び定款並びに株式会社の決議を順守し、株式会社のために忠実に職務を遂行しなければなりません(355条)。

 また、取締役が自己または第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合(競業取引)や株式会社との間で取引をしようとする場合(利益相反直接取引)、株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において、株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとする場合(利益相反間接取引)には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければなりません(356条1項)。取締役会設置会社では、当該競業取引や利益相反取引についての承認は取締役会が行うことができます(365条1項)。

 取締役の責任は、従来、過失が無くても会社に損害を与えた場合には責任を問われる「無過失責任」でしたが、平成26年の改正会社法により、会社に損害を与えないように注意を尽くしたことが示されれば、賠償の義務を負わない「過失責任」に改められ、責任が緩和されました(120条4項、423条、462条2項、465条等)。

(3) 取締役の解任

 取締役は、いつでも、株主総会の決議による解任が可能です(339条1項)。株主総会での解任決議が否決された場合でも、一定の要件を満たす株主は、取締役の職務執行に不正の行為又は法令もしくは定款に違反する重大な事実があるなどの解任理由がある場合、取締役の解任請求を提訴することが可能です(854条1項)。一方、株主総会にて、正しい手続きで解任した場合であっても、解任について正当な理由がない場合は、解任された取締役は会社に損害賠償を請求することができます(339条2項)。

 

2.タイ

(1) 取締役の要件

取締役の人数は、非公開会社では、1名以上であれば良く(民商法典1144条)、国籍や居住要件は設けられておりません。一方で、公開会社では、5名以上の取締役が必要とされ、うち半数以上がタイ国内に居住地を有している者でなければなりません(公開株式会社法67条)。また、取締役は、自然人でかつ以下の資格要件を満たす必要があります(同法68条)。

(a)権利能力者である

(b)破産者、制限行為能力者ではない

(c)財産犯に対する確定判決により懲役刑に処せられていない

(d)公務における汚職行為を理由として官公庁、政府機関から罷免された、または解任されたことがない

(2) 権限及び義務

取締役の権限は、定款等によって設定することができます(民商法典1144条)。

取締役は、善管注意義務、株主に資本金の払い込みを遂行させる義務、法律で定められた会計帳簿及び文書を作成・管理する義務、法律で定められた配当・利子を適正に分配する義務、株主総会決議を適正に執行する義務、競業避止義務(該当する業務を行う場合には、株主総会の承認が必要)を負うことが定められています(民商法典1168条)。

(3) 解任

非公開会社では、株主総会の普通決議によって取締役を解任することができます(同法1151条)。公開会社では、株主総会の特別決議(総会に出席し、かつ、議決権を有する株主の四分の三以上及び総株式数の半数以上)によって取締役を解任することができます(公開株式会社法76条)。

 

3.マレーシア

 マレーシアにおける取締役に関する法規制は、会社法(Companies Act 2016)によって規律されます。

(1) 取締役の法定員数について

 非公開会社の取締役の法定人数は最低1名(196条1項(a))、公開会社の取締役の法定人数は最低2名(196条1項(b))と規定されています。また、非公開会社及び公開会社の双方とも、法定された数の取締役は、主たる居所をマレーシアに置く、通常マレーシアに居住する者である必要があります(196条4項(b))。

 ただし、定款で法定人数以上の人数を最低人数として定めた場合は、定款で規定した数の取締役を選任する必要があります。

(2) 取締役の資格について

 取締役は、18歳以上の個人である必要があり(196条2項)、かつ以下の欠格事由に該当する者は、原則取締役に就任することができません(198条1項)。

  1. 破産して免責を受けていない者(同条(a))
  2. 会社の設立、組織、運営に関する法令違反により有罪判決を受けた者(同条(b))
  3. 賄賂、詐欺により有罪判決を受けた者(同条(c))
  4. 213条等の違反により有罪判決を受けた者(同条(d))
  5. 199条に基づき裁判所から欠格の宣告を受けた者(同条(e))

(3) 取締役の選任及び解任について

 取締役は株主総会の普通決議により選任します(202条2項、291条)。ただし、定款で定めた場合には、取締役会決議により選任することが可能となります(202条3項)。 

 取締役の退任については、公開会社と非公開会社で異なります。公開会社の場合、選任時期が早いものから順番に定期総会ごとに3分の1の取締役が退任することとなります(205条3項(b))。退任する取締役は、欠格事由に該当しない限り原則再任が可能です(205条5項)。非公開会社の場合、定款又は選任の条件において取締役の任期が規定されない場合、取締役は、以下の事由が生じるまで取締役の地位にとどまることができます(205条2項)。

  1. 欠格事由に該当した
  2. 辞任した
  3. 解任された
  4. 退任の書面決議がなされた

(4) 取締役の権限及び義務について 

 211条が取締役の権限について規定しています。

  1. 会社の事業及び業務は取締役会により又は取締役会の指示のもと運営される(同条1項)
  2. 取締役会は、この法律又は会社の定款に含まれる変更、例外又は制限を条件として、会社の事業及び業務の運営並びに指揮監督に必要な全ての権限を有する(同条2項)

 主要な取締役の義務は、213条から228条に規定されています。213条1項は「会社の取締役は、常に、本法律に従い、適切な目的のために、かつ会社の最善の利益のために誠実に行動しなければならない」と定めており、取締役が会社に対して負う主要な義務の一つを規定しています。

 上記の義務は以下の4つの要素で構成されています。

  1. 取締役の権限は、同法に従って行使されなければならない
  2. 取締役の権限は、誠実に行使されなければならない
  3. 取締役の権限は、適切な目的のために行使されなければならない
  4. 取締役の権限は、会社の最善の利益のために行使されなければならない

 

4.ミャンマー

(1) 取締役の要件

 取締役は1名以上いれば足りるものの、そのうち少なくとも1名はミャンマーに常駐している必要があります。常駐の定義は1年間のうち183日以上ミャンマーに居住していることです。国籍要件は存在しないため、ミャンマー国籍である必要はありません。また、取締役については以下の資格要件を満たす必要があります(会社法175条)。

  1. 定款により取締役の株式保有要件を規定している場合、取締役に指名されてから2か月以内又は定款により規定された短い期間内に株式を保有していること
  2. 18歳以上の自然人であること
  3. 健全な精神状態であること
  4. 本法又はその他の法により取締役として行動する資格を剥奪された期間中でないこと
  5. 債務弁済未了の破産者でないこと

(2) 権限及び義務

 取締役は、本法又は定款により株主によって行使されることが要求されている権限以外の会社の権限の全てを行使することができます(同法160条)。また、帳簿閲覧権を有しています(同法161条)。

 取締役は、善管注意義務、会社の最善のために誠実に行動する義務、地位の利用に関する義務、情報の利用に関する義務、法及び定款を順守する義務、無謀な取引を避ける義務、会社の義務に関する義務、一定の利害関係を開示する義務が規定されています(同法166条~172条)。

(3) 解任

 株主総会の普通決議により取締役を解任することができます(同法174条)。

 

5.メキシコ

(1) 取締役の要件

 株式会社(Sociedad de Anónima)においては、取締役は1名以上選任される必要があります。

 国籍要件や駐在要件といった制限はなく、取締役はメキシコ国籍を有する必要もなく、またメキシコに常駐する必要もありません。唯一、取引の資格を失った者は取締役になることができないとされており、公的仲介人(Corredor Público:商取引において、鑑定人としての役割、法的助言を与える役割、紛争の仲介人としての役割および公証人としての役割を果たすメキシコ連邦政府から認可された法律の専門家)、更生していない破産者、偽造、横領、収賄、強要など財産に対する犯罪で有罪判決を受けた者がこれに該当します。

(2) 権限及び義務

 取締役は、業務執行の権限および権限の範囲内での委任、執行役(Gerente)の選解任の権限、株主総会の招集の権限を有します。

 また、取締役は、定時株主総会に先立つ事業報告や計算書類の提出義務、法令や定款への順守義務、利益相反時に取締役会の審議および決議を棄権しなければならない義務、守秘義務(在任期間及び退任後1年間)、不正に関する監査役への告発義務を負います。さらに、取締役は、株主による出資の真正、株主へ支払われる配当金に関する法的要件および定款の遵守、会計・管理・登録・記録文書または情報のシステムの存在と維持の確認、株主総会決議事項の遵守について、責任を負います。

(3) 解任

 取締役の解任は、通常株主総会で決議することによって行うことができます。

 

 

6.バングラデシュ

(1) 取締役の要件

 全ての非公開会社(公開会社の子会社を除く)は、2名以上の取締役が必要で(会社法90条(2))、公開会社及び公開会社の子会社である非公開会社は、3名以上の取締役が必要です(同条(1))。また、1人株主会社(One Person Company (OPC))は、当該1名の株主が取締役となります(会社法392E条(1))。

 取締役は自然人でなければなりませんが(同条(3))、国籍や常駐の要件はありませんので、バングラデシュ国外に居住する外国人も取締役になることができます。

取締役の欠格理由は、以下の通りです(会社法94条(1))。

(a) 管轄裁判所より精神に障害があると認められた場合

(b) 復権していない破産者であること

(c) 破産者であると申立て中であること

(d) 保有している株が未払いで、支払い期日を6か月以上経過していること

(e) 未成年であること

 その他、会社が、付属定款にて取締役の欠格理由を定めることができます(同条(2))。

(2) 取締役の主な権限と義務

 会社の事業や運営は、取締役によって行われ、会社法の規定に基づき、その権限を行使することができるとされています。取締役に対する制限として、i) 売買・商品供給契約等の締結に関し、取締役会の承認を得た場合を除き、取締役は自らまたは自らがパートナー、株主または取締役である他の法人との間で、売買、商品および原材料の購入または供給契約を締結することはできません(会社法105条)。また、ii) 利益相反取引に関する情報開示として、会社が締結する契約に直接的または間接的に利害関係がある取締役は、当該契約が承認される際に、取締役会にて、その利害について開示しなければなりません(会社法130条(1))。

(3) 取締役の解任

 会社は、特殊決議(extraordinary resolution)にて、株を保有している取締役を任期満了前に解任することができ、普通決議で後任を任命することができます(会社法106条(1))。 

 

7.フィリピン

(1) 人数・資格・欠格事項

 改正会社法第23条は、取締役会の取締役の人数を15名以内と定めています。旧法における最低人数の規定は削除されました。取締役は、当法人の株式を少なくとも1株所有している必要があります。旧会社法における居住地規定が改正会社法では削除されたため、取締役の過半数あるいは全員が非居住者であっても問題ありません。取締役の国籍に関する制限もありません。ただし、1987年憲法、アンチ・ダミー法や外国投資法などの特別法、業界ごとの規制当局が定めた規則など、その他の関連規則や法律に従う必要があります。

(2) 権限の範囲

 取締役会は、会社のすべての業務を遂行し、財産を管理・保有する権限を有しており、株主の承認を特に必要とする場合を除き、原則として会社の主要な意思決定機関として機能します。また取締役会は、経営判断の枠内で会社役員を雇用・解雇したり、会社の役員、委員会、代理人にその権限の一部を委任する権限があります。

(3) 義務および禁止事項

 取締役は、(1)服従義務、(2)勤勉・注意義務、(3)忠誠義務の3つの義務に従わなければなりません。服従義務とは、取締役会が、実務上可能な限り、法律で定められた方法、手続の範囲内で行動すべきことを意味します。従って、会社のいかなる行為も、会社法または定款が認めている権限の範囲内で行われなければなりません。勤勉義務とは、取締役会が明白な違法行為に関与、あるいはそれに同意したり、承認したりすることを禁ずるものです。また、会社の業務を管理する上で、不誠実な行為や重大な過失を犯すことも認められません。忠実義務とは、取締役会のメンバーが会社の「特別な受託者」であるという考えを補強するものです。各取締役は、取締役としての義務と相反する個人的または金銭的な利益を得てはならず、自己のために取引することを禁じている事柄に関して、会社に不利な利益を得ようと試みたり、また実際に得たりしてはならないことを意味しています。この義務はまた、第三者から手数料や賄賂を受け取ることや、内部情報を利用して会社に不利益を及ぼすことも禁じています。ただし、利益相反取引に関しては3分の2を有する株主らによる承認がある場合はこの限りではありません。

(4) 選任・解任

 取締役を選出・解任する権限は株主総会にあります。

 

8.ベトナム

(1) 外資が設立する現地法人と業務執行機関

 ベトナムでは、外国人投資家、外国企業が現地法人を設立する場合に選択し得る会社の形態としては、①1人有限責任会社、②2人以上有限責任会社、③株式会社、④合名会社、⑤私営企業の5種類がありますが、これらのうち、外国投資家、外国企業がベトナム進出のために会社を設立する場合、①1人有限責任会社か②2人以上有限責任会社が通常選択されます。有限責任会社の場合、株式会社における取締役は設置されませんが、日常の業務を執行する機関として、社長及び法定代表者が任命されます。

(2) 有限責任会社の社長

 有限責任会社の社長は、社員総会又は会社の所有者(出資者)より任命された会長により任命されます。人数は1名のみで、国籍要件はありません。

 社長は、会社の日常的な経営活動を運営する者として社員総会で決議された事項を実施するほか、日常業務の処理、会社名義での契約締結、労働者の雇用などの権限、義務を有します。

 なお、1人有限会社の場合、社長の任期は最長5年とされています。

(3) 有限責任会社の法定代表者

 法定代表者は1名以上の個人であり、人数に制限はなく、国籍要件もありません。しかし、1名は必ずベトナム居住者でなければなりません。この居住者の要件については、一般的に、個人所得税法に定められている居住者に該当する要件である、1年に183日以上ベトナム国内に居住する者とされています。また、法定代表者が1名しかいない場合においてその者がベトナムから出国するときには、法定代表者の権限の行使及び義務の履行を他の個人に書面により委任しなければならないとされています。

 法定代表者は、会社の取引から発生する各権利を行使し、義務を履行する際、また仲裁手続や裁判手続において会社を代表します。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループ及びTNYグループ各社】

・TNY Group

 URL: http://www.tnygroup.biz/

・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所)

 URL: http://progress.tny-legal.com/

・佐賀(TNY国際法律事務所)
URL: https://tny-saga.com/

・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

 URL: http://www.tny-legal.com/

・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

 URL: http://www.tny-malaysia.com/

・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.)

URL: http://tny-myanmar.com

・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

 URL: http://tny-mexico.com

・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

 URL: http://www.tny-israel.com/

・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

URL: http://estonia.tny-legal.com/

・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

 URL: https://www.tny-bangladesh.com/

・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.)

 URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html

・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.)

 URL: https://www.kt-vietnam.com/

Newsletterの記載内容は2022年5月27日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

飲食店やイベントの開催について、マスク着用や大声の禁止等、基本的な感染拡大防止策がとられています。また、ワクチンのブースター接種が推奨されています(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP))。

1.2 入国規制

(1) 外国人の新規入国制限の見直しについて

 外国人の新規入国について、受入責任者の管理のもと、観光目的以外の新規入国が認められています。

 厚生労働省HP 外国人の新規入国制限の見直しについて

(2) 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(a) 入国後の自宅等待機期間の変更

  1. 検疫所の宿泊施設での待機対象となっている国・地域(以下「指定国・地域」)から帰国・入国する方で、COVID-19のワクチンを3回接種していない方は、指定の宿泊施設での3日間待機が求められます。宿泊施設で受けた検査の結果が陰性であれば、退所後の自宅等待機は求められません。
  2. 指定国・地域から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  3. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していない方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  4. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、入国後の自宅等待機を求められません。

厚生労働省HP 検疫所が確保する宿泊施設で待機を求める指定国・地域(4月6日付)

    (b)入国後の公共交通機関の使用について

 入国後24時間以内に自宅等待機のために自宅等まで移動する場合に限り、自宅等待機期間中であっても公共交通機関の使用が可能となります。

厚生労働省 HP 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(参考サイト)

外務省HP 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

タイのCOVID-19の累計感染者数は4,194,684名です。この内、3,999,541名が回復し、累計死亡者数は28,022名となっています。

タイ政府は、4月22日、COVID-19対策を適切に実施している認定店について、5月1日から酒類の提供を午前0時まで許可することを決定しました。

2.2 タイ入国規制

 4月22日のタイ政府の会議により、タイへの入国規制に関して、以下の点について緩和する方針であることが報じられています(Thailand Passは継続の方向)。ただし、現時点(4月26日)で正式に政府から発表がなされたわけではないため、今後の発表に注意する必要があります。

  • ワクチン規定回数接種者のタイ入国後のPCR検査について廃止し、ATK検査に変更する。初日の検査結果待ちのための隔離ホテルの予約は不要。
  • ワクチン規定回数未了、未接種者のホテル隔離は継続。タイ入国後4日目または5日目に、PCR検査の実施。ただし、タイ渡航前72時間以内のPCR検査の陰性証明があれば隔離措置免除。
  • 医療保険の保障額については、最低2万USドルから、最低1万USドルへと減額。

2.3 日本入国規制

タイから日本への入国時に必要とされていた、3日間の宿泊施設待機期間が解除されています。

有効なワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している場合、入国後の自宅等待機は求められておりません。ワクチンを3回接種していない場合、原則7日間の自宅等待機が求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合、その後の自宅等待機は求められておりません。

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 4月24日の新規感染者数は、4,006人でした。直近7日間(18日~24日)の平均も6,007人であり現在は落ち着いている印象です。

 新規感染者数やワクチン接種率等を基準に段階的に規制を設定した移動・活動制限令であるNRP(National Recovery Plan(以前はFMCOと呼ばれていました))では、全ての州が一番規制の緩和された第4段階の規制下にあります。

3.2 入国規制

 3月までは、労働ビザを持つ者や永住者等一部の外国人に入国を認めていましたが、4月1日からは観光目的の入国が可能となっています。

 7歳以上の渡航者は、引き続き出発前2日以内にPCR検査(スワブ検体)を受ける必要があり、マレーシアに入国するためのフライトに搭乗できるのは陰性の検査結果を有する者のみとなります。隔離期間は、ブースター接種済みを含むワクチン接種完了者及び健康上の理由でワクチン接種ができない者は、入国時検査が陰性であれば隔離は不要となります。ワクチン接種未完了者は入国日を1日目として5日目まで自宅隔離となります。また、17歳以下の者は、ワクチン接種の有無に関わらず、隔離は不要となります。

 渡航前には、英文での陰性証明書の取得、及びMySejahteraアプリをダウンロードし、健康情報等の必要事項を入力しておくことが必要となります。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19 及びクーデターの規制状況

 COVID-19 の陽性率は低くなり、感染状況は落ち着いております。また、夜間外出禁止令について、22時以降が禁止されていた規制が24時以降の外出禁止となり、緩和されました。

4.2 入国規制

国際旅客便の着陸禁止措置が4月17日で解除され、通常の商業便による入国が再開されました。また、e-visa申請が4月1日から再開されました。ビザの取得に当たり、国営のミャンマー保険公社の保険への加入が必須になっています。また、ANAの日本からの直行便はなくなり、タイ経由の便に変更されます。ミャンマー航空が日本との直行便を飛ばすと発表されておりますが、現時点では予約はできない状態です。入国後の隔離措置は現在も続いており、隔離期間は頻繁に変更があることから、直前に確認する必要があります。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

4月以降もメキシコのCOVID-19感染リスクを示す連邦政府の信号(赤、橙、黄、緑の4段階があり、赤が最も深刻)は、全32州が緑の状態が続いています。連邦政府による新たな規制は見られません。引き続き、手洗い等の予防措置の継続が呼びかけられておりますが、マスクの着用などの要請を緩和する動きも見られます。

なお、4月26日、メキシコ政府は、メキシコにおけるCOVID-19の蔓延状況は新規感染者数が減少していることからエンデミックへ移行すること、5月以降COVID-19感染リスクを示す信号は更新されないこと、間もなく新しい安全衛生ガイドラインが公表されることを公表しました。

5.2 入国規制

メキシコへの入国については、政府による外国人への入国制限等は行われていません。メキシコ国内の各空港では検温によるスクリーニングが実施されています。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

 バングラデシュでは、感染者が減少し、4月25日時点で24時間以内のCOVID-19による死者は0名、新規陽性者は24名で、陽性率は0.41%となっています。

6.2 入国規制

 バングラデシュでは、WHOが承認したCOVID-19ワクチン接種を完了した者は、公式なワクチン接種証明書を持参することで入国が認められ、PCR検査の陰性証明書は不要となっています。なお、3回目のブースター接種まで完了している必要はないとされています。ワクチン接種を完了していない者は、出発72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を持参していれば、バングラデシュ入国が認められます。

 更に、4月20日、民間航空局(CAAB)は、新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際措置を発表し、4月25日以降にバングラデシュに入国するすべての者は、渡航出発前3日以内にオンライン上(http://healthdeclaration.dghs.gov.bd)で必要事項を入力し、QRコード付きの健康申告書(Health Declaration Form)の画像データ、または印刷したコピーを、入国後にイミグレーションで提示する必要があります(http://caab.gov.bd/circul/AT%20Circular-FSR-02-2022%20(25APR22UFN))。

 バングラデシュへの渡航の際は、各航空会社や経由先が定める措置についても確認が必要です。

 

7.フィリピン

7.1 COVID-19関連の規制状況

 フィリピンの COVID-19 感染者は累計368万4835人で、死者数は累計60,195人です(2022年4月26日現在)。新規感染者は2021年の年末以降急激に増加し、2022年1月中旬をピークとしてその後急激に減少し、現在は1日約200人程度の新規感染者が報告されています。

 4月30日まで、マニラ首都圏は、警戒レベル「レベル1」とされています。

7.2 入国規制

ワクチン接種等の要件を満たす外国人の、商用・観光目的の査証免除による入国及び既存の有効な査証による入国が認められています(日本は査証免除対象国です)。出発国出発日時から14日間以上前に、2回接種するワクチンを2回接種済みであること、あるいは1回接種するワクチンを接種済みであることが必要です。また、フィリピン到着時、出発国出発前48時間以内の陰性のポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査結果、または検査室における24時間以内に陰性の抗原検査を提示することが必要です。

また、4 月1日以降、海外から入国する外国人は入国免除文書(EED)を必要とせずにフィリピンに入国することが可能となっています。

7.3 フィリピンから日本への入国者及び帰国者に対する規制

日本においては、3月1日以降、以下のとおり新たな水際対策措置が実施されています。なお、フィリピンについては「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」からの指定が解除されています。

  1. フィリピン(指定国・地域以外)からの帰国者・入国者であってワクチン3回目追加未接種者について、原則7日間の自宅等待機を求めることとした上で、入国後3日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であれば、その後の自宅等待機の継続を求めない。
  2. フィリピン(指定国・地域以外)からの帰国者・入国者であってワクチン3回目追加接種者について、入国後の自宅等待機を求めない。
  3. 入国後24時間以内に自宅等待機のために自宅等まで移動する場合に限り、自宅等待機期間中であっても公共交通機関の使用を可能とする。
  4. オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域を別途指定する場合には、当該国・地域からの帰国者・入国者については、自宅等待機等の期間を14日間とする。(※なお、現時点で、フィリピンは「オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域」には指定されていません。)
  5. 外国人の新規入国について、受入責任者の管理の下、観光目的以外の新規入国を認める。

8.ベトナム

8.1 COVID-19関連の規制状況

 2022年4月26日午前9時の時点におけるベトナムでの累計感染者数は1057万1772人で、1か月前の時点(3月29日)より約147万人増加しました。今年に入って一時は1日の新規感染者数が20万人〜40万人にも上ることもありましたが、徐々に減少し、ここ1週間ほどでは1万人前後で推移しています。

 ベトナム国内におけるコロナ対策による社会・経済規制の緩和はかなり進み、ホーチミン市内では、基本的にあらゆる経済活動が自由となっています。また少し前までは、大規模商業施設やオフィスビルなどの入口で検温が実施されたりコロナ対策のための健康申告アプリ”PC-COVID”の提示などを求められることも少なくありませんでしたが、そのような施設もかなり少なくなっています。

8.2 入国規制

(1) 外国人の入国制限

 ベトナム政府は、2022年3月15日より、新型コロナウイルス感染拡大防止のために実施されていた外国人の入国制限を大幅に緩和し、これまで必要とされていた入国承認や入国許可の手続を撤廃しました。日本国籍者の入国については、入国の目的にかかわらず(すなわち観光目的であっても)、

    ・ ベトナム滞在期間が15日以内であること

 ・ ベトナム入国の時点でパスポートの有効期間が6か月以上あること

 ・ ベトナムの法令の規定により入国禁止措置の対象となっていないこと

という要件を満たせば、ビザなしでベトナムへの入国が認められます(コロナ規制が実施される前と同様です。)。また、入国後の隔離もありません。

 なお、ベトナム入国にあたっては、次のいずれかの方法で実施した検査の陰性証明書(英語又はベトナム語で記載された紙の証明書に限ります。)を取得して持参する必要がありますが、4月25日より、ホーチミン市のタンソンニャット国際空港では、入国者の陰性証明書の確認がされなくなりました。これは、入国者についはベトナム行きのフライトに搭乗する際に航空会社において陰性証明書の確認を受けていることから、重複する作業を削減するためであると説明されています。

 ・ RT-PCR法/RT-LAMPを使用する場合:日本出国前72時間以内に検査を実施

 ・ 迅速抗原検査を使用する場合:日本出国前24時間以内に検査実施

 一方、ワクチン接種の有無や接種回数は入国の条件とはなっておらず、実際、日本出国時及びベトナム入国時の両方において、ワクチン接種証明書の提示は求められません。

 また、ベトナムへの入国前24時間以内にオンラインで医療申告を行うことが義務付けられています。スマートフォンなどで指定されたアドレスにアクセスしてオンラインで健康状態等を申告し、最後に表示されるQRコードのスクリーンショットを保存して、ベトナムの空港での検疫の際に提示する必要があります。

(2) 航空機の運航状況

 2022年2月15日から、ベトナム発着の全ての定期便の運航制限が解除されましたが、各航空会社は実際の需要をみながら発着する空港や本数を増やしていっている状況であり、まだコロナ前の水準には戻っていません。したがって、ベトナムへ渡航される際は、最新の運行状況に注意する必要があります。

第2.各国における相続制度の概要

1.日本

 「相続」とは、個人が死亡した場合に、その者の有していた財産上の権利義務をその者の配偶者や子など一定の身分関係にある者に承継させる制度のことをいい、この場合、財産上の権利義務を承継される者のことを「被相続人」、これを承継する者のことを「相続人」といいます。相続については、民法にて定められています。

(1) 相続人の種類と順位

 相続人となり得る者は、被相続人のi) 子(民法第887条第1項)、ii) 直系尊属(父母、祖父母など)(民法第889条第1項第1号)、iii) 兄弟姉妹(民法第889条第1項第2号)並びにiv) 配偶者(法律上婚姻関係にある者で、内縁関係を含まない)(民法第890条)です。これらの者のうち、配偶者は、常に相続人となることができ(民法第890条)、被相続人の死亡よりも前に被相続人の子が死亡している場合など被相続人の子が相続権を失った場合、その者の子(被相続人の孫)が相続人(代襲相続人といいます)となります(民法第887条第2項)。直系尊属及び兄弟姉妹は、被相続人の子又は代襲相続人がいない場合に相続人となることができます(民法第889条第1項)。相続人の順位は、第一順位が子と配偶者、第二順位が直系尊属と配偶者、第三順位が兄弟姉妹と配偶者となります(民法第887条、889条、890条)。

(2) 相続欠格

 以下の相続秩序を侵害する非行(相続欠格事由)をした相続人の相続権は何らの手続を経ずに法律上当然にはく奪されます(民法第891条)。

  1. 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者
  2. 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。
  3. 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
  4. 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
  5. 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

(3) 推定相続人の廃除

 遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(民法第892条)。この廃除は、相続欠格事由ほど重大な非行ではないが、被相続人からみて自己の財産を相続させるのが妥当でないと思われる非行が存在する場合に、被相続人の意思に基づいて当該相続人の相続資格をはく奪する制度です。

 なお、遺留分とは、一定の相続人に対して、遺言によっても奪うことのできない遺産の一定割合の留保分のことをいいます。被相続人は、自身の財産の行方を遺言により自由に定めることができますが、被相続人の遺族の生活の保障のために一定の制約があります。これが遺留分の制度です。

(4) 相続分の種類

① 法定相続分

 「法定相続分」は、被相続人が遺言で相続分を指定していない場合に、遺産分配の基準となるものであり、同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の通りです(民法第900条)。

相続人 法定相続分 留意事項
子と 配偶者 子 2分の1
配偶者 2分の1
子が数人あるときは、子の法定相続分を均分する。
直系尊属と配偶者 直系尊属 3分の1
配偶者 3分の2
同じ親等の直系尊属が数人あるときは、
直系尊属の法定相続分を均分する。
兄弟姉妹と配偶者 兄弟姉妹 4分の1
配偶者 4分の3
兄弟姉妹が数人あるときは、兄弟姉妹の法定相続分を均分する。
ただし、父母の一方を同じくする兄弟姉妹の相続分は、
父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。

 

② 指定相続分

 相続人が複数いる場合、被相続人は遺言で共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができます(民法第902条)。

(5) 相続の承認と放棄

 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりませんが、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができます(民法第915条)。

1. 相続の承認

(a) 単純承認

 単純承認とは、債務を含めた相続財産の全てを受け入れることで、相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継します(民法第920条)。また、相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときや、規定の期間内に相続の放棄又は限定承認をしなかったときは、単純承認をしたとみなされます(民法第921条)。

(b) 限定承認

 限定承認とは、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して行う相続の承認です(民法第922条)。限定承認は、相続の開始を知った日から3か月以内に、相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述しなければなりません(民法第915条及び924条)。なお、相続人が数人あると きは、共同相続人の全員が共同してのみ行うことができます(民法第923条)。

2. 相続の放棄

 相続の放棄とは、債務を含めた相続財産の全ての承継を拒否することをいいます。相続の放棄は、相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続を放棄する旨の申述をして行います(民法第915条及び第938条)。基本的に、相続の放棄は撤回することはできません(民法第919条第1項)。

 

2.タイ

(1) タイ相続法の概要

 日本でいう民法に該当する規定であるタイ民商法典(Civil and Commercial Code、以下「民商法典」)において、相続についての定めがなされています。相続に関する制度の大枠自体はタイも日本と同様となっています。ただ、法定相続人の定め方やその相続分、僧侶の相続に関する規定がある点などは日本と異なります。

相続財産は、遺言がある場合には遺言の定めに基づき相続が行われ、遺言がない場合には法律の定めに基づき相続が行われます(民商法典第1603条)。遺言があっても、その相続財産全部に対しての遺言がされていない場合や遺言が無効である場合には、遺言の及ばない部分については民商法典の定めに基づく相続が行われることになります(同法第1620条)。

(2) 法定相続順位について

 民商法典の定めに基づき相続が行われる場合、法定されている相続人となる者(法定相続人)及びその相続順位は、以下の通りとなります(同法第1629条、第1635条)。

第1順位 被相続人(死亡した本人)の直系卑属(子)

第2順位 被相続人の父母

第3順位 被相続人と父母を同じくする兄弟姉妹

第4順位 被相続人と父母の一方を同じくする兄弟姉妹

第5順位 被相続人の祖父母

第6順位 被相続人の叔父(伯父)、叔母(伯母)

この第1順位を優先し第6順位までの順番で、各法定相続人が相続する権利を有することとなります。基本的には、後順位の者は前順位の者が相続する場合には、相続できなくなります。もっとも、被相続人の父母に関してはこの例外として、他の法定相続人が相続する場合でも、常に子と同じ順位で相続するものとされています(同法第1630条)。

また配偶者がいる場合には、配偶者も相続人となります。配偶者の法定相続分は、同時に相続する他の法定相続人の種類により異なる相続分となっています(同法第1635条)。例えば、子が相続人となる場合には、子と同順位として同じ割合で相続し、他の相続人が第5順位の祖父母となる場合には、配偶者が3分の2の割合で相続することになります。

(3) 廃除及び相続放棄

  タイにおいても法定相続人について、被相続人となる者が生前に、法定相続人となる者を廃除することにより、相続させないとする制度が存在します(同法第1608条)。また、相続人による相続放棄の制度についても、タイにおいて規定されています(同法第1612条)。

(4) まとめ

 日本人がタイに居住し、タイに財産を有したまま遺言なく死亡した場合、この者の相続手続きをタイで進めるためには、上述の法定相続人の順位や分割の定めに従い、相続手続きを行うこととなります。

 また相続手続きを行うために、遺産管理人として相続財産の管理や具体的な分割手続きを行う者の選任を、裁判所にて行う必要があります。

 日本人のタイでの相続は、残された相続人がタイに居住していない場合、タイの国の慣習や言語に不慣れなことに加え、制度自体も把握できないことが想定されるため、あらかじめ遺言を作成しておくことや、必要な手続きについて親族間で確認しておくことが、将来の紛争や問題を生じさせないために有益であると思われます。

 

3.マレーシア

 マレーシアにおける相続手続は、遺産分配法(Distribution Act 1958)によって規律されます。

(1) 相続に関する法の適用

 相続財産が動産の場合、被相続人が死亡時に居住していた国の法律により相続が行われ、相続財産が不動産の場合、被相続人が死亡した場所にかかわらず、遺産分配法の規定に従い相続が行われます(遺産分配法4条)。

 そして、遺産分配法6条では、ある者が遺言を残さずに死亡した場合、相続財産の管理費用等を支払った後は、この法律に従い相続財産が分配される旨規定しています。相続財産の一部について、遺言が残されている場合、遺言により遺贈されない相続財産については、遺産分配法が適用されます(遺産分配法8条)。

(2) 相続人の種類と法定相続分

 遺産分配法6条1項によれば、相続人の種類と法定相続分は以下の通りです。

相続人 親の相続分 配偶者の相続分 子の相続分
親のみ 財産全部
配偶者のみ 財産全部
子のみ 財産全部
親と配偶者 2分の1 2分の1
配偶者と子 3分の1 3分の2
親と子 3分の1 3分の2
親、配偶者及び子 4分の1 4分の1 2分の1

 被相続人が法に基づき複数の妻との婚姻が許可されていた場合、複数の妻は、一人の妻が得るべき持ち分を平等に分配することとなります(遺産分配法6条2項)。

 また、相続人の子が亡くなっている場合、その子孫が「子」に含まれます。「子」は嫡出子でなければならず、被相続人が法に基づき複数の妻との婚姻を許可されていた場合は、当該妻の子が含まれますが、養子縁組法(Adoption Act 1952)の規定に基づき養子縁組された子以外の子は含まれません(遺産分配法3条)。 

 

4.ミャンマー

ミャンマーの相続は、属する宗教によって異なる慣習法に従います。主に仏教徒、イスラム教徒、キリスト教徒で異なり、両方が同じ宗教か、それとも異なる宗教かでも異なります。また、いずれかの当事者が外国人の場合にはその場合にも取扱が変わることがあるため、実際のケースに即して専門家に相談される必要があります。特に、ミャンマーにおいては土地の所有が会社の名義ではなく個人の名義になっていることが多く、その場合には相続が生じた場合には誰が承継するのかを事前に確認することが望ましいです。

 

5.メキシコ

(1) 関連規定

メキシコの相続に関する規定は民法に定められています。連邦民法(Código Civil Federal)のほか、各州の民法にも相続の規定がありますが、ほぼ共通の内容と言われています。以下では、連邦民法の規定の内容をご紹介いたします。

(2) 法定相続

遺言がない場合、遺産分割協議により相続財産の分割を決定することができます。これがまとまらない場合には、法定相続分に応じて、遺産を相続することになります。

相続人となりうるのは、直系卑属(養子を含む。)、配偶者、直系尊属、4親等内の傍系血族および内縁の配偶者(ただし、被相続人死亡の前5年間同棲していたか、両者の間に子がいる場合に限ります。)です。

ただし、配偶者は、夫婦の財産全てについて財産分離制(separación de bienes)を採用していた場合には相続権はありません。メキシコにおける婚姻関係においては夫婦財産契約において、夫婦組合制(sociedad conyugal)または財産分離制(separación de bienes)を選択することとなります。全財産のうち一部のみを財産分離制とすることもでき、財産分離制を採らない財産は、夫婦がこれを共有することとなり、当該財産について配偶者に相続権が生じます。夫婦の財産全てについて財産分離制を採用しない場合には、全てが夫婦共有財産となり、配偶者に相続権が生じます。

また、上記相続人となりうる者のうち、世代により構成される順位の最も高い親族のみが相続人となるのが原則です。同順位の親族は、均等に相続をすることになります。順位については、第1順位が、子(養子を含む。)、配偶者、父母(養父母を含む)、第2順位が、祖父母、兄弟姉妹、孫、養子による兄弟姉妹、第3順位がおじ、おば、甥、姪、曾祖父母、ひ孫、第4順位は、いとこ、大おじ、大おばとなります。

たとえば、被相続人に配偶者(全ての財産について財産分離制を採用しなかった場合)と子2人がいる場合は、配偶者と子2人が相続人となり、法定相続分は3分の1ずつとなります。ただし、一部に財産分離制を採用している場合は、当該財産については子2人が相続し、当該財産以外の財産を配偶者と子2人で3分の1ずつ分割することとなります。また、第2順位となる被相続人の祖父が相続を受けるのは、第1順位にあたる子、配偶者、父母らがいない場合となります。

上記が法定相続に関する原則となりますが、いくつか例外が設けられています。

相続人となる者が配偶者(全ての財産について財産分離制を採用しなかった場合)と直系尊属の場合には、相続財産は2等分され、一方は配偶者に、他方は直系尊属に分割されます。たとえば、被相続人に、配偶者、父母がいた場合、法定相続分は配偶者が2分の1、父母が各4分の1となります。ただし、一部に財産分離制を採用している場合は、当該財産については父母が相続し、当該財産以外の財産を配偶者が2分の1、父母が4分の1ずつ取得することとなります。

また、相続人となる者が、配偶者(すべての財産について財産分離制を採用しなかった場合)と被相続人の兄弟姉妹の場合は、配偶者は相続財産の3分の2を、残りの3分の1は兄弟姉妹に割当てられ、兄弟姉妹間で均等に分割されることとなります。ただし、一部に財産分離制を採用している場合は、当該財産については兄弟姉妹が相続し、当該財産以外の財産を配偶者が3分の2、兄弟姉妹が3分の1を取得することとなります。

(3) 相続放棄・相続人の廃除

① 相続放棄

相続放棄は、明示的に、裁判官の面前で書面により、または、公証人の面前で公正証書により行われなければなりません。

相続人が相続を受け入れるか否かを表明することに利害関係を有する者は、相続の開始後9日以内に、裁判官に対し、相続人が相続を放棄するか表明するための1ヶ月を超えない期限を設けるよう請求することができ、この請求をしないときは、相続を受け入れたものとみなされます。日本と比べると熟慮期間は短く、相続放棄を検討する場合には早期に対応を行う必要があります。

また相続放棄は、いったん行われると取り消すことができず、詐欺または暴力によって行われた場合を除き、異議を申し立てることができません。

② 相続人の廃除等

相続人の廃除は、日本においては、被相続人の意思に基づいて推定相続人の相続権を失わせる制度ですが、メキシコにおいては、これに対応した制度はありません。ただし、相続の利害関係人からの請求により、次の事由に該当する者に対し、推定相続人の相続権を失わせることはできます。

  • 被相続人、その親、その子、その配偶者、その兄弟姉妹に死を与え、命じ、または与えようとした罪で有罪判決を受けた者。
  • 被相続人、その直系尊属、その直系卑属、その配偶者又はその兄弟姉妹に対して、死刑又は禁錮に当たる罪の告発をした者。ただし、告発者、その直系尊属、その直系卑属、その兄弟姉妹又はその配偶者の生命や名誉のために必要とした行為の場合は除く。
  • 裁判によって不貞相手とされた配偶者。
  • 不貞した配偶者の共犯者。
  • 被相続人、その子、その配偶者、その直系尊属またはその兄弟姉妹に対して行った禁錮刑に当たる罪を犯した者。
  • 子を遺棄する父親および母親。
  • 直系卑属を放棄し、売春させ、堕落させた直系尊属。
  • 親族で、扶養の義務を有するにもかかわらず、これを履行していない者。
  • 働くことができず、資力がない被相続人を迎えること、または福祉施設で保護させることに配慮しない親族。
  • 遺言を作成させ、作成させず、または撤回させるために、暴力や詐欺を行った者。
  • 刑法に基づき、幼児を隠蔽、取り換えまたは出産偽証する罪を犯した者。ただし、当該相続が幼児または当該行為によって損害を受けた者もしくは損害を受けようとした者に対応すべきものであった場合に限る。

 

6.バングラデシュ

 バングラデシュの相続は、属する宗教によって異なるルールや慣習に従います。1925年相続法(The Succession Act, 1925(以下、「相続法」という))にて遺言や相続の概要が規定されているものの、多くの規定はイスラム教徒には適用されず、当事者がイスラム教徒の場合、相続、結婚、持参金(ダウリー)、離婚、遺贈、後見人、寄進等については、イスラム法が適用されます。

(1) イスラム法による相続人

 イスラム教徒が死亡した場合、遺産からi) 埋葬および死亡費用、ii) 死亡の3か月前までのサービス、iii) 債務、iv) 遺言にかかる費用、v) 資産にかかる相続証明書の支払いの後に残ったものが、イスラム法の規定に従って相続人に分割されます。

 主たる相続人として、① Jabiul Furujと② Asbaganが挙げられます。① Jabiul Furujには、夫、父、祖父、義兄弟、妻、娘、息子の娘、母、父方の祖母、母方の祖母、姉妹、義姉妹(継母の娘)、義姉妹(継父の娘)が含まれ、このカテゴリのなかで、相続人の家族構成等の条件によって相続分の割合が決められています。② Asbaganには、i) 息子、娘、息子の息子、息子の娘、ii) 父、祖父、iii) 兄弟姉妹、義兄弟、甥、義兄弟(継母の息子)の息子、兄弟の息子、義兄弟(継母の息子)の息子の息子、iv) 叔父又は伯父、いとこ、いとこの息子などが含まれます。

(2) イスラム法における相続手続き

 Jabiul Furuj(上記)に含まれる相続人の間で、イスラム法に規定された割合で遺産を分割し、残りをAsbagan(上記)に含まれる相続人の間で、規定の割合で分割します。Asbaganに該当する相続人がいない場合は、夫及び妻を除くJabiul Furujの相続人の間で、再分割されます。

(3) 相続法

 無遺言相続及び遺言による相続について規定していますが、無遺言相続について、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、仏教徒、シーク教徒及びジャイナ教徒の財産には適用されません。更に、ゾロアスター教徒とゾロアスター教徒以外で異なる規定が定められています。遺言による相続は、ヒンドゥー教徒、仏教徒、シーク教徒及びジャイナ教徒による遺言、バングラデシュ国内の不動産資産に関してなされたバングラデシュ国外での遺言に対して適用されます。

 

 

7.フィリピン

(1) はじめに

 相続人は、遺言によって(遺言相続)、または法律によって(法定相続)、その範囲が確定します。遺言による相続人がいない場合、法律により、嫡出および非嫡出の区別を問わず故人の親族に相続権が生じます。法定相続については、民法第960条から第1014条が、法定相続人の扱いについて詳細に規定しています。

 相続では、被相続人に最も近い親族が、より遠い親族に優先されます。関係の近さを示す指標としては、日本と同じく「親等」の概念が採用されており、たとえば親等数が同じである親族は均等に相続できるとされます(一定の例外あり)。相続は、第一に直系卑属(子・孫など自分より後の世代で、直通する系統の親族)を対象とします。被相続人の子および子孫がいない場合、その父母およびその子孫が相続しますが、ここに傍系親族(兄弟、姉妹、叔父叔母、従兄弟、甥、姪など)は含まれません(985条)。直系の子孫、尊属、非嫡出子、生存配偶者がいない場合、傍系親族が相続します(1004条から1010条)。相続権を有する者がいない場合、裁判所規則の定めるところに従い、国が遺産の全部を相続します(1011条、1012条)。

(2) 相続の放棄

 相続人は、相続を放棄することができます。相続放棄は、公的文書で行うか、司法の承認を必要とする場合には、遺言・相続の手続きを管轄する裁判所に提出する請願書によって行わなければなりません(1051条、1057条)。進行中の遺言・相続に関する手続きにおいて相続を放棄するには、裁判所が遺産分割の命令を出してから30日以内に、相続人は裁判所に対して相続を承認するか放棄するかを意思表示しなければなりません。期間内に意思表示をしない場合、相続人は相続を承認したものとみなされます(1057条)。

 相続の放棄は、一旦成立すると取り消すことができません(1056条)。

 相続人が相続財産を放棄して債権者を害した場合、債権者は裁判所に対し、相続人の名で相続財産を承認することを許可するよう申し立てることができます。

 相続人が相続を承認または否認することなく死亡した場合、その権利は当該相続人の相続人に移転します(1053条)。

(3) 相続廃除について

 相続人の廃除(相続の資格が奪われること)は、法律上の廃除の原因を特定した上でなされる遺言によってのみ行うことができます。これらの原因の一部は次のとおりです。

  1. 相続人が遺言者、その配偶者、子孫、または尊属の生命を害する企てを行ったと認められたとき。
  2. 相続人が遺言者を6年以上の懲役が定められている罪で告発し、その告発に根拠がないことが判明したとき。
  3. 相続人が遺言者の配偶者と姦通または姦淫の罪を犯したとき。
  4. 詐欺、暴力、脅迫、不当な影響力によって相続人が遺言者に遺言を作成させたり、既に作成された遺言を変更させた場合。
  5. 遺言者の扶養を不当に拒否したとき。
  6. 相続人が遺言者への言動による虐待を行ったとき。
  7. 相続人が不名誉な生活を送っているとき。
  8. 相続人が民法上の権利剥奪を伴う罪を犯したとき。
  9. 相続人たる親が子を捨てたり、子に堕落した生活や不道徳な生活をさせたり、道徳に反することをしようとしたとき。
  10. 遺言者の親の一方が他方の親の生命に対して企てたとき。ただし、両者の間に和解が成立している場合はこの限りではない。
  11. 相続人たる配偶者が別離または親権喪失の原因を作ったとき。
 

8.ベトナム

(1) 被相続人が外国人である場合の準拠法

 ベトナム民法では、不動産に関する相続については当該不動産が所在する国の法律に従って処理され、その他の財産については、相続財産を残した者が死亡の直前に有していた国籍国の法律に従って処理されることになります。

(2) 法定相続

  1. 遺言書がない場合における法定相続人の順序は、次のとおりです。

 ・第1順位 被相続人の配偶者、実父母、養父母、実子、養子

 ・第2順位 被相続人の祖父母、兄弟姉妹、実孫

 ・第3順位 被相続人の曽祖父母、叔父叔母、実の甥姪、実の曾孫

 同じ順位内の相続人間の相続分は均等です。

  1. 被相続人の子が被相続人よりも先に死亡した場合又は同時に死亡した場合、被相続人の孫が相続人となります。被相続人の子及び孫が被相続人よりも先に死亡した場合又は同時に死亡した場合、曾孫が相続人となります。

(3) 債務の相続

 債務も相続の対象となりますが、相続人は、別段の合意がない限り、被相続人の遺産の範囲内で債務の履行義務を負うに過ぎません。遺産分割が実行された場合についても、各相続人は、別段の合意がない限り、分割により取得した遺産の範囲内で債務の相続義務を負うに過ぎません。したがって、別段の合意がない限り、遺産によって履行がなされない債務については消滅することになります。

(4) 相続放棄

 相続人は、自己の債務の履行を免れる目的である場合を除き、相続放棄をすることができます。日本法に基づく相続放棄は家庭裁判所に「相続放棄の申述」をしなければならず、また、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」という期間制限がありますが、ベトナム法の場合、自ら書面を作成すればよく、また、遺産分割が実行される前であればいつでも相続放棄をすることができます。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループ及びTNYグループ各社】

・TNY Group

 URL: https://www.tnygroup.biz/

・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所)

 URL: http://progress.tny-legal.com/

・佐賀(TNY国際法律事務所)
URL: https://tny-saga.com/

・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

 URL: http://www.tny-legal.com/

・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

 URL: http://www.tny-malaysia.com/

・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.)

URL: http://tny-myanmar.com

・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

 URL: http://tny-mexico.com

・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

 URL: http://www.tny-israel.com/

・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

URL: http://estonia.tny-legal.com/

・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

 URL: https://www.tny-bangladesh.com/

・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.)

 URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html

・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.)

 URL: https://www.kt-vietnam.com/

Newsletterの記載内容は2022年4月26日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

令和4年1月から実施されていたまん延防止等重点措置は、3月21日をもって全ての都道府県で終了しました。引き続き、基本的な感染拡大防止対策が求められ、ワクチンのブースター接種が推奨されています(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP))。

1.2 入国規制

(1) 外国人の新規入国制限の見直しについて

外国人の新規入国について、下記(a)又は(b)の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めています。

(a) 商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国

(b) 長期間の滞在の新規入国

厚生労働省HP 外国人の新規入国制限の見直しについて

(2) 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(a) 入国後の自宅等待機期間の変更

  1. 検疫所の宿泊施設での待機対象となっている国・地域(以下「指定国・地域」)から帰国・入国する方で、COVID-19のワクチンを3回接種していない方は、指定の宿泊施設での3日間待機が求められます。宿泊施設で受けた検査の結果が陰性であれば、退所後の自宅等待機は求められません。
  2. 指定国・地域から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  3. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していない方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  4. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、入国後の自宅等待機を求められません。

厚生労働省HP 検疫所が確保する宿泊施設で待機を求める指定国・地域(3月30日付)

    (3)入国後の公共交通機関の使用について

 上記(a) ii)及びiii)に該当する方は、入国後の待機のため自宅等まで移動する際は、公共交通機関の使用が可能となります。

厚生労働省 HP 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(参考サイト)

外務省HP 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について

厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症について

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

タイのCOVID-19の累計感染者数は3,600,787名です。この内、3,331,370名が回復し、累計死亡者数は25,048名となっています。

2.2 タイ入国規制

 Test and Goのタイ入国後のPCR検査について、5日目の検査はATK検査を入国者自ら行うことが可能であり、5日目の隔離ホテル等の予約が不要となっています。

1日目:タイ到着後、政府指定隔離ホテルにてPCR検査。ホテルにて検査結果が出るまで待機。

     陰性の場合、タイ国内を自由に移動が可能。

5日目:入国者自らATK検査。隔離ホテルの予約不要。

Thailand passの登録時に必要とされている医療保険の補償額については、最低2万USドルとなっています。

2.3 日本入国規制

現在、タイから日本への入国時に必要とされていた、3日間の宿泊施設待機期間が解除されています。

有効なワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している場合、入国後の自宅等待機は求められておりません。ワクチンを3回接種していない場合、原則7日間の自宅等待機が求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合、その後の自宅等待機は求められておりません。

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 3月28日の新規感染者数は、14,467人でした。3月前半は感染者数が3万人を超えピークを迎えていましたが、現在は減少傾向にあります。

 新規感染者数やワクチン接種率等を基準に段階的に規制を設定した移動・活動制限令であるNRP(National Recovery Plan(以前はFMCOと呼ばれていました))では、全ての州が一番規制の緩和された第4段階の規制下にあります。

3.2 入国規制

 これまで、観光目的の入国はランカウイ等へのトラブルバブル制度を利用した入国に限られていましたが、4月1日以降は、観光目的も含めて入国が可能となる予定です。

 7歳以上の渡航者は、引き続き出発前2日以内にPCR検査(スワブ検体)を受ける必要があり、マレーシアに入国するためのフライトに搭乗できるのは陰性の検査結果を有する者のみとなります。隔離期間については、ブースター接種済みを含むワクチン接種完了者及び健康上の理由でワクチン接種ができない者は、入国時検査が陰性であれば隔離不要となります。ワクチン接種未完了者は入国日を1日目として5日目まで自宅隔離となります。また、17歳以下の者は、ワクチン接種の有無に関わらず、隔離不要となります。

 渡航前には、英文での陰性証明書の取得(ワクチン接種完了者の場合)、及びMySejahteraアプリをダウンロードし、健康情報等の必要事項を入力しておくことが必要となります。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19 及びクーデターの規制状況

 COVID-19 の陽性率は低くなり、感染状況は落ち着いております。また、夜間外出禁止令について、22時以降が禁止されていた規制が24時以降の外出禁止となり、緩和されました。

4.2 入国規制

3月は3日、31日にANA 便が飛びました。4月7日、4月21日、28日、5月12日に救援便が運航予定です。現状としてはミャンマーへの入国は日本からの救援便以外に方法はない状況です。しかし、ついに国際旅客便の着陸禁止措置が4月17日で解除される旨が発表されました。また、e-visa申請が4月1日から再開される旨も発表されました。今後の運用がコロナ禍前に完全に戻るのかについて注目されます。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

3月以降もメキシコのCOVID-19新規感染者の増加は鈍化し、感染リスクを示す連邦政府の信号(赤、橙、黄、緑の4段階があり、赤が最も深刻)は、3月21日の週は、全32州が緑となりました。連邦政府による新たな規制は見られません。引き続き、手洗い等の予防措置の継続が呼びかけられておりますが、マスクの着用などの要請を緩和する動きも見られます。

5.2 入国規制

メキシコへの入国については、政府による外国人への入国制限等は行われていません。メキシコ国内の各空港では体調や渡航履歴に関するアンケートへの回答や検温によるスクリーニングが実施されています。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

 バングラデシュでは、感染者が減少し、3月27日時点で3日連続COVID-19による死者が出ていません。COVID-19関連の規制は撤廃され、学校も再開されましたが、マスク着用は義務づけられています。

6.2 入国規制

 3月8日、民間航空局は、新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際措置を発表し、WHOが承認したCOVID-19ワクチン接種を完了した者は、公式なワクチン接種証明書を持参することでバングラデシュ入国が認められ、PCR検査の陰性証明書は必要とされないこととなりました。3回目のブースター接種まで完了している必要はないとされています。ワクチン接種を完了していない者は、出発72時間以内に実施されたPCR検査の陰性証明書を持参していれば、バングラデシュ入国が認められます。なお、ワクチン接種の有無にかかわらず、バングラデシュ到着時に新型コロナの兆候が見られる渡航者については、政府指定病院/施設でPCR検査を受け、陽性の場合は、費用自己負担の上、政府指定施設又はホテルにおいて隔離されます。7日後に再度PCR検査を受け、陰性であった場合は、隔離を終えることができます。

 

7.フィリピン

7.1 COVID-19関連の規制状況

 フィリピンの COVID-19 感染者は累計367万7616人で、死者数は累計59,038人です(2022年3月29日現在)。新規感染者は2021年の年末以降急激に増加し、2022年1月中旬をピークとしてその後減少傾向にあります。現在は1日約300~400人程度の新規感染者が報告されています。

 また、3月31日まで、マニラ首都圏は、警戒レベル「レベル1」とされています。

7.2 入国規制

 ワクチン接種等の要件を満たす外国人の、商用・観光目的の査証免除による入国及び既存の有効な査証による入国が認められています(日本は査証免除対象国です)。出発国出発日時から14日間以上前に、2回接種するワクチンを2回接種済みであること、あるいは1回接種するワクチンを接種済みであることが必要です。また、フィリピン到着時、出発国出発前48時間以内の陰性のポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査結果、または検査室における24時間以内に陰性の抗原検査を提示することが必要です。

さらに、4月1日00時01分以降、海外から入国する外国人は入国免除文書(EED)を必要とせずにフィリピンに入国することができます。

7.3 フィリピンから日本への入国者及び帰国者に対する規制

 日本においては、3月1日以降、以下のとおり新たな水際対策措置が実施されています。なお、フィリピンについては「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」からの指定が解除されています。

  1. フィリピン(指定国・地域以外)からの帰国者・入国者であってワクチン3回目追加未接種者について、原則7日間の自宅等待機を求めることとした上で、入国後3日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であれば、その後の自宅等待機の継続を求めない。
  2. フィリピン(指定国・地域以外)からの帰国者・入国者であってワクチン3回目追加接種者について、入国後の自宅等待機を求めない。
  3. 入国後24時間以内に自宅等待機のために自宅等まで移動する場合に限り、自宅等待機期間中であっても公共交通機関の使用を可能とする。
  4. オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域を別途指定する場合には、当該国・地域からの帰国者・入国者については、自宅等待機等の期間を14日間とする。(※なお、現時点で、フィリピンは「オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域」には指定されていません。)
  5. 外国人の新規入国について、受入責任者の管理の下、観光目的以外の新規入国を認める。
 

8.ベトナム

8.1 COVID-19関連の規制状況

 2022年3月29日午前9時の時点でにおけるベトナムでの累計感染者数は909万4849人で、1か月前の時点(2月28日)より約565万人増加しました。これは、旧正月(テト)休暇があけた2月上旬からオミクロン株の感染が急拡大したことが原因で、日によっては1日の新規感染者数が40万人を超えたこともありました。

 一方で、感染者数の増加に比べ重傷者数や死者数の増加が比較的抑えられていることから、昨年10月からの様々な分野における社会・経済規制の緩和は進められており、ホーチミン市では、3月22日の時点で、「レベル4」(超高リスク=レッドゾーン)及び「レベル3」(高リスク=オレンジゾーン)と評価される行政区がゼロとなり、市内では基本的にあらゆる経済活動が自由となっています。

8.2 入国規制

(1) 外国人の入国制限

 ベトナム政府は、2022年3月15日より、新型コロナウイルス感染拡大防止のために実施されていた外国人の入国制限を大幅に緩和し、これまで必要とされていた入国承認や入国許可の手続を撤廃しました。日本国籍者の入国については、入国の目的にかかわらず(すなわち観光目的であっても)、

    ・ ベトナム滞在期間が15日以内であること

 ・ ベトナム入国の時点でパスポートの有効期間が6か月以上あること

 ・ ベトナムの法令の規定により入国禁止措置の対象となっていないこと

という要件を満たせば、ビザなしでベトナムへの入国が認められます(コロナ規制が実施される前と同様です。)。また、入国後の隔離もありません。

 但し、ベトナム入国にあたっては、次のいずれかの方法で実施した検査の陰性証明書(英語又はベトナム語で記載された紙の証明書に限ります。)を取得して持参する必要があります(ベトナムの空港での検疫だけでなく、日本の空港での搭乗手続の際にも確認がなされます。)。

 ・ RT-PCR法/RT-LAMPを使用する場合:日本出国前72時間以内に検査を実施

 ・ 迅速抗原検査を使用する場合:日本出国前24時間以内に検査実施

 一方、ワクチン接種の有無や接種回数は入国の条件とはなっていません。

 また、ベトナムへの入国前24時間以内にオンラインで医療申告を行うことが義務付けられています。スマートフォンなどで指定されたアドレスにアクセスしてオンラインで健康状態等を申告し、最後に表示されるQRコードのスクリーンショットを保存して、日本の空港での搭乗手続の際、及びベトナムの空港での検疫の際に提示する必要があります。

 なお、このオンライン医療申告とは別に、ベトナム国内では、滞在ホテルや訪問する施設などによっては、”PC-COVID”というオンライン医療申告アプリの提示やこのアプリによる施設掲示のQRコードの読み取りを求められることがあります。こちらもあらかじめアプリストアからダウンロードしてインストールし、初期設定を済ませておいてください。

(2) 航空機の運航状況

 2022年2月15日から、ベトナム発着の全ての定期便の運航制限が解除されています。しかし、3月29日時点において、各航空会社は、実際の需要をふまえて発着する空港や本数を限定しており、コロナ前の水準にはまだまだ届かない状況です。例えば、LLC(格安航空会社)のベトジェットエアーは、3月29日時点で、関空発着のホーチミン、ハノイ便は再開していません。また、ベトナム航空は、3月30日から毎週水曜日と土曜日に関空発着のホーチミン便を再開すると発表していますが、実際には、水曜日、土曜日であってもフライトがなかったり関空発しかなかったりするようです。

 したがって、入国制限は大幅に緩和されたものの、ベトナムへ渡航される際は、最新の運行状況に注意する必要があります。

第2.各国における仲裁制度の概要

1.日本

 仲裁とは、紛争解決方法のひとつで、裁判よりも柔軟な解決が可能です。特徴として、仲裁判断は裁判所の確定判決と同一の効力を有し、当事者は仲裁判断については、基本的に、不服申立てをすることができません。

(1) 国際仲裁

 国際仲裁は、国際商取引をめぐる紛争について、各国の国内裁判所による解決ではなく、当事者が第三者である仲裁人を選び、その判断により紛争解決を図る手続です。ニューヨーク条約(後述)等の諸条約により外国における執行が容易であること、原則として非公開であり企業秘密が守られること、専門的・中立的な仲裁人を当事者が選ぶことができること、司法の信頼性が低い国における裁判の利用を回避できること、一審限りで手続を終了するのが通常であり、審問の期日の設定も柔軟な対応が可能であるため、迅速な紛争の解決を実現することも可能であること、等のメリットがあります。

(2) 外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約(ニューヨーク条約)

 ニューヨーク条約の締約国は、同条約が定める要件を充足する外国仲裁判断(その国以外の国を仲裁地とする仲裁判断)の承認・執行を、原則として拒否できません。ただし、ニューヨーク条約第5条2項は、「紛争の対象である事項がその国の法令により仲裁による解決が不可能なものであること」、または「判断の承認・執行が、その国の公の秩序に反すること」のいずれかに該当するときには、承認及び執行を求められた国の権限ある機関は職権によって、その仲裁判断の承認・執行を拒否することができるとされています。そのため、相手方の所在国がニューヨーク条約の加盟国であっても、現地専門家に相談のうえ、現地仲裁法や実務運用を確認しておくことが望ましいといえます。

 日本もニューヨーク条約に加盟しており、例えば、日本の商事仲裁協会(JCAA)において取得した仲裁判断に基づき、同条約加盟国に所属している外国企業の財産に対し、強制執行をすることができます。

(3) 仲裁法

日本は、国連のモデル法に準拠した仲裁法を定めています。

  1. 仲裁合意

 仲裁合意は、法令に別段の定めがある場合を除き、当事者が和解をすることができる民事上の紛争(離婚又は離縁の紛争を除く。)を対象とする場合に限り、その効力を有すると規定されています(仲裁法第13条第1項)。仲裁合意は、当事者の全部が署名した文書、当事者が交換した書簡又は電報その他の書面によってしなければなりません(仲裁法第13条第2項)。一般的には、「仲裁条項」として契約書に規定します。また、仲裁合意の対象となる民事上の紛争について訴えが提起されたときは、受訴裁判所は、基本的に、被告の申立てにより却下しなければならないと定められています(仲裁法第14条第1項)。

    2. 仲裁人

 仲裁人の数は、当事者が合意により定め(仲裁法第16条第1項)、仲裁人の選任手続きも、法律で定められた場合を除き、基本的に当事者が合意により定めるところによります(仲裁法第17条第1項)。

    3. 仲裁判断において準拠すべき法

 仲裁廷が仲裁判断において準拠すべき法は、当事者が合意により定めるところによると規定されています。この場合において、一の国の法令が定められたときは、反対の意思が明示された場合を除き、当該定めは、抵触する内外の法令の適用関係を定めるその国の法令ではなく、事案に直接適用されるその国の法令を定めたものとみなされます(仲裁法第36条第1項)。

 

2.タイ

(1) 仲裁機関

タイの主要な仲裁機関として、以下が挙げられます。以下の仲裁機関以外にも、知的財産等、専門分野を取り扱う仲裁機関も存在します。

  1. The Thai Arbitration Institute (TAI)

仲裁法および仲裁機関に関する司法府規則に基づく仲裁機関。1990年設立。

     2. Thailand Arbitration Centre (THAC)

仲裁機関法に基づいて2007年に設立された非政府組織。国際仲裁制度を支援、促進し、国際的な紛争解決基準を満たすことを目的としている。

(2) 仲裁合意

仲裁合意については、原則、書面にて当事者により署名がなされている必要があります。契約書等の別様式にて規定することが可能です。

(3) 仲裁手続きの主な流れ(TAI)

  1. 当事者は、仲裁合意を行う。
  2. 申立人は、申立書を仲裁機関に提出し、仲裁機関は申立書の写しを被申立人に送付する。
  3. 被申立人は、申立書の写しを受領した日から15日以内に、答弁書を提出する。
  4. 当事者は、仲裁廷を指名する。
  5. 仲裁廷及び当事者は、180 日を超えない範囲で、手続に関するタイムテーブルを設定する。
  6. 審理
  7. 仲裁廷が手続終了を宣言した日又は最終弁論書類の提出期限から 30 日以内に裁定が行われる。
  8. 仲裁機関は、裁定を当事者に送付する。
  9. 当事者が裁定を受領した時点で、裁定は確定する。

(4) 国際仲裁

 タイは1959年12月21日から、ニューヨーク条約の加盟国となっています。したがって、例えば、同条約加盟国での仲裁判断に基づき、タイにおいて強制執行をすることが可能です。

 

3.マレーシア

(1) 仲裁法について

 マレーシアにおける仲裁手続は仲裁法(Arbitration Act 2005)によって規律されます。同法は、国内仲裁と国際仲裁を分けて規定しています。

 国内仲裁については、当事者による別段の合意がない限りマレーシア法が準拠法となります。国際仲裁については、当事者による合意がない場合、仲裁廷が準拠法を決定します。仲裁手続を規律する準拠法についても、当事者が合意に至らない場合、仲裁廷が決定することができます。

 仲裁合意は、書面によってなされなければならず、国内の仲裁機関によって行われた仲裁判断についても、裁判所による承認を経なければ執行をすることはできません。また、マレーシアはニューヨーク条約の加盟国であるため、マレーシア国外の仲裁判断をマレーシアにおいて執行することができます。

 国際仲裁には、仲裁法(Arbitration Act 2005)のPartⅠ(定義規定等)、PartⅡ(仲裁手続や裁定等の仲裁に関する一般的な規定が含まれる)、及びPartⅣ(仲裁人の責任等のその他の規定)が適用されます(仲裁法第3条第3項)。PartⅢ(仲裁の過程で生じる法律問題の決定を裁判所に申請する規定等の仲裁に関連する追加条項)は、当事者が書面で別段の定めをしない限り適用されません。

(2) AIACについて

 マレーシアにおける中心的な仲裁機関として、アジア国際仲裁センター(AICA:Asian International Arbitration Centre)が設置されています。マレーシア政府はAIACに対して、施設の供与及び資金の援助を行っており、マレーシア政府の様々な改革や支援を受けて受理件数は着実に伸び、AIACは今やアジアにおける中心的な国際仲裁機関の一つとなっています。

  1. 2018年AIAC規則(AIAC Arbitration Rules 2018)

  当事者がAIAC規則(AIAC Arbitration Rules)に従って紛争を仲裁することに書面で合意した場合には、当該紛争はAIAC仲裁規則に従い、仲裁により解決されます(2018年AIAC規則第1条)。仲裁地がマレーシアの場合は、仲裁法(Arbitration Act 2005)第41条(仲裁の過程で生じる法律問題の決定を裁判所に申請する規定)、第42条(裁定により生じた法的問題を裁判所に付託する規定)、第43条(控訴)及び第46条(裁定期間の延長)は適用されません(同規則第1条)。

  また、当事者が特に仲裁機関を指定しなかった場合は、仲裁廷が他により適切な仲裁地があるとの判断をしない限り、マレーシアのクアラルンプールとなります(同規則第7条)。

  このほか、2018年AIAC規則では、公平・公正でない仲裁人に対する異議の申立(規則第5条)、差止等の暫定措置に関する規定(規則第8条)、裁定に関する規定(規則第12条)、費用に関する規定(規則第13条)等が定められています。

    2. 2018年AIACファスト・トラック規則(AIAC Fast Track Arbitration Rules 2018)

 AIACでは簡易仲裁制度があり、短期間での仲裁を規定するファスト・トラック・ルール(Fast Track Rules)が当事者の合意により適用されます。このファスト・トラック・ルールによると、180日以内で手続が終了します。同ルールの下では、仲裁開始から90日で口頭審理を終え、さらに90日で裁定書を作成することになります(2018年AIACファスト・トラック規則第21条)。

 

4.ミャンマー

(1) ニューヨーク条約の批准

 ミャンマーは、外国の仲裁判断を国内で承認し強制執行を可能とする要件を定めた『外国仲裁判断の承認及び執行に関する条約』(以下、「ニューヨーク条約」という(上記1(2)参照))を2013年に批准しましたが、当時ミャンマーの仲裁法(1944年)は外国仲裁判断の執行について規定されておらず、大幅な法改正が必要とされていました。

(2) 仲裁法

 ニューヨーク条約の批准に対応するかたちで、2016年1月5日、仲裁手続きによる紛争解決の奨励、仲裁手続による公平な紛争解決の実現、外国仲裁判断の承認・執行を目的とし、新たな仲裁法(以下「本法」という)が成立しました。

 外国仲裁判断をミャンマー国内で執行するには、まず、裁判所に対し1) 仲裁判断書の原本又は仲裁判断を下した地域の法令に従って規定された手法で適切に認証及び署名された仲裁判断書の写し、2) 仲裁合意の原本又は写し、3) 仲裁判断が外国仲裁判断であることを証明する必要な証拠を提出し執行申し立てを行う必要があります(第45条(a))。なお、これらの書面が外国語で記されている場合、申立人は、認証を受けた英訳を提出するか、ミャンマーの現行法に従って必要な基準を満たした認証を受けた英訳を提出しなければなりません(同条(b))。仲裁合意の当事者が行為能力の制限がある場合や仲裁手続に不公平が見られる場合、仲裁判断が法令や公序良俗に反する場合など特定の理由がある場合(第46条(b)(c))、を除き、外国仲裁判決を裁判所の決定と同じように承認・執行しなければなりません(同条(a))。第46条(b)(c)に基づき外国仲裁判断の承認が認められなかった場合や同条項に基づく無効の申し立てが却下された場合は、上訴することも可能です(第47条(a)(iii))。

 このように、内容としては他国と同様の内容が規定されているものの、実際の運用面においては、ミャンマーでは仲裁という制度自体を理解していない裁判官も多く、他国の仲裁判断の執行が認められない事例もあります。また、ミャンマーでは常設の仲裁機関が設置されておらず、仲裁人リストも存在しないという問題も存在します。したがって、紛争解決条項を安易に仲裁とすることは避けるべきであり、自社側が請求する場面が生じる可能性の方が高い場合には、ミャンマーの裁判所を紛争解決条項で規定する方が良い場合もあります。

 

5.メキシコ

(1) 関連規定

メキシコでは、仲裁は、商法(Código de Comercio)に規定されており、その規定は国際連合国際商取引法委員会(UNCITRAL)の国際商事仲裁モデル法に対応したものとなっています。

また、メキシコは仲裁判断の承認・執行を認めるニューヨーク条約及び中南米諸国が多く加盟するパナマ条約を批准しています。

(2) 仲裁手続き

1. メキシコの仲裁機関

メキシコに所在する主な仲裁機関として、国際商業会議所(International chamber of commerce)やメキシコ仲裁センター(Centro de Arbitraje de México)、メキシコシティ商工会議所(Cámara Nacional de Comercio de la Ciudad de México)などが挙げられます。

2 仲裁合意

仲裁手続きを行うには、当事者の書面による仲裁合意が必要となります。両当事者の署名を付した書面の他、電気通信技術等を用いてその合意や合意の存在を記録したものもこの合意を示す書面となります。

メキシコ仲裁センターは、メキシコ仲裁センターでの仲裁を希望する当事者は契約書に以下のモデル条項のような仲裁合意を設けることを推奨しています。

〈スペイン語の場合〉

“Todas las desavenencias que deriven de este contrato serán resueltas definitivamente de acuerdo con las Reglas de Arbitraje del Centro de Arbitraje de México (CAM), por uno o más árbitros nombrados conforme a dichas Reglas”

〈参考日本語訳〉

「本契約に起因するすべての紛争は、メキシコ仲裁センター(CAM)の仲裁規則に従い、同規則に従って任命された1人または複数の仲裁人によって最終的に解決されるものとする。」

仲裁を合意した契約に関する紛争については、訴訟による解決は制限されます。仲裁合意が無効となるなどの場合を除いて、仲裁合意の対象となる紛争について訴訟提起を受けた裁判官は、当事者の請求により、当該紛争を仲裁に付すとされています。そのため、両当事者が仲裁合意の存在を主張しない場合には、訴訟による解決も可能ですが、いずれかの当事者が仲裁合意の存在を主張した場合には訴訟による解決はできません。ただし、仲裁合意がある場合でも、裁判所に対し、保全措置を求めることはできます。

  1. 秘密性

仲裁手続きについては当事者に裁量が与えられており、当事者は、仲裁を秘密にするかどうかを決定することもできます。したがって、当事者が仲裁合意において秘密保持を合意した場合は、仲裁人を含め、全当事者がこれに拘束されます。

    2. 仲裁の費用

たとえば、メキシコ仲裁センターでの仲裁にかかる費用は、メキシコ仲裁センターのホームページで確認することができます。係争金額に応じて、管理費や仲裁人費用が定められており、2011年10月1日以降の仲裁合意に基づく仲裁であって、200万ペソの係争金額の場合、管理費として4万2000ペソ、仲裁人費用として8万2200ペソと算出されます。

(2) 外国仲裁判断の承認・執行

上述の通り、メキシコはニューヨーク条約及びパナマ条約を批准しており、同条約の加盟国の仲裁判断は国内の裁判の判決と同等の効力を持ちます。

そのため、メキシコの仲裁判断はニューヨーク条約に基づき加盟国において執行することができます。また、同様に日本やアメリカなどにおける仲裁判断についても、裁判所から執行の許可を取得して執行することができます。

 

 

6.バングラデシュ

 バングラデシュでは、国際商事仲裁、国際仲裁判断及びその他の仲裁判断の承認及び執行に関する法律として、2001年仲裁法(Arbitration Act, 2001(以下、仲裁法))が制定されました。なお、バングラデシュは、ニューヨーク条約(上記1(2)参照)の加盟国です。仲裁機関として、Bangladesh International Arbitration Centre (BIAC)や、Bangladesh Institute of Arbitration(BIArb)があります。

(1) 仲裁合意

 仲裁合意は、契約書の仲裁条項という形式又は個別の合意書という形式で定めることができ(仲裁法第9条(1))、書面にて行われなければなりません(同条(2))。

(2) 仲裁人

 仲裁人の数及び仲裁人の選任手続きは、当事者の合意により定めることができます(仲裁法第11条(1)及び第12条(1))。

(3) 外国仲裁判断の承認及び執行

 外国仲裁判断は、いずれかの当事者によって行われた申し立てについて、裁判所の判決と同じ方法で、民事訴訟法に基づいて裁判所によって執行されます(仲裁法第45条(1)b))。ただし、「紛争の対象である事項がバングラデシュの現行法により仲裁による解決が不可能なものであること」、または「外国仲裁判断の承認・執行が、バングラデシュの公の秩序に反すること」のいずれかに該当するときには、裁判所は、その仲裁判断の承認・執行を拒否することができると規定されています(仲裁法第46条(1)(b))。

 

7.フィリピン

(1) はじめに

 フィリピンにおいて、「仲裁」とは、共和国法第876号(「仲裁法」)及び共和国法第9285号(「ADR法」)に基づく紛争解決手段の一つです。仲裁は、当事者の合意または適用される規則に従って選任された単独か複数の仲裁人によって紛争を解決する任意の紛争解決プロセスです。  

 仲裁をはじめとするADR(裁判外紛争解決手続)は、通常、解決までにはるかに長い時間を要する裁判よりも有利な方法とされています。裁判とは異なり、仲裁では、適用される実体法、紛争を裁定する仲裁機関や仲裁人、タイムテーブルを含む手続規則などを当事者が自由に決定することができます。また、原則公開手続である裁判とは異なり、仲裁手続は非公開の手続で進行します。さらに、当事者が別途合意しない限り、係争金額の最低額など仲裁を進めるための条件は存在しません。

 なお、ADRに属する他の手段として「調停」があり、こちらは紛争当事者間の交渉を促進し、自発的な合意に至るよう支援する紛争解決手段として位置づけられています。仲裁とは異なり、調停人は事件を判断することはなく、紛争が解決または和解に至らなくても調停手続は終了することがあります。

 仲裁には、国内仲裁と国際仲裁があります。国内仲裁には仲裁法が適用され、国際仲裁には、1985年UNCITRALモデル法(「モデル法」)を採択したADR法が適用されます。仲裁手続は、①当事者間の仲裁合意、または ②既存の紛争に対する当事者による仲裁への自発的な申立によって開始されます 。 

 以下の事項に関する論争は、仲裁の対象とはなりません。 

  1. 労働紛争
  2. 人の民事上の地位に関するもの
  3. 婚姻の有効性に関するもの
  4. 離婚
  5. 刑事責任
  6. 法律により解決できないもの

(2) 仲裁合意

 国内仲裁において、仲裁合意は書面として作成され署名が付されなければいけません。国際商事仲裁でも、仲裁合意は同様に書面であることが要求されています。ここでいう「書面」には、手紙、テレックス、電報、もしくは合意の記録を提供する他の電気通信手段も含まれています。契約書に仲裁条項として付されたり、別個の契約書として作成されたりしたとしても、正当な仲裁合意と認められます。  

仲裁合意があるにもかかわらず裁判が係属した場合、当事者は、裁判所に対し、仲裁による解決を促すことを要求することができます。この請求は、遅くとも準備手続(pre-trial)中に行わなければなりません。準備手続終了後に当該請求がされた場合、裁判所は、すべての当事者が同意した場合にのみ審査することができます。口頭弁論を行った後に、裁判所が仲裁合意の存在を認識し、かつ当該紛争の対象が仲裁による解決が可能であると認める場合、訴訟を停止し、当事者に対し仲裁での解決を促すことができます。

フィリピンでは、仲裁合意は主契約から独立していると考えられており、したがって、主契約が無効であっても、仲裁合意の有効性には影響しません。フィリピン法の学説上は、いかなる疑義も仲裁に有利に解決され、裁判所は、契約条項が許す限り、仲裁条項を有効にするよう義務付けられています。

(3) 仲裁機関

仲裁は、機関を通じて行われる場合と、アドホックに行われる場合があります。フィリピンの仲裁機関としては、以下が挙げられます。

    1. 建設業仲裁委員会(Construction Industry Arbitration Commission:CIAC)
    2. フィリピンにおける建設契約に起因する、または関連する紛争について、原始的かつ排他的な管轄権を有しています。 これらの紛争には政府契約や民間契約が含まれますが、雇用関係の紛争は含まれません。CIACが管轄権を取得するためには、紛争の当事者がこれを任意の仲裁に委ねることに同意しなければなりません。 
    3. フィリピン紛争解決センター(PDRCI)
    4. フィリピン商工会議所の仲裁委員会が1996年に設立した非営利団体です。海事、銀行、金融、保険、証券、知的財産などの専門分野における仲裁・調停を管轄しています。
    5. フィリピン国際紛争解決センター(PICCR)
    6. 2019年に設立された非営利機関で、紛争当事者には商事仲裁などのADRサービスや施設を提供し、弁護士や実務家には専門的なトレーニング、認定を提供しています。
    7. なお、仲裁費用は、仲裁機関によって異なります。手数料の額に影響を与える要因としては、係争額、ケースの複雑さ、仲裁人の数、提出された反訴の有無、および物流・管理費用の高低などが挙げられます。

(4) 強制執行とニューヨーク条約の適用性

フィリピンは、1967年7月6日にニューヨーク条約を批准し、締約国となりました。批准に際してフィリピンは、この条約は他の締約国内で行われた仲裁判断にのみ適用され、商業的とみなされる法的関係から生じる紛争にのみ適用されることを宣言しました。ニューヨーク条約に基づく仲裁判断の承認と執行は、特別ADR規則に従い、適切な裁判所において申立て、審理されなければなりません。

 

8.ベトナム

(1) ニューヨーク条約

 ベトナムは、外国仲裁判断の承認および執行に関する条約(ニューヨーク条約)に加盟していることから、ベトナム国内での仲裁手続に加え、ベトナム国外での仲裁手続を利用することも可能です。但し、後述するとおり、ベトナム国外の仲裁判断をベトナム国内で直接執行することはできず、ベトナムの裁判所で承認を得る必要があります。

 なお、ベトナム企業に対しベトナムの裁判所に訴えを提起することも可能ですが、一般的に、公正な判断が期待できない可能性があると指摘されています。また、ベトナム企業に対し日本の裁判所に訴えを提起することも不可能ではありませんが、仮に勝訴判決を得たとしても、日本の裁判所の判決をもって被告であるベトナム企業のベトナム国内の財産に対して執行することが、制度上、できません(日本とベトナムとの間で、裁判所の判決を相互に承認するような条約などが存在しないためです。)。したがって、ベトナム企業との間で契約を締結するにあたっては、紛争解決方法として、ベトナム国内か国外での仲裁手続によることを規定しておくべきであるといえます。

(2) ベトナム国内仲裁手続

 ベトナムの商事仲裁法では、機関仲裁(特定の仲裁機関の規則に従って手続が進められる仲裁)の他に、当事者が仲裁手続の内容を合意し、仲裁機関を利用せずにその合意に従って行う「アド・ホック仲裁」も認められています。しかし、「アド・ホック仲裁」を利用する場合、仲裁手続の具体的内容、仲裁人の人数、仲裁人の氏名や選任方法など仲裁を行う上で必要となる様々な事項をあらかじめ合意しなければならず、また、仲裁判断を執行する場合においても、機関仲裁に比べ必要な手続が増えることなどから、実務上では「アド・ホック仲裁」が利用されることはほとんどないとされています。

 ベトナム国内の常設仲裁機関としては、ホーチミン商事仲裁センター(TRACENT)、ハノイ商事仲裁センター(HCAC)、ベトナム弁護士商事仲裁センター(VLCAC)など多数の仲裁機関がありますが、最も取り扱い件数が多いのは、ベトナム国際仲裁センター(VIAC)です。

 機関仲裁を利用する場合、当事者間で書面により、紛争解決方法として仲裁手続を利用することを合意(仲裁合意)する必要があります。仲裁合意は、紛争が起こってからすることも可能ですが、現に紛争が起きている段階で仲裁合意をすることが難しいこともあることから、契約書を作成する時点であらかじめ仲裁合意条項を規定しておくことが望ましいでしょう。

 ベトナム国内の仲裁手続を利用するメリットとしては、外国仲裁に比べて費用が低廉になることが多いことと、外国仲裁の場合、後述するとおり、ベトナムの裁判所から執行承認を得る必要があるのに対し、ベトナム国内の仲裁の場合は、執行承認を得る必要はなく、直接、「民事判決執行機関」に執行を申し立てることができることが挙げられます。一方、デメリットとしては、国際的に利用件数が多い国外仲裁機関(例えば、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)など)に比べ、処理件数が少なく、経験不足などにより不合理な判断が為される可能性があることが指摘されています。

(3) ベトナム国外仲裁手続の執行

 ベトナム国外の仲裁機関を利用した場合、その仲裁判断をベトナム国内で執行するためには、ベトナムの裁判所で承認を受けなければなりません。承認を受けるためには、外国仲裁判断の効力が生じてから3年以内に承認の申請をする必要があります。申請を受けた裁判所は、ベトナム民事訴訟法が規定する不承認事由があるか否かを検討し、不承認事由の1つにでも該当すれば仲裁判断の不承認の決定を、全ての不承認事由に該当しなければ承認の決定を下します。裁判所により承認された外国仲裁判断は、「民事判決執行機関」に申し立てることにより、執行することができます。一方、不承認の決定がなされた場合、不服のある当事者は、15日以内に、高級人民裁判所に対して上訴することができるとされています。

 なお、過去には、ベトナムでは外国仲裁判断が承認される割合が低いこともありましたが、近年では、承認率は上がってきているとされています。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループ及びTNYグループ各社】

・TNY Group

 URL: http://www.tnygroup.biz/

・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所)

 URL: http://progress.tny-legal.com/

・佐賀(TNY国際法律事務所)
URL: https://tny-saga.com/

・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

 URL: http://www.tny-legal.com/

・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

 URL: http://www.tny-malaysia.com/

・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.)

URL: http://tny-myanmar.com

・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

 URL: http://tny-mexico.com

・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

 URL: http://www.tny-israel.com/

・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

URL: http://estonia.tny-legal.com/

・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

 URL: https://www.tny-bangladesh.com/

・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.)

 URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html

・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.)

 URL: https://www.kt-vietnam.com/

Newsletterの記載内容は2022年3月30日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

現在、31都道府県以下の期間・区域において、3月6日までを期限とし、まん延防止等重点措置が実施されています。感染拡大防止のための取り組みとして、各都道府県の知事の判断による、飲食店等に対する制限(時短営業や人数制限)、施設の使用制限等、イベント等の開催制限(人数制限、感染防止の取り組み)、外出・移動、職場への出勤等(テレワークや時差出勤、感染防止の取り組み等)が求められています(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP))。

1.2 入国規制

(1) 外国人の新規入国制限の見直しについて

外国人の新規入国については、原則として一時停止されていましたが、下記(a)又は(b)の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めることとなります。

  1. 商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国
  2. 長期間の滞在の新規入国

厚生労働省HP 外国人の新規入国制限の見直しについて

(2) 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(a) 入国後の自宅等待機期間の変更

  1. 検疫所の宿泊施設での待機対象となっている国・地域(以下「指定国・地域」)から帰国・入国する方で、COVID-19のワクチンを3回接種していない方は、指定の宿泊施設での3日間待機が求められます。宿泊施設で受けた検査の結果が陰性であれば、退所後の自宅等待機は求められません。
  2. 指定国・地域から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  3. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していない方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  4. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、入国後の自宅等待機を求められません。

厚生労働省HP 検疫の宿泊施設で待機対象となっている国・地域

  1. 入国後の公共交通機関の使用について

 上記(a) ii)及びiii)に該当する方は、入国後の待機のため自宅等まで移動する際は、公共交通機関の使用が可能となります。

厚生労働省 HP 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(参考サイト)

外務省HP 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について

厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症について

出入国在留管理庁 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否等について

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

タイのCOVID-19の累計感染者数は2,819,282名です。この内、2,606,363名が回復し、累計死亡者数は22,812名となっています。現在、新規感染者が増加傾向であり、1日2万人程度で推移している状況です。

2.2 タイ入国規制

 COVID-19状況管理センターは、2月23日、隔離免除でのタイ入国(Test and Go)のタイ入国後の条件を変更することを発表しました。

 タイ入国後のPCR検査について、以前はタイ到着日の検査および、タイ入国後5日目の検査を行う必要がありましたが、5日目の検査はATK検査を入国者自ら行うことが可能となり、隔離ホテル等の予約が不要となります。

1日目:タイ到着後、政府指定隔離ホテルにてPCR検査。ホテルにて検査結果が出るまで待機。

     陰性の場合、タイ国内を自由に移動が可能。

5日目:入国者自らATK検査。隔離ホテルの予約不要。

加えて、Thailand passの登録時に必要とされていた医療保険の補償額については、従前の最低5万USドルから、最低2万USドルへと変更となります。

上記の変更は、3月1日以降のThailand Passの申請分より適用されるとのことです。

2.3 日本入国規制

厚生労働省は、2月24日、日本入国後の宿泊施設での待機等の変更について発表し、タイから日本への入国時に必要とされていた3日間の宿泊施設待機期間が、解除されることになりました(日本時間3月1日午前0時から)。詳細については、上記1.2に記載の厚生労働省HPの情報をご確認下さい。

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 2月23日の新規感染者数は、31,199人でした。感染者数は1月末の約6倍に急増し、現在ピークに達していると考えられます。

 新規感染者数やワクチン接種率等を基準に段階的に規制を設定した移動・活動制限令であるNRP(National Recovery Plan(これまではFMCOと呼ばれていました))では、全ての州が一番規制の緩和された第4段階の規制下にあります。ワクチン接種完了者には、州間移動が可能となり、COVID-19感染拡大前に行うことができた社会活動の多くが認められています。

3.2 入国規制

 外国人渡航者の入国は原則禁止されています(注:出国は可能)。例外的に、以下①~⑤に該当する場合の入国を許可しています。

  1. MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)査証保有者の再入国
  2. 主要又は技術的ポストにある企業職員・技能労働者・知識労働者及びその扶養家族・使用人の入国(いずれも現地駐在者が対象。国籍は問わない。)
  3. 留学生(高等教育機関、インターナショナルスクール)及び医療ツーリズム目的の渡航者の入国
  4. 長期滞在ビザを保有していない外国人で、マレーシア人の配偶者及びその家族についての入国
  5. 永住者の入国
  6. ランカウイ島へのトラベルバブル制度を利用した入国
  7. 目的を限定とした14日以内の短期商用(潜在的な投資家・既存の投資家・ビジネス顧客・技術者)での入国

 すべての渡航者は、出発前2日以内にPCR検査(スワブ検体)を受ける必要があり、マレーシアに入国するためのフライトに搭乗できるのは陰性の検査結果を有する者のみとなります。隔離期間は、ブースター接種済みの成人又は単独で渡航する若年者(12歳から17歳)は5日間、ブースター未接種のワクチン接種完了者は7日間、ワクチン接種未完了者は10日間となります。また、一定の要件をみたす者は自宅隔離を申請することができ、保健省のリスク評価次第で自宅隔離が認められる可能性があります。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19 及びクーデターの規制状況

 COVID-19 の陽性率が再び上昇傾向にあります。ヤンゴン市内は車・人の往来は普段と大きくは変わりません。

4.2 入国規制

2月は3日、17日にANA 便が飛びました。3月17日、31日、4月7日、28日に救援便が運航予定です。ミャンマーへの入国は日本からの救援便以外に方法はない状況です。国際旅客便の着陸禁止措置も継続しています。ミャンマー入国後のホテル隔離は、10日間となります。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

2月に入りメキシコのCOVID-19新規感染者の増加は鈍化し、感染リスクを示す連邦政府の信号(赤、橙、黄、緑の4段階があり、赤が最も深刻)は、2月21日の週は、メキシコシティやケレタロ州を含む16州が黄色、グアナファト州やサンルイスポトシ州を含む16州が緑となりました。連邦政府による新たな規制は見られませんが、引き続き、予防措置の継続が呼びかけられており、マスクの着用などの要請は継続されています。

5.2 入国規制

メキシコへの入国については、政府による外国人への入国制限等は行われていません。メキシコ国内の各空港では体調や渡航履歴に関するアンケートへの回答や検温によるスクリーニングが実施されています。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

 バングラデシュでは、2月24日に発表された1日の新規感染者が1,516名で陽性率は5.53%でした。2月21日にCOVID-19関連の規制は撤廃され、学校も再開されましたが、マスク着用は義務づけられています。

6.2 入国規制

 現在、日本からの渡航者については、隔離が免除されていますが、入国に際し、12歳以上の渡航者は、搭乗前48時間以内に行ったCOVID-19のRT-PCR検査の陰性証明の提示が求められます。

 

7.フィリピン

7.1 COVID-19関連の規制状況

 フィリピンの COVID-19 感染者は累計365万8892人で、死者数は累計56,224人です(2022年2月25日現在)。新規感染者は2021年の年末以降急激に増加し、2022年1月中旬をピークとしてその後減少傾向にあります。現在は1日約1000~2000人程度の新規感染者が報告されています。

 2月28日まで、マニラ首都圏は、警戒レベル「レベル2」とされています。フェイス・シールド使用に関する規則によると、現時点で警戒レベル3以下の地域においては、フェイス・シールドの着用は任意となっています。

 また、フィリピンでは、5~11歳に対するファイザー製の新型コロナ・ワクチン接種が開始されました。2月7日からマニラ首都圏で始まり、徐々に対象地域が拡大していく予定です。

7.2 入国規制

 2月10日から、ワクチン接種等した外国人(商用・観光目的の査証免除対象者、及び、既存の有効な査証を有する外国人)の入国が許可されています。

7.3 フィリピンから日本への入国者及び帰国者に対する規制

2月24日、日本において3月以降の新たな水際対策措置が決定されました。また、フィリピンについて「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」からの指定が解除されました。詳細は以下のとおりです。

    1. フィリピン(指定国・地域以外)からの帰国者・入国者であってワクチン3回目追加未接種者について、原則7日間の自宅等待機を求めることとした上で、入国後3日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であれば、その後の自宅等待機の継続を求めない。
    2. フィリピン(指定国・地域以外)からの帰国者・入国者であってワクチン3回目追加接種者について、入国後の自宅等待機を求めない。
    3. 入国後24時間以内に自宅等待機のために自宅等まで移動する場合に限り、自宅等待機期間中であっても公共交通機関の使用を可能とする。
    4. オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域を別途指定する場合には、当該国・地域からの帰国者・入国者については、自宅等待機等の期間を14日間とする。(※なお、現時点で、フィリピンは「オミクロン株以外の変異株が支配的となっていることが確認されている国・地域」には指定されていません。)
    5. 外国人の新規入国について、受入責任者の管理の下、観光目的以外の新規入国を認める。
 

8.ベトナム

8.1 COVID-19関連の規制状況

 2022年2月23日午前9時の時点でにおけるベトナムでの累計感染者数は297万2378人で、日本のおよそ3分の2となっています。昨年12月頃から毎日の新規感染者数は1万6000人前後で推移していましたが、旧正月(テト)休暇があけた2月上旬から入って急激に増加し始め、2月23日の新規感染者数はベトナムとしては初めて6万人を超え6万0338人となりました。

 一方で、昨年10月から隔離措置等の様々な社会・経済規制は徐々に緩和されており、ワクチン接種や人数制限などの一定の条件はあるものの、多くの分野において事業活動の再開が認められています。

8.2 入国規制

(1) 航空機

 日本からベトナムへの直行便はこれまで特別便しか運行していませんでしたが、2022年1月から定期便が一部再開し、2月15日からはベトナム発着の全ての定期便の運航制限が解除されました。但し、各航空会社は、入国規制が実施されている現状をふまえ定期便の本数を限定しているのが現状です(例えば、2月24日現在、関西空港発のホーチミン行きの便は全て運休しています)。

(2) 入国制限〜ビジネス目的

 2022年2月24日現在、ビジネス目的でのベトナム入国が認められる外国人は、ベトナムにある機関、組織、個人によって招へいされる者に限られています。入国を希望する外国人が、滞在許可証、一時滞在許可書(Temporary Residence Card)、ビザ、ビザ免除証を有しない場合、各地方の人民委員会による入国承認を得た上で、公安省入国管理局による入国許可を得る必要があります。これまで、滞在許可証、一時滞在許可書(Temporary Residence Card)、ビザ、ビザ免除証を有していたとしても入国承認・入国許可を得る必要がありましたが、1月18日よりこれらを有していれば入国承認・入国許可は不要となりました(なお、APECビジネストラベルカードは、ビザ等には含まれないことから、原則どおり入国承認・入国許可を得る必要があります)。

 入国後の隔離期間は、2回以上ワクチンを接種した方、又はコロナウイルスに感染しその後治癒した方については3日間、それ以外の方は7日間です。

(3) 入国制限〜観光目的

 2021年11月中旬から非常に限られた地域、人数、日数での観光客受入れが試行されてきましたが、ベトナム政府は、2022年3月15日から本格的に観光客の受入れを再開する計画を発表しました。現時点で検討されている受入れのための条件は次のとおりです。

  1. 12歳以上であること
  2. パスポートの有効期限の残りが6か月以上であること
  3. 入国72時間前のRT-PCRテスト又は入国25時間前の迅速検査での陰性結果の証明書を提出すること
  4. 有効なビザ、一時滞在許可書(Temporary Residence Card)などを有すること(15日以内の滞在であればビザなどは不要)
  5. コロナ治療に対応した1万米ドル以上の医療保険に加入していること
  6. “PC-Covid”などのコロナ対応の健康管理アプリを自身のスマートフォンにインストールして利用すること
  7. この他、滞在可能ホテルが限定される見込みです。

 なお、2月24日時点において上記はまだ正式に決定されたものではありません。「8.1 COVID-19関連の規制状況」でご説明したとおり、最近は急激に新規感染者数が増加していることから、観光客受入れ再開の計画も変更される可能性があります。

第2.各国におけるE-コマース関連規制の概要

1.日本

 E-コマースに関連する法律は多く、以下が挙げられます(経済産業省:電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和2年8月))。紙面の都合上、特定商取引法におけるE-コマースの関連規定をご説明します。

  1. 関連法
法 律 目 的
特定商取引法
(特定商取引に関する法律)
特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、
連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引
販売取引並びに訪問購入に係る取引)を公正にし、及び購入者等が
受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、
あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて
国民経済の健全な発展に寄与すること
景品表示法
(不当景品類及び不当表示防止法)
商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止
するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある
行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること
個人情報保護法
(個人情報の保護に関する法律)
高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、
個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の
個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務
等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定める
ことにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある
経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の
有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護すること
資金決済法
(資金決済に関する法律)
資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、
当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う
為替取引、暗号資産の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算
について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、
効率性及び利便性の向上に資すること
通則法
(法の適用に関する通則法)
法の適用に関する通則について定めるもの
(越境ECの準拠法に関する規定)
電子契約法
(電子消費者契約及び電子承諾通知に
関する民法の特例に関する法律)
消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について特定の錯誤
があった場合に関し、民法の特例を定めるもの
特定電子メール法
(特定電子メールの送信の適正化等に
関する法律)
一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の
支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ、特定電子メールの送信の適正化
のための措置等を定めることにより、電子メールの利用についての良好な環境の整備
を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与すること

   2. 特定商取引に関する法律(特定商取引法)

 特定商取引法は、上表にある通り、7種類の取引を対象としています。特定商取引法第2条2項では、「通信販売」とは、販売業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下、「郵便等」)により売買契約の申込みを受けて行う商品若の販売であって電話勧誘販売に該当しないものをいうと規定しており、E-コマースは、通信販売に該当します。今回は、商品の販売業者がE-コマースにて商品を販売するケースを想定してご説明しますが、特定権利の販売及び役務の提供の場合にも同様の規定が適用されます。

   3. 広告規制

 販売業者が、商品の販売条件について広告をする際には、重要事項(商品の販売価格、支払いの時期及び方法、契約の解除に関する事項等)を表示することを義務付けています。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、これらの事項の一部を表示しないことができます(第11条)。また、広告をするときは、当該商品の性能、売買契約の申込みの撤回又は解除(以下「申込みの撤回等」)に関する事項その他省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないと規定されており、誇大広告等は禁止されています(第12条)。

   4. 承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等

 商品の販売条件について、その相手方の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならないと規定されています。ただし、相手方の請求があるときや、省令で定める方法により当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合において、省令で定めるところにより通信販売電子メール広告をするときや、通常メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として省令で定める場合において、通信販売電子メール広告をするときなどは除かれます(第12条の3第1項)。

   5. 通信販売における承諾等の通知

 販売業者は、売買契約の申込みをした者から当該商品の引渡しに先立って当該商品の代金の全部又は一部を受領する通信販売をする場合において、郵便等により当該商品につき売買契約の申込みを受け、かつ、当該商品の代金の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、省令で定めるところにより、その申込みを承諾する旨又は承諾しない旨、その他の省令で定める事項をその者に書面により、又は、申込者の承諾を得た場合は、電磁的方法その他の法令で定める方法により、通知しなければなりません。ただし、当該商品の代金の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付したときは、この限りではありません(第13条1項及び2項)。

  6. 通信販売における契約の解除等

 購入者は、その売買契約に係る商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回等を行うことができますが、販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合には、この限りでないと規定されています(第15条の3第1項)。販売業者は、関連法令に定められた方法で、申し込みの撤回等に関する特約(返品の可否、返品の条件等)を表示していない場合は、同法により、8日以内であれば購入者による返品が認められることになりますので注意が必要です。また、申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担となると規定されています(第15条の3第2項)。

 

2.タイ

(1) E-コマース関連法

 E-コマースに関連する主要な法律として、以下の法律が定められています。

  1. 電子取引法(Electronic Transactions Act B.E. 2544 (2001))
    1. 国際法をベースに、タイの情勢に合うように修正されたものとなります。この法律は、電子署名や電子取引に関するサービス事業、デジタル本人認証システム、公共分野の電子取引等、様々な分野の電子取引に関して定めています。
  2. コンピュータ犯罪法(Computer Crime Act B.E. 2550 (2007))

 コンピュータ関連犯罪について定めています。

(2) E-コマースビジネス

 タイでE-コマースビジネスを始めようとする場合、まず商業登記が必要となります。

商業登記要件については、商業登記法(Business Registration Act B.E. 2499 (1956))および商業登記義務を負う者に関する商務省規則(No.11)(Regulation of Ministry of Commerce on Persons who Have the Duties for Commercial Registration (No. 11), B.E. 2553 (2010))によって規定されています。

以下の事業を行う者は,E-コマース商業登記を行わなければなりません。

    1. インターネットシステムを介した電子メディアによる商品またはサービスの売買を行うWebサイト事業
    2. インターネットサービスプロバイダ事業
    3. Webホスティング事業
    4. E-マーケットプレイス(インターネットシステムを介した電子メディアによる製品、商品、サービスの売買のための中央マーケット)上の事業

* 商業登記をせずにE-コマース事業を行う個人および法人は、商業登記法に違反したものとみなされ、その違反が是正されるまで日割りで罰金が科されるため注意が必要です。

(3) E-コマース登録手続き

1. Webサイトを完成させ、オンラインサービスを提供できる状態にする必要があります。E-コマース登録は、事業を開始した日から30日以内に完了する必要があります。

2. E-コマース登録の申請先

バンコク内:事業所の所在地に応じた50の区役所(District Office)の行政課、またはバンコク都庁の財政政策室(50区全てをカバー)

バンコク以外:事業所の所在地に応じた市町村や県内の行政機関

3. E-コマース登録の必要書類

(a) E-コマース事業者のタイ国民IDカード及びHouse registrationのコピー

(b) E-コマース登録申請書

(c) Webサイトの詳細

(d) Webサイトの最初のページをプリントアウトしたもの

(e) 事業所在地の地図

(f) 会社の登記証明書(法人の場合)

(g) 委任状(代理人による申請の場合)

* 事業者が外国法人の場合は、労働許可証や外国人事業許可(ある場合)等の提出が必要となります。

* 申請先により、必要書類等が異なる場合があります。

4. 費用

(a) 新規E-コマース登録: 50バーツ

(b) 変更登録: 20バーツ

(c) 事業解消登記: 20バーツ

E-コマース登録が完了すると、オンラインプラットフォームを介してビジネスを行うことができます。

また、この他にE-コマース事業を営んでいることを証明するE-コマース事業者証明書や、E-コマースの信頼性を証明するためのDBD Verified ロゴ等の申請も可能です。このロゴは、その信頼性の度合い等により、シルバー、ゴールド、プラチナの三種類のクラス分けがなされています。

 

3.マレーシア

(1) 外資規制

 E-コマース事業に関して外国資本を規制する法律・規則等は確認できず、100%外資の会社E-コマース事業を行うことが可能であると考えられます。

(2) WRTライセンス

 流通・サービス業を行う事業体に対しては、国内取引消費者省(MDTCC:Ministry of Domestic Trade, Co-operatives & Consumerism)よりWRT ライセンス(Wholesale Retail Distributive Tradeライセンス)の取得が義務付けられています。E-コマース事業は、サービス業に該当し、WRTライセンスの取得は必要となるものと考えられます。WRTライセンスは、実務上は外資が51%以上となる場合にのみ要求されています。

(3) 消費者保護法(Consumer Protection Act 1999)・消費者保護(電子商取引)規則(Consumer Protection (Electronic Trade Transactions) Regulations 2012)

 消費者保護法は、消費者の保護、国家消費者諮問評議会及び消費者苦情審判所の設立、及びそれに関連する事項について規定する法律です。消費者保護(電子商取引)規則は、オンラインマーケットプレイスに従事する事業者に対し消費者の利益を保護するための一定の措置を講じることを義務付けています。

 具体的には、オンラインマーケットプレイスにおいて商品又はサービスの供給を目的とする事業者(以下「オンライン事業者」という。)は、以下の情報をウェブサイト上に開示する必要があります(同規則3条)。

  1. 事業及び事業者の名前
  2. 会社の登録番号
  3. 事業者の電子メールアドレス及び電話番号、又は住所
  4. 商品又はサービスの主な特徴
  5. 輸送費、税金、その他の費用を含む商品又はサービスの総額
  6. 支払方法取引条件
  7. 購入者への商品又はサービスの配達予定時間

また、オンライン事業者は、以下の措置を取らなければならなりません(同規則4条)。

  1. 注文の確定前にバイヤーが申込を修正できるようにする措置
  2. 注文を受領したことを遅滞なくバイヤーに通知する措置

 さらに、オンラインマーケットプレイスの運営者は、商品又はサービスの供給者の名前、電話番号及び住所に関する記録を2年間にわたり保存するための合理的な措置を講じる必要があります(同規則5条)。

(4) 個人情報保護法(Personal Data Protection Act 2010)に基づく登録

 E-コマース事業ついて、個人情報保護法上の「個人情報の処理を行う者」に該当すると考えられることから、個人情報保護法に基づく対応も必要となります。

(5) 取引表示法(Trade Description Act 2011)

 取引表示法は、商品やサービスの供給に関連する誤った表示、虚偽又は誤解を招くような説明、行為及び慣行を禁止することで良好な取引慣行を促進するとともに、関連又は付随する事項の提供を目的とする法律です。取引表示法は電子取引にも適用され、商品及びサービスに関して虚偽の説明又は広告をすることは禁止しているため、同法に基づく対応も必要となります。

 

4.ミャンマー

 小売業については、外資がライセンスを取得するのはハードルが非常に高いです。しかし、E-コマースについては小売業の規制が適用されないと解されており、事実上、小売業の規制の適用を受けることなく行うことができます。E-コマース業者の登録を必要とする法案が存在するものの、現状としては公布されていません。

 

5.メキシコ

(1) 関連する法規定

メキシコにおいて、E-コマースを体系的に規制する法令はなく、商法(Código de Comercio)に規定される電子的手法による契約に関する規定や連邦消費者保護法(Ley Federal de Protección al Consumidor)に規定される電子商取引における消費者保護規定などを遵守する必要があります。取扱品についても、商品ごとに適用される法令や輸出入規制などを遵守する必要があります。

その他、メキシコ国内に拠点を持たない海外居住者がデジタル・サービスを提供する場合について、付加価値税法(Ley del Impuesto al Valor Agregado)及び税務細則(Resolución Miscelánea Fiscal)に付加価値税の負担や領収書発行に関する規定が設けられています。

(2) 商法上の電子情報の受信に関する規定

E-コマースにおいては、契約の申込みや承諾、取消しなどの意思表示も電磁的な手段を用いて行われ、どの時点で意思表示が到達したか問題となった場合にはその到達時期を確定する必要があります。電子情報は、送信者と受信者の間で別段の合意がない限り、受信時刻は次の時刻として決定されます。

    1. 受信者が電子情報の受信のためにウェブサイトなど電子情報の生成、送信、受信、保存、その他の処理を行うために使用される機構(以下「ウェブサイト等」)を指定している場合、その受信は、当該ウェブサイト等に入った時点
    2. 電子情報が指定されたウェブサイト等以外のアドレスのウェブサイト等に送信された場合、または指定されたウェブサイト等が存在しない場合、アドレスが電子情報を取得した時点
    3. 受信者がウェブサイト等を指定していない場合、電子情報が受信者のウェブサイト等に入った時点

(3) 連邦消費者保護法上の義務

電子的、光学的又はその他の技術を用いて行われる取引における事業者と消費者間の取引に際し、事業者は次の事項を遵守するものとされています。

    1. 事業者は、消費者自身が明示的に許可した場合、又は管轄当局の要求がある場合を除き、取引外の他の供給事業者に情報を広めたり送信したりしてはならず、消費者から提供された情報を秘匿しなければなりません。
    2. 事業者は、利用可能な技術的要素を使用し、消費者から提供された情報の保護と機密の維持を図り、当該要素の一般的な特徴を予め消費者に通知しなければなりません。
    3. 事業者は、契約締結前に、自身の住所、電話番号、その他消費者が苦情を申し出たり説明を求めたりできる手段を提供しなければなりません。
    4. 事業者は、製品の特性に関して誤解を招くような行為を避け、商品やサービスに関する情報又は広告において、真実性、検証可能性、明確性を備え、誤解を招く文字、ダイアログ、音、画像、ブランド、原産地表示を用いてはなりません。
    5. 事業者は、利用規約、提供する商品やサービスの価格や料金、追加料金(ある場合)、支払い方法について、消費者がすべての情報を知る権利を行使できるようにしなければなりません。
    6. 事業者は、購入を希望する商品の量及び質に関する消費者の決定、並びに商業広告を受け取らないという決定を尊重しなければなりません。
    7. 事業者は、提供されるサービスに関する明確かつ十分な情報を消費者に提供しない販売又は広告戦略を使用してはなりません。特に、子供、高齢者、病人などの弱者を対象としたマーケティングの場合は、情報がこれらの人々に適していない場合に警告する仕組みを組み込むものとします。

そのほか、E-コマースに限りませんが、「バーゲン(oferta)」、「格安(barata)」、「ディスカウント(descuento)」、「大安売り(remate)」などの表現を行う場合は、通常価格を下回る価格で販売されると理解され、広告には販売の条件や期間、提供される商品やサービスの量を示す義務があります。E-コマースにおいても、このようなプロモーションを行う場合、消費者は、事前に決められた販売期間中、または、入手可能性がある限り、当該商品やサービスを購入する権利を有するとされており、当該商品の購入やサービスの利用ができない場合には、消費者は、契約の履行、別の同等商品やサービスの受領、契約解除のほか、通常価格との差額の支払いを受ける権利を有するとされている点にも留意する必要があります。

(4) メキシコ規格の規定内容

連邦消費者保護法第76 BIS 1条では、提供する商品やサービスに適用される条件等、商品の購入やサービスの利用について、その意思や条件を消費者が確認できるメカニズム、消費者の個人情報や取引に関する情報を機密に保持するためのメカニズム、苦情受付方法や支払い方法などについて、メキシコ規格を制定することと規定されており、NMX-COE-001-SCFI-2018が施行されました。メキシコ規格は順守義務を課す規格基準ではなく、この規定に反した場合の制裁もありませんが、消費者とのトラブルを回避するためにも従うことが推奨されます。

    1. 情報提供や広告
    2. ウェブサイト等で提供される情報及び広告は、真実性、検証可能性、明確性を有するものであり、誤解を招くような、又は乱暴な表現によりユーザー及び消費者を混乱させる可能性のある文字、ダイアログ、音、イメージ、その他の概念を含んでいてはなりません。
    3. 商品やサービスに関する情報及び広告は、スペイン語で明瞭かつ読みやすい文字で書かれていなければならず、価格や料金は、メキシコペソで記載されていなければなりません。ただし、補足的に他の言語や通貨で表示しても構いません。疑義が生じた場合は、スペイン語やメキシコペソの表示が優先されます。
    4. ウェブサイト等で公開すべき商取引の条件
    5. ウェブサイト等では、少なくとも次の情報を含む取引の条件を公開しなければなりません。

(a) サプライヤーを特定するための情報

i)屋号、ii)ブランド(該当する場合)、iii)商号(該当する場合)、iv)メキシコ国内の住所、v)納税者番号(Registro Federal de Contribuyentes、通称RFC)、vi)電話番号、又はその他の連絡手段(ソーシャルメディア)、及びvii)電子メールアドレス、ウェブサイトURL、運営している外部ポータルサイトURL

(b) ウェブサイト等の機能における利用不能、アクセス不能、又は中断から生じる責任に関する情報

(c) 商品やサービスの取得手続きに関する情報

これには、商品やサービスの特性や制限事項を知ることができる箇所を示す必要があります。

(d) 法に定める消費者の権利に関する情報

これには、消費者が責任又は正当な理由なく同意を取り消すことができるようにするための手続きを含める必要があります。なお、この取消の条件は次の通りです。

・ 商品の引渡又はサービスの受領の時期から5営業日以内であること

・ 商品又はサービスが使用又は消費されていないこと

・ 商品又は製品が引き渡された当初の状態(付属品、包装、マニュアルなどを含む)で保管されていること

・商品又はサービスの購入及び支払いが証明できること

(e) 通知方法又は消費者との連絡手段に関する情報

(f) 商品やサービスの返品又は交換、あるいは該当する場合には払い戻しの仕組みに関する情報

これには、必要な場合は、税務証憑の取得及び税務証憑の修正の仕組みに関する情報を含みます。保証は法律に定める期間を下回ってはならず、これを提供する場合には、保証期間を通知しなければなりません。

(g) 対応する曜日や時間帯、解決までの所要時間を含む、苦情や問い合わせへの対応に関する情報

(h) 紛争が発生した場合に適用される規則及び方針、並びに法的解釈や、適用されうる法律やメキシコ連邦消費者保護局の権限

(i) 該当する場合には、ウェブサイト等へのアクセスに関する年齢制限。

これは、ウェブサイト等の内容及び事業の性質によって決定されます。成人専用のサイトでは、未成年者のアクセスをブロック又は防止する仕組み、又はユーザーや消費者が連邦民法で定められた法定年齢に達していることを表明する通知を表示する仕組みを設ける必要があります。

(j) ユーザー又は消費者の登録及びアクセスに関する要件、並びにウェブサイト等の使用に関する規定

(k) 情報セキュリティを危険にさらす可能性のある情報を除く、ウェブサイト等のセキュリティメカニズムに関する情報

(l) 請求と支払の条件、税務証憑や商取引の証憑の入手方法、それらの訂正を求める方法

(m) 輸入された商品の場合、商品の原産地

商品には、修理可能な場所や使用方法の通知、及び法律で定められた最低限度の保証が含まれていなければなりません。

(n) 必要な場合は、商品の返送と商品の交換又は支払金額の返金や割戻を求める権利、あるいは補償を受ける権利の通知

交換や返金は次の場合に可能となります。

・商品が返送される場合

・品質、ブランド、仕様等が提供された情報と異なる場合

・ラベル、容器、包装に関する規定などメキシコの公式規格に準拠していない場合

事業者の責に帰すべき事由により、サービスの提供に不備がある、又は提供されない場合、又はメキシコの公式規格に準拠していない場合には、割戻し又は補償を受ける権利を通知しなければなりません。

3 商品、製品やサービスに関する情報

提供される商品、製品又はサービスの内容は広告で提示されたものと一致しなければなりません。したがって、ウェブサイト等は、提供される商品、製品又はサービスに関する情報を表示し、常に最新の状態に保たなければならず、少なくとも次の内容を含んでいなければなりません。

(a) 商品の場合

i) 仕様(寸法、機能、色、品質、製造に使用された材料、新品か中古であるか、中古の場合、修理済み、使用済みといった情報)を含む商品の説明、ii) GTIN(Global Trade Item Number、商品識別コード)(任意)、iii) 商品や製品の入手可能性や在庫状況、iv) メキシコペソでの支払い総額、その他税金や追加料金、該当する場合は、キャッシュボーナス、景品、割引など、v) 保証を提供する場合は、保証期間、vi)配送形態(費用、時間、配送オプションを含む)、並びに配送事業者を利用する場合の配送事業者の責任、及びvii) 該当する場合は、視聴覚的識別手段及び操作方法(写真、ビデオ、説明書、品質証明書、マニュアルなど)

(b) サービスの場合

i) サービスの説明(サービス提供の日時、場所、サービス提供者など)。また、サービス提供のために下請事業者を利用する場合は、その旨と下請事業者に関する情報、ii) 保証を提供する場合の保証期間、iii) 適用されうるサービスの制限、iv) サービスの期間、v) メキシコペソでの支払い総額、その他税金や追加料金、該当する場合は、キャッシュボーナス、景品、割引など、定期的な料金の支払いの有無とその変更方法、vi) サービスの更新、変更、解除や解約の手順、vii) 当初の契約内容に変更が生じる場合の通知と同意の方法

ウェブサイト等は、消費者が商品・製品・サービスを評価し、商取引の経験をフィードバックするとともに、他の消費者の評価や意見を知ることができる仕組みを有していなければなりません。

4 個人情報の取扱

プロファイリング、オンライン行動分析、マーケティング、広告又は商業的調査を目的としたユーザー及び消費者の個人情報の取扱については、以下の対応が必要となります。

(a) 個人情報の取扱について、プライバシーポリシーで通知すること

(b) 事前にユーザー又は消費者本人の同意を得ること

プライバシーポリシーとは別に、事前にユーザー又は消費者に対して、かかる目的で個人情報を利用することについて同意を求めることができる仕組みを用意しなければなりません。

(c) 同意を撤回するために利用できる手段と手続の提供

また、事業者は、個人情報保護法などに定める個人情報保護に関する義務を考慮して、ウェブサイト等を設計または選択するなど個人情報の取扱に適切な措置を講じなければなりません。

5 取引の取消等

ウェブサイト等は、消費者が取引の確認、承諾、修正又は取消を行うことができる仕組みを有していなければなりません。

(4) 付加価値税法及び税務細則上の規定内容

デジタル・サービスの提供については、メキシコ国内に拠点を持たない海外居住者であっても、当該サービスの提供にかかる付加価値税を負担することになります。

  1. また、サービスの受領者から要求があった場合は、居住する地域で適用される規則に従って、領収書(PDFファイル形式)を電子的に発行し、送付しなければなりません。この領収書には、①発行者の氏名又は法人名、②発行された国と都市、③発行者の納税者番号、④サービスの対価としての価格(付加価値税を除く)、⑤サービスにかかる付加価値税、⑥サービスのコンセプトや説明、⑦発行日と対価の対象となる期間、⑧受取人のRFCが記載されている必要があります。

対象となる「デジタル・サービス」は、画像、映画、文章、情報、動画、オーディオ、音楽、ゲーム、その他のマルチメディアコンテンツ等へのアクセスやダウンロード(電子書籍、新聞、雑誌へのアクセスやダウンロードは除く)、商品・サービスの提供者と利用者を仲介するサービス、オンラインクラブやデートサイト、オンラインでの通信教育やテスト、演習が該当します。

 

6.バングラデシュ

 バングラデシュでは、Eコマースの急成長に伴い、これまでNational Digital Commerce Policy, 2018(2020年に改正)、Digital Commerce Operation Guidelines, 2021(以下「ガイドライン」)が商務省により施行されています。実務で必要な事項を定めているガイドラインの概要をご紹介します。

  1. 目的及び適用範囲

 デジタルコマース事業における透明性、説明責任を促進し、雇用機会と消費者保護を創出し、デジタルコマース事業に規律をもたらし、起業家に機会を提供する競争市場を創出することにより、消費者の信頼と権利を高め、確保するための措置を講じることを目的としています。バングラデシュ国内の事業及びデジタルコマース管理にその関連法が適用される事業を行う全てのデジタルコマース事業者に適用されます。

     2. 事業者の要件

 ガイドラインでは、すべてのデジタルコマースオペレーターが営業許可、VAT登録、納税者識別番号、少なくとも1つの独自のビジネスID番号(UBID)又は個人の小売アカウント(PRA)番号を取得し、それらをマーケット又はソーシャルメディアページに表示する必要があると明記しています。UBID又はDBIDの登録は、2022年2月に立ち上げられたポータルmygov.bdにて可能です。すべての外国のデジタルコマース事業者は、バングラデシュで登録し、事業実施のために当局から許可を得る必要があります。

マーケットは、第三者によって提供される商品又はサービスに関する情報が提供され、取引プロセスが完結するデジタルコマースサイト又はポータルとして定義されます。マーケットは、第三者の売り手との間で別段の合意がない限り、必要な手数料と配送料を差し引いた金額を10日以内に第三者の売り手に支払う必要があります。

        3. 必須記載事項

 購入と返品の詳細な条件、商品の数量、材料、価格、配送料、その他の料金などを表示し、さらに、購入者が情報に基づいて決定できるように、販売する商品の画像や動画などを提示する必要があります。デジタルコマース市場又はFacebookページは、ベンガル語およびその他の言語(必要な場合)で記載し、購入と販売、払い戻し、返品又は商品の変更、配送方法、配送時期その他の条件のポリシーを明確に表示する必要があります。

        4. 制限事項

 爆発物など禁止されている商品やサービスをデジタルコマースプラットフォームで購入又は販売することは禁止されています。オンライン競売又はオンライン賭博、政府の承認なしの宝くじや抽選はできません。また、医薬品管理局からのライセンスのない、デジタルコマースプラットフォームでの医薬品の販売、バングラデシュ銀行の許可なく、デジタルメディアを介した金銭に関連するビジネスを行うことはできません。

       5. その他の要件

 デジタルコマースプラットフォームは、個人データを取得する場合、どのような情報を取得するのか、どこに保存されるのか、使用目的、処理プロセスについて知らせ、購入者の事前の承認を得る必要があります。バングラデシュ銀行の許可なしに、又はバングラデシュ銀行の指示に違反して、デジタルウォレット、ギフトカード、現金バウチャー又はその他の支払い方法を実施することはできません。事業に関連するすべての情報は、少なくとも6年間保存され、要求に応じて政府機関に提供されるものとします。配送のタイムラインも明確化されており、ガイドラインに従い、同じ都市内で配送される製品は、支払いが行われる場合は5日以内、別の都市に配送される場合は10日以内に配送されるものとします。日用品又は生鮮品の場合、配達はより早く行われ、購入者に同様に知らされなければなりません。

     6. 苦情と救済措置のメカニズム

 マーケットには、消費者が苦情を申し立てることができる必要な電話番号、電子メール、その他の通信手段を含める必要があります。かかる苦情は記録されなければならず、解決策は72時間以内に消費者に提供されなければなりません。デジタルコマースプラットフォームは、適切な評価及びレビューシステムを確保することになっており、購入者はそれらを表示して情報に基づいた選択を行うことができ、レビューはプラットフォームによって消去されません。

 当局は、ガイドラインに準拠していないプラットフォームに対して必要な措置を講じることができ、その措置には、マーケットの禁止、営業許可、会社登記、VAT登録の取り消しなどが含まれます。ガイドラインを遵守しないこと生じた損失に対する救済措置として、影響を受ける者又は購入者は、消費者権利保護局を含む関係裁判所に苦情を申し立てることができます。

 

7.フィリピン

 現在の電子商取引法は、「国内及び国際間での商取引、取り決め、合意、契約及び情報の交換・保存を、電子的、光学的、その他の媒体、様式、手段、技術の活用を通じて円滑化することで、上記諸活動に関連する電子文書が真正で信頼に足るものであることを保証し、行政および一般公衆における電子的取引の普遍的な活用を促進する」ことを趣旨とし、2000年に制定されました。

 同法の下では、電子的文書はその他の媒体で書かれた文書と同様の法的効力、妥当性、執行力を有しており、現行法において、紙媒体の文書と証拠としての機能として等価であるとされています。電子署名もまた、紙媒体における署名と等価であるとみなされます。

 電子的文書、電子署名、および電子的メッセージが司法手続において証拠として採用されるためには、紙の文書と同様、それらを真正ものとして証明しなければならず、司法手続においてこれらを立証しようとしている者にその証明義務が発生します。証明の方法は貿易産業省によって公布された施行規則(IRR)が定めるところに従わなければなりません。

 また、電子情報へのアクセス権を持つ者は、その情報の秘匿性を守り、他者に共有してはならず、ハッキングや違法コピー、さらには消費者法やその他関連法に違反した者を処罰の対象とすることも定められています。

 E-コマースを行う場合、事業の性質上小売事業としての性質を伴う場合があります。小売事業をフィリピンにおいて営む場合には外資規制に則った資本要件を満たす必要があるため注意が必要です。

 

8.ベトナム

 ベトナムにおけるE-コマースは、主に政令52号及び政令85号によって規定されています。政令85号は、政令52号を改正する法律であり、2022年1月1日から施行されています。

(1) 外資規制

 ベトナムでE-コマース事業を行うためには、会社を設立するか、既存会社の株式購入又は出資のどちらかの投資形態によります。出店者/販売者数、取引量、金額等をもとにベトナムでのE-コマース事業者として上位5社にリストされた企業を支配するためには、公安省による国家安全保障に関する評価を受ける必要があります(政令85号67c条)。

(2) ECサイト開設に関する規制

 ベトナムにおいてECサイトを開設する場合、商工省(MOIT:Ministry of Industry and Trade)に届け出なければなりません。組織の場合は、ECサイトを開設・運営に関連する機能を有していること、個人の場合は税務コードが必要となります。また、有効なドメイン名を持つウェブサイトがあり、情報管理に関する規則を遵守していることも必要となります(政令52号52条)。

(3) ベトナムにてECサイトを開設する外国法人/外国人投資家に対する規制

 ベトナム国内において会社を設立しなくても、ベトナムのドメイン名で開設されたECサイト、ベトナム語で表示されたECサイト又は1年以内にベトナムでの取引が10万件以上あるECサイトを有しサービスを提供する者は、政令85号の規制の適用対象となります。この場合、政令に基づきE-コマース事業の登録を行うこと、及び駐在員事務所の設立又はベトナムにおける代理人の任命等の手続を行わなければなりません(政令85号67a条)。

(4) ベトナムのECサイトで商品を販売する外国法人/外国人投資家に対する規制

 ベトナムでECサイトを開設し運営する者は、当該ECサイトにて商品を販売する外国法人/外国人投資家に対して身元を確認する義務を負います。また、当該外国法人/外国人投資家に対する輸出入権の登録の要請、ベトナムにおける代理店の選定を要請、買主から委託された輸入手続の実施等の責任を負います(政令85号67b条)。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループ及びTNYグループ各社】

・TNY Group

 URL: http://www.tnygroup.biz

・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所)

 URL: http://progress.tny-legal.com/

・佐賀(TNY国際法律事務所)
URL: https://tny-saga.com/

・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

 URL: http://www.tny-legal.com/

・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

 URL: http://www.tny-malaysia.com/

・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.)

URL: http://tny-myanmar.com

・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

 URL: http://tny-mexico.com

・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

 URL: http://www.tny-israel.com/

・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

URL: http://estonia.tny-legal.com/

・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

 URL: https://www.tny-bangladesh.com/

・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.)

 URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html

・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.)

 URL: https://www.kt-vietnam.com/

Newsletterの記載内容は2022年2月25日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。