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「COVID-19関連の規制状況及び入国規制並びにE-コマース関連規制の概要」 TNY Group Newsletter No.23

第1.各国の国内のCOVID-19関連の規制状況及び入国規制

1.日本

1.1 COVID-19関連の規制状況

現在、31都道府県以下の期間・区域において、3月6日までを期限とし、まん延防止等重点措置が実施されています。感染拡大防止のための取り組みとして、各都道府県の知事の判断による、飲食店等に対する制限(時短営業や人数制限)、施設の使用制限等、イベント等の開催制限(人数制限、感染防止の取り組み)、外出・移動、職場への出勤等(テレワークや時差出勤、感染防止の取り組み等)が求められています(新型コロナウイルス感染症対策(内閣官房HP))。

1.2 入国規制

(1) 外国人の新規入国制限の見直しについて

外国人の新規入国については、原則として一時停止されていましたが、下記(a)又は(b)の新規入国を申請する外国人については、日本国内に所在する受入責任者が、入国者健康確認システム(ERFS)における所定の申請を完了した場合、「特段の事情」があるものとして、新規入国を原則として認めることとなります。

  1. 商用・就労等の目的の短期間の滞在(3月以下)の新規入国
  2. 長期間の滞在の新規入国

厚生労働省HP 外国人の新規入国制限の見直しについて

(2) 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(a) 入国後の自宅等待機期間の変更

  1. 検疫所の宿泊施設での待機対象となっている国・地域(以下「指定国・地域」)から帰国・入国する方で、COVID-19のワクチンを3回接種していない方は、指定の宿泊施設での3日間待機が求められます。宿泊施設で受けた検査の結果が陰性であれば、退所後の自宅等待機は求められません。
  2. 指定国・地域から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  3. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していない方は、原則7日間の自宅等待機を求められますが、入国後3日目以降に自主検査を受け、陰性の結果を厚生労働省に届け出て確認が完了した場合は、その後の自宅等待機の継続は求められません。
  4. 指定国・地域以外から帰国・入国する方で、ワクチンを3回接種していることが確認できる証明書を保持している方は、入国後の自宅等待機を求められません。

厚生労働省HP 検疫の宿泊施設で待機対象となっている国・地域

  1. 入国後の公共交通機関の使用について

 上記(a) ii)及びiii)に該当する方は、入国後の待機のため自宅等まで移動する際は、公共交通機関の使用が可能となります。

厚生労働省 HP 入国後の自宅等待機期間の変更等について

(参考サイト)

外務省HP 新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について

厚生労働省HP 新型コロナウイルス感染症について

出入国在留管理庁 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に係る上陸拒否等について

 

2.タイ

2.1 COVID-19関連の規制状況

タイのCOVID-19の累計感染者数は2,819,282名です。この内、2,606,363名が回復し、累計死亡者数は22,812名となっています。現在、新規感染者が増加傾向であり、1日2万人程度で推移している状況です。

2.2 タイ入国規制

 COVID-19状況管理センターは、2月23日、隔離免除でのタイ入国(Test and Go)のタイ入国後の条件を変更することを発表しました。

 タイ入国後のPCR検査について、以前はタイ到着日の検査および、タイ入国後5日目の検査を行う必要がありましたが、5日目の検査はATK検査を入国者自ら行うことが可能となり、隔離ホテル等の予約が不要となります。

1日目:タイ到着後、政府指定隔離ホテルにてPCR検査。ホテルにて検査結果が出るまで待機。

     陰性の場合、タイ国内を自由に移動が可能。

5日目:入国者自らATK検査。隔離ホテルの予約不要。

加えて、Thailand passの登録時に必要とされていた医療保険の補償額については、従前の最低5万USドルから、最低2万USドルへと変更となります。

上記の変更は、3月1日以降のThailand Passの申請分より適用されるとのことです。

2.3 日本入国規制

厚生労働省は、2月24日、日本入国後の宿泊施設での待機等の変更について発表し、タイから日本への入国時に必要とされていた3日間の宿泊施設待機期間が、解除されることになりました(日本時間3月1日午前0時から)。詳細については、上記1.2に記載の厚生労働省HPの情報をご確認下さい。

 

3.マレーシア

3.1 COVID-19関連規制

 2月23日の新規感染者数は、31,199人でした。感染者数は1月末の約6倍に急増し、現在ピークに達していると考えられます。

 新規感染者数やワクチン接種率等を基準に段階的に規制を設定した移動・活動制限令であるNRP(National Recovery Plan(これまではFMCOと呼ばれていました))では、全ての州が一番規制の緩和された第4段階の規制下にあります。ワクチン接種完了者には、州間移動が可能となり、COVID-19感染拡大前に行うことができた社会活動の多くが認められています。

3.2 入国規制

 外国人渡航者の入国は原則禁止されています(注:出国は可能)。例外的に、以下①~⑤に該当する場合の入国を許可しています。

  1. MM2H(マレーシア・マイ・セカンド・ホーム)査証保有者の再入国
  2. 主要又は技術的ポストにある企業職員・技能労働者・知識労働者及びその扶養家族・使用人の入国(いずれも現地駐在者が対象。国籍は問わない。)
  3. 留学生(高等教育機関、インターナショナルスクール)及び医療ツーリズム目的の渡航者の入国
  4. 長期滞在ビザを保有していない外国人で、マレーシア人の配偶者及びその家族についての入国
  5. 永住者の入国
  6. ランカウイ島へのトラベルバブル制度を利用した入国
  7. 目的を限定とした14日以内の短期商用(潜在的な投資家・既存の投資家・ビジネス顧客・技術者)での入国

 すべての渡航者は、出発前2日以内にPCR検査(スワブ検体)を受ける必要があり、マレーシアに入国するためのフライトに搭乗できるのは陰性の検査結果を有する者のみとなります。隔離期間は、ブースター接種済みの成人又は単独で渡航する若年者(12歳から17歳)は5日間、ブースター未接種のワクチン接種完了者は7日間、ワクチン接種未完了者は10日間となります。また、一定の要件をみたす者は自宅隔離を申請することができ、保健省のリスク評価次第で自宅隔離が認められる可能性があります。

 

4.ミャンマー

4.1 COVID-19 及びクーデターの規制状況

 COVID-19 の陽性率が再び上昇傾向にあります。ヤンゴン市内は車・人の往来は普段と大きくは変わりません。

4.2 入国規制

2月は3日、17日にANA 便が飛びました。3月17日、31日、4月7日、28日に救援便が運航予定です。ミャンマーへの入国は日本からの救援便以外に方法はない状況です。国際旅客便の着陸禁止措置も継続しています。ミャンマー入国後のホテル隔離は、10日間となります。

 

5.メキシコ

5.1 COVID-19関連の規制状況

2月に入りメキシコのCOVID-19新規感染者の増加は鈍化し、感染リスクを示す連邦政府の信号(赤、橙、黄、緑の4段階があり、赤が最も深刻)は、2月21日の週は、メキシコシティやケレタロ州を含む16州が黄色、グアナファト州やサンルイスポトシ州を含む16州が緑となりました。連邦政府による新たな規制は見られませんが、引き続き、予防措置の継続が呼びかけられており、マスクの着用などの要請は継続されています。

5.2 入国規制

メキシコへの入国については、政府による外国人への入国制限等は行われていません。メキシコ国内の各空港では体調や渡航履歴に関するアンケートへの回答や検温によるスクリーニングが実施されています。

 

6.バングラデシュ

6.1 COVID-19関連の規制状況

 バングラデシュでは、2月24日に発表された1日の新規感染者が1,516名で陽性率は5.53%でした。2月21日にCOVID-19関連の規制は撤廃され、学校も再開されましたが、マスク着用は義務づけられています。

6.2 入国規制

 現在、日本からの渡航者については、隔離が免除されていますが、入国に際し、12歳以上の渡航者は、搭乗前48時間以内に行ったCOVID-19のRT-PCR検査の陰性証明の提示が求められます。

 

7.フィリピン

7.1 COVID-19関連の規制状況

 フィリピンの COVID-19 感染者は累計365万8892人で、死者数は累計56,224人です(2022年2月25日現在)。新規感染者は2021年の年末以降急激に増加し、2022年1月中旬をピークとしてその後減少傾向にあります。現在は1日約1000~2000人程度の新規感染者が報告されています。

 2月28日まで、マニラ首都圏は、警戒レベル「レベル2」とされています。フェイス・シールド使用に関する規則によると、現時点で警戒レベル3以下の地域においては、フェイス・シールドの着用は任意となっています。

 また、フィリピンでは、5~11歳に対するファイザー製の新型コロナ・ワクチン接種が開始されました。2月7日からマニラ首都圏で始まり、徐々に対象地域が拡大していく予定です。

7.2 入国規制

 2月10日から、ワクチン接種等した外国人(商用・観光目的の査証免除対象者、及び、既存の有効な査証を有する外国人)の入国が許可されています。

7.3 フィリピンから日本への入国者及び帰国者に対する規制

2月24日、日本において3月以降の新たな水際対策措置が決定されました。また、フィリピンについて「水際対策上特に対応すべき変異株に対する指定国・地域」からの指定が解除されました。詳細は以下のとおりです。

 

8.ベトナム

8.1 COVID-19関連の規制状況

 2022年2月23日午前9時の時点でにおけるベトナムでの累計感染者数は297万2378人で、日本のおよそ3分の2となっています。昨年12月頃から毎日の新規感染者数は1万6000人前後で推移していましたが、旧正月(テト)休暇があけた2月上旬から入って急激に増加し始め、2月23日の新規感染者数はベトナムとしては初めて6万人を超え6万0338人となりました。

 一方で、昨年10月から隔離措置等の様々な社会・経済規制は徐々に緩和されており、ワクチン接種や人数制限などの一定の条件はあるものの、多くの分野において事業活動の再開が認められています。

8.2 入国規制

(1) 航空機

 日本からベトナムへの直行便はこれまで特別便しか運行していませんでしたが、2022年1月から定期便が一部再開し、2月15日からはベトナム発着の全ての定期便の運航制限が解除されました。但し、各航空会社は、入国規制が実施されている現状をふまえ定期便の本数を限定しているのが現状です(例えば、2月24日現在、関西空港発のホーチミン行きの便は全て運休しています)。

(2) 入国制限〜ビジネス目的

 2022年2月24日現在、ビジネス目的でのベトナム入国が認められる外国人は、ベトナムにある機関、組織、個人によって招へいされる者に限られています。入国を希望する外国人が、滞在許可証、一時滞在許可書(Temporary Residence Card)、ビザ、ビザ免除証を有しない場合、各地方の人民委員会による入国承認を得た上で、公安省入国管理局による入国許可を得る必要があります。これまで、滞在許可証、一時滞在許可書(Temporary Residence Card)、ビザ、ビザ免除証を有していたとしても入国承認・入国許可を得る必要がありましたが、1月18日よりこれらを有していれば入国承認・入国許可は不要となりました(なお、APECビジネストラベルカードは、ビザ等には含まれないことから、原則どおり入国承認・入国許可を得る必要があります)。

 入国後の隔離期間は、2回以上ワクチンを接種した方、又はコロナウイルスに感染しその後治癒した方については3日間、それ以外の方は7日間です。

(3) 入国制限〜観光目的

 2021年11月中旬から非常に限られた地域、人数、日数での観光客受入れが試行されてきましたが、ベトナム政府は、2022年3月15日から本格的に観光客の受入れを再開する計画を発表しました。現時点で検討されている受入れのための条件は次のとおりです。

  1. 12歳以上であること
  2. パスポートの有効期限の残りが6か月以上であること
  3. 入国72時間前のRT-PCRテスト又は入国25時間前の迅速検査での陰性結果の証明書を提出すること
  4. 有効なビザ、一時滞在許可書(Temporary Residence Card)などを有すること(15日以内の滞在であればビザなどは不要)
  5. コロナ治療に対応した1万米ドル以上の医療保険に加入していること
  6. “PC-Covid”などのコロナ対応の健康管理アプリを自身のスマートフォンにインストールして利用すること
  7. この他、滞在可能ホテルが限定される見込みです。

 なお、2月24日時点において上記はまだ正式に決定されたものではありません。「8.1 COVID-19関連の規制状況」でご説明したとおり、最近は急激に新規感染者数が増加していることから、観光客受入れ再開の計画も変更される可能性があります。

第2.各国におけるE-コマース関連規制の概要

1.日本

 E-コマースに関連する法律は多く、以下が挙げられます(経済産業省:電子商取引及び情報財取引等に関する準則(令和2年8月))。紙面の都合上、特定商取引法におけるE-コマースの関連規定をご説明します。

  1. 関連法
法 律 目 的
特定商取引法
(特定商取引に関する法律)
特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、
連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引、業務提供誘引
販売取引並びに訪問購入に係る取引)を公正にし、及び購入者等が
受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、
あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて
国民経済の健全な発展に寄与すること
景品表示法
(不当景品類及び不当表示防止法)
商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止
するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある
行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護すること
個人情報保護法
(個人情報の保護に関する法律)
高度情報通信社会の進展に伴い個人情報の利用が著しく拡大していることに鑑み、
個人情報の適正な取扱いに関し、基本理念及び政府による基本方針の作成その他の
個人情報の保護に関する施策の基本となる事項を定め、国及び地方公共団体の責務
等を明らかにするとともに、個人情報を取り扱う事業者の遵守すべき義務等を定める
ことにより、個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある
経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の
有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護すること
資金決済法
(資金決済に関する法律)
資金決済に関するサービスの適切な実施を確保し、その利用者等を保護するとともに、
当該サービスの提供の促進を図るため、前払式支払手段の発行、銀行等以外の者が行う
為替取引、暗号資産の交換等及び銀行等の間で生じた為替取引に係る債権債務の清算
について、登録その他の必要な措置を講じ、もって資金決済システムの安全性、
効率性及び利便性の向上に資すること
通則法
(法の適用に関する通則法)
法の適用に関する通則について定めるもの
(越境ECの準拠法に関する規定)
電子契約法
(電子消費者契約及び電子承諾通知に
関する民法の特例に関する法律)
消費者が行う電子消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示について特定の錯誤
があった場合に関し、民法の特例を定めるもの
特定電子メール法
(特定電子メールの送信の適正化等に
関する法律)
一時に多数の者に対してされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の
支障を防止する必要性が生じていることにかんがみ、特定電子メールの送信の適正化
のための措置等を定めることにより、電子メールの利用についての良好な環境の整備
を図り、もって高度情報通信社会の健全な発展に寄与すること

   2. 特定商取引に関する法律(特定商取引法)

 特定商取引法は、上表にある通り、7種類の取引を対象としています。特定商取引法第2条2項では、「通信販売」とは、販売業者が郵便その他の主務省令で定める方法(以下、「郵便等」)により売買契約の申込みを受けて行う商品若の販売であって電話勧誘販売に該当しないものをいうと規定しており、E-コマースは、通信販売に該当します。今回は、商品の販売業者がE-コマースにて商品を販売するケースを想定してご説明しますが、特定権利の販売及び役務の提供の場合にも同様の規定が適用されます。

   3. 広告規制

 販売業者が、商品の販売条件について広告をする際には、重要事項(商品の販売価格、支払いの時期及び方法、契約の解除に関する事項等)を表示することを義務付けています。ただし、当該広告に、請求により、これらの事項を記載した書面を遅滞なく交付し、又はこれらの事項を記録した電磁的記録を遅滞なく提供する旨の表示をする場合には、これらの事項の一部を表示しないことができます(第11条)。また、広告をするときは、当該商品の性能、売買契約の申込みの撤回又は解除(以下「申込みの撤回等」)に関する事項その他省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならないと規定されており、誇大広告等は禁止されています(第12条)。

   4. 承諾をしていない者に対する電子メール広告の提供の禁止等

 商品の販売条件について、その相手方の承諾を得ないで電子メール広告をしてはならないと規定されています。ただし、相手方の請求があるときや、省令で定める方法により当該申込み若しくは当該契約の内容又は当該契約の履行に関する事項を通知する場合において、省令で定めるところにより通信販売電子メール広告をするときや、通常メール広告の提供を受ける者の利益を損なうおそれがないと認められる場合として省令で定める場合において、通信販売電子メール広告をするときなどは除かれます(第12条の3第1項)。

   5. 通信販売における承諾等の通知

 販売業者は、売買契約の申込みをした者から当該商品の引渡しに先立って当該商品の代金の全部又は一部を受領する通信販売をする場合において、郵便等により当該商品につき売買契約の申込みを受け、かつ、当該商品の代金の全部又は一部を受領したときは、遅滞なく、省令で定めるところにより、その申込みを承諾する旨又は承諾しない旨、その他の省令で定める事項をその者に書面により、又は、申込者の承諾を得た場合は、電磁的方法その他の法令で定める方法により、通知しなければなりません。ただし、当該商品の代金の全部又は一部を受領した後遅滞なく当該商品を送付したときは、この限りではありません(第13条1項及び2項)。

  6. 通信販売における契約の解除等

 購入者は、その売買契約に係る商品の引渡しを受けた日から起算して8日を経過するまでの間は、その売買契約の申込みの撤回等を行うことができますが、販売業者が申込みの撤回等についての特約を当該広告に表示していた場合には、この限りでないと規定されています(第15条の3第1項)。販売業者は、関連法令に定められた方法で、申し込みの撤回等に関する特約(返品の可否、返品の条件等)を表示していない場合は、同法により、8日以内であれば購入者による返品が認められることになりますので注意が必要です。また、申込みの撤回等があつた場合において、その売買契約に係る商品の引渡しが既にされているときは、その引取り又は返還に要する費用は、購入者の負担となると規定されています(第15条の3第2項)。

 

2.タイ

(1) E-コマース関連法

 E-コマースに関連する主要な法律として、以下の法律が定められています。

  1. 電子取引法(Electronic Transactions Act B.E. 2544 (2001))
    1. 国際法をベースに、タイの情勢に合うように修正されたものとなります。この法律は、電子署名や電子取引に関するサービス事業、デジタル本人認証システム、公共分野の電子取引等、様々な分野の電子取引に関して定めています。
  2. コンピュータ犯罪法(Computer Crime Act B.E. 2550 (2007))

 コンピュータ関連犯罪について定めています。

(2) E-コマースビジネス

 タイでE-コマースビジネスを始めようとする場合、まず商業登記が必要となります。

商業登記要件については、商業登記法(Business Registration Act B.E. 2499 (1956))および商業登記義務を負う者に関する商務省規則(No.11)(Regulation of Ministry of Commerce on Persons who Have the Duties for Commercial Registration (No. 11), B.E. 2553 (2010))によって規定されています。

以下の事業を行う者は,E-コマース商業登記を行わなければなりません。

* 商業登記をせずにE-コマース事業を行う個人および法人は、商業登記法に違反したものとみなされ、その違反が是正されるまで日割りで罰金が科されるため注意が必要です。

(3) E-コマース登録手続き

1. Webサイトを完成させ、オンラインサービスを提供できる状態にする必要があります。E-コマース登録は、事業を開始した日から30日以内に完了する必要があります。

2. E-コマース登録の申請先

バンコク内:事業所の所在地に応じた50の区役所(District Office)の行政課、またはバンコク都庁の財政政策室(50区全てをカバー)

バンコク以外:事業所の所在地に応じた市町村や県内の行政機関

3. E-コマース登録の必要書類

(a) E-コマース事業者のタイ国民IDカード及びHouse registrationのコピー

(b) E-コマース登録申請書

(c) Webサイトの詳細

(d) Webサイトの最初のページをプリントアウトしたもの

(e) 事業所在地の地図

(f) 会社の登記証明書(法人の場合)

(g) 委任状(代理人による申請の場合)

* 事業者が外国法人の場合は、労働許可証や外国人事業許可(ある場合)等の提出が必要となります。

* 申請先により、必要書類等が異なる場合があります。

4. 費用

(a) 新規E-コマース登録: 50バーツ

(b) 変更登録: 20バーツ

(c) 事業解消登記: 20バーツ

E-コマース登録が完了すると、オンラインプラットフォームを介してビジネスを行うことができます。

また、この他にE-コマース事業を営んでいることを証明するE-コマース事業者証明書や、E-コマースの信頼性を証明するためのDBD Verified ロゴ等の申請も可能です。このロゴは、その信頼性の度合い等により、シルバー、ゴールド、プラチナの三種類のクラス分けがなされています。

 

3.マレーシア

(1) 外資規制

 E-コマース事業に関して外国資本を規制する法律・規則等は確認できず、100%外資の会社E-コマース事業を行うことが可能であると考えられます。

(2) WRTライセンス

 流通・サービス業を行う事業体に対しては、国内取引消費者省(MDTCC:Ministry of Domestic Trade, Co-operatives & Consumerism)よりWRT ライセンス(Wholesale Retail Distributive Tradeライセンス)の取得が義務付けられています。E-コマース事業は、サービス業に該当し、WRTライセンスの取得は必要となるものと考えられます。WRTライセンスは、実務上は外資が51%以上となる場合にのみ要求されています。

(3) 消費者保護法(Consumer Protection Act 1999)・消費者保護(電子商取引)規則(Consumer Protection (Electronic Trade Transactions) Regulations 2012)

 消費者保護法は、消費者の保護、国家消費者諮問評議会及び消費者苦情審判所の設立、及びそれに関連する事項について規定する法律です。消費者保護(電子商取引)規則は、オンラインマーケットプレイスに従事する事業者に対し消費者の利益を保護するための一定の措置を講じることを義務付けています。

 具体的には、オンラインマーケットプレイスにおいて商品又はサービスの供給を目的とする事業者(以下「オンライン事業者」という。)は、以下の情報をウェブサイト上に開示する必要があります(同規則3条)。

  1. 事業及び事業者の名前
  2. 会社の登録番号
  3. 事業者の電子メールアドレス及び電話番号、又は住所
  4. 商品又はサービスの主な特徴
  5. 輸送費、税金、その他の費用を含む商品又はサービスの総額
  6. 支払方法取引条件
  7. 購入者への商品又はサービスの配達予定時間

また、オンライン事業者は、以下の措置を取らなければならなりません(同規則4条)。

  1. 注文の確定前にバイヤーが申込を修正できるようにする措置
  2. 注文を受領したことを遅滞なくバイヤーに通知する措置

 さらに、オンラインマーケットプレイスの運営者は、商品又はサービスの供給者の名前、電話番号及び住所に関する記録を2年間にわたり保存するための合理的な措置を講じる必要があります(同規則5条)。

(4) 個人情報保護法(Personal Data Protection Act 2010)に基づく登録

 E-コマース事業ついて、個人情報保護法上の「個人情報の処理を行う者」に該当すると考えられることから、個人情報保護法に基づく対応も必要となります。

(5) 取引表示法(Trade Description Act 2011)

 取引表示法は、商品やサービスの供給に関連する誤った表示、虚偽又は誤解を招くような説明、行為及び慣行を禁止することで良好な取引慣行を促進するとともに、関連又は付随する事項の提供を目的とする法律です。取引表示法は電子取引にも適用され、商品及びサービスに関して虚偽の説明又は広告をすることは禁止しているため、同法に基づく対応も必要となります。

 

4.ミャンマー

 小売業については、外資がライセンスを取得するのはハードルが非常に高いです。しかし、E-コマースについては小売業の規制が適用されないと解されており、事実上、小売業の規制の適用を受けることなく行うことができます。E-コマース業者の登録を必要とする法案が存在するものの、現状としては公布されていません。

 

5.メキシコ

(1) 関連する法規定

メキシコにおいて、E-コマースを体系的に規制する法令はなく、商法(Código de Comercio)に規定される電子的手法による契約に関する規定や連邦消費者保護法(Ley Federal de Protección al Consumidor)に規定される電子商取引における消費者保護規定などを遵守する必要があります。取扱品についても、商品ごとに適用される法令や輸出入規制などを遵守する必要があります。

その他、メキシコ国内に拠点を持たない海外居住者がデジタル・サービスを提供する場合について、付加価値税法(Ley del Impuesto al Valor Agregado)及び税務細則(Resolución Miscelánea Fiscal)に付加価値税の負担や領収書発行に関する規定が設けられています。

(2) 商法上の電子情報の受信に関する規定

E-コマースにおいては、契約の申込みや承諾、取消しなどの意思表示も電磁的な手段を用いて行われ、どの時点で意思表示が到達したか問題となった場合にはその到達時期を確定する必要があります。電子情報は、送信者と受信者の間で別段の合意がない限り、受信時刻は次の時刻として決定されます。

(3) 連邦消費者保護法上の義務

電子的、光学的又はその他の技術を用いて行われる取引における事業者と消費者間の取引に際し、事業者は次の事項を遵守するものとされています。

そのほか、E-コマースに限りませんが、「バーゲン(oferta)」、「格安(barata)」、「ディスカウント(descuento)」、「大安売り(remate)」などの表現を行う場合は、通常価格を下回る価格で販売されると理解され、広告には販売の条件や期間、提供される商品やサービスの量を示す義務があります。E-コマースにおいても、このようなプロモーションを行う場合、消費者は、事前に決められた販売期間中、または、入手可能性がある限り、当該商品やサービスを購入する権利を有するとされており、当該商品の購入やサービスの利用ができない場合には、消費者は、契約の履行、別の同等商品やサービスの受領、契約解除のほか、通常価格との差額の支払いを受ける権利を有するとされている点にも留意する必要があります。

(4) メキシコ規格の規定内容

連邦消費者保護法第76 BIS 1条では、提供する商品やサービスに適用される条件等、商品の購入やサービスの利用について、その意思や条件を消費者が確認できるメカニズム、消費者の個人情報や取引に関する情報を機密に保持するためのメカニズム、苦情受付方法や支払い方法などについて、メキシコ規格を制定することと規定されており、NMX-COE-001-SCFI-2018が施行されました。メキシコ規格は順守義務を課す規格基準ではなく、この規定に反した場合の制裁もありませんが、消費者とのトラブルを回避するためにも従うことが推奨されます。

(a) サプライヤーを特定するための情報

i)屋号、ii)ブランド(該当する場合)、iii)商号(該当する場合)、iv)メキシコ国内の住所、v)納税者番号(Registro Federal de Contribuyentes、通称RFC)、vi)電話番号、又はその他の連絡手段(ソーシャルメディア)、及びvii)電子メールアドレス、ウェブサイトURL、運営している外部ポータルサイトURL

(b) ウェブサイト等の機能における利用不能、アクセス不能、又は中断から生じる責任に関する情報

(c) 商品やサービスの取得手続きに関する情報

これには、商品やサービスの特性や制限事項を知ることができる箇所を示す必要があります。

(d) 法に定める消費者の権利に関する情報

これには、消費者が責任又は正当な理由なく同意を取り消すことができるようにするための手続きを含める必要があります。なお、この取消の条件は次の通りです。

・ 商品の引渡又はサービスの受領の時期から5営業日以内であること

・ 商品又はサービスが使用又は消費されていないこと

・ 商品又は製品が引き渡された当初の状態(付属品、包装、マニュアルなどを含む)で保管されていること

・商品又はサービスの購入及び支払いが証明できること

(e) 通知方法又は消費者との連絡手段に関する情報

(f) 商品やサービスの返品又は交換、あるいは該当する場合には払い戻しの仕組みに関する情報

これには、必要な場合は、税務証憑の取得及び税務証憑の修正の仕組みに関する情報を含みます。保証は法律に定める期間を下回ってはならず、これを提供する場合には、保証期間を通知しなければなりません。

(g) 対応する曜日や時間帯、解決までの所要時間を含む、苦情や問い合わせへの対応に関する情報

(h) 紛争が発生した場合に適用される規則及び方針、並びに法的解釈や、適用されうる法律やメキシコ連邦消費者保護局の権限

(i) 該当する場合には、ウェブサイト等へのアクセスに関する年齢制限。

これは、ウェブサイト等の内容及び事業の性質によって決定されます。成人専用のサイトでは、未成年者のアクセスをブロック又は防止する仕組み、又はユーザーや消費者が連邦民法で定められた法定年齢に達していることを表明する通知を表示する仕組みを設ける必要があります。

(j) ユーザー又は消費者の登録及びアクセスに関する要件、並びにウェブサイト等の使用に関する規定

(k) 情報セキュリティを危険にさらす可能性のある情報を除く、ウェブサイト等のセキュリティメカニズムに関する情報

(l) 請求と支払の条件、税務証憑や商取引の証憑の入手方法、それらの訂正を求める方法

(m) 輸入された商品の場合、商品の原産地

商品には、修理可能な場所や使用方法の通知、及び法律で定められた最低限度の保証が含まれていなければなりません。

(n) 必要な場合は、商品の返送と商品の交換又は支払金額の返金や割戻を求める権利、あるいは補償を受ける権利の通知

交換や返金は次の場合に可能となります。

・商品が返送される場合

・品質、ブランド、仕様等が提供された情報と異なる場合

・ラベル、容器、包装に関する規定などメキシコの公式規格に準拠していない場合

事業者の責に帰すべき事由により、サービスの提供に不備がある、又は提供されない場合、又はメキシコの公式規格に準拠していない場合には、割戻し又は補償を受ける権利を通知しなければなりません。

3 商品、製品やサービスに関する情報

提供される商品、製品又はサービスの内容は広告で提示されたものと一致しなければなりません。したがって、ウェブサイト等は、提供される商品、製品又はサービスに関する情報を表示し、常に最新の状態に保たなければならず、少なくとも次の内容を含んでいなければなりません。

(a) 商品の場合

i) 仕様(寸法、機能、色、品質、製造に使用された材料、新品か中古であるか、中古の場合、修理済み、使用済みといった情報)を含む商品の説明、ii) GTIN(Global Trade Item Number、商品識別コード)(任意)、iii) 商品や製品の入手可能性や在庫状況、iv) メキシコペソでの支払い総額、その他税金や追加料金、該当する場合は、キャッシュボーナス、景品、割引など、v) 保証を提供する場合は、保証期間、vi)配送形態(費用、時間、配送オプションを含む)、並びに配送事業者を利用する場合の配送事業者の責任、及びvii) 該当する場合は、視聴覚的識別手段及び操作方法(写真、ビデオ、説明書、品質証明書、マニュアルなど)

(b) サービスの場合

i) サービスの説明(サービス提供の日時、場所、サービス提供者など)。また、サービス提供のために下請事業者を利用する場合は、その旨と下請事業者に関する情報、ii) 保証を提供する場合の保証期間、iii) 適用されうるサービスの制限、iv) サービスの期間、v) メキシコペソでの支払い総額、その他税金や追加料金、該当する場合は、キャッシュボーナス、景品、割引など、定期的な料金の支払いの有無とその変更方法、vi) サービスの更新、変更、解除や解約の手順、vii) 当初の契約内容に変更が生じる場合の通知と同意の方法

ウェブサイト等は、消費者が商品・製品・サービスを評価し、商取引の経験をフィードバックするとともに、他の消費者の評価や意見を知ることができる仕組みを有していなければなりません。

4 個人情報の取扱

プロファイリング、オンライン行動分析、マーケティング、広告又は商業的調査を目的としたユーザー及び消費者の個人情報の取扱については、以下の対応が必要となります。

(a) 個人情報の取扱について、プライバシーポリシーで通知すること

(b) 事前にユーザー又は消費者本人の同意を得ること

プライバシーポリシーとは別に、事前にユーザー又は消費者に対して、かかる目的で個人情報を利用することについて同意を求めることができる仕組みを用意しなければなりません。

(c) 同意を撤回するために利用できる手段と手続の提供

また、事業者は、個人情報保護法などに定める個人情報保護に関する義務を考慮して、ウェブサイト等を設計または選択するなど個人情報の取扱に適切な措置を講じなければなりません。

5 取引の取消等

ウェブサイト等は、消費者が取引の確認、承諾、修正又は取消を行うことができる仕組みを有していなければなりません。

(4) 付加価値税法及び税務細則上の規定内容

デジタル・サービスの提供については、メキシコ国内に拠点を持たない海外居住者であっても、当該サービスの提供にかかる付加価値税を負担することになります。

  1. また、サービスの受領者から要求があった場合は、居住する地域で適用される規則に従って、領収書(PDFファイル形式)を電子的に発行し、送付しなければなりません。この領収書には、①発行者の氏名又は法人名、②発行された国と都市、③発行者の納税者番号、④サービスの対価としての価格(付加価値税を除く)、⑤サービスにかかる付加価値税、⑥サービスのコンセプトや説明、⑦発行日と対価の対象となる期間、⑧受取人のRFCが記載されている必要があります。

対象となる「デジタル・サービス」は、画像、映画、文章、情報、動画、オーディオ、音楽、ゲーム、その他のマルチメディアコンテンツ等へのアクセスやダウンロード(電子書籍、新聞、雑誌へのアクセスやダウンロードは除く)、商品・サービスの提供者と利用者を仲介するサービス、オンラインクラブやデートサイト、オンラインでの通信教育やテスト、演習が該当します。

 

6.バングラデシュ

 バングラデシュでは、Eコマースの急成長に伴い、これまでNational Digital Commerce Policy, 2018(2020年に改正)、Digital Commerce Operation Guidelines, 2021(以下「ガイドライン」)が商務省により施行されています。実務で必要な事項を定めているガイドラインの概要をご紹介します。

  1. 目的及び適用範囲

 デジタルコマース事業における透明性、説明責任を促進し、雇用機会と消費者保護を創出し、デジタルコマース事業に規律をもたらし、起業家に機会を提供する競争市場を創出することにより、消費者の信頼と権利を高め、確保するための措置を講じることを目的としています。バングラデシュ国内の事業及びデジタルコマース管理にその関連法が適用される事業を行う全てのデジタルコマース事業者に適用されます。

     2. 事業者の要件

 ガイドラインでは、すべてのデジタルコマースオペレーターが営業許可、VAT登録、納税者識別番号、少なくとも1つの独自のビジネスID番号(UBID)又は個人の小売アカウント(PRA)番号を取得し、それらをマーケット又はソーシャルメディアページに表示する必要があると明記しています。UBID又はDBIDの登録は、2022年2月に立ち上げられたポータルmygov.bdにて可能です。すべての外国のデジタルコマース事業者は、バングラデシュで登録し、事業実施のために当局から許可を得る必要があります。

マーケットは、第三者によって提供される商品又はサービスに関する情報が提供され、取引プロセスが完結するデジタルコマースサイト又はポータルとして定義されます。マーケットは、第三者の売り手との間で別段の合意がない限り、必要な手数料と配送料を差し引いた金額を10日以内に第三者の売り手に支払う必要があります。

        3. 必須記載事項

 購入と返品の詳細な条件、商品の数量、材料、価格、配送料、その他の料金などを表示し、さらに、購入者が情報に基づいて決定できるように、販売する商品の画像や動画などを提示する必要があります。デジタルコマース市場又はFacebookページは、ベンガル語およびその他の言語(必要な場合)で記載し、購入と販売、払い戻し、返品又は商品の変更、配送方法、配送時期その他の条件のポリシーを明確に表示する必要があります。

        4. 制限事項

 爆発物など禁止されている商品やサービスをデジタルコマースプラットフォームで購入又は販売することは禁止されています。オンライン競売又はオンライン賭博、政府の承認なしの宝くじや抽選はできません。また、医薬品管理局からのライセンスのない、デジタルコマースプラットフォームでの医薬品の販売、バングラデシュ銀行の許可なく、デジタルメディアを介した金銭に関連するビジネスを行うことはできません。

       5. その他の要件

 デジタルコマースプラットフォームは、個人データを取得する場合、どのような情報を取得するのか、どこに保存されるのか、使用目的、処理プロセスについて知らせ、購入者の事前の承認を得る必要があります。バングラデシュ銀行の許可なしに、又はバングラデシュ銀行の指示に違反して、デジタルウォレット、ギフトカード、現金バウチャー又はその他の支払い方法を実施することはできません。事業に関連するすべての情報は、少なくとも6年間保存され、要求に応じて政府機関に提供されるものとします。配送のタイムラインも明確化されており、ガイドラインに従い、同じ都市内で配送される製品は、支払いが行われる場合は5日以内、別の都市に配送される場合は10日以内に配送されるものとします。日用品又は生鮮品の場合、配達はより早く行われ、購入者に同様に知らされなければなりません。

     6. 苦情と救済措置のメカニズム

 マーケットには、消費者が苦情を申し立てることができる必要な電話番号、電子メール、その他の通信手段を含める必要があります。かかる苦情は記録されなければならず、解決策は72時間以内に消費者に提供されなければなりません。デジタルコマースプラットフォームは、適切な評価及びレビューシステムを確保することになっており、購入者はそれらを表示して情報に基づいた選択を行うことができ、レビューはプラットフォームによって消去されません。

 当局は、ガイドラインに準拠していないプラットフォームに対して必要な措置を講じることができ、その措置には、マーケットの禁止、営業許可、会社登記、VAT登録の取り消しなどが含まれます。ガイドラインを遵守しないこと生じた損失に対する救済措置として、影響を受ける者又は購入者は、消費者権利保護局を含む関係裁判所に苦情を申し立てることができます。

 

7.フィリピン

 現在の電子商取引法は、「国内及び国際間での商取引、取り決め、合意、契約及び情報の交換・保存を、電子的、光学的、その他の媒体、様式、手段、技術の活用を通じて円滑化することで、上記諸活動に関連する電子文書が真正で信頼に足るものであることを保証し、行政および一般公衆における電子的取引の普遍的な活用を促進する」ことを趣旨とし、2000年に制定されました。

 同法の下では、電子的文書はその他の媒体で書かれた文書と同様の法的効力、妥当性、執行力を有しており、現行法において、紙媒体の文書と証拠としての機能として等価であるとされています。電子署名もまた、紙媒体における署名と等価であるとみなされます。

 電子的文書、電子署名、および電子的メッセージが司法手続において証拠として採用されるためには、紙の文書と同様、それらを真正ものとして証明しなければならず、司法手続においてこれらを立証しようとしている者にその証明義務が発生します。証明の方法は貿易産業省によって公布された施行規則(IRR)が定めるところに従わなければなりません。

 また、電子情報へのアクセス権を持つ者は、その情報の秘匿性を守り、他者に共有してはならず、ハッキングや違法コピー、さらには消費者法やその他関連法に違反した者を処罰の対象とすることも定められています。

 E-コマースを行う場合、事業の性質上小売事業としての性質を伴う場合があります。小売事業をフィリピンにおいて営む場合には外資規制に則った資本要件を満たす必要があるため注意が必要です。

 

8.ベトナム

 ベトナムにおけるE-コマースは、主に政令52号及び政令85号によって規定されています。政令85号は、政令52号を改正する法律であり、2022年1月1日から施行されています。

(1) 外資規制

 ベトナムでE-コマース事業を行うためには、会社を設立するか、既存会社の株式購入又は出資のどちらかの投資形態によります。出店者/販売者数、取引量、金額等をもとにベトナムでのE-コマース事業者として上位5社にリストされた企業を支配するためには、公安省による国家安全保障に関する評価を受ける必要があります(政令85号67c条)。

(2) ECサイト開設に関する規制

 ベトナムにおいてECサイトを開設する場合、商工省(MOIT:Ministry of Industry and Trade)に届け出なければなりません。組織の場合は、ECサイトを開設・運営に関連する機能を有していること、個人の場合は税務コードが必要となります。また、有効なドメイン名を持つウェブサイトがあり、情報管理に関する規則を遵守していることも必要となります(政令52号52条)。

(3) ベトナムにてECサイトを開設する外国法人/外国人投資家に対する規制

 ベトナム国内において会社を設立しなくても、ベトナムのドメイン名で開設されたECサイト、ベトナム語で表示されたECサイト又は1年以内にベトナムでの取引が10万件以上あるECサイトを有しサービスを提供する者は、政令85号の規制の適用対象となります。この場合、政令に基づきE-コマース事業の登録を行うこと、及び駐在員事務所の設立又はベトナムにおける代理人の任命等の手続を行わなければなりません(政令85号67a条)。

(4) ベトナムのECサイトで商品を販売する外国法人/外国人投資家に対する規制

 ベトナムでECサイトを開設し運営する者は、当該ECサイトにて商品を販売する外国法人/外国人投資家に対して身元を確認する義務を負います。また、当該外国法人/外国人投資家に対する輸出入権の登録の要請、ベトナムにおける代理店の選定を要請、買主から委託された輸入手続の実施等の責任を負います(政令85号67b条)。

 

発行 TNY Group

 

【TNYグループ及びTNYグループ各社】

・TNY Group

 URL: http://www.tnygroup.biz

・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所)

 URL: http://progress.tny-legal.com/

・佐賀(TNY国際法律事務所)
URL: https://tny-saga.com/

・タイ(TNY Legal Co., Ltd.)

 URL: http://www.tny-legal.com/

・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.)

 URL: http://www.tny-malaysia.com/

・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.)

URL: http://tny-myanmar.com

・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.)

 URL: http://tny-mexico.com

・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.)

 URL: http://www.tny-israel.com/

・エストニア(TNY Legal Estonia OU)

URL: http://estonia.tny-legal.com/

・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh)

 URL: https://www.tny-bangladesh.com/

・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.)

 URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html

・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.)

 URL: https://www.kt-vietnam.com/

Newsletterの記載内容は2022年2月25日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。