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「COVID-19関連の規制状況及び入国規制並びに著作権法の概要」 TNY Group Newletter No.17

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

現時点で沖縄県、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県に緊急事態宣言が実施されており、まん延防止等重点措置は、石川県、徳島県、熊本県、富山県、山梨県、香川県、愛媛県、鹿児島県、高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県を対象に実施されています。ともに、9月12日までが実施期間となっています。また、外出・移動の自粛、テレワークの促進、飲食店への休業又は時短要請、酒類提供の制限、イベントの収容率及び人数制限など、各都道府県の自治体が措置を講じるほか、ワクチン接種の円滑化・加速化の取り組みが進められています。(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP)

1.2 入国規制

(1) 検疫の強化

1 検査証明書の提示

海外から日本への全ての入国者は、国籍を問わず、検疫所へ「出国前72時間以内の検査証明書」の提出が必要です。有効な検体、検査方法等が記載された検査証明書のみ有効と取り扱われるため、事前に満たすべき要件を十分に確認する必要があります。

2 誓約書の提出

検疫所へ「誓約書」の提出が必要です。14日間の公共交通機関の不使用、自宅等での待機、位置情報の保存、接触確認アプリの導入等について誓約することになります。また、誓約に違反した場合は、検疫法に基づく停留措置の対象となり得るほか、(a)日本人については、氏名や、感染拡大防止に資する情報が公開され得ること、(b)在留資格保持者については、氏名、国籍や感染拡大防止に資する情報が公開され得ること、また、在留資格取消手続及び退去強制手続等の対象となり得ることがあります。

3 スマートフォンの携行、必要なアプリの登録・利用

誓約書の誓約事項を実施するため、位置情報を提示するために必要なアプリ等を利用できるスマートフォンの所持が必要となります。検疫手続きの際に、必要なアプリを利用できるスマートフォンの所持を確認できない場合は、入国前に、空港内でスマートフォンを自己負担でレンタルしなければなりません。

4 質問票の提出

 入国後14日間の健康フォローアップのため、検疫時にメールアドレス、電話番号等の連絡の確認があります。

5 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策措置

インドネシア、キルギス2か国からのすべての入国者及び帰国者については、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で 10 日間待機し、入国後3日目、6日目及び 10 日目に改めて検査を受け、いずれの検査においても陰性と判定された場合は、検疫所が確保する宿泊施設を退所し、入国後14日間の自宅等待機を求められます。

バングラデシュ、アラブ首長国連邦、ミャンマー、アフガニスタン、インド、ザンビア、スリランカ、ネパール、モルディブの9か国・地域からのすべての入国者及び帰国者について、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)で6日間待機し、入国後3日目及び6日目に改めて検査を受けることになります。

その他、別途指定される国又は地域からのすべての入国者及び帰国者について、検疫所長の指定する場所(検疫所が確保する宿泊施設に限る)当面待機し、入国後3日目に改めて検査を受けることになります。

(対象の国又は地域については、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について(外務省HP)に詳細)。

(2) 上陸の拒否

日本上陸前14日以内に上陸拒否の対象国・地域に滞在歴がある外国人は、当分の間、「特段の事情」がない限り、上陸を拒否されます。ただし、上陸拒否対象地域でない地域から、上陸拒否対象地域を給油や乗り継ぎ目的で経由(経由地で入国する場合は除く)した後に日本に到着する場合は、上陸拒否対象地域での滞在歴があるとはみなされません。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否等について(出入国在留管理庁HP)

水際対策に係る新たな措置について(厚生労働省HP)

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

タイのCOVID-19の累計感染者数は1,190,063名です。この内、1,002,527名が回復し、累計死亡者数は11,399名となっています。また、非常事態宣言は、9月30日まで延長されています。

タイ政府は、8月28日、規制措置を緩和する措置を公表しており、この緩和措置は9月1日から適用されます。バンコク等の29都県をダークレッド・ゾーン、37県をレッド・ゾーン、11県をオレンジ・ゾーンとして引き続き指定しています。

ダークレッド・ゾーンについては、午後9時から翌朝午前4時までの外出禁止措置が9月14日まで延長されています。ただ、COVID感染防止措置等の条件を満たした場合、飲食店は午後8時まで店内飲食が可、ショッピングモールも午後8時まで営業可、理髪店、マッサージ店も一部営業可、公園・運動場・プール・屋内外運動施設についても午後8時まで営業可とされています。詳細情報については、在タイ日本大使館のHPを参照下さい。

2.2 入国規制

タイへの入国については、引き続き、オンラインでの入国許可証(COE)申請システムを用いて手続きを進める必要があります。渡航時間前72時間以内発行のRT-PCR検査結果証明書、及びCOVID-19の関連疾患を含む医療費10万米ドル以上を保証する医療保険証等が必要です。タイ入国後は、隔離(ASQ)ホテルにて14日間の隔離となります。

 7月1日よりプーケットサンドボックス制度が、7月17日よりサムイ・プラス制度が開始されています。これは、渡航日の14日前までに、COVID-19ワクチン接種を規定回数終えている者を、検疫隔離なしでプーケット又はサムイ島・パンガン島・タオ島に受け入れる、検疫隔離免除の制度となります。ワクチン接種証明書の提示が必要となります。また、通常の入国時と同様、COEの申請、渡航時間前72時間以内発行のRT-PCR検査結果証明書、医療費10万米ドル以上を保証する医療保険証等の提示も必要となります。詳細情報については、在京タイ王国大使館のHPを参照下さい。

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 8月29日の新規感染者数は、20,579人でした。現在マレーシア国内で施行されているFMCO(完全ロックダウン)は、第一段階から第四段階まで設定され、新規感染者数やワクチン接種率等を基準に段階的に規制を緩和する仕組みとなっています。

7月中に、ペラ州、クランタン州、トレガンヌ州、パハン州、ペナン州、サバ州、8月中にヌグリ・スンビラン州が第二段階に移行しました。また、8月中に、ペルリス州、サラワク州が第三段階へ、ラブアンが第4段階へ移行しました。これら以外の地域は、現在も第一段階の規制が施行されます。第一段階の規制では、必要不可欠なサービスとして指定されたものを除き全ての社会・経済活動は許可されません。また、州・地区間の移動は原則禁止されています。

また、これまで必要不可欠な経済活動に分類されていなかった製造業にも、従業員のワクチン接種率を基準に以下の稼働率の限度での操業が許容されました。

・全従業員のうちワクチン接種率40%~59%で60%の稼働率

・全従業員のうちワクチン接種率60%~79%で80%の稼働率

・全従業員のうちワクチン接種率80%~100%で100%の稼働率 

 さらに、ワクチン接種完了者には、デジタルワクチン接種証明書の提示、人数や時間の制限があるものの、レストラン内での食事や、スポーツ・レクリエーション活動等様々な社会活動に対する規制が緩和されてきています。

3.2 入国規制

 外国人渡航者の入国は原則禁止されています(注:出国は可能)。例外的に、以下1~5に該当する場合の入国を許可しています。

  1. MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)査証保有者の再入国
  2. 主要又は技術的ポストにある企業職員・技能労働者・知識労働者及びその扶養家族・使用人の入国(いずれも現地駐在者が対象。国籍は問わない。)
  3. 留学生(高等教育機関、インターナショナルスクール)及び医療ツーリズム目的の渡航者の入国
  4. 長期滞在ビザを保有していない外国人で、マレーシア人の配偶者及びその家族についての入国
  5. 永住者の入国

 すべての渡航者は、出発前72時間以内にRT-PCR検査を受ける必要があり、マレーシアに入国するためのフライトに搭乗できるのは陰性の検査結果を有する者のみとなります。入国後は、14日間の強制隔離期間があり、14日目のリスク評価の結果によっては、必要に応じて7日間延長される可能性があります。すべての渡航者は、国際線での到着後、RT-PCR検査を受ける必要があり、到着後2回目のRT-PCR検査は10日目に実施されます。隔離期間が21日間まで延長された場合には、18日目に再検査が行われます。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19及びクーデターの規制状況

COVID-19の陽性者数は、7月のピーク時と比較すると減少傾向にあります。しかし未だ陽性率は25%前後と低くない水準が継続しており、病院の稼働状況もCDMの関係でまだ完全に元通りにはなっていないことから感染しても入院できず、感染予防のため、7月19日からの祝日が8月31日まで延長されました。

4.2 入国規制

 8月は6日、13日及び20日のANA便が飛びました。9月は10日、24日に救援便が運航予定です。マレーシアやシンガポール等を経由する便が新型コロナウイルスの入国規制との関係で難しくなっています。ミャンマーへの入国は日本からの救援便以外に方法はない状況です。国際旅客便の着陸禁止措置も継続しています。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

8月以降もCOVID-19感染者数は増加傾向にあり、ソーシャルディスタンスの確保やマスクの着用、手洗いの実施など、予防策の徹底が呼びかけられています。

メキシコのCOVID-19感染リスクを示す連邦政府の信号(赤、橙、黄、緑の4段階があり、赤が最も深刻)は、8月9日の更新で、赤の州が7州と前回の1州から大幅に増加しました。8月23日から2週間適用される信号色は、赤7州、橙17州、黄7州、緑1州となりました。メキシコシティやメキシコ州は赤から橙に、シナロア州は赤から黄へと改善を見せる一方、タバスコ州は黄から赤へ、タマウリパス州やプエブラ州は橙から赤へ後退を見せるなど、一進一退の状況が続いています。連邦政府による新たな規制は見られませんが、引き続き、予防措置の継続が呼びかけられています。各州においては、マスクの着用や不要不急の外出の自粛、商業施設等に対する収容人数の制限などの要請、規制が行われています。

5.2 入国規制

メキシコへの入国については、政府による外国人への入国制限等は行われていませんが、2020年3月21日より米国政府による米墨国境における不要不急の渡航制限が行われており、9月21日までの延長が決定されました。本制限は、空路や海路(ただし、フェリーでの移動を除く)での移動については適用しないとされています。また、3月19日から実施されているメキシコ政府によるグアテマラ及びベリーズ国境における陸路での不要不急の移動制限についてついては、6月21日以降その延長は発表されていないものの、在メキシコ日本大使館によると、解除の通知が為されていないことからこれまでと同様の制限が継続されると考えられるとのことです。空路による出入国には制限がなく、各空港では体調や渡航履歴に関するアンケートへの回答や検温によるスクリーニングが実施されています。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

バングラデシュ政府による行動規制は緩和され、ショッピングモール等の商業施設の時短営業(午前10時から午後8時まで)、飲食店の時短営業(座席数を半数にしたうえで午前8時から午後10時まで)、観光施設、リゾート、集会所及び娯楽施設の収容定員の制限(半数)等、一定の制限があるものの、営業が認められています。

6.2 入国規制

 バングラデシュ民間航空局(CAAB)による、新型コロナウイルス感染拡大の予防措置としての渡航や入国規制(8月16日付)は、下記の通りです。なお、詳細については、こちらをご参照ください。

  1. グループAに属する国(モンゴルやマレーシアなどの計11か国)からの渡航者で、出発の14日前までにCOVID19ワクチンの接種が完了していない者の入国は、基本的に認められない。
  2. グループBに属する国(英国やタイなどの計16か国)からの渡航者で、出発の14日前までにCOVID19ワクチンの接種が完了している者は、自宅での14日間の隔離、ワクチン接種が完了していない者は、政府指定施設で自己負担による14日間の施設隔離が必要である。また、出発地の空港チェックインカウンターでは、ホテルの予約証明書を提示する必要がある。グループBの国からの乗客は、乗り継ぎの際に空港内に留まることを条件に、グループAの国を経由してバングラデシュに入国することができる。
  3. グループCに属する国(日本を含む、グループA・B以外の国)へのバングラデシュからの出国、グループCの国からのバングラデシュ入国は認められる。ただし、入国者は、14日間の厳格な自宅隔離を行う必要がある。到着時に新型コロナウイルスの症状が確認された場合は、政府指定施設での更なる検査や、施設隔離が必要になる。グループCの国からの乗客は、乗り継ぎの際に空港内に留まることを条件に、グループAやBの国を経由してバングラデシュに入国することができる。
  4. 10歳未満の子供を除く全ての入国者・出国者は、出発72時間以内に実施された新型コロナウイルスのPCR検査に基づく陰性証明書を持参する必要がある。

第2.各国の著作権法の概要

1.日本

著作権法は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とし(著作権法第1条)、昭和45年に制定されました。その後、インターネットの普及やデジタル化等の社会の変化や、関連法令の改正に応じて、改正されています。

(1) 著作物について

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいうと定義されています(著作権法第2条1項1号)。

(2) 著作者について

 著作物を創作する者をいうと定義されています(著作権法第2条1項2号)。

(3) 著作者の権利の発生及び保護期間について

 著作権の存続期間は、著作物を創作した時点で始まり(著作権法第51条第1項)、原則として著作者の死後70年を経過するまで存続します(著作権法第51条第2項)。例外として、無名・変名(周知の変名等、一定の場合を除く)の著作物は、公表後70年を経過するまで存続するほか(その前に死後70年経過が認められれば、その時点まで)(著作権法第52条第1項、第2項)、団体名義の著作物及び映画の著作物は、原則として公表後70年(創作後70年以内に公表されなかったときは、創作後70年)を経過するまで存続します(著作権法第53条及び第54条)。このほか、国際条約等の規定が適用される場合の保護期間については、特例が設けられています(著作権法第58条)。

(4) 著作者の権利の内容について

1 著作者人格権(著作者の人格的利益を保護する権利)

著作者は、公表権(著作権法第18条第1項)、氏名表示権(著作権法第19条第1項)、同一性保持権(その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないこと)(著作権法第20条)を有します。

2 著作権(財産権)(著作物の利用を許諾したり禁止する権利)

著作者は、その著作物について、複製権(第21条)、上演権及び演奏権(第22条)、上映権(第22条の2)、公衆送信権等(第23条第1項、第2項)、口述権(第24条)、展示権(第25条)、頒布権(第26条第1項、第2項)、譲渡権(第26条の2第1項)、貸与権(第26条の3)、翻訳権、翻案権等(第27条)、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、これら著作権に含まれる権利について当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有すること)(第28条)を専有します。

(5) 著作隣接権

著作物の公衆への伝達に重要な役割を果たしている者(実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者)に与えられる権利です(著作権法第89条)。その保護期間は、実演、レコードの固定、放送又は有線放送を行った時点で発生し、実演、レコード発行が行われた日の属する年の翌年から起算して70年を経過したとき、放送又は有線放送が行われた日の属する年の翌年から起算して50年を経過したときに満了します(著作権法第101条第1項、第2項)。

(6) 著作物が自由に使える場合

 著作権法は、一定の「例外的」な場合に著作権等を制限して、著作権者等に許諾を得ることなく利用できることを定めています(第30条〜第47条の8)。しかし、著作権が制限される場合でも、著作者人格権は制限されません(著作権法第50条)。また、上記著作権法が許容する例外規定に基づき複製されたものを同例外規定の目的外に使うことは禁止されており(著作権法第49条第1項、第2項)、利用にあたっては、原則として出所の明示をする必要があると定められているなど(著作権法第48条)、著作権者等の利益を不当に害さないように、また、著作物等の通常の利用が妨げられることのないよう、その条件が定められています。

 著作物が自由に使える場合の例として、私的使用のための複製(著作権法第30条)、図書館等における複製(著作権法第31条)、教科用図書等への掲載(著作権法第33条)、視覚障害者等のための複製等(著作権法第37条)、営利を目的としない上演等(著作権法第38条)、時事の事件の報道のための利用(著作権法第41条)、裁判手続き等における複製(著作権法第42条)、情報公開法等における開示のための利用(著作権法第42条の2)等が挙げられ、該当する場合は、利用が認められる条件について規定を確認する必要があります。

(7) 著作物の利用方法

他人の著作物は、上述(6)の通り、著作権が制限を受けている場合を例外として、原則として、著作権者に無断で利用することはできません。他人の著作物を利用する方法としては、以下の方法があります。

1 著作者からの利用の許諾(著作権法第63条)

2 出版権の設定(著作権法第79条~第88条)

3 著作権の譲渡(著作権法第61条)

4 文化庁長官の裁定(著作権法第67条~第69条)

(8) 著作権の侵害、罰則規定、紛争処理

著作権法に定められている権利を侵害された者は、差し止め請求、損害賠償請求、名誉回復の措置の請求等の権利侵害に対する救済を請求することができます(著作権法第112条~第118条)。また、著作権法の規定に違反した者は、罰則規定として、最大10年以下の懲役、又は1,000万円以下の罰金が科せられます(著作権法第119条~第124条)。

そのほか、著作権に関する紛争につきあっせんによりその解決を図るため、文化庁に著作権紛争解決あっせん委員が置かれており(著作権法第105条第1項)、当事者は文化庁長官に対し、あっせんの申請をすることができます(著作権法第106条)。

(9) 日本が加盟している国際条約

1 著作権条約

2 著作隣接権条約

3 マラケシュ条約

4 著作権・著作隣接権関係条約

 

2.タイ

 タイにおける著作物を保護する法律として、著作権法(Copyright Act B.E.2537)が制定されています。著作権法は、2015年と、2018年に改正がなされています。

(1) 著作物

 本法律における著作物とは、その表現の方法又は形式を問わず、文学、演劇、美術、音楽、視聴覚、映画、録音、放送その他の文学的、科学的又は芸術的分野の著作物をいうとされ、著作権の保護は、アイデア、手順、プロセス、システム、使用方法、操作方法、概念、原則、発見、科学的・数学的理論には及ばないとされています(第6条)。

(2) 著作権の発生

 著作権は、登録によって権利が発生する特許権や商標権と異なり、登録がなくとも著作物の創作の時点から発生します。

(3) 著作権者

 著作権者は、本法律により著作権の対象となる作品を創作した者をいいます(第4条)。

使用者に雇用されている従業員が雇用の過程で創作した著作物(職務著作)については、著作権が使用者に帰属するとの書面による合意がない限り、著作物を創作した従業員に著作権が帰属します。ただ、その場合でも使用者は雇用の目的に従い、当該著作物を公衆に伝達する権利を有します(第9条)。

 委託契約に基づき創作された著作物については、創作した者と委託者との間で別段の合意がない限り、著作権は委託者に帰属します(第10条)。

(4) 著作権者の権利

 著作権者は、以下の排他的権利を有します(第15条)。

  1. 複製又は翻案
  2. 公衆への伝達
  3. コンピュータプログラム、視聴覚著作物、映画著作物、録音物の原作品又は複製物の貸与
  4. 著作権から生じる利益の他者への供与
  5. 上記1、2、3の排他的権利を条件付き又は条件なしで他者に使用許諾すること

(5) 著作権の譲渡

 著作権者は、自己の著作権の全部又は一部を他人に譲渡することができます。著作権の譲渡が相続によるものではない場合、譲渡人及び譲受人が署名した書面により行われなければなりません。譲渡期間が明記されていない場合は、譲渡は10年間となります(第17条)。

(6) 著作権の保護期間

 著作権は、原則、著作者の生存中及びその死後50年間存続します(第19条)。

 ただ、著作物毎に、保護期間が制定されています(第19条~26条、第49条、50条)。

(7) 著作権の侵害行為

 著作権者の許諾を得ずに行われた以下の行為は、著作権の侵害とみなされます(第27条)。

  1. 複製又は翻案
  2. 公衆への伝達

ただ、著作物毎に、侵害行為が規定されています(第28条~31条)。

(8) 侵害行為への対応

  1. 損害賠償請求(第64条)
  2. 差止請求(第65条)
  3. 刑事罰(第69条~77条)

(9) ベルヌ条約

ベルヌ条約は、いわば世界著作権を認めるものであり、ベルヌ条約の加盟国は互いの国の著作物を保護し合うという点を取り決めている条約となります。日本もタイも、このベルヌ条約に加盟しているため、互いの国の著作物は互いの国の著作権法で保護を受けられることになります。

したがって、日本の著作物もタイ国内においてタイ著作権法による保護を受けることが可能となります。しかし、あくまでもタイ著作権法による保護であるため、保護期間や権利の内容などはタイ著作権法の規定によることになります。

 

3.マレーシア

(1) 概要及び目的

 著作権制度は、著作権者に著作権の独占的な使用権を与えることで著作者の保護ひいては著作物の創作活動の誘因を保護するとともに、権利侵害となる利用行為類型や権利の存続期間を制限することで著作物の自由な利用を一定の範囲で保護しています。マレーシアにおける著作権制度は著作権法(Copyright Act 1987)によって規律されています。

(2) 要件

 マレーシアにおいて著作権が保護を受けるために登録を受ける必要はありません。但し、以下の要件を満たす必要があります。

1 独創性

 独創性とは、作品が著作者の一部ともいえる労働、技術、判断等から成り立っていることを意味し、同要件が認められるためには、作品が著作者に由来し、かつ、十分な努力が費やされていなければなりません。

2 録音又は記録

著作物は、有形の物であるか、記録・録音されてなければなりません(著作権法7条(3)(b))。

3 カテゴリー該当性

以下のカテゴリーに該当する著作物が、著作権による保護の対象となります(著作権法7条(1))。

4 適格性

著作権法は、次の3つの場合に同法に基づく保護が与えられます。

(a) 著作者がマレーシア人等の場合

著作者は適格者でなければなりません。適格者とは、自然人の場合にはマレーシア国民又はマレーシアの永住者を意味し、法人の場合にはマレーシアにおいて設立されマレーシアの法律に基づき法人格を与えられた団体であることを意味します(著作権法3条)。

(b) 最初に発行された場所がマレーシアの場合等

言語作品、音楽作品、美術作品、映画、録音物については最初にマレーシアで発行された場合に、放送の場合にはマレーシアから放送をしている場合に適格性が認められます(著作権法10条(2)(a)、同項(c))。建築物については、マレーシアにおいて建築される場合、その他の美術作品についてはマレーシア国内の建物に組み込まれた場合にも適格性が認められます(同項(b))。作品が他の場所で発行された後、その日から30日以内にマレーシアで発行された場合は、最初にマレーシアで発行されたものとみなされます(著作権法4条(3)(b))。

(c) 作品がマレーシアにおいて製作された場合

国籍、居住又は発行地とは関係なく、当該作品がマレーシアで制作された場合には、著作権による保護が与えられます(著作権法10条(3))。

5 他国への拡張

 著作権(他の諸国への適用)規則(COPYRIGHT (APPLICATION TO OTHER COUNTRIES) REGULATIONS 1990)により、ベルヌ条約加盟国において最初に公開された言語作品、音楽作品、芸術作品、映画等についても著作権法の保護が及びます(著作権法59A条(1)(a))。

(3) 著作権に対する保護

 言語作品、音楽作品、芸術作品、映画、録音及びその派生作品に対する著作権は、以下の事項に関する排他的支配権をその内容とします(著作権法13条(1))。

(4) 著作権侵害に対する救済手続

 著作権者は、著作権に対する侵害行為又は著作権法36条A及び同条Bに反する行為があれば訴訟を提起することができます。著作権法は、以下の種類の救済手段を規定しています(著作権法37条(1))。

 

4.ミャンマー

ミャンマーでは、著作権法(Copyright Law)が2019年5月24日に制定されていますが、現時点でまだ施行されておりません。そのため以下にて著作権法の概要を説明致しますが、まだこれら保護はミャンマーにて受けられないことにご留意ください。

(1) 権利保護の対象

著作権法において「著作権」とは、文学又は芸術作品の著作者が、本法に含まれる規定に則って得た、文学及び芸術に係る個別の権利をいうと規定されております。

著作権の保護を受ける文学又は芸術作品には、(a) 書籍、配布資料、詩、小説、記事、コンピュータープログラム及びその他書かれたもの (b) 告示、訓示、演説、説法及びその他の発話 (c) 劇、舞台音楽作品、独自の挙動による演技、振り付け作品、舞台上で上演するその他の文学又は芸術作品 (d) 書面を含むか否か問わず、演奏及び演奏作品 (e) 映画作品を含む映像音声作品 (f) 建築作品 (g) 書くこと、書き刻むこと、装飾、木彫、石細工彫刻、彫刻、多彩なグラス、宝石等で装飾した作品、木製作品、陶器技術で作った作品、金属品、土器、宝石の装飾品、工芸品、古代の衣装、民族衣装及び服飾全般 (h) 石板印字、コンピュータープログラムその他の芸術作品 (i) 劇作品 (j) 実用的芸術作品 (k)反物の柄 (l)地理的状態、図面における表現、建築作品又は科学技術により、該当する模型、地図、計画、素描及び立体的作品が含まれます。

また、文学又は芸術作品の著作権を損なわせることのない二次的著作物には、(a) 文学又は芸術作品の翻訳、引用、整理及びその他の方法で変更すること又は修正すること (b) 伝統遺産の表現の収集を含む文学又は芸術作品を収集すること (c) 選択又は整理により事実を読み取る機械又はその他の方法で収集し、当該対象を収集する際に創作を含むことが含まれます。ただし、収集する際に含まれる情報を保護することとは関係がありません。

一方、著作権の保護を受けない文学又は芸術作品若しくは著作隣接権に関する作品には、(a) 考え、工程、行為手段、数式、基本原則、発見又は事実 (b) 関連する日付のニュース又は印刷された新聞の事実と定義できる特徴をもつ様々な情報 (c) 憲法及び法律 (d) 政府当局、政府団体及び局から発表する規則、施行細則、通達、命令、指令、及び法的手続き (e) 判決及び裁判所の命令 (f) 前(c)から(e)項までに含まれる情報を政府から正式に翻訳すること及び収集することが該当します。

(2) 著作権の存続期間

経済的権利を保護する期間について、著作者の生存期間及び死亡年から50年と規定されており、著作者人格権の保護期間は著作者の生存期間及び死亡した日付から起算して無期限であると規定されております。

(3) 罰則

権利者の許可なく営利目的で、著作権又は著作隣接権の保護を受ける作品を直接又は間接的に複製し、公衆と接続すること及び公衆へ頒布する行為、著作権又は著作隣接権を侵害した対象物を所有すること又は販売する行為、著作権又は著作隣接権を侵害した対象物を国内に向けて輸入する行為、著作権又は著作隣接権管理情報及び技術的保護措置に関する禁止行為を行う行為、著作権又は著作隣接権を侵害した対象物を製作する際、主に使用した物又は道具を所有する行為により有罪判決を受けた者には、3年以下の懲役若しくは100万チャット以下の罰金、又はその両方が科せされます。

また、上記を含む行為のいずれかに違反すること、有罪判決を受けて当該罪状において再犯を行うこと、有罪判決を受けた場合に、当該人物は3年以上10年以下の懲役かつ1000万チャット以下の罰金に処されると規定されております。

さらに、著作権又は著作隣接権の登録証の偽造すること又は偽造させること、著作権又は著作隣接権の登録簿に不誠実に不実を記載すること又はさせる行為により有罪判決を受けた者には、2年以下の懲役若しくは200万チャット以下の罰金、又はその両方が科せられます。

 

5.メキシコ

メキシコにおける著作権は、主に連邦著作権法(Ley Federal del Derecho de Autor)とその規則(Reglamento de la Ley Federal del Derecho de Autor)によって保護されます。

(1) 権利保護の対象

著作権とは、いかなる文書や登録も要せず、形式に準拠する必要もなく認められるものであり、作家や芸術家、演出家、演者に、それらの文芸作品や芸術作品といった著作物に対する保護を付与するものです。独創的に創作された著作物であって、いずれかの形式又は媒体によって知覚され、伝達され、又は複製することができる著作物が保護の対象とされており、1文学、2音楽作品(歌詞の有無は問わない)、3劇、4ダンス、5絵画・デッサン、⑥彫刻及び立体芸術、⑦風刺画・漫画、⑧建築、⑨映画などの映像作品、⑩ラジオ・テレビ番組、⑪コンピュータプログラム、⑫写真、⑬グラフィック又はテキスタイルデザインを含む応用美術作品、⑭百科事典・アンソロジー・データベースなどの編集物に区分されます。

一方、1アイデア、公式、解決策、概念など一般的発明、2著作物に具現化されたアイデアの産業的又は商業的利用、3精神的行為、競技、事業を行うための枠組み、計画、規則、4(独創的なデザインとならない)文字、数字、色彩、5名称及びタイトル又はフレーズ、⑥情報の種類を問わず、それを記入するためのフォーマット及びその指示、⑦国、州、市町村あるいは同等の政治区分の紋章、旗、又は記章の無許諾の複製品あるいは模造品、又は政府間組織や国際非政府組織その他いずれかの公認機関の名称、略称、シンボルあるいは記章及びそれらの呼称、⑧立法上、規制上、行政上、司法上等の原文及びそれらの公的翻訳。これらの原文及び公的翻訳が出版される場合には、それらは、公的原文に合致していなければならず、かつ、それらは、排他的出版権を与えません。(ただし、対応する原文、解釈、比較研究、注釈、解説その他著作者側による原著作物の創作を伴う類似の著作物は保護の対象となり得えます)、⑨ニュースの情報内容(ただし、その表現形式は保護されます)。⑩格言、ことわざ、伝説、事実、カレンダー及び計量表などの日常使用される情報などは、著作権保護の対象とはなりません。

(2) 著作権の種類

著作権は大きく、著作者人格権と経済的権利に分けられます。

著作者人格権は、著作者に帰属し、不可侵で不滅の、放棄も押収もされない権利であり、1著作物をどのような形で公表するか、あるいは著作物を非公開にするかの決定、2著作物に著作者を表示することの要請、もしくは著作物を匿名又は仮名で公表することの決定、3著作物の変形や削除、その他の変更、及び著作物や著作者の評判を下げる行為に対して異議を唱え、著作物の尊重を要求すること、4著作物を変更すること、5著作物を市場から回収すること、⑥自身が創作していない著作物の著作者とされることに異議を唱える、といった行為を認めるものです。この権利は著作者本人のほか、その相続人も行使できますが、後者の場合、1~4に限定されます。

一方、経済的権利は、法が定める範囲内で、著作者人格権を損なうことなく、自身の著作物を独占的に利用し、又は他者にそれを利用することを許可する権利であり、1あらゆる手段によって実施される著作物の複製、出版、編集又はその他の表現、2文学的及び美術的著作物における表現、朗読又は講演、一般公開の展示、インターネット等の電気通信によるパブリック・アクセス、利用者の選択した場所、時間に当該著作物にアクセスできるようにした一般公開による著作物の公開、3ケーブル、光ファイバー、マイクロ波、衛星、その他の既知の手段による送信又は再送信を含む、あらゆる形式の著作物の公開送信又は放送、4販売など著作物を含む物理的物質の移転や使用、利用の移転を含む著作物の配布、5著作者の許可を得ずに制作された著作物の模造品のメキシコ国内への輸入、⑥翻訳、改作、言い換え、編曲、変換など、あらゆる形式の二次的著作物の普及、⑦法に規定された場合を除く、著作物の公的利用、を実施又は禁止すること、を認めます。これらは、著作者自身、その相続人や権利取得者が行使でき、著作者の生存中及び死後100年間(共同著作物の場合は最も長く生きた共同著作者の死後100年間)有効となります。

(3) 著作権の登録

著作権は、前述の通り、いかなる文書や登録も要せず、形式に準拠する必要もなく認められるものですが、著作者、関連する権利の所有者、及びそれぞれの経済的権利の所有者とその後継者の法的安全を保証するために、文化省(Secretaría de Cultura)の下部組織となる国家著作権庁(Instituto Nacional del Derecho de Autor、以下「INDAUTOR」という)に登録することもできます。なお、前述の経済的権利を譲渡する場合には、これを登録しなければ第三者に対抗することができません。

(4) 著作権の効果

著作権の侵害があった場合、著作者や著作権保有者は民事的、行政的、刑事的措置をとることができます。

例えば、経済的権利の侵害があった場合、民事的措置として、損害賠償や、講演、公開の中止、権利を侵害して得られた収入等の差し押さえなどの承認と実施を裁判所に対し要求することができます。

行政的措置については、事案に応じてINDAUTORもしくはメキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial)が管轄します。出版社、起業家、プロデューサー、雇用主、放送機関、又は実施権者が、法の規定に違反して著作権を譲渡することを目的とした契約を締結すること、放送機関が有する強制実施権の条件を侵害すること、文学的著作物の編集や印刷において、出版社の情報や出版年等の情報を省略し、もしくは誤って記載すること、著作者、翻訳者、編集者等の名前を記載せずに、著作物を公開すること、著作者や翻訳者、編集者等の評判を損なうように、著作物を公開すること、以前に公開された別の作品との混乱につながる作品のタイトルを不正に使用することなどが行政制裁の対象となっており、制裁金は、事案に応じてUMA 日額(Unidad de Medida y Actualización、2021年の日額は89.62ペソ)の1,500倍から22,000倍の額となります。また、著作者や著作権所有者の事前の明示的な許可なしに、著作物を利用可能にし又は公に使用すること、本人やその相続人の許可なしに肖像を使用すること、書籍、映画、レコード、ビデオグラム、その他の視聴覚作品といった著作物の複製物を、著作権者もしくは著作権保有者の許可を得ずに、製作し、製造し、仕入れ、頒布し、輸送し、又は販売すること、著作権保有者の許可を得ずに改変、変更、又は削除されている著作物を、販売、仕入れ、輸送又は頒布のために提供すること、コンピュータプログラムの電子保護装置を機能させないことを目的とする装置又はシステムの輸入、販売、貸与又はそれを占有させること、放送機関の放送を、許可を得ずに、再送信し、複製し、及び公衆に配信することなどが、直接的又は間接的な利益のために実行された場合、著作権保護のために施された効果的な技術的保護手段を回避し、侵害行為等を行った場合などは、商業的侵害に該当し、事案に応じてUMA日額の500倍から40,000倍の制裁金が課されます。

連邦著作権法の他、連邦刑法(Código Penal Federal)にも著作権侵害に対する刑罰が規定されており、事案に応じて、6か月以上10年以下の懲役やUMA日額の300倍以上30,000倍以下の罰金が科されます。

(5) 国際条約

 メキシコが加盟する著作権に係る主な国際条約は次の通りです。

・文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約ブリュッセル改正条約

・文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約パリ改正条約

・万国著作権条約(パリ改正条約への批准を含む)

・実演家、レコード製作者及び放送機関の保護に関する国際条約

・許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約

・視聴覚著作物の国際登録に関する条約

・著作権に関する世界知的所有権機関条約

・実演及びレコードに関する世界知的所有権機関条約

 

6.バングラデシュ

著作権法(Copy Right Act, 2000)は2000年に制定され(2005年に一部改正)、同法により、執行機関として「著作権局」が設置されました。2006年に著作権法規則が制定され、著作権の登録、利用許諾や各種申請に関する手数料及び様式が規定されるほか、著作権委員会の任期、著作権団体の登録や監査について定めています。

著作権の管轄機関としては、著作権法を執行する著作権局のほか、手続き等を規定する著作権委員会が設置されています(著作権法9条、11条、12条)。

(1) 著作権の範囲

著作権は、以下の種類の著作物に対してバングラデシュ全域に及ぶものとすると規定されていますが(著作権法15条(1))、著作物の発行日又は作成期間に、著作者がバングラデシュに居住していたか、バングラデシュ国民であるか等の一定の要件が定められています(同条(2)(3))。

1 創作的な文学、演劇、音楽及び美術著作物

2 映画フィルム、ならびに

3 録音物

(2) 著作権の登録

著作物の著作者が最初の著作権者になると規定されていますが(著作権法17条)、当事者の同意に従います。合意がない場合、新聞等の定期刊行物については、業務又は徒弟契約に基づく著作者の雇用の過程において作成された著作物の場合は、定められた目的の範囲内に限り、経営者が最初の著作権者となりますが、その他全てに関しては著作者が最初の著作権者となります(著作権法17条(a))。また、依頼により有償の対価をもって撮影された写真、描かれた絵画もしくは肖像画、又は作成された版画もしくは映画フィルムの場合には、当該依頼者がその最初の著作権者となります(同条(b))。政府著作物の場合や、公共事業体により又はその指示や管理の下に作成、発行された著作物の場合には、政府又は公共事業体がその最初の著作権者となります(同条(e)(f))。また、コンピュータプログラムの場合は、プログラムを作成することを任命された者又は機関がその最初の著作権者となります(同条(h))。その他、国際著作権の規定が適用される著作物の場合には、これに関連する国際機関がその最初の著作権者となります(同条(g))。

著作権は、登録官に登録を申請することができ、著作権者は、その権利を譲渡(著作権法18条(1))又は利用許諾(著作権法48条)をすることができます。著作権は発行年又は著作者の死亡年の翌年から60年間有効です(著作権法24条、26条~32条)。

(3) 著作権の侵害に対する救済措置

 著作権侵害に対して、差し止め命令、損害賠償、利益分配その他法が認める救済を受けることができます(著作権法76条(1))。また、著作権法に罰則規定が定められており、4年以下の拘禁及若しくは50万タカ以下の罰金、又はその両方が科せられます(著作権法82条~88条)。

(4) 国際条約

 バングラデシュが加盟している主な知的財産権関連の条約として、(1) 文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約、(2) 工業所有権の保護に関するパリ条約、(3) WIPO設立条約、(4) 知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)が挙げられます。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループおよびTNYグループ各社】

・TNY Group

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・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

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・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

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・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

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・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

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・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

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・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

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