「合併に関する法制度の概要」 TNY Group Newsletter No.41
1.日本
(1) 日本における合併の概要
日本の会社法上、合併には、吸収合併と新設合併の二種類があります。同法2条によれば、吸収合併とは『会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後承継する会社に承継させるものをいう。』(同条27号)と定義されており、新設合併とは『二以上の会社がする合併であって、合併により設立する会社に承継させるもの』(同条28号)とそれぞれ定義されています。
日本においては、新設合併は、吸収合併に比べ手続やコストがかかるため、実務上は吸収合併を選択することが多いと言われています。
(2) 合併の手続き
ア 吸収合併の場合
吸収合併において、会社を吸収して存続する会社を吸収合併存続会社(存続会社)、消滅する会社を吸収合併消滅会社(消滅会社)といいます。吸収合併の基本的な手続きは以下の通りです。
① 吸収合併契約の締結
存続会社と消滅会社の商号及び住所、吸収合併に関連する事項、吸収合併の効力発生日等を明記する必要があります(同法749条1項各号)。
② 株主総会における承認決議
存続会社と消滅会社はともに上記契約で定めた効力発生日までに合併契約を株主総会にて承認を受ける必要があります。同決議は株主総会の特別決議事項となるため、出席株主の3分の2以上の賛成が必要となります。
③ 反対株主の買取請求権と通知・公告
株主総会の承認決議に先立って反対する旨を通知し、かつ、株主総会においても反対した株主は、消滅会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます。これに対応するため、消滅会社等は、合併契約の効力が発生する20日前までに、株主に吸収合併をする旨並びに存続会社の商号及び住所を通知しなければなりません。
④ 債権者に対する公告または催告
消滅会社等は債権者に対し、吸収合併を行う旨や存続会社等の商号及び住所、吸収合併に対し、異議を申し立てることができる旨とその期間(同期間は1ヶ月以上必要とされています)について、官報に公告し、かつ、知れている債権者には格別に催告する必要があるとしています。
債権者に異議を述べられた場合、異議を述べられた会社は同債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供する必要があります。
⑤ 効力発生日と登記
①にて定めた効力発生日に吸収合併の効力が発生し、同日の2週間以内に消滅会社の解散および存続会社の変更登記を行う必要があります。これにより、当該吸収合併に第三者対抗力を持たせることが可能となります。
イ 新設合併の場合
大まかな流れは吸収合併と同様ですが、①および⑤の部分が異なります。
新設合併の場合、新会社の商号及び住所はもちろんのこと、通常の新会社設立と同様に、発行可能株式総数や設立時取締役の氏名等も合併契約に定める必要があります。
また、新設合併においては、新設会社が登記された日に効力が生じる(同法49条)ため、効力発生日は合併契約の必要記載事項ではありません。
(3) 合併に伴う権利関係の承継について
新設合併では、新設会社が消滅会社の権利義務を包括的に引き継ぎます。もっとも、承継会社から免許や許認可等を引き継ぐことは基本的にはできません。他方、吸収合併の場合、権利義務については新設合併と同じく、包括的に承継することができ、かつ、免許や許認可等についても引き継ぐことが可能です。
なお、合併と契約上の地位の承継に関し注意すべき点として、既存の取引先との契約書内に経営権の移動等があった場合について言及した条項(チェンジオブコントロール条項)の有無が挙げられます。これは、合併等の組織変更があった場合には契約の解除事由となるまたは通知する義務を負うといった内容であり、このような条項の有無については充分注意する必要があります。
従業員との関係では、勤務内容は同一であるにも関わらず、存続会社と消滅会社のどちらの出身かによって雇用条件の不公正が生じることがあり、このような事態を防ぐためには、合併後の雇用条件を統一することが望ましいとされています。
また、オフィスや工場の所在地における不動産の契約などにも合併などに言及または関連した条項が存在する可能性があるため、この点にも注意する必要があります。
したがって、合併を行う際には事前の調査や会社間での交渉はもちろんのこと、合併後にどのようなリスクが生じるかについての調査も重要であると言えます。
2.タイ
(1) タイにおける合併の種類
タイでは、以前まで吸収合併は認められておらず、新設合併のみ認められていました。もっとも、近年のタイ民商法改正により、法律上、吸収合併も認められることになりました。
以下ではタイにおける吸収合併の手続及びライセンス関係の承継の可否について、解説いたします。
(2) 吸収合併の手続
タイにおいては、二社間での合併の合意後、以下の2つのステップを経ることで、吸収合併の効力を発生させることができます。
(ア) ステップ1
① 存続会社と消滅会社の双方において、合併を承認する株主総会を開催し、承認を得る。
② 反対株主に対して、株式の買取りを行う。
③ 承認決議後、14日以内に以下を行う。
- DBD(商務省)での承認決議の登記
- 決議日に会社記録に名前が記載されているすべての債権者に、異議申し立て期間を1ヶ月以内とする本件承認決議の通知を送付する。
- 地元紙にて承認決議を行った旨の公告を行う。
④合併に反対する債権者がいる場合には、同債権者に対し、弁済または担保の提供を行う。
その後、ステップ1の完了により、ステップ2に進むことが可能となります。
(イ) ステップ2
① 合併会社の名称や目的、覚書、定款等を決定し、承認の決議を行う。
② 決議後、7日以内に、消滅会社および存続会社の取締役が合併会社の取締役に、事業、財産、会計に関する書類等の引継ぎをする。
③ 同株主総会の日から14日以内に合併を登記し、合併会社の覚書と定款をDBDに提出する。
(3) 許認可や従業員の承継
タイでは、吸収合併が近年まで認められなかったという事情から、吸収合併とライセンスの承継については不透明な部分も多く、同じライセンスであっても、品目等によって承継の可否が異なる場合があります。そのため、自身のライセンスの承継の可否についてはライセンスの所轄官庁に確認する必要があります。
また、従業員については、消滅会社から存続会社へ異動する場合、法律上、各従業員から個別の合意を得る必要があり、得られない場合には、当該従業員に対しては、解雇補償金の支払を行い雇用契約が終了することになります。
3.マレーシア
マレーシアでは、ラブアンに設立された会社に適用されるラブアン会社法(Labuan Companies Act 1990)においては吸収合併に関する規定は存在しますが、一般的な会社に適用される会社法(Companies Act 2016)においては合併に関する規定は存在しません。マレーシアにおける会社の組織再編の方法としては、一般的に以下の方法が挙げられます。
– 対象会社の株式取得
– 対象会社の事業譲渡
– 会社法366条に基づくスキーム・オブ・アレンジメント
(1) 株式取得
株式取得の方法としては、公開買付を行う場合及び既存株主から直接株式を取得する株式譲渡を行う場合があります。
株式取得を規制する法令としては、以下の法令等が挙げられます。
– Malaysian Code on Take-Over and Mergers 2016
– Rules on Take-Over and Mergers and Compulsory Acquisition 2016
– Capital Markets and Services Act 2007(CMSA)
また、マレーシア証券取引所(Bursa Malaysia Berhad)、マレーシア中央銀行(Bank Negara Malaysia)、マレーシア証券委員会(Securities Commission Malaysia)、マレーシア会社委員会(Companies Commission of Malaysia)等の機関によって規制されます。
公開買付は、強制的公開買付及び任意的公開買付に分けられます。強制的公開買付は、一定の要件を満たした場合に実施する義務が生じるものをいい、任意的公開買付は強制的公開買付以外の公開買付をいいます。
強制的公開買付の義務が生じる要件としては、会社の支配権を獲得した場合(会社の議決権付株式の33%超を取得した場合)、Creeping Thresholdとなった場合(議決権付株式の33%超50%以下を保有しており、かつ6か月間に議決権付株式の2%超を取得した場合)等があります。
任意的公開買付は、強制的公開買付の要件を満たさない場合において、対象会社の発行済株式を100%取得する際に用いられ、任意的公開買付のうち、対象会社の発行済株式の100%未満を取得する場合には部分的公開買付と呼ばれます。
既存株主から直接株式を取得する株式譲渡を行う場合においても、一般法である会社法及び契約法を遵守する必要があります。
(2) 事業譲渡
事業譲渡とは、会社の事業の全部又は一部の譲渡を行うことをいい、事業譲渡を行うには、譲渡会社において株主総会の普通決議が必要となります。
(3) スキーム・オブ・アレンジメント
スキーム・オブ・アレンジメントとは、一般的に会社再建において用いられる制度で、会社法366条に基づいて対象会社が裁判所の許可を得て行う、会社、株主及び債権者間の合意による手続をいいます。
4.ミャンマー
ミャンマーでは、日本の会社法のような合併に関する規定はありません。したがって、当事者間で締結する契約書において詳細を規定する必要があります。
一般的には株式譲渡か事業譲渡の方法によることとなります。株式譲渡の場合には潜在的リスクも含めて全て承継することとなり、ミャンマーではデューデリジェンスによっても全てのリスク(特に財務)を洗い出すことは難しいため、慎重に対する必要があります。
5.メキシコ
(1) 定義
メキシコにおいて合併は「Fusión」として認識されていますが、その定義は明確に規定されていません。メキシコにおける会社法となるLey General de Sociedades Mercantilesにおいては、222条から226条において合併に関する規定が置かれており、これらから合併には次の2つの種類があると考えられています。
- Fusión por incorporación o absorción(吸収合併)
既存の一つ以上の会社を別の既存の会社に統合し、そこに権利義務を承継させることで構成される。統合された会社は消滅する。
- Fusión por integración o pura(新設合併)
2つ以上の会社が新会社を設立し、各々の権利義務のすべてを当該新設会社に承継させ、各会社は消滅することで構成される。
(2) 合併の流れ
合併は、会社の形態に応じた条件で、それぞれの会社において決定されなければならないとされており、株式会社においては、特別株主総会決議を要することとなります。
合併の合意は、商業登記簿(Registro Público de Comercio)に登記し、経済省(Secretaría de Economía)の電子システムにおいて公表しなければならず、また、合併の対象となる各会社は当該電子システムにおいて最新の貸借対照表を公表し、消滅会社は、債務を消滅するための方法も公表しなければならなりません。
合併の効力は、登記後3か月が経過した後でなければ生じないとされており、この期間中、合併する会社の債権者は、当該合併に対して異議を申し立てる司法手続きをとることができます。異議が申し立てられた場合、当該異議を却下する判決が確定するまで、合併は一時中断されることとなり、異議の申立てがないままにこの期間が経過したときは、合併が成立し、存続会社または合併により生じた会社が消滅会社の権利義務を承継することとなります。
なお、経済競争法(Ley Federal de Competencia Económica)の定めにより、企業再編等グループ企業間で行われる場合といった一部の例外を除き、次の基準に当てはまる合併は、連邦経済競争委員会(Comisión Federal de Competencia Económica: COFECE)に届出を行い事前に承認を得る必要があります。
- UMA*1日額の1,800万倍に相当する額以上の金額をメキシコに投資することを意味する行為又はその原因となる一連の行為
- メキシコでの年間売上高又はメキシコにおける資産が、UMA日額の1,800万倍に相当する額以上である経済主体の資産又は株式の35%以上を併合することを意味する行為又はその原因となる一連の行為
- UMA日額の840万倍を超える資産又は資本のメキシコでの併合で、メキシコで生じる年間売上又はメキシコ国内の資産が、共同又は個別にUMA日額の4,800万倍に相当する額以上で2つ以上の経済主体が関与する企業結合を意味する行為又はその原因となる一連の行為
*1 UMA日額は、2023年度(2023年2月から2024年1月)は103.74ペソ
(3) その他の手続
その他、合併後には、消滅会社の納税者登録(RFC)の抹消や、消滅会社が外資登録(RNIE)のある会社だった場合には、その登録の抹消など、各会社の事情に応じた手続きが必要となります。
また、労働者に係る手続としては、連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)において、Sustitución Patronal(雇用主の交代)と呼ばれるものが規定されています。会社の資産等の譲渡と併せて、これまでの使用者に提供されていた労働が譲渡後も継続する場合に活用することができます。従って、消滅会社での経済活動が、存続会社や新設会社において継続される場合であって、同じ労働力が用いられる場合、この手続をとり、雇用関係を継続させることができます。
6.バングラデシュ
バングラデシュには、合併について包括的に定める法律はなく、会社法、証券取引委員会法及びその関連法令、外国為替規定法、競争法などに部分的に規定されるほか、保険業や通信業など特定の業種の合併について、個別の法律で定められています。
会社法は、一般的にすべての会社のM&Aに適用される規定を定めていますが、その内容は限定的です。同法228条は、会社の解散について債権者および株主との妥結に対する裁判所の権限、229 条は、合併による解散を含む解散の取り決めと妥結を促進する裁判所の権限についてそれぞれ定めています。同法230条は、過半数によって承認されたスキームまたは契約に反対する株主から株式を取得する権限(通知や予告期間など)について規定しています。
合併を進める場合は、関連する複数の法令を確認したうえで、当事者間の契約にて詳細を定める必要があります。
7.フィリピン
- フィリピンにおける合併の概要
フィリピンにおける合併は、フィリピンの会社法に準拠して手続が履践されます。大きく分けると2つの合併形態が存在します。一つ目は、吸収合併です。存続会社が対象会社を吸収し、合併します。対象会社の資産や負債を原則として全て引き受けることになります。二つ目は、新設合併です。これは、2社以上の会社が統合され、新たな会社(新設会社)を設立するタイプの合併形態です。新設会社は、原則として対象会社の資産や負債を全て引き受けることになります。
また、フィリピンでは、合併の方法として、対象会社の株式を取得する方法や事業や資産を譲受する方法があります。
選択すべき合併の種類は、各会社の状況によって異なりますので、合併を検討されている会社は、対象企業の規模、対象企業の資産負債状況、規制要件などの要素を考慮して適切な合併形態を選択する必要があります。
- フィリピンにおける合併に必要な手続
フィリピンにおける合併手続において、必要とされる主な手続としては、まず、取締役会決議及び株主総会特別決議(議決権の3分の2の賛成票が必要な決議)を経たうえで、合併計画の承認を得る手続が必要となります。また、この時点で合併に反対である株主については、正当な価格での買取を請求する権利が与えられているため、請求があった場合は買取対応をする必要があります。
さらに、合併に際しては、合併契約を締結する必要があります。その際に、フィリピンにおける証券取引委員会の承認が必要となる場合があるため、適法に締結された合併契約書を同委員会へ提出する手続が発生します。同委員会における承認には、審問が実施される場合もあります。
承認を取得し、必要な手続が全て履践された後、合併はクロージングとなります。これにより、対象会社から存続会社又は新設会社へ資産と負債が継承されます。
- 合併後の取引関係について
最後に、合併後の取引関係について、法的観点から述べます。合併成立後の従業員やサプライヤーとの契約当事者は、存続会社又は新設会社となります。これは、契約関係を含め、対象企業の資産及び負債の全てを存続会社又は新設会社が継承するためです。したがって、事業に必要な取引契約のみならず、従業員との雇用契約や不動産に関する契約についても、存続会社又は新設会社が契約当事者としての地位を承継します。
ただし、合併当事者間において、契約上、合併が生じた場合に契約関係を終了できる条項が存在する可能性に留意する必要があります。これには、合併前にデューデリジェンスを実施し、リスクとして抽出されることが多いため、合併を検討される場合は、対象会社のデューデリジェンスをしっかりと実施することが望ましいといえます。
8.ベトナム
- ベトナムの法規制における「合併」の定義
会社の合併とは、1つまたは複数の会社(以下、「被合併会社」といいます)が、財産、権利、義務およびその他の合法的な利益をすべて別の企業(以下、「合併会社」といいいます)に移転させる行為であり、現行の企業法および競争法に定義されています(企業法第201条第1項及び競争法第29条第2項)。
被合併会社は、合併会社の登録手続が完了した後、その存続を終了します(企業法第201条第2項c)。なお、被合併会社の支店、駐在員事務所や事業拠点は、被合併会社が消滅する前に閉鎖手続をしなければなりません (政令01/2021/ND-CP第73.3条)。
- 被合併会社の権利義務の移転と継承
合併の手続が完了した後、合併会社は、被合併会社と合併会社の合意に基づき、債務、労働契約、その他の資産負債など、被合併会社が合法的に有するすべての権利と義務を承継します(企業法第201条第2項c)。
- 合併手続きの一般的なプロセス
ベトナムでは、多くの場合、以下の手順に従って合併が行われます(企業法第201条第2項)。
① 合併に関する必要書類(合併会社の定款および当事者間の合併契約書)の作成
② 被合併会社および合併会社の所有者や株主の承認
③ 上記②の承認を得た日から15日以内に、全債権者に当事者間の合併契約書を送付し、全従業員に合併について通知
④ 合併に関する登録手続の申請
- 合併手続について特例が適用される場合
以下のいずれかに該当する場合は、合併を行うために特別の手続が必要となります。
① 外国資本が含まれる場合:投資プロジェクトの統合、特定の事業分野に対する投資条件や要件の設定、合併会社の外国人所有比率の変更が伴う場合、投資法に規定する手続を遵守する必要があります。
② 専門業種に関する場合:銀行業、保険業、証券業における合併を行う場合、事前に、特別法による規制(信用機関法、保険業法、証券法など)が適用され、事前にそれぞれの専門当局(ベトナム国家銀行、ベトナム財務省、ベトナム国家証券委員会など)の承認を得る必要があります。
③ 経済集中度の届出基準に達した場合:競争法に基づき、国家競争委員会に経済集中度の届出書類を提出する必要がありますz(競争法第33条および政令35/2020/ND-CP第13条)。経済集中度の届出基準は、以下のいずれかをもとに決定されます。
(a) 合併を行う会社のベトナム市場における総資産
(b) 合併を行う会社のベトナム市場における総売上高
(c) 合併の取引金額
(d) 合併を行う会社の関連市場における合計市場シェア
ベトナム政府は、各時期の社会経済状況に合わせて、経済集中度の届出に関し、正確な基準を設定します。
9.インド
(1) インドにおける合併の概要
インドでは、合併については吸収合併と新設合併があります。吸収合併では、合併によって消滅する対象会社の権利義務を存続会社が包括的に承継することになります。新設合併では、合併によって消滅する会社の権利義務を合併によって新たに設立する会社に承継させるものとなります。
(2) 合併の手続について
合併については、会社法審判所(National Company Law Tribunal)による承認を得なければなりません。会社法審判所は、合併承認の申請に対して、株主総会や債権者集会の招集を命ずる場合があります。
会社法審判所に対して上記申請を行うものは会社の財務状況等を宣誓供述書により開示する必要があります。
上記手続により招集された株主総会及び債権者集会により4分の3以上の賛成(株主総会の場合議決権の4分の3以上、債権者集会の場合総債権額の4分の3以上)により会社法審判所が命令により合併を承認します。
会社は合併の命令を受領してから30日以内に登記官に当該命令を提出しなければなりません。
(3) その他
合併は会社登記所の命令を必要とし完了までに半年から一年程かかるため、当事者同士の合意で行われる事業譲渡の方が多く利用されていると思われます。
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発行 TNY Group |
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・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所) URL: https://tny-lawfirm.com/index.html ・佐賀(TNY国際法律事務所) URL: http://www.tny-legal.com/ ・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.) URL: http://www.tny-malaysia.com/ ・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.) ・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.) ・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.) URL: http://www.tny-israel.com/ URL: http://estonia.tny-legal.com/ ・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh) URL: https://www.tny-bangladesh.com/ ・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.) URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html ・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.) URL: https://www.kt-vietnam.com/ ・イギリス(TNY CONSULTING (UK) Ltd.) URL: https://www.tnygroup.biz/uk.html ・インド(TNY Services (India) Private Limited) URL: https://india.tny-legal.com/index.html Newsletterの記載内容は2023年8月29日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。 |
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1.日本
日本の営業秘密については、不正競争防止法に規定があります。
同法2条6項は、営業秘密について、「この法律において「営業秘密」とは、秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の秘密であって、公然と知られていないものをいう。」と定義しています。
(1) 営業秘密の3要件
「営業秘密」に該当するためには、以下の3つの要件を満たす必要があります。
① 秘密管理性
② 有用性
③ 非公知性
まず、①要件を満たすためには、企業が当該情報を秘密裏に管理しようとする意思が、何らかの措置によって従業員や取引先に対して明確に示されており、かつ、当該意思について従業員等が認識できるような状態にしていなければなりません。
経済産業省の営業秘密指針によれば、具体的に必要な秘密管理措置の内容や程度については、企業の規模、業態、従業員の職務、情報の性質その他の事情の如何によって異なり、営業秘密の管理単位(営業秘密の共有をしている企業単位のこと。支店レベルであるか、関連会社も含むのかが異なる。)における従業員がそれを一般的に、かつ容易に認識できる程度のものである必要があるとしています。
秘密管理措置の具体例としては、表紙に「マル秘」や「社外秘」といった文字を明記しておくこと、金庫や施錠可能な容器に保管すること、扉に「関係者以外立ち入り禁止」といった張り紙をしておくことなどが考えられます。
次に、②要件を満たすためには、当該情報が客観的にみて、事業活動に有用であることが必要となります。この点、同要件の趣旨は公序良俗に反する内容の情報(脱税や不正の情報等)を除き、商業的価値が認められる情報を広く保護することに目的があります。同目的からは、①③要件を満たす情報については、有用性が認められることが通常であり、過去に事業活動に使用していた情報や、実験失敗のデータや製品の欠陥情報など間接的な価値が認められる情報についても有用性が認められることになります。
最後に③要件を満たすためには、当該情報が、一般的には知られておらず、又は容易に知ることができないことが必要となります。
非公知性が認められる状態とは、当該情報が合理的な努力の範囲内で入手可能な刊行物に記載されていない、公開情報や一般に入手可能な商品等から容易に推測・分析されない等、保有者の管理下以外では一般的に入手できない状態にあることをいいます。仮に当該情報が海外の刊行物に掲載されていたとしても、その刊行物の取得に多大な時間やコストを要する場合には、合理的な努力の範囲を超えるものとして公知性が認められることになります。また、当該営業秘密が様々な知見を組み合わせて一つの情報を構成している場合、構成する各情報が様々な刊行物に掲載されており、それらを集めた結果、当該営業秘密に近い情報が得られたとしても、どの情報をどのように組み合わせるか自体に価値が認められる場合には、公知性は否定されません。
(2) 営業秘密が侵害された場合の措置
営業秘密に該当した場合、当該秘密を不正に取得、使用、開示する行為については「不正競争」行為に該当し、民事上、刑事上の措置の対象となりえます。また、当該営業秘密を取得者から得た者についての取得、使用、開示する行為についても一定の要件のもと民事上、刑事上の責任を負うこととなります。
具体的には、営業秘密の漏洩が発覚した場合、会社は、営業秘密の不正開示や利用の停止・予防、侵害に関する物品の破棄等を求めることができます。また、営業秘密の漏洩によって会社に損害が発生した場合には、侵害者に対して損害賠償を請求することができます。なお、損害賠償額については同法に損害額推定規定が設けられています。加えて、同漏洩によって、会社の信用が損なわれた場合には、信用を害した者に対して信用回復措置を取るように請求することも可能です。
2.タイ
タイの営業秘密については、営業秘密法に規定があります。
同法3条は営業秘密について、「営業秘密とは、まだ一般に公表されていない営業情報、またはその情報に通常触れられる者にまだ届いていない営業情報をいう。また、当該情報が秘密であることにより商業的価値をもたらし、営業秘密管理者が機密を保持するために適当な手段を採用していなければならない。」と定義しています。
(1) 営業秘密の要件
タイの営業秘密に該当するためには、以下の3つの要件に該当する必要があります。
① 秘匿性
② 有用性
③ 秘密管理性
まず、①要件を満たすためには、当該情報が一般に知られていないまたは情報を入手できる状況になっていないことが必要であり、日本の営業秘密の要件の一つである「非公知性」に似た概念であるといえます。
次に、②要件を満たすためには、当該情報を秘密に保つことで商業的価値をもたらしていることが必要であり、こちらも日本の有用性要件に似た概念であるといえます。
もっとも、日本においては秘密管理性および非公知性が認められれば、公序良俗に違反する情報等でない限り、有用性要件が認められる一方、タイの裁判においては、当該情報を秘密にしておくことで商業的価値が生じるかどうかを実質的に考慮するなどして、その判断基準に違いがあります。Googleマップの店舗情報について、有用性が認められるかという最高裁判例においては、店舗情報とはむしろ公開されることにより、商業的価値が生じるものであるとして、有用性要件について否定しています。
最後に、③要件を満たすためには、当該営業秘密を保護するために、充分な秘密保護措置が取られている必要があります。タイで裁判の争点になることが多いのは同要件であり、保護したい情報については、社内規定や就業規則などによって事前にルールを作成しておく必要があります。また、ルールを作成しておくだけではなく、従業員への研修や監査を通じてそのルールの運用が正確になされている必要があります。この点については、就業規則に一般的な守秘義務を規定していたとしても、同要件を満たすことにはならないとした最高裁判決も存在しています。
なお、充分な秘密保護措置が取られているか否かについて、絶対的な基準はなく、会社の規模や職種等を総合的に考慮し、相対的に決定されます。
以上のように、営業秘密該当性については、日本とタイは非常に類似した構成をとっています。もっとも、各要件の判断基準については、異なる点も多いため、その取扱いについては注意する必要があります。
(2) 営業秘密侵害行為
営業秘密侵害行為について同法6条は「営業秘密の侵害行為とは、営業秘密を保有する者の許可なく、秘密を開示し、使用する行為であって、不当な商業手法であるものをいう。ただし、侵害者において不当な商業手法であるとの認識または認識することが相当であると認められる事情がなければならない。」と定義しています。
また、同法6条では、契約違反、秘密保持の違反またはその教唆、贈収賄、脅迫、詐欺、窃盗、盗品の譲受、電子その他の手法を使った諜報活動を「不当な商業手法」として、例示列挙しています。
(3) 侵害行為に対する措置
上記のような営業秘密の侵害行為があった場合または現に行われようとしており、かつ明確な証拠がある場合には、差し止め請求や損害賠償請求をすることができます。同請求の中では、侵害組成品の破棄または所有権の移転を求めることができます。
また、侵害者に対しては両罰規定も含む刑事罰も存在しています。
3.マレーシア
マレーシアでは、営業秘密の保護に関する一般的な法は存在せず、営業秘密はコモンロー及びエクイティによって保護されます。営業秘密が不法に開示された場合には、守秘義務違反として民事救済を図ることができます。営業秘密の漏洩に関する直接的な刑事責任を定めた法令等は特段存在せず、救済手段としては基本的には民事救済によることになります。営業秘密には、製法、方法、技術、製造費用、顧客リスト、事業計画等が含まれるとされています。保護の対象となる営業秘密は、原則として秘密となっている情報のみであり、公共財となっている一般的な情報については保護されないものとされています。
(1)守秘義務違反が認められる要件
マレーシアでは、判例上、従業員には使用者に対する忠実及び誠実の義務があるとされており、この義務には、使用者の同意なしに、雇用の過程で得た機密情報を使用または開示しない義務(守秘義務)が含まれています。
次の3つの要件が満たされている場合に、守秘義務違反が認められることがイギリスの判例(Coco 対 AN Clark (Engineers) Ltd事件等)で明示されており、これはマレーシアでも適用されています。
- 機密性のある情報であること
- 守秘義務を負う状況下で情報が伝達されたこと(情報の機密性が従業員に明確に示されている必要があります。)
- 情報の無断使用があったか、それが予期されること
守秘義務は、通常、雇用関係において発生し、この義務は暗示であっても、明示であってもよいとされ、その雇用終了後にまで及ぶとされています。
しかし、使用者は従業員に対し、当該従業員の技術及び知識の一部となったものの使用を禁止できないとされています。
マレーシアの判例により、当該情報が企業秘密であるか又は一般知識及び技術であるかは、以下の要素により判断されます。
- 雇用の性質
- 情報の性質
- 使用者がその情報の機密性を強調したか
- 当該企業秘密が一般知識及び技術と区別できるものであるのか
(2)守秘義務違反が認められる場合の救済方法
守秘義務違反が認められる場合には、損害賠償請求(Damages)(懲罰的損害賠償請求を含む)、差止命令(Injunction)、清算による償還(Account of profit)等が考えられます。
なお、差止命令が認められるためには、回復不能な損害があること、及び損害賠償請求のみでは救済として不十分であることを立証しなければなりません。
4.ミャンマー
ミャンマーでは、営業秘密の保護に関する一般的な法は存在しません。そのため、守秘義務契約等の営業秘密を守る義務を含む契約を締結している場合には、営業秘密が不法に開示された場合には、守秘義務違反として民事救済を図ることができます。営業秘密の漏洩に関する直接的な刑事責任を定めた法令等は特段存在せず、救済手段としては基本的には民事救済によることになります。
したがって、営業秘密を共有する相手方との間でその秘密を保護するための契約を締結することが重要となります。
5.メキシコ
(1) 概要
日本でいう「営業秘密」に近い概念として、メキシコでは連邦産業財産権保護法(Ley Federal de Protección a la Propiedad Industrial、以下、「産業財産権保護法」という。)に規定される「Secreto Industrial」が挙げられます。その定義や違反行為、罰則等の規定はあるものの、特許や商標といった産業財産権のように、登録制度等はありません。
(2) 定義
産業財産権保護法において、Secreto Industrial(以下、「営業秘密」という。)は、「その法的管理を行使する人が秘密に保つ産業又は商業用途の全ての情報であって、経済活動の遂行において第三者に対して競争的又は経済的優位性をもち、機密性を維持し、アクセスを制限するのに十分な手段又はシステムを採用されている情報」と定義されています。
なお、公知の情報や法令等により開示しなければならない情報は営業秘密に該当しません。また、営業秘密の保有管理者より、ライセンス、許可、承認、登録、又はその他の権限を付与する目的で当該情報が提供された場合には、公知になったとはみなされません。
(3) 営業秘密の保護
先述の定義より、情報が営業秘密とみなされるには、①商業的価値があること、②機密性の維持、③情報に対し機密に保つための合理的措置が施されていることが条件となります。
従って、例えば、競合他社に対して経済的優位性を持つ技術情報がある場合、限られた数の人々だけがその情報を知っていること、そしてそれを知っている人々がその情報が機密情報であることを認識していることが重要となります。更に、そのような情報へのアクセスを制限する措置が取られなければなりません。
また、情報の保有管理者は営業秘密の使用を第三者に許可することができ、この場合は、使用を許可された第三者は、この営業機密を開示してはならない義務を負います。技術提供等の契約書において守秘義務条項を設けることも可能であり、当事者が当該情報を機密であると確認する条項を含める必要があります。更に、雇用や業務委託等の関係において、又は職務に関連し、企業の情報を知り得る者は、秘密である旨を通知された情報については、その保有管理者等の同意を得ずに開示してはならない義務を負います。
従って、営業秘密を機密として保護するためには、機密であることの明示や各種契約書内への秘密保持条項の設定や秘密保持契約書の締結、職場においては、これらに加え就業規則の整備や教育の実施といった措置が必要となります。
(4) 情報漏洩時の措置
営業秘密に関し漏洩が生じた場合、民事的、行政的、刑事的措置をとることができます。
行政的措置については、経済的優位性を獲得するため、又は商慣習に反する行為として、営業秘密を不正に取得することなどについて、利害関係者はメキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial: IMPI)に対し調査を要請でき、違反と判断された場合は、最大25,935,000ペソの制裁金(2023年の場合)、最大90営業日の施設の一時閉鎖や恒久的閉鎖といった制裁が科される恐れがあります。
刑事的措置については、自身又は第三者のために経済的利益を得る目的又は営業秘密の保有者に対し損害を与える目的で、不当に営業秘密を開示し、無権限に秘密情報を取得、使用、流用等行った場合、犯罪となり得え、利害関係者がIMPIに対し申し立てることにより起訴されます。犯罪が確定した場合は、2年から6年の懲役、103,740ペソから31,122,000ペソの罰金(2023年の場合)が科される恐れがあります。
このほか、刑法211条に依れば、専門的・技術的サービスを提供する者や公務員によって営業秘密が開示された場合、1年から5年の懲役や罰金、該当する場合は、2カ月から1年の職務停止処分が科される恐れがあります。
民事的措置として損害賠償請求を行うことも可能です。先述の各事項のほか産業財産権保護法167条は、企業秘密を取得する目的で、その秘密を保有する他者の従業員又は元従業員、当該他者にサービスを提供する、又は過去に提供したことのあるコンサルタント等を雇用し又は業務を委託する者は、法的責任を負うと規定することから、情報漏洩を行った本人のほか、企業秘密を取得する目的で雇用等を行った者に対しても損害の賠償を請求できる可能性があります。
更に、雇用関係において、労働者による情報漏洩が生じた場合、連邦労働法(Ley Federal del Trabajo)に基づき、処遇を検討できます。労働者は、技術的秘密や営業上の秘密、製造に直接的又は間接的に関与する場合のその製品の秘密情報、その他業務の遂行上知り得る情報について、その開示が会社に損害を与える可能性がある場合、その情報を機密に保持する義務を負うため、労働者が企業秘密や守秘義務を負う情報について漏洩した場合には、使用者は責任を負うことなく、当該労働者を解雇することが可能となります。
6.バングラデシュ
バングラデシュでは、営業秘密の保護を直接規定する法律や政策は制定されておらず、営業秘密侵害に対する苦情を管轄する政府機関も設立されていません。
しかし、営業秘密の法的保護は、いくつかの法律において、例えば、特許意匠法、契約法、競争法、刑法において規定されています。例えば、特許意匠法第49条によれば、意匠に関する情報の悪意の開示を防ぐことができます。ただし、当該規定はすべての営業秘密の場合に適用されるわけではなく対象は限定的です。また、契約法第73条では、機密保持契約を締結した場合、当事者は、契約上の義務違反に対する救済を求めることができます。
7.フィリピン
- フィリピンにおける「営業秘密」の定義
まず、フィリピンにおいて、「営業秘密」を直接定義する法令は見当たらず、非公開情報の一部が、知的財産権に関する法令において、部分的な保護を受けるに留まっています。
他方で、法令において直接定義はされていないものの、フィリピンの最高裁判例には、「営業秘密」に対して保護を与える旨判示したと読めるものが存在します。同判決によれば、「営業秘密」とは、“plan or process, tool, mechanism or compound known only to its owner and those of his employees to whom it is necessary to confide it”であるとされています。これを日本語に訳すると「計画、工程、道具、メカニズム、又は化合物に関する情報であって、所有者又はその従業員のうち、当該情報を開示する必要のある者のみが知っているもの」となります(*筆者訳)が、日本法と比較すれば、やや抽象的な概念に留まっていると考えられます。
もっとも、「所有者又はその従業員のうち、当該情報を開示する必要のある者のみが知っているもの」という部分が示すとおり、当該情報が社内において秘密として扱われている、いわゆる「秘密管理性」の要件については、フィリピン法においても求められていると考えられます。
- 「営業秘密」が侵害された場合の救済措置と対応
次に、「営業秘密」が侵害された場合、どのような救済措置や対応方法が考えられるかについて言及します。
まず、契約上で「営業秘密」について言及がある場合は、同契約の文言に基づき、侵害行為を行なっている相手方に損害賠償請求を行うことが考えられます。加えて、⑴で述べた「営業秘密」の定義に該当するような場合は、知的財産に関する法令に基づき権利侵害を主張したうえで、差止請求の手続をとることも検討できます。
また、従業員が「営業秘密」を漏洩したケースに限定されますが、雇用契約関係がある場合は、従業員に対して情報漏洩行為を指摘し、懲戒処分や懲戒解雇を行うことも考えられます。
- 「営業秘密」の侵害に備えた予防的法務
最後に、「営業秘密」の侵害に備えて企業がとりうる予防的法務対応について述べます。
フィリピンにおいて「営業秘密」を適切に守るためには、情報のやり取り前にNDAを締結すること、取引に関する契約書に営業秘密侵害の場面を想定した条項が入っているか確認すること、従業員との雇用契約に営業秘密についての条項が入っているか確認すること等の対応が挙げられます。また、牽制的な位置付けにはなりますが、従業員の営業秘密漏洩行為は犯罪行為として規定されていますので、この旨を企業内で周知することも予防法務の観点から一定程度効果があるものと考えられます。
8.ベトナム
- 概要
ベトナムの営業秘密については、2005 年に制定され、2009 年、2019 年、2022 年に改正された知的財産法に規定されています。知的財産法によれば、営業秘密とは、金融活動または知的投資活動から得られた情報のうち、未公表で、かつビジネスで利用可能なものをいうとされています(知的財産法第4条第23項) 。
営業秘密とみなされるためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 財政的、知的、研究的、創造的な投資活動の結果であること。
- 同業他社、公衆、一般消費者に開示されていないこと。
- ビジネスで使用することができ、所有者に経済的利益をもたらすこと。
- 営業秘密の所有者
営業秘密を合法的に取得し、その機密性を保持する組織または個人が営業秘密の所有者になることができます。企業の従業員が業務の一環として営業秘密を取得した場合には、企業と従業員との間で別段の合意がない限り、営業秘密は企業が所有することになります(知的財産法第121条第3項)。
- 営業秘密が保護されるための要件
営業秘密が法的に保護されるための要件は、次のとおりです(知的財産法第84条)。特許などと異なり登録制度はなく、要件を満たせば自動的に保護されることになります。
- 一般的な知識ではなく、容易に入手できないもの。
- 事業活動で使用される場合、その所有または使用しない者よりも、所有者に対して有利性をもたらす者であること。
- 所有者により秘密が保持され、開示されず、容易に入手できないよう必要な措置が講じられているもの。
なお、上記要件を満たすものであっても、以下に挙げるものは営業秘密として保護されません(知的財産法第85条)。
- 個人を識別するための秘密
- 国家管理の秘密
- 国防および安全保障上の秘密
- 業務に関係のないその他の機密情報
- 営業秘密の所有者の権利制限
営業秘密の所有者の権利は無制限ではありません。以下の場合には、営業秘密の所有者は権利行使することができません(知的財産法第125条3項)。
- 第三者が、不正に取得されたことを知らず、または知る理由がなく、取得した営業秘密を開示または使用する場合。
- 公衆を保護するために営業秘密を開示する場合。
- 非営利目的での秘密データを使用する場合。
- 独自に作成した営業秘密を開示または使用する場合。
- 合法的に販売された製品の分析または評価によって生じた営業秘密を開示または使用する場合。ただし、分析者または評価者と営業秘密の所有者または製品の販売者との間で別段の合意がある場合を除く。
9.インド
インドには、営業秘密の保護に関する法律はありません。したがって、営業秘密の漏洩について、刑事責任を定める特別の法令も存在しません。
営業秘密を保護するための手段として、秘密保持契約、雇用契約、研究開発契約等のそれぞれの契約において秘密保持条項を定めることが重要です。契約に規定された秘密保持条項に反して第三者に営業秘密を開示した場合は、契約法(Contract Act of 1872)に基づいて損害賠償請求をすることが可能です。裁判例では、営業秘密に該当するかどうかの判断において、当該情報が秘密であること(既に公知となっている等の事情がないこと)、情報の開示により損害が生じる又は競争相手が利益を得ること等の事情を考慮しています。
また、裁判例では、営業秘密の漏洩の差止めについても認められています。裁判所は、侵害の事実の有無、回復不能な損害、原告被告間の利益の比較衡量等の事情を考慮して差止を命じるかどうかを判断します。
なお、インド契約法においては、「ある者が合法的な職業、取引、又はあらゆる種類の事業を行うことを拘束されるあらゆる合意は、その限りにおいて無効である。」と規定しており、同法に基づき、原則、雇用契約期間中の競業避止義務は有効であるが雇用契約期間終了後の競業避止義務は原則として無効であると解釈されています。一方、雇用契約期間終了後に元従業員に顧客への連絡を禁ずる条項について適法であると判断した裁判例があることから、雇用契約期間終了後の秘密保持条項については合理的な範囲で認められると考えられます。
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発行 TNY Group |
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・東京・大阪(弁護士法人プログレ・TNY国際法律事務所(東京及び大阪)、永田国際特許事務所) URL: https://tny-lawfirm.com/index.html ・佐賀(TNY国際法律事務所) URL: http://www.tny-legal.com/ ・マレーシア(TNY Consulting (Malaysia) SDN.BHD.) URL: http://www.tny-malaysia.com/ ・ミャンマー(TNY Legal (Myanmar) Co., Ltd.) ・メキシコ(TNY LEGAL MEXICO S.A. DE C.V.) ・イスラエル(TNY Consulting (Israel) Co.,Ltd.) URL: http://www.tny-israel.com/ URL: http://estonia.tny-legal.com/ ・バングラデシュ(TNY Legal Bangladesh) URL: https://www.tny-bangladesh.com/ ・フィリピン(GVA TNY Consulting Philippines, Inc.) URL: https://www.tnygroup.biz/pg550.html ・ベトナム(KAGAYAKI TNY LEGAL (VIETNAM) CO., Ltd.) URL: https://www.kt-vietnam.com/ ・イギリス(TNY CONSULTING (UK) Ltd.) URL: https://www.tnygroup.biz/uk.html ・インド(TNY Services (India) Private Limited) URL: https://india.tny-legal.com/index.html Newsletterの記載内容は2023年7月26日現在のものです。情報の正確性については細心の注意を払っておりますが、詳細については各オフィスにお問合せください。 |
日本
日本の就労ビザには、様々な種類があります。就労ビザ取得に関しては、申請者の国籍や就労目的、滞在期間等によって手続きや要件が異なります。そのため、以下では日本の就労ビザのうち、代表的なものを取り上げ、その取得条件について述べます。
(1) ビザの種類
日本の就労ビザは大まかに分けると16種類あります。
a . 教授(大学教授など)
b . 芸術(音楽家や画家など)
c . 宗教(僧侶や宣教師など)
d . 報道(記者やカメラマンなど)
e . 経営・管理(会社社長や役員など)
f . 法律・会計業務(日本の資格を有する弁護士、公認会計士など)
g . 医療(医師、看護師など)
h . 研究(研究所の研究員など)
I . 教育(小・中・高の教員など)
j . 技術・人文知識・国際業務(技術者、外国語教師、通訳、デザイナーなど)
k . 企業内転勤(同一企業の日本支店に転勤する者など)
l . 介護(介護士など)
m . 興行(演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手など)
n . 技能(調理師、パイロット、スポーツトレーナー、ソムリエなど)
o . 特定技能(特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能/熟練した技能を要する産業に従事するもの)
p . 技能実習(海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生)
(外務省ホームページより引用:https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/visa/chouki/index.html)
その他、就労目的での滞在については、高度専門職ビザがあり、学術、技術、経営分野において、高度かつ専門的な活動を行う者に対し、付与されます。同ビザは、申請者の経歴や仕事の内容、年収などをポイント制にして評価し、一定のポイントに達した場合にのみ付与されます。
上記a~pのうち、もっとも代表的なものは、技術・人文知識・国際業務ビザであり、日本で就労する多くの外国人が同ビザを取得しています。
(2) 技術・人文知識・国際業務ビザの取得方法
同ビザの取得要件については、実際に従事する業務によって、学歴・職歴要件が異なります。主に以下の要件が必要となってきます。
① 学歴・職歴要件
a. 技術職 : 従事する予定の業務に関連する専門分野を専攻して大学等を卒業していること、10年以上の実務経験があること、情報処理技術に関する試験の合格または資格を有していることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
b. 人文知識 : 従事する予定の業務に関連する専門分野を専攻して大学等を卒業していること、10年以上の実務経験があることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
c. 国際業務 : 大学等を卒業していること(選考や専門は問わない)、3年以上の実務経験があることのうち、いずれかの要件を満たしていること。
② 同業界で働く日本人と同等以上の報酬があること
③ 勤務先の経営が安定していること
④ その他要件(仕事内容や職場の環境、申請者の素行などが適当なものであるか)
日本の就労ビザについては様々な種類があり、その手続きや条件は様々です。日本の出入国管理局や日本の外交使節機関(大使館や領事館)に問い合わせすることが確実かと思われます。
2.タイ
(1) タイのビザの概要
タイにおいては、労働者であるかどうかを問わず、外国人が職業的行為を行うためには、就労ビザが必要となります。
そのため、たとえ1日の滞在であっても、ビジネス、教師、スポーツ指導、芸術関連のパフォーマンスまたは興行、インターンシップ(教育機関のプログラム以外(有償))などの目的で入国するためには就労ビザが必要となります。就労ビザは入国日から90日間滞在が可能なシングルビザと、ビザ発行から1年間複数回の出入国が可能なマルチブルビザの2種類があります。通常マルチブルビザの方が取得要件は厳しいとされています。
(2) 就労ビザの取得要件(更新の要件)
タイでは学歴・職歴要件などは特にありませんが、最低給与については申請者の国籍ごとに定められています。申請者が日本人の場合、最低月額5万バーツ以上の給与が当該日本人に支払われている必要があります。
また、タイで就労ビザを取得後、入国管理局で更新するためには、使用者は原則として外国人1人に対してタイ人4人以上を雇用している必要があります(1:4ルール)。この点、2017年3月の日タイ経済連携協定において、日本人である企業内研修生やインターン生については1:4ルールの適用はなく、タイ人の雇用義務を負わないとして、ルールの緩和がなされました。ただし、この場合のビザ延長手続に関して、在タイ日本大使館等が発行したレターをビザ延長申請者が入国管理局に提出することなど所定の手続が必要です。
(3) 就労ビザが不要な場合
2015年にタイ労働省が発表した通達によれば、討論会や講演会、学術講義等への出席、企業視察や商談への出席、会社取締役会への出席等の行為などについては、「就労」行為に該当せず、就労ビザは不要であるとされています。
もっとも、行為者の立場やこれらの行為への関わり方によっては、「就労」行為に該当し就労ビザが要求される可能性があるため、注意が必要です。
3.マレーシア
就労を目的としてマレーシアに来る場合、たとえ短期間でも就労ビザの取得が必要です。就労ビザは、雇用パス、プロフェッショナル・パス、外国人労働者(ワーカー)に対するワークパーミットなどが主なものとして存在します。雇用パス取得後、帯同する家族は、滞在ビザ(ディペンデントパス)を申請し発給を受け、マレーシア滞在が可能になります。当該パスの有効期間は、駐在員の雇用パスの有効期間と一致します。
(1) 雇用パスを取得するための要件
マレーシアで就労する場合に一般的に取得するビザは雇用パス(Employment Pass)です。雇用パスは、通常マレーシアの使用者に雇用される管理職・専門職の外国人に発給されます。
外国人の雇用パスの発給に要する最低月額給与は以下のとおり定められています。
雇用パスを取得するための最低資本金は以下のとおりです。
(2) 雇用パスの申請手続き
オンラインでの申請が導入されており、雇用パス申請は新規、更新のいずれの場合においてもオンラインでの申請が必須です。まず、入国管理局の外国人サービス部門(ESD:Expatriate Service Division)にオンラインで会社を登録し、登録完了後、申請者の雇用パス申請をオンラインで行うことになります。
また、2023年1月より改正雇用法が施行されたことにより、駐在員を含む外国人労働者を雇用する場合には、労働局の事前の承認を得る必要があります。
(3) 雇用パス申請のための必要書類
一般的には以下の書類が必要になります。
- パスポート写真(ライトブルーの背景、サイズは3.5×5.0cmまたは99×142 pixel)
- パスポートのコピー(全ページ、少なくとも6ページの空白のページが必要、有効期限12か月以上)
- 最終学歴の英文卒業証明書
- 履歴書
- 雇用契約書(給与額及び雇用年数の記載が必要であり、申請するカテゴリーの所定の要件を満たす必要があります。)
4.ミャンマー
(1) ビザの概要
日本人がミャンマーに入国する場合、たとえ観光目的であっても観光ビザが必要となります。
ミャンマーで就労する場合には、ビジネスビザが必要となります。通常のビジネスビザは70日間有効であり、当該ビザで入国後、ビジネスビザの延長やstay permitの申請手続きを行います。2022年9月に投資企業管理局(DICA)よりビジネスビザの延長要件が発表されており、内容は以下のとおりです。
(2) ビジネスビザの取得要件
a.外国人ビザの延長のための推薦状を申請する企業は登記期間が1年経過していなければならない。
b.会社法を順守していないことにより、「Suspended」及び「Struck-Off」となっている会社は、是正日から1年経過後でなければビザの延長のための推薦状申請が受理されない。
c.外国人ビザの延長のための推薦状の取得を希望する企業は、満期の90日から120日前に申請しなければならない。外国人のパスポートは少なくとも6か月間有効期間が残っていなければならない。
d.外国人ビザの延長のための推薦状の申請に当たり、会社は以下の書類を提出しなければならない。
e. 最新のCompany Extract
d. 現在の会社運営の証拠(ライセンス/許可/政府機関からの証拠、他の関連機関とのビジネス契約書(もしあれば))
e. 外国人に関する取締役会の宣言書
f. 会社のtax returnまたは監査報告書等
g. 関連する外国人の履歴書(2”×1.5”サイズの6か月以内に撮影された写真、学歴、職歴、外国の居住住所、国内の住所を含む)
h. 外国人労働者の職位及び義務に関する委任事項並びに職務概要
i. 雇用契約書及び学歴または資格証明書
j. 勤務期間中の所得税の支払いの証拠
k. 従業員数(外国人/ミャンマー人)
l. 家族構成の証拠
5.メキシコ
(1) 概要
就労(メキシコにおいて報酬を得ること)を目的としてメキシコに滞在する場合、たとえ短期間でも就労許可を伴う査証(ビザ)の取得が必要となります。180日以内のメキシコ滞在の場合は、報酬を得る場合の訪問者用査証、180日から4年の場合は、報酬を得る場合の一時居住者用査証となります。
(2) 報酬を得る場合の一時居住者用査証
メキシコでの就労を目的とする場合、180日超の滞在となることが多く、報酬を得る場合の一時居住者用査証を取得する場合が一般的です。その査証取得までの流れは次のとおりです。
- メキシコにおいて外国人を雇用する企業等の登録(Constancia de Inscripción de Empleador)
外国人を雇用する(外国人に対して報酬を支払う場合を含む)法人又は自然人は、税務上の住所を管轄する移民庁(Instituto Nacional de Migración:INM)に外国人を雇用する者として登録します。
- INMに対する就労許可を伴う査証の承認申請(Autorización de Visa por Oferta de Empleo)
外国人を雇用しようとするメキシコ人(法人・自然人)は、INMより当該外国人の雇用に際し、就労許可付査証申請の承認を受けなければなりません。
なお、INMは、この申請を受領した場合、当該雇用の信憑性や雇用主の存在、その他提出された情報を確認する目的で、当該雇用主に対して立入調査を実施することがあります。
- 承認の取得(NUTの発行)
ii)の申請が承認されるとNUTと呼ばれる手続管理番号が発行されます。
- 在外メキシコ大使館・領事館での面接・査証の発給
査証を申請する本人は、iii)のNUTを用いて、最寄りのメキシコ大使館又は領事館に予約を入れ、面接を受けなければなりません。面接時には、ii)において提出された査証申請者の情報が確認され、領事の判断により査証が発給されます。
なお、面接において、査証申請者の渡航理由に異常がみられる場合、提出資料が不正に入手されたもの、又は改ざんされたものである場合、査証申請者がメキシコに入国することに支障がある場合には、領事はINMに対し、ii)の承認を再検討するように要求し、INMは7営業日以内に承認の是非を判断することになります。
(3) 査証取得後の手続
報酬を得る場合の一時居住者用査証を取得した外国人は、メキシコ入国後30日以内に、INMに対し一時居住者カード(Tarjeta de Residente Temporal)を申請しなければなりません。
6.バングラデシュ
バングラデシュでの就労ビザ(Eビザ)及び労働許可証(ワークパーミット)の概要について紹介します。なお、政府プロジェクトに従事する駐在員(Aビザ)は個別の規定に従います。経済特区又は輸出加工区の入居企業にて就労する駐在員は、一般的な手続きと同様ですが、担当省庁がそれぞれBEZA、BEPZAとなります。
(1) ビザの概要
バングラデシュでビジネスに従事する場合は、ビジネスビザ(Bビザ)、就労ビザ(Eビザ)、投資家ビザ(PIビザ)のいずれかを取得する必要があります。このうち、ビジネスビザは、現地での情報収集や会議への出席などの目的で、対価があるなしにかかわらず、就労は認められておりません。
(2) 労働許可証発行の要件
BIDAが労働許可証を発行する要件は以下の通りです。
- 就労先が適切な当局によって認可/登録されている産業/事業所であること
- 現地の専門家や技術者が不足している職種は優先される(バングラデシュ国内で人材募集を行ったが、適切な人材が確保できなかったことの証明が必要)
- 18歳以上であること
- 新規採用・雇用延長について当該企業の取締役会の決議があること
- 就労先の支店・駐在員事務所・現地法人が存在すること
- 外国人従業員数が従業員の総数に対して、次の割合を超えないこと(製造業の場合は5%、非製造業の場合は20%)
- 支店・駐在員事務所の場合、初期設立費用として5万ドルの振込及び現金化証明があること
- 労働許可証を付与する外国人の最低給与額が規定額を満たしていること
- 内務省からのセキュリティクリアランスが完了していること
(3) 就労ビザ及び労働許可証の申請手続き
一般的な手続きは、以下の通りです。
- バングラデシュに支店・ 駐在員事務所、現地法人を設立し、BIDAにEビザの推薦状発行を依頼する
- 日本のバングラデシュ大使館にて、Eビザを申請する
- バングラデシュにEビザで入国後、15日以内に労働許可証を申請する
- セキュリティクリアランスが開始される(セキュリティクリアランスには数ヶ月かかるため、完了前に労働許可証は発行されます)
- バングラデシュ国内にてEビザを更新する(セキュリティクリアランスの進捗状況で、当局により、更新されるEビザの有効期限が決められます)
(4) 注意事項
最近、Bビザでの滞在に関し、トラブルとなるケースが増えていますので、ビザの手続きを依頼しているエージェントに確認が必要です。また、必要書類、要件などは随時変わることがあり、在日バングラデシュ大使館や各行政庁の情報に留意する必要があります。一般的にビザ発行に時間がかかることが多く、特に、ラマダン中やイード前は更に時間を要しますので、余裕をもって手続きを行う必要があります。
7.フィリピン
- フィリピンにおける就労ビザの概要
フィリピンで就労を希望する外国人は、「9(G)VISA」や「Pre-arranged Employment VISA」と呼ばれるビザ(以下「フィリピン就労ビザ」といいます。)を取得する必要があります。フィリピン就労ビザを取得すると、ビザ取得の際に申請した企業で働く間は、原則としていつでも出入国する権利が与えられます。 フィリピン就労ビザの最初の有効期間は、1年、2年または3年間となります。その後は雇用契約の期間に応じて、一度の更新で3年まで延長することができます。
- フィリピン就労ビザ取得の流れ
フィリピン就労ビザ取得のためには、大まかに分けて以下の3つのステップを経ることが必要です。
-
- フィリピンで適法に設立している現地企業または現地に拠点をもつ企業において仕事を確保する。
- フィリピン労働雇用省(以下「DOLE」といいます。)から、フィリピン外国人雇用許可証(以下「AEP」といいます。)を取得する。
- 雇用する会社が、フィリピン就労ビザ取得のための必要書類を提出する
②で述べたAEPは、フィリピンで有給の雇用に従事しようとする外国人に必要な最も一般的な就労関係の証明になります。6ヶ月以内の短期就労を希望する場合は、入国管理局に特別就労許可を申請することができる場合があります。
- フィリピン就労ビザ取得に必要な提出書類
フィリピン就労ビザの取得に必要な提出書類は、以下のとおりです。
-
- 申請書提出
- AEP
- コミッショナー宛のジョイントレター
- 入国管理局からの証明書
- 委任状
- 従業員数についての証明書
- 保証書
- 申請者のパスポート
- 外国人の登録証明書
- 雇用契約書のコピー
- フィリピン就労ビザ取得にかかる時間
フィリピン就労ビザの取得には、2~3ヶ月かかると言われています。フィリピン就労ビザの承認を待っている間にフィリピンに入国を希望する外国人は、観光ビザを申請し承認前に入国することも可能です。また、一定の条件のもとではフィリピン就労ビザの申請中に暫定的な就労許可を申請することにより、直ちに就労を開始することができる場合があります。
8.インド
外国人がインドで就労するためには雇用ビザ(Employment Visa)を取得する必要があります。その他の在留資格としては、インド到着時に空港で取得することも可能な観光ビザ(Tourist Visa)や拠点設立の準備等の目的で取得するビジネスビザ(Business Visa)等があります。以下では、雇用ビザの取得手続等について説明します。
(1) 雇用ビザ取得の要件
以下が雇用ビザ取得のための要件となります。
- 高度な技能や資格を有する専門家でありインド国内の会社等に雇用されている者であること
- ルーティーンワーク、一般的業務、秘書業務等の適任のインド人がいる業務ではないこと
- インド国内の会社で雇用される又はインド国内で実施されるプロジェクトに従事する外国企業に雇用されることを目的とした入国であること
- 一部の業種を除き、年間の給与が25,000米ドルを超えていること
- 納税義務等の全ての法律上の義務を遵守していること
- 出身国のインド大使館(領事館)又は2年以上居住する国のインド大使館(領事館)から雇用ビザが発給されること
- 会社の登記等の就労に関する書類は、徹底的に確認されビザの種類を判断される
- 使用者の名称はビザのシールに印字される
(2) 雇用ビザを申請できるその他の資格
上記(1)の要件を充足した上で、以下に該当する外国人も雇用ビザを申請することができます。
- 月給ではない固定の報酬をインド企業から得る契約に基づきコンサルタントとして入国する者
- ホテルやクラブ等で定期的にパフォーマンスを行うことを目的とした外国人アーティスト
- 国/州レベルのチーム又は著名なスポーツクラブでコーチとして雇用されることを目的として入国する者
- インドのクラブ/組織と特定の期間の契約がある外国人スポーツ選手
- 独立したコンサルタントとしてエンジニアリング、医療、会計、法律のサービスを提供するために入国する自営業の外国人
- 外国語講師/通訳
- 外国の専門シェフ
- 設備や機械等の設置のための契約で設備や機械の設置等のために入国した外国のエンジニアや技師
- 外国企業に手数料やロイヤルティを支払うインド企業にテクニカルサービス、ノウハウの移転等の提供を行うために委任された外国人
(3) 雇用ビザ申請のための必要書類
以下が雇用ビザ申請のための必要書類となります。
- 履歴書
- 日本の会社からの推薦状(無職の場合は自己推薦状)
- インドの雇用会社からのアポイントメントレター
- インドの雇用会社のプロフィール
- 雇用契約書
- インドでは得ることのできない技能を有することの証明書
- インドの雇用会社の登記証明書
- 申請者の住居(ホテル可)が確保されていることを示す書類
(4) 雇用ビザの申請手続
申請者は、オンラインシステム(Indianvisaonline.gov.in)を通じて申請書を作成し提出します。また、申請者は印刷した申請書と必要書類をインド大使館に提出する必要があります。申請が承認された後、申請者は大使館でビザを受領するか、大使館が申請者に郵送で送付します。就労ビザを得てインドに入国した後、14日以内に外国人地域登録局(FRRO)、外国人登録事務所(FRO)に登録する必要があります。
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発行 TNY Group |
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